レベルの高いカジュアルイタリアン : 神田CUORE

数日前に34県の緊急事態宣言が解除され、前日には近畿2府1県も解除され、世の中には収束気分が蔓延していますが、まだまだ油断は出来ません。
と言うよりも、仮に緊急事態宣言が解除されてもすぐにかつての日常が戻ってくるわけではなく、そろりそろりと段階を踏んで進んでいくのはやむを得ないのでしょうね。
まあ、これもこういう時代に生まれたということで、仕方ないことなのかもしれません。
この時代に生まれたことで幸せなことも数限り無くありますから。

この日は、午前中、日本橋方面にて所用がありましたので、その流れでオフィスまでの帰路にランチをとっていくことにしました。
久しぶりの神田界隈での店内飲食ということになりますが、これは別に気の緩みではなく、この日のスケジュール上ベストだと考えたからです。

今回お邪魔したのは、鍛冶町の神田金物通り（中央通りと今川橋信号で交差）と本銀通り（中央通りと室町四丁目信号で交差）のちょうど中間の裏通り沿いにあるこちらのお店です。
新型コロナ騒動渦中の2020年3月18日に果敢にオープンしたお店で、神田の女王様のレビューで知るところとなりBMしておりました。
女王様によれば、以前は「よよ木バル 神田」というお店が営業していた場所だそうです。

当店を運営しているのは、不東庵株式会社。
「不東庵（ふとうあん）」と言って思い浮かぶのは、細川護熙元首相が政界を引退した後に住んでいる湯河原にある自邸兼陶芸工房の呼称ですが、この名前は、「二度と東には行かない」、つまり政界には戻らないという思いが込められているとのこと。
この会社がどういう思いで名付けられたのかは分かりませんが、細川さんの思いもヒントになるような気もしますね。
同社は、当店の他、姉妹店として、こちらからもほど近い日本橋本石町に「The Bar Prologue 日本橋（ザ・バー・プロローグ）」というお店を運営しています。

当店＝神田CUOREの”CUORE”ですが、私などは、ついダイハツ・クオーレを思い出してしまいますが、そもそもはイタリア語で「心臓」の意味。転じて、心、ハート、心配り、気配りという意味でも用いられるそうで、これをお店のコンセプトに位置付けています。
看板料理はトリュフと黒毛和牛で、これらについては、厳選素材を確保できるしっかりした仕入れルートをお持ちのようですね。

この日は、日本橋での所用を終えてから徒歩で伺いました。
完全なオフィス街の立地。周りには飲食店はほとんど無い場所のビルの1階にあって、赤い庇が目立つなかなか洒落た佇まいのお店です。

当店に着いたのは、ランチ開始時刻を少し回った11時35分くらいになりました。
店頭には、ランチメニューが書かれた看板が置かれている他、壁に設置された黒板にはアラカルトメニューがズラッと書かれており、トラットリアらしい雰囲気が良く出ています。

入店します。
店内は、入ってすぐ左手にレジがあってその先にカウンター席が5席あります。
その対面の壁際にはテーブル席がズラッと16席並び、カウンター席の奥にもテーブル席が4席あります。
計25席のキャパはお手頃な広さという印象ですね。

先客は、カウンター席に女性ひとり客1名のみ。
私もそのカウンター席に案内されました。
お店は厨房に男性2名、レジに男性1名のほか、接客担当として支配人のような雰囲気を漂わせた若めの女性がおり、計4名が確認出来ました。
全員日本人っぽかったですし、この規模のお店としてはかなりの陣容ですね。

卓上にはランチメニューが置かれています。
メニューは、3種類のパスタのランチが各1,000円。
和牛の手こねハンバーグランチが1,500円ですが、いずれもサラダ、自家製パン、テイクアウトコーヒー付きですが、ハンバーグランチは、これにポタージュスープとドルチェも付きます。
ドルチェは＋300円でパスタランチにも付けることが出来ますが、全て税込み価格ですし、全体になかなかリーズナブルと思われるラインナップですよね。

注文は、パスタランチから和牛のミートソース(リガトーニ)にしました。
和牛がウリとのことなので、これかハンバーグのどちらちするか迷ったのですが、私はショートパスタが好物ですので、リガトーニに惹かれた形です。
これがスパゲティーニであれば、ハンバーグにしたと思います。

待つこと2分ほどでサラダとパンが運ばれてきます。
サラダは、リーフもの中心ですが、カジキマグロのカルパッチョ(薄切り)、ローストビーフ、丸ナスのマリネがトッピングされているなかなかの豪華版です。
女王様のレビューではサラダに黒トリュフが乗っていたそうで、それは無かったのですが、代替としても十分満足出来る内容で、とても美味しいサラダでした。

パンは自家製で、天然酵母と全粒粉の2種類がセットされており、ここにもこだわりが感じられます。
カリッと焼き上がり、程良い酸味の効いた天然酵母、小麦の香りが満載の全粒粉ともに個性十分で美味しかったです。
ちょっと余談になりますが、1年半ほど前にとある人物から頼みもしないのに自分のお気に入りのお店に案内したいと言われて付き合ったことがあるのですが、その店、何とパン（バゲット）は業務用の仕入れ商品だったんですね。もちろん、業務用のパンを使うなとは言いませんが、イチ押しのお店とのことだったので、違和感を感じた次第です。
もちろん、そのことはその場では言わなかったですが、一口にイタリアンと言っても色んな店があるんだなと思いました。
やっぱり、イタリアンレストランには、パンの自家製にはこだわって欲しいもので、当店はその点でもあっぱれです。

サラダとパンの提供から6〜7分でパスタが運ばれてきました。
和牛のひき肉は、赤身中心のようですが、和牛だけに適度な脂肪分もあって旨味がたっぷりです。
そして、このソースに隠し味的に入っているのが何とラズベリー。
このコンビネーションは素晴らしいですね。
これまで食べたことの無い味わいのミートソースでしたが、とても気に入りました。
もちろん、リガトーニも美味しかったですけどね。

食べ終わると、ミニサイズながらマスカルポーネベースのデザートをサービスで付けてくれました。
ココアパウダーの振られたマスカルポーネ、優しい甘さと爽やかなあと味があり、とても美味しかったです。

会計を済ませるとテイクアウトコーヒーをら渡してくれたので、帰路にちょっと休憩がてらいただきましたが、全体としてこれで1,000円ポッキリならかなり満足度の高いランチと言っていいでしょう。
夜はコースは無くてアラカルト中心だそうですが、和牛をウリにしているだけに赤ワインには自信があるそう。
ランチの充実ぶりから見て、夜も大いに期待させるものがありますね。

帰りがけに件の支配人っぽい女性に「緊急事態宣言解除までもう少しだと思うので頑張って下さい。」と伝えると、「次、是非、夜にお願いします。」とのこと。
世間の情勢からは、すぐに飲み会という雰囲気でもありませんが、今後のためにもマークしておきたいお店ですね。