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多なか/つゆだけに微睡んで
おばけ階段を上り切ったところに、新しくサミットストアが出来た。
そのことを町内会長であるうちの社長が随分と心配していて、私も、こんな狭い一方通行の真上に大型のスーパーなんかが出来てしまったら、路上駐車の自転車やらなんやら、さぞかしごった返すのかなと思っていたら、意外にも今のところ、我々の住む“地上”にはあまり影響はないよう。
それを何故だか考えてるんだけど、やはりこのおばけ階段がひとつの防波堤になってるのかな ……
お客さんに対しては麓に直通エレヴェータが設けられているようだけど、それでもね
<R4.4.22>
「多なか」
久々の「多なか」さん。
歩いていくとお母さんがおもてへ出て周囲の様子を気にする姿が見えたが、もしや私が来るのを、お母さんはこうして忠犬ハチ公のように毎日待っていてくれているのだろうか ?
だとしたら誰かお母さんに教えてあげて欲しい
「ハチ、先生はもう死んだのよ ……」 と
“大せいろう” @850也。
「大きいもりそば」と言おうとして、それで伝わるかどうか急に心細くなり、「もりそば大盛りで」とやってしまった。
つゆを猪口に注いでから写真を撮影したのは、その画像を一見しただけでそのそば屋の素性を的確に見抜いてしまう特殊技能を持つ人種が、私だけではないと信じてのこと。
逸る気持ちを抑え、一介のリチャード・ギアとして丸断面の箸をsplitし、山の頂点を突いていくことは常に、そばをやるときのそれが術式開始 !
そばの尾が猪口に迷いなく吸い込まれてゆく様を、ほんとうはそれは自分自身の操作に依るものなのだけれど、一流マジッシャンの手に依る極上のテーブルマジックを堪能するかのように客観できるようになるまで、そばをやり続けたらいい
そばと猪口の空中操作をこれまでの人生、途轍もなく繰り返してきたが、そのそばの尾の軌道は毎回同じように見え、しかしそのすべてが異なる。
同様に毎日が同じことの繰り返しに思えても、しかし完全に同じ軌道などひとつも存在しない ! ゴールは同じでも、そこにたどり着く道は無限なのだ !
と、別に大したこと言ってないのに、大それたことを宣ったような気分で悦に入るぼく
多なか/湯島うなぎの冒険
―― いつかしら、ぼくよりも母は小さくなった
引き続き薄曇りで不快指数うなぎ上る東京。
お化け階段をうなぎ上り切り(それもうなぎ上りっていうの ?)、今日は迷わないと決めている。
角の喫茶店の、この行列はなんだろう ? そこをパーシャルスロットルでやり過ごそうと流していたら、行列の中にやけにチャーミングで露出の高い服装の若い女の子がいることに気付き、やおらアクセルを抜いた ……
そこからの再加速に、シフトダウンはしない。ただエンヂンがカクカクする寸前を綱渡りしつつ、そろりそろりとアクセルを開けていくだけだ。
そういえば最近、与えられた仕事について、気を引き締めてもう一段再加速していく ! といった意味合いで“ギヤを上げていく”という言葉がよくよく用いられるんだけど(それがとりわけお好きなご様子なのが小池都知事)、加速を得る為にはほんとうはギヤは、下げなきゃいけないんですけどね ……
<R3.8.25>
「多なか」
午後1時の5分前。
お母さんは今日も元気。もともと小柄な御方なので、とくに小さくなったという感じでもない。先客はおじさん一人。BGMは奥のテレヴィジョンからだが、今日のテーマは気にしなかった。
窓のこちらからおもてに向かって貼りつけてある時短営業延長の案内を、裏側からぼぉっと眺めていた。最期にお酒の提供はできない旨の一行が見えれば、べつにこちらに夜飲みになんか来やしないんだけど、無駄にそこはかとない喪失感を噛みしめてみたりして ……
そして今日の収穫は、店内に張り付けられたお昼の揃いものの中に、私のもっともフェイバリットな揃いものを見つけたこと。間髪を容れずにその注文を決めて、さすがにおそばは冷たいので、とやった。
いや、私はこちらであったかいそばをやった記憶はないのだが、つめたい“それ”はまた勝手が違う為、あったかいものの検討の余地もあろうかと思ったのだけれど、如何せんこの陽気ではね ……
“玉子丼とたぬきそば” @850也。
懐の深いどんぶりいっぱいのそばに胸いっぱい、この小さな胸がぴくりと揺れた。
お化粧なんかはしないけど、あたしはおそばにもう夢中。さっそく割り箸をスプリットして構えたならば、かまぼこなんかイチコロよ。いちお、形式美に則ってワサビを擦(なす)ったけどね。
そしてやおらおそばを底からかんますの。それがつめたいぶっかけそばをやるときのセオリーなんだけど、あくまでもセオリーだから、そこは臨機応変にやってねあんたたち ♪ シャランラ ♪
限られた容積のどんぶりの中いっぱい、且つつめたいぶっかけという条件の中で、限りなく細くμ(ミュー/摩擦係数)の高いそばを手繰ってみれば、お互いのフリクションで次々と連なってくるそばだが、それを卓越した箸の操作でバラしつつ啜ってゆく。
あくまでもナロウだが、手打ちに対し比較的ライフの長いこのそばの性質を利用し、隙をついて掻きこんだ玉子丼は甘く、優しく、ならばなかんづくほろ苦く ……
そば屋のかつ丼というものにとりわけ傾倒されるお方をお見受けするが、この玉子丼という料理も、同じくそば屋のmagicが存分に発揮される料理なのであろう。
大陸系中華のラーメン&炒飯をやるときの私の気持ちは、どちらか一方がNGであってもどちらか一方に救われるだろう、というどちらかと言えばネガティヴなチョイスと言えようが、こちらのそれは言わずもがなそばもご飯もうまい !!! 且つボリウムだっぷり !!!!
急坂をうなぎ上って来た甲斐あって、またここにひとつの楽園を見つけた気がする。
ラーメンが並べば並ぶほどおいしくなるように、そばというものは、上れば上るほどうまくなる食べものなのかも知れない。
そしてその坂を上るときには、一つのルールがあるという。いくらため息ついてもいいが、決して後ろだけは見ちゃだめという、母の人生のようにささやかなルールが ……
多なか/遠い再会
完成したらどんな景観になるのだろうか、片翼の建屋が工事中のおばけ階段を息を切らせて上りれれば、学問にゆかりのあるいにしえの神社(とGoogleマップに出てる)、湯島天神から蔵前橋通りへと伸びる小路に蒼天が一気にひらけてとても気持ちが良く、苦労して急坂を上ってきた甲斐もあろうかというもの。
未だ午後1時の手前であったが、もう大丈夫だろうと思ってる。
それでも暖簾越しにガラス戸から中を覗いてしまうのは、これは私の倣い。足を踏み込んでお母さんの変わらぬ顔を見つけたときには、何故だか、遠い再会を果たしたような不思議な気分で、とつとして感慨がこみ上げてきた
<R3.4.12>
「多なか」
久しぶりの訪問だからか、思わず店頭の品書きに見入ってしまう。
お稲荷さんとのセットに強く心を揺り動かされつつ暖簾を割り、最小単位である二人掛けの卓に陣取れば、窓にもう一つのdreamが貼り付けられていることに気付く。
それではと、お茶を差し出してくれた奥様(大将を諫める力量をお持ちなので勝手に奥様と言ってしまったが、私は何らその確証を手にしているわけではない)の手に被せるように「玉子丼とたぬきのセット、おそばつめたいの」、と宣言してしまったところ、奥様がこれは一大事 ! とばかりに大将に、玉子丼の在庫を(在庫っゆ~の ? 玉子丼って)確認しに走ってくれて、残念ながら終わってしまったとのこと !
それには瞬間的に激しいショックを受けたが、奥様ばかりか、茹で場の大将からも恐縮気味に「すみませ~ん !」とやられてしまったならば、ここは潔く気持ちを切り替え、或る意味いつものものをやることにする
“天どんセット” @1,000也。
本日のBGMは「徹子の部屋」。
ゲストはコロナの女王とも名高い、ワタナベエンターテインメント所属の岡田晴恵さん。お医者さん、株屋さん、料理人、弁護士 etc. 例えばテレビに露出しっぱなしの美人女医みたいなのって、本業どうしてんの ? って素朴に思うオレがおかしいのかな ……
テレビで有名な予約のとれないお店のシェフ監修のレトルトスパゲッティソースが、何故「青の洞窟」や「キューピー」や「マ・マー」に負けるのかってことを、日本人はもっと真剣に考えたほうがいいと思う。
そうすれば、“からあげグランプリ金賞 !!”、“モンドセレクション金賞 !!”ってことも、多少は今よりクリヤに見えてくるようになると思うので。
それよりも何よりも、黒柳徹子さんも最近、これは当たり前の話だがその歯切れの良い活舌に些か翳り見え始め、些か心配。いつまでもお元気でやっていっていただきたいと願うばかりなのだが ……
「I Have A Dream !」
そして私の夢そのものが舞い降りた。
小さい天どんのタネはつゆにくぐらせてから盛りつけられているが、そば屋の天どんらしく甘い丼つゆが特徴的なこと以外特筆すべき部分はないんだけど(笑)、何より裏切られる心配がないことが嬉しい。
しかし何といってもこちらのおそば屋の特徴は、おそばがおいしいところだろう。紅茶のおいしい喫茶店、というのはあるが、おそばのおいしいおそば屋。
これは当たり前のことのような気もするが、それを満たすそば屋が案外少ないということを、私は知っている。
ぶっかけ式の冷やしにはあらかじめつゆが回されていて、徳利から自分で調整することは出来ないが、いつもそれは適切であるから心配はいらない。
あくまでもマシンカットの細打ちに正義を籠めるおそばに微睡むこの時間を、私はいつまでも大切にしたいと思っている
多なか/蒸籠上の Wire dancer
テレビで料理店を巡るような番組がかかっていて、その中で出てきた海老の天ぷらを見て「ワタシエビノテンプラスキ !」 だとか、Y~ちゃんが、中国は四川人らしからぬこと言ってる。
ならばと、私がこないだ食べた2,400円という超高級天丼[注]の写真を見せると ……
「オイシソ~、コレナニアジ ? ショウユ ?」
「甘辛い醤油のたれね」
「ワタシショウユスキヂャナイ」
「じゃ~どうやって食べんの ?」
「ラーユカケル」
天ぷらには辣油だけをかけ、あとは何もかけない。
そうすることに依ってタネのうま味が極限まで引き出されるのだろう。もしかしたらほんとうはそれが、天ぷらというポルトガル料理の正式な食べ方なのかも知れない
注) 実はその上に三千いくらの上天丼があった。そう、私は妥協したのだ
<R2.11.19>
「多なか」
息を切らせておばけ階段を上り切る。
この急階段は都内屈指のパンチラスポットに成り得ると思うのだが、残念ながら私の通勤途上に、この階段を上るという過程は入っていない。
そしていつものおそば屋さん。時刻は1時の少し手前。珍しく残っているお客は落ち着いており、お一人。
唐突ながら、人間には三つの自分がいる。
一人は自分が知っている自分。一人は他人の知る自分。もう一人は、ほんとうの自分。真田広之さんが言っていたのだから、絶対に間違いはないはず。
今日はどうしようかと一寸迷ったが、“ほんとうの自分”と対話した結果意見が一致し、何故今日は即決してくれないんだろうと訝りつつ(笑/嘘です)こちらを窺ってくれている大将の奥様(だと思うんだけどなぁ)に、遅ればせながらの注文を告げた。
今日もこの時期としては暖かく、窓際から覗ける外の景色はのどかそのもの。
そんな中テレビを見上げれば、本日発表となる新型ウィルスの一日の感染者数(言葉を正確に用いれば、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション検査陽性者数)は、過去最多を更新するだろうとのこと
“大せいろ” @800也。
「七味いらないんじゃないの ?」
「楊枝といっしょにちゃんと出さないと !」
ご多分に漏れず新型ウィルス対策の為であろう、こちらも卓上に常時ものをのせっ放しということをやめていて、都度揃えてくれようとしていたところ、大将の「七味いらないんじゃないの ?」 という声が耳に入ってしまった !
―― なんでぼくにとんがらしをくれないのだろう ? これは由々しき問題である ! って、ほんとに、俺はもりそばやるのにとんがらし使うことはまずないんだけどね。でも自分の知っている自分は使わないし、他人(大将)から見た自分(私)も使わないかも知れないけど、ほんとうの自分は使うかも知れない ……
(めんどくさいこと言うのやめろ !)
※ 一般論としてはもりそばでもとんがらしを使う人はふつうにけっこういるだろうから、私が冷たいそばにはそれを使わないってことを大将は知っていたのだろうか。だとしたら、ふだん茹で場から出ないのに、鋭い観察眼を持っていらっしゃると感心してしまう
それはいいとして、こちらのおそばは今日もうまい !
直進性があり、そば切りらしい長さをもっていて、伸びがすくなく、スムースながらも粒状感に溢れ、まあ、その辺りのヴァランスが巧くとれたおそば。
それを透明感、艶のある、藪系のような凄みはないが、こちらもヴァランスのとれたつゆにたっぷりと落としてやることこそが至福 !
大盛りだとちょっとした量となり、いい調子でやっていると途中で必ず、徐々に下層へと移りゆく水の切れるラインを追い越してしまうことになって、そこからはややペースを落とし、水を飛ばしつつやることを強いられるのだが、そしてまたそれを嫌って“重ね”や、山をいくつかに分割するという盛り方も派生したのだろうけれど、しかしこの操作、蒸籠上のdanceこそがまた、そば食いの醍醐味ともいえると思う。
―― 慌ただしく箸の切っ先でそばを躍らせていると、そばから、そんなに生き急ぐなよ、と窘められているような感覚にふと襲われて ……
多なか/失楽園
―― 禁断の善悪と知識のそば切りを啜ってしまった俺は ……
朝三暮四の猿のように、人間も、心の中ではほんとうは、いきなり坂を上るよりも下りたいと思うのだろう。たとえ帰り道が上り坂になったとしても ……
しかし私は今日、敢えて行きから上っていく。堪らない不安の中で「私はエイプなの ?」とオランウータンに問うた少女のように、自分は猿なのか人間なのか、このことは人間の尊厳にかかわる問題だと考えたから。
いつものように、“ため息つけばそれですむうしろだけは見ちゃだめよ登坂法”を効果的に用いつつ、急階段を上る。
トラブルを避ける為だけにマスクを付けており、これからの季節、これは自動車に例えればラジエータを塞いで負荷を掛けるようなとんでもない愚行だが、エアクールドの私には、オーヴァヒート面では実のところそれほどは影響しない。
ただ無理やりマスクを着けられた犬や猫のように、鬱陶しくて気が狂いそうなだけ(笑)
<R2.6.4>
「多なか」
先客は女性お一人様、都合二人。
これが俗に言う、女のなかに男が一人という状態であろうか ? どこか落ち着かないような、孤独なような、うれしいような ……
午後12時40分。
こちらも今回の騒動以来初めての来店。それが尾を引いているのかどうか、この時間でこちらがここまで空いているのは、ちょっと記憶にない。卓が艶々で、妙にきれいに見える。新しくはなっていないようなので、ニスでも塗ったか、それともこの2ヶ月ほどの間で私の心が穢れ、相対的に他の物が美しく見えるようになってしまったか。
―― それにしては新橋のママは前のままに見えたけんだけどなぁ ……
そして周囲に注意を払えばそこかしこ、新メニュウらしきものがラミネイトのぺらで店内に張り付けられており、休業中の時間を利用しての工夫が見てとれるのだが、そば屋にこうゆ~の、似合わないのよね ……
(それを言うな)
“玉子丼とたぬきそば” @850也。
衣笠丼、カツカレー、そして玉子丼とのセットを新開発したようだが、内、衣笠丼とカツカレーは、既に短冊がループ状に閉じられており、今日は売り切れのよう。それか、最初っから作るつもりなかったか(やめろ !)。
それにしても衣笠丼というのは、いったい何者だろう ?
何らかの鉄人が関係しているものと考えると、おそらく使っている油が100%化学合成のものとか、そういう機械的な類のものなのであろうか。どっちにしても俺にはかかわり合いのないものだと思うけど ……
そして揃いもの、且つ“たぬき”基底での850円というこの価格は、昌平橋通りを越え、中央通りを越え、国鉄の高架をくぐって昭和通り沿いの「いち川」さんと同等だが、その影響を受けるにしては、まったくの感覚だけなんだけど、この両者の間には近くて遠い距離感があると思う。
そばはあらためてナロウで、地方から出てきた人にも外国人にも、これが東京のおそばなんだよと紹介出来るに足る、機械打ちとして完成の域にあるもの。言い方を変えて、機械打ちの長所が活かされているそば、とも言えようか。
またこちらで玉子丼はこれまでやっていなかったと思うが、蒲鉾入りで高級感は醸し出されるものの、やはり玉子丼にはナルトがベストマッチではなかろうか。とはいえ玉葱、卵の仕上り具合はこの上なく最高で、ここんちの大将はルックス的にもカツなんかの揚げ物の人かと思ってたけど、見かけによらず(こら !)繊細でうまい !!!!
私の電子日記をたどってこちらへの最初の記述は9年前ことなんだけど、これは神田司町の「米むら」さんにも言えることだが、その時の評価が低い、というかふつうのそば屋とみていたことが、これは自分でも非常に興味深いことと思う。
この現象を自分なりに分析してみると、それは比較的容易に想像がついて、ずばりその後に積み上げられた経験が作用してのことだと思う。
具体的には、私はこの約10年の間に未知のそば屋を相当数訪問したが、それらのそば屋は全体の傾向として、こちらよりもかなり質が劣っていた為、今、その基準で見直したとき、こちらのような本来“ふつう”のそば屋が、相対的に高レヴェルに思えてきた、ということに他ならないと思う。
このことは自分の成長とも言えるのかも知れないが、そば屋というものが、落ち着き、清潔、整然とした空間の中で、最低限の単語の組合せを用いるだけで、あとは黙っていてもおいしいおそばが出てくるのが当たり前だと思っていた、考えてみると恐ろしく理想的な楽園を、お店屋さん巡りを積み重ねるうちに私はロストしてしまっていたのだとあらためて考えれてみれば、こんな言葉で締めくくりたくはないんだけど、それは哀しいことだとも言えよう ……
多なか/普通への渇望
多なか(末広町(東京)/そば)
★★★☆☆3.0
poweredbylivedoorグルメ
「もう少し普通になってほしい」
皆さんは小学生の時の通信簿に、担任からこうやられた経験はあるだろうか。
湯島「多なか」
この辺りは所謂、正統派ラブホテル街であるが、とうとう文京区の風俗規制の網にかかり、老朽化に伴う立替工事がNGとなった、という物悲しい話をどこかで聞いた記憶がある。湯島天神、またそれを取り巻いて点在する老舗の高級料理屋との対比によるこの情緒的且つ耽美な情景も、もはや寿命が尽きかけているというのか……
昌平橋通りを三組坂下から三組坂上に上ってもう一つ先の信号を左、蔵前橋通りに降りる方向に進むと、この「多なか」という蕎麦屋を見付けることが出来る。
店内にさり気無く掲げられた、日本サッカー協会の岡田監督のサイン。近所に協会事務所やサッカーミュージアムがあるからだろう、私には無縁の世界であるが。
この店の蕎麦は、“普通”だ。
これは、良い意味で普通という話である。技術も無いのに「手打ち」だの「つなぎ無しの十割蕎麦」等と謳い、ヘンテコリンなものを喰わされる場面に間々出逢うようになった。まあ、こういった店は最初からそんな雰囲気が醸し出されているので、やっぱりな、と思う程度のことだが。
よくよく考えればすぐに解ることであるが、蕎麦切りなんか、普通でなければ困る。蕎麦切りというものは、ラーメン等のような発展途上の過渡的段階にいるもので無く、今更奇を衒う必要の無い、現段階である程度洗練且つ完成された料理なのである。また、昨今媒体で良く目にするような、蕎麦を水とか塩とか大根の絞り汁で喰わせる等という“フィクション”。そんなもの御免蒙る。
で、その普通の蕎麦だが、間違えていたら大変申し訳無いが、自家製麺では無く、どこかの製麺所から吟味して仕入れているものでないかと、私はみている。新大塚の「寿美吉総本店」という屋号の蕎麦屋に良く似た、細身で素直な蕎麦だ。同じものかどうかについて、全く確証は無い。蕎麦屋の系譜というものを、私は詳しく知らないが、メニュウの中に巣ごもり蕎麦を見付けることが出来るという事も、共通点だ。しかしこの両者には、更に決定的とも言える共通点がある。
しかしそれをうまく表現する言葉が見つからないのだ。分り易くいえば、「店主絶対主義」ということになろう。権威主義と男尊女卑とがミックスされた、得体の知れないやつだ。店主が自分の母親くらいの年齢の婦人をつかまえて(実際、実の母親かも知れないが)罵倒するといった行為に好感を持つ日本人は少数であろう。
そんな点と、料理の時間が掛かり過ぎるという点、拭えない割高感、その辺りのネガティブな部分も「普通」となってくれることを望むが、それが難しいのであろう……
今年のいつ頃からか値上がりし、せいろが@600となった。この写真は大せいろで@750。しかしその量は結構多い。普通のせいろで上野藪の大盛りと同じくらいだ。水を飛ばしながら、最後までフレッシュな状態で食べ切ることが出来る。因みに数年前の話だが、大塚/寿美吉は普通で@500、大盛り@600だったと記憶している。
時間が掛かるのは、セットものの揚げ物を揚げたてに拘っているからなのだろうか。メンチ、コロッケ等も、確かに美味い
このまま進むと蔵前橋通りに突き当たるが、それも右へと上っていけばすぐに本郷通りに吸収される
そば処多なか
関連ランキング:そば(蕎麦)|御茶ノ水駅、湯島駅、末広町駅
こちらの口コミはブログからの投稿です。?
記事URL:http://blog.livedoor.jp/scotch_fishman/archives/52815268.html
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Jackie_m
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店名 |
そば処 多なか
|
---|---|
ジャンル | そば |
予約・ お問い合わせ |
03-5684-8150 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
御茶ノ水駅から473m |
営業時間 | |
予算(口コミ集計) |
~¥999
|
支払い方法 |
カード不可 電子マネー不可 |
個室 |
有 |
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貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
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初投稿者 | |
最近の編集者 |
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今夜も完全なる不完全燃焼のまんま、「福建」のマスターんとこに流れ着く。
この(良い意味で)仕事きちがいのマスターは、月一度、第1週目の月曜日だけお店を休むのだが(というかお店を開けていないと間が持たないだけ、ということらしい)、その日がちょうど明日、釣りの日と決まっており、誰もいない客席を使って仕掛け作りに余念がない
「これ15号 ? 12号 ?」
「何のことかわかんない !」
「この錘(おもり)の重さ、何号 ?」
「20号 !」
先ずは注文を出しておいて、お手洗いへの行き帰りのときにマスターの仕掛けをチェックし、作業を中断して渋々私のおつまみを作りに(笑)厨房に入ったマスターを煽る !
15号くらいかなぁと思ったロケット天秤の重さが20号と聞いて、おれも焼きが回ったな、とは思わない。そりゃ小中学校のときの感覚で言ったって、今はおれが大きくなったんだから、そんくらいに見えるに決まっているだろう。
マスターは、そのロケット天秤を使うと根掛かりしにくい。風が無ければそのくらいの重さで良いが、風が吹いたらもう少し重いのを使う。狙う魚は鯛で投げ釣り、餌はサザエ、そして鉄の針を使うのだ ! と、おれの麻婆春雨を作りながら矢継ぎ早に繰り出して来る。
だからぼくも、投げ釣りで鯛なんて、真鯛 ? ほんとに赤い鯛なの ? サザエは魚屋で(人間用の)買ってくの ? 鉄の針って何よ ? (針なんかみんな鉄じゃない ! と思ったけどこれはワイヤーハリスのことだった)と、矢継ぎ早に応戦すると、
「クロダイ ! と、メジナかな」と、魚のグレードがちょっと下がった(笑)
「メジナなんか東京の人間は食べないよ」
「メジナ白身でおいしいよ~ ! ときどき魚屋でも売ってるし」
―― あっ ! 分かった ! 中国人はメジナを白身魚の辛煮にするんだ ! でもレンギョでそれやられるよりマシかな ……
※ メジナが白身魚かを、ぼくは保証しません
(⇒ と思ってインターネットにあたったらメジナは白身でおいしい魚とありました。マスターごめんなさい !)
<その翌日 R4.9.5>
「多なか」
夏に何度か目の前までやって来て、シャッターの貼り紙に9月頃まで休みます的なことが書いてあった気がしたのだが、性懲りもなく歩いてきたら営っていた。
皆さんおかわりなく、一安心。
おばけ階段をのぼって歩いてくるときは“大きいもり”と決めていたのだけれど、瞬間何者かに身体を乗っとられ ! そいつが何かフルサイズのご飯を注文するのを何とか食い止めようとしたんだけど、止められかった ……
“メンチ・コロッケ定食” @950也。
ご飯が来たら金縛りも解けて、冷たいぶっかけの椀を調子よくかんまし、正統的な割り箸で適量“抜き”、勢いよく啜った。ら ! La ! やっぱうまい !
機械切りのおそばが、うまい。
ソース注しの注ぎ口のφがソースの粘度とマッチしていなく、ポタポタと、思うようにメンコロを穢していってくれないことにスピード感を殺がれることも、この年齢になると、演出として楽しむ余裕が出て来る
―― わけもなく ! イライラしたきたわ。も~フタ外してぶっかけてやろうかな思ったほど !(笑)
目の前には界隈にお勤めの方と思しき女性お一人様が都合二人、それぞれに陣取っておそばをやっているが、女性の独りご飯なんて、もしや職場の同僚とうまくやっていくことが出来ていないのでは、と、とても心配 ……
(それ、お前(おれ)もな !)
―― なんて、社会人になっても昼飯も独りでやれない人間なんて、絶対仕事できない連中だと信じて疑わないぼくだけどね ♪