王道の全日プロレス的な安定感。これぞ、ははっ～♡ : いし橋

夏が過ぎで、何かの拍子・・・店先に並ぶ果物、通り道のプランターの花でも、少しでも秋を感じたりすると、
唐突に「すき焼き」を食べたいと、フッと思ったりします。

寄せ鍋やてっちり、鳥団子鍋にカニ鍋と言った、本気の暖まり系お鍋と言うくくりには、まだまだ季節は健やかで暖かすぎて・・・。すいません・・・です。心底からの本気の熱量は、まだ余分なもどかしさで、寒さを発散するまでの気持ちの整いが準備されません。はい。

でも、なぜかこんな季節の「すき焼き」なら、スルリと何かの座りがよろしく・・・。
お肉の彩を邪魔しないシンプルな野菜を数種と豆腐、それくらいあれば十分・・・。
気持ちが乗って来て、秋の味覚を取り入れたければ存分に受け入れるキャパもあるし・・・。
まぁ・・・そうですよね。逆に秋の装いにイマイチ行けてない気持ちを一気に煽る勢い弾みに、
「食欲の秋」は「すき焼き」で幕を開けると勝手に思うことも出来ますよネ。ははっ～♡

関西風とか関東風とか、その「すき焼き」の名を聞くだけで話題は花が開き出すと思います。
誰の脳裏にも思い描く「すき焼き」が1つや2つはあるもので、
ヨダレが湧き立つ「味わい」が記憶に留まっていると思います。

身に馴染んだ、ごった煮関東風は、自宅や皆が集まった大人数で食べるモノで、
一枚一枚仕上げて、「すき焼き」の「焼き」をちゃんと意味した関西風は、
２人くらいでつっつくのが具合が良いと感じたりします。ははっ。

たまに食べる「すき焼き」・・・。
良い肉を感じの良い環境で味わいたい・・・。

もともとそれほど量は入らないので、とびきりのお肉を2枚、３枚程度・・・。
そんな望みで思いめぐらせると、頭に浮かぶのは・・・、

神田　末広　「いし橋」様の　すき焼き　が一等最初にプカプカと浮かび上がります♡

東京の王道のすき焼きを食べるなら、「いし橋」様だと私は勝手に思います。

趣あり、まさにすき焼きを食べるために造られたと思える、お店の佇まい。
そんじょそこらの聞きかじりを、中では言えぬオーラが滲み出て、

「だったら・・・素直に味に身をまかせようか・・・」

と、気持ちを新たに初心に返してくれます。
老舗の店だけが持っている、人を諭して導いてくれる歴史の語り部がソコには有りますル～♡

通される和の部屋の空気が心地よく、食べる事に専念できる空間がすでに満たされているのに、先ずは納得します。
それだけで、１つ生唾が鳴ります。ゴクリと。

フカフカの座布団に腰を落とし、背もたれよりもピンと背筋を伸ばしたら、宴は始まります。

グラスに何を注いだとしても、喉を潤す味を邪魔しない　酢の物　天ぷら　・・・等々。

そして、お待ちかね大皿に折り紙の様にたたみ、
乾坤一擲の願いを叶えるトビ色とも言えますル～お肉♡

桃色と白の透明感が湧き立つ、霜降りのお肉。

角が立ち、アクセントよりも美味しさの芯をなす三角の牛脂。
鮮やかを通り越して、空に浮かぶオーロラのような揺らぎがお肉全体から感じられます。

お肉の皿とキンと温められた黒い鍋。そして、仲居さん。
手際の粋と経験に裏打ちされた仲居さんが、手間のかかる鍋周りの約束事を器用にほどいてくれます。

サッと焼き、ここでしか味わえない「わりした」を満遍無くまとわせたお肉を
ゆるく溶いた卵にソッと入れられたら、もう、笑顔が一周回って引きつってヒクヒクしてきます。

箸の先で掴む　お肉　がやけに重く感じます。
ついさっきまでの仲居さんの軽やかな箸遣いからは想像できないほど、美味しさとか味わいをまとっているのですね。

卵につけたとしても、お肉の立ち上げる香りに、わりしたの甘くとろけて進むセクシーな潤いが感じられます。
焼いたお肉とは違う、色のあるタレ、「わりした」の魔法とも魔術とも言える魔性の味わいが、香りからつとに伝わります。

口に運ぶ。

フルフルに揺れて、歯をたてて噛み切るまでも無く、唇の敏感な部分で十分にほぐれるお肉。ふんわりと。
お肉が　ふんわり　とほどける食感は、触感と感じられる間もなく口の中に、美味しさだけを広げて消えてしまいます。
お肉の強さ、卵のコクと　わりした　の馴染み感。甘味以上の安心の味わいは、ただただ、身体が覚えている美味しさです。何度食べても美味しい。記憶が、ちゃんとトレースされる特急安定の味わい。

惚れた腫れたとか、右往左往とか、法界悋気、暴虎馮河・・・この世の身体は借り物で、言った言わない程度のことなど、どうでも良くて・・・楽しんだ者が、一番の幸せ者。知った知らぬ程度ことなら笑って過ごせば良いだけのこと・・・～♡口の中で、舌で余韻を隅々まで拭いながら、つくづく実感してしまいます。

火の入った醤油味は、お肉が持っている嫌味や虚栄心を忘れさせて、素直さだけを引き出してくれるのです。

ただ、お肉の美味しさに酔いしれますル～♡

お肉の甘さ、脂の純な瑞々しいさは、「わりした」で味わうのが一番美味しいと思ったりします。

和牛と言うのなら、やっぱり　「すき焼き」　で食べるのが一番～♡

どっちゃり食べても、スルスル進む箸先の勢いは止まらずに豆腐やネギ、白滝にエノキ、春菊と・・・そして、
最後に到達する　焼き目麗しい　食感が楽しい技の雑炊へと進みます。

・・・絶対は・・・それほど、実生活で必要性を感じないのですけど、
味わいに絶対があるとするなら・・・味わってみたい・・ものでしゅ。

そんな体験をしたいなら、末広まで足を運んで、「いし橋」様に来てみると・・・と、言いたいです。

若さが十分にみなぎっている時に、この味は　「励み」　になると思います～♡

味を語るということは、自分を語っている事ことです。

値の張るものが美味しいのが当たり前？
本当に・・・そうですか？

老舗と言われる所以に嘘や偽りは無いです。断言してしまいます。ははっ～♡
自分の今までの価値観・・・そんなモノを簡単に超えてくる味。

「いし橋」様の「すき焼き」、安心する味、明日からまた頑張れる味♡


・・・。・・・。・・・。