あの感動が忘れられない　テイクアウトのり弁當 1,800円（税込）再び : まる富

先週いただいたまる富さんのテイクアウト 1日15食限定 のり弁當。ご主人の精魂込めたお弁当の味は勿論のこと、ご主人と女将さんの温かい客応対がどうにも忘れられません。
そこで、昼間のテイクアウト弁当販売が終了する前に何とかもう一度、という思いから、５月中の緊急事態宣言解除も噂される中、再びのり弁當の予約を入れました。
その後、緊急事態宣言が前倒しで解除されたので、実際の再来店は解除後になりました。

市谷台町の台町坂上にあるサンドイッチ メルシーさんに先に立ち寄った後のんびりお店に向かうと、着いたのは丁度１２時。
長い暖簾を掻き分けて中に入ると、前回同様、ご主人と女将さんが温かく迎えて下さいました。

私「先週いただいたのり弁當が大変美味しかったので、どうしてももう一度食べたくて参りました。」
ご主人「ありがとうございます！」
女将さん「どうもありがとうございます。そう仰って頂けるととても嬉しいです。よくまたいらして下さいました。」
先日の予約時の女将さんのお話では、テイクアウト弁当は緊急事態宣言解除後も暫く続けて頂けるようではありましたが、私にとってはもしかしたらこれが最後かと思うと、何か寂しい気もします。

仕事場に持って帰っていただいたのり弁當は、前回と変わらぬ、いや前回以上に腹に沁み渡る美味しさ。前回より焼き塩鮭の塩加減が弱くなっているのは、お客さんの反応を踏まえてのことでしょうか？ご自分の考えに固執せず、客の反応に合わせていくこうした柔軟性も、素晴らしいですね。益々まる富さんが気に入りました。

あと、私の思い過ごしかもしれませんが、ご飯と海苔の間に敷き詰めてある削り節が前回より多めで、海苔ご飯を口に入れたときの旨味が増した気がしました。

なお、最後に訂正。
前回、おかずの一つにチーズ入り揚げ竹輪が入っていると申し上げましたが、今日食べながら良く観察したら、竹輪ではなく笹かまぼこでした。まる富さんのご主人、失礼しました！

これまで週末以外はテイクアウトを利用して来ませんでしたが、こういう時期ですから、普段はなかなかお邪魔する機会の無いお店が、特別なテイクアウト販売のお弁当を販売していることも。
マイレビさんの情報で、私には縁がないと諦めていたミシュラン一つ星の名店、曙橋のまる富さんが1日15食限定でのり弁當 1,800円（税込）を販売されていると知り、早速電話して予約しました。
お店が管理している食べログの店舗ページには「予約は当日10時まで」とあるものの、こうした名店にはきっと贔屓のお客さんがおられるので、余りギリギリだと予約が取れないと思い、購入日の５日前に電話。無事、希望日に予約が取れました。
電話にはこのお店の女将さんと思われる女性が出られましたが、とても優しく丁重な応対をしていただき、お店に伺う前から期待が高まります。

さて、当日。
前日までの初夏を思わせる蒸し暑い陽気が嘘のように、気温が20℃を下回る霧雨模様の悪天候。５月初めからクールビズで上着・ネクタイ無しで通勤していましたが、この日は上着を着込んで曙橋へと向かいました。

お店は、曙橋駅そばにある靖国通りの住吉町交差点に面した「ウィン四ツ谷」というビルの１階。このビルは１階全部と２階の表側が商業店舗、それ以外がマンションになっていて、飲食関係では靖国通り側の１階に天然酵母パン専門店のドラゴーネさん、２階に和風食堂の手しおごはん 玄さん、韓国料理の慶美さん、イノベーティブ・フュージョンの吉方聖居さん、イタリアンのアンブレットさん、靖国通りから入る側道（鯛塩そば灯花さんのある新坂）沿いの１階に上海料理の姜太公さんと日本蕎麦の蕎麦食堂 梵さん。バラエティに富み、かつ、クオリティもそこそこのお店が沢山入っている中々優れもののビルです。

これら７店は既に利用したのですが、唯一残されていたのが、まる富さん。以前はランチも営業されていたようですが、お店の格が高まった現在は夜のみ。安月給で酒を嗜まず、自宅で夕食をとることの多い私には敷居の高いお店でした。
でも、今回は正に千載一遇。たかが弁当で、と笑われるかもしれませんが、とても楽しみでお店に向かう足取りも軽くなります。

お店は、靖国通りとは反対側のビルの裏側。姜太公さんと梵さんの前を通り過ぎ、更には隣のビルのフレッシュネスバーガーさんを越えた先を右折すると、すぐ右手に姿を現します。
周囲の白いタイル張りとは対照的に、お店の外観は真っ黒な板張り。入口の扉は通気のために開放されていますが、股下にまで届くほどの丈の長い暖簾が下がっているので、中は見えません。でも、入口脇に傘が1本立ててあり店内で話し声が聞こえたので、先客がいる様子。その方が出て来るのを外で待ちます。

程なく入れ替わりで入店。入口正面で女将さん、そして右手の厨房でご主人がとても温かく迎えて下さいました。厨房前のカウンター席卓上には既に白い紙袋入りののり弁當が用意してあり、名前を名乗ると女将さんがすぐそれを取って手渡して下さいました。
代金を払ってお店を出るときも、「こんな雨の中をお運びいただきありがとうございました」とお二方からとても丁重なご挨拶をいただき、こちらが恐縮してしまうほど。
一見でしかもたった一個のお弁当を買いに来た客なのに、ここまで丁寧に応対して下さるとは・・・本当に感動しました。

さて、仕事場に持ち帰って早速いただいたのり弁當。
焼塩鮭、玉子焼、チーズ入り揚げ竹輪、人参と牛蒡と蓮根の煮物、赤蒟蒻、さやえんどう、胡瓜の漬物。どれも一つ一つ素材を厳選し、味付けに拘り、丁寧に盛り付けてあるのが良く分かります。
薄めの味付けながら旨味が良く染み込んだ玉子焼と煮物に対し、これまで見たこともないくらい色つやも形も素晴らしい焼塩鮭は塩味が強め。この味のコントラスト、アクセントの付け方は流石ですね。
間に海苔を挟み、その下に表面に醤油を塗って敷き詰めてあるご飯がまた出色の炊き加減。冷めてもふっくらつやつやモチモチで、まるでおこわのよう。
いやぁ、1,800円でここまで美味しいお弁当をいただくと、もうこれからは同じくらいの値段の駅弁がちゃちに感じちゃうかもしれませんね。

緊急事態宣言下のテイクアウト営業期間限定なので、おそらく５月末で終了になるかもしれませんが、何かもう一度食べたくなっちゃいました。それほど素晴らしい、私が今まで買い求めた中で最高のお弁当でした。

まる富さんのご主人、女将さん、最高のお弁当と最高のおもてなしをありがとうございました！