とても久し振り : スマトラカレー 共栄堂

夕刻に取引先との打合せを行い、そのまま直帰。神保町迄歩き、未だ6時少しだったが早目の夕食を。当初は未訪問のカレー店を目当てに向かったところ、臨時休業だったので仕方ない。他の店をと思案をしたが、既に気持ちはカレーに傾いている。ふと、思いついたのがこの店。今迄に、二度程訪れている。とても久し振りである。かなりの老舗で、カレー店が凌を削る神保町ではカレー店としては最古参だろう。

奥の席に案内されチキンカレーでライスの中盛りを頼む。後で気付いたがライスだけ多くするとバランスが悪い。たったの50円でそうなるので、凡そカレー屋のライスは少ない感じもするのでそうした訳だが、結構な量である。学生街のカレー屋なのでそうした配慮があるのかも知れぬ。

黒色に近い様なものでさらりとしたカレーは懐かしい感じがした。飽きの来ないものである。故に老舗ということか。だが、その昔に食べた時よりは、感動が少し減退したかも知れぬ。何か甘味がもう少し欲しい気もした。平板であるとは言わないが、もう少し昔は重層的な気がしたが、勿論、何も変わっていないに決まっている。自分の感覚が変わったということだ。
価格がこの店に限らずだが、昔に比べて上がっているので、そう作用したかも知れない。

凡そ２年振りの訪問。嫁さんと一緒である。二人で外でカレーを食べるというのは殆ど無い。休日に家で食べることはある。平日の昼食に時々出先で食べることもあるので、あえて二人でという気にならないのだが、この日はふと思いついて出掛けた。食後に本屋を冷やかして、その後、秋葉原で電化製品などをこれも冷やかすのだ。まあ、大した意味もない外出だが、家にずっと蟄居してても仕方が無いというのもある。

この日は土曜日。学生の利用も多く、相席を余儀なくされている客も結構いたが、運良く、入口近くの二人掛けのテーブル席に座れた。頼んだののは、海老カレー。前に食べたのは、下記の通りチキンカレー。変えてみたということである。前回と同様、最初にスープが出る。別口で、サラダを各々取って、ほぼ同時にカレーが運ばれた。

う～む、以前食べたチキンカレーの方が格段に美味い。この店、種類（ビーフだとかチキンだとか）によってルーは全部異なるとのことだが、何と言おうか、海老カレーは、随分とにがい感じである。海のエキスと形容できなくもないが、何だか不思議な味である。残念だったのは、海老。
海老という以上、ぷりぷりとした身でなくてはいけないが、まるでそうでなかった。１，３００円出して味わうとなると、些か満たされない感が残った。

昼時はコーヒー他の飲み物は頼むことが出来ないというのも、相当に劣る話だと思う。カレーを食した後のコーヒーの旨さを剥奪するのはどうかな。回転率向上もあるけど、客の失望を上げているなあ。


（２０１１年４月）
神保町は色んな店があって楽しい。最近は古書には手を出さなくなったので、そうした店には寄ることも殆どなくなったが、学生街でもあり、安くて旨い店がかなりあるし小川町辺りまでを極めようと思うと、なかなか難しい。奥が深い街である。
この日は、遅めの昼食を一人で食べることになり、この店に初訪問。神保町はカレー屋の激戦区である。今迄に訪れたのは、ボンディ、ガヴィアル程度だが、この店もそうした長年やっている店であるとは既に承知していた。何処かで機会があればと思っていたのだが、この日がその日。既に３時を過ぎていたので比較的、店は空いていた。この店、大正１３年創業とあるが、雰囲気はそう古い感じでもない。確かに、洗練されているとは言えないけど、過去に何処かで改装しているだろうし、地下の店だが地下に降りる階段が吹き抜けになっているので外の光も入るし、それを取り入れる為に大きく窓も取っていて感じがいい。何処となく昭和の雰囲気はあるが、喫茶店とも洋食屋とも似通った感じである。僕は嫌いではない。さて、メニューは中に入れる具が変わるだけで、基本は全部「スマトラカレー」である。別にあるのは、ハヤシライスのみで、後は副食のサラダと何故か焼きりんごがある。何故、スマトラカレーというのかはよく判らない。スマトラというとインドネシアの大きな島だが、ここのカレーがこうした味だとは到底思えないしなあ・・・？？

頼んだのは、チキンカレー（１，１００円）。ご飯とカレーは別々で、カレーはカレーポットで供される。その前に出された、ポタージュスープを少し飲んだ後、いざ、カレーに臨んだのだが、先ずチキンは大きな身が４つ程ゴロリとあり、きちんと鶏の旨味があり、調理加減もいい。カレーのルーに関しては、一切、小麦粉を使わずに２６種のスパイスを使ったものだそうだが、さらっとしているのだが、後でじんわりと辛さが来る種類のもの。辛さそのものは然程でもない。カレーに関しては辛さへの耐性が人によって異なるし、幾重ものスパイスのコンビネーションとなるので、何が一番ということは言えない種類のものだが、ここのカレーは比較的僕の好みには合っている。
辛さが勝ってくると、出されたポタージュを飲んで、箸休め（スプーンだけど）にすればいいし、机上には、カレーには定番の福神漬とらっきょうもあるのでお好みで入れればいい。

難点は、学生街だからこそ、ご飯が多めに盛ってあるのだが、これはいいとして、ルーとのバランスが悪い。もう少しルーを増やさないとご飯が余る傾向にある筈である、ルーそのものがコクはあるが、比較的マイルドなので、沢山かけないとパンチが無いというのもある。改善して欲しい。
尚、カレーの後のコーヒーはたまらんが、この店のそれは３００円。この日は飲んでないが、価格的には立派である。煙草を吸わない人には迷惑だろうけど、この店は喫煙可能である。カレー、コーヒー、煙草。セットで楽しめる店は最近少ないので、カレー好きで愛煙家には嬉しい店である。