ゴージャスな「X」の秋 : 西麻布 焼肉 X

昨年に続き再訪。

重厚なドアのリングをたたくと、サービスの方の

お迎えが。

ドアの内側のワインセラーのひと棚がスルスルと開き、

店内へ。　このときから、ゴージャスな「X」ワールドです。


今回は、秋だけの

「国産松茸X極上焼肉」プレミアムコースがあると聞き、

お邪魔しました。

このプレミアムコース　55000円（税込み、サービス別）

ですが、想像を上回るハイパーフォーマンス。

こちらの但馬牛は、特別なルートから仕入れられていて、

オリガミ付きなうえ、

今回の松茸は、長野県北相木村産で、香りも極上。

個室で、川崎シェフと、とても感じのよいソムリエールさんが

付きっ切りでサービスしてくれます。

まずは、儀式から。

巨大なカリブの海賊のような宝箱が、

この日は２つ運ばれてきます。

大きな箱には、但馬牛のハラミ、タン、

シャトーブリアン、そして、

松阪牛のサーロインが、それぞれ大きな塊で。

迫力そのもの。

小さい方の箱には、松茸が。

見るからに、上質な松茸です。

この時点で、猛烈に食欲を掻き立てられます。

そして、もうひとつの儀式は、

胡麻搾り機によるごま油抽出。

搾り立てにまさるものはありません。

その芳香の豊かさに、酔いしれます。


それでは、極上、秋のプレミアムコースの内容です。

＊は、ノンアルペアリング (6000円）
　　一部赤ワインで。

１，松茸xコンソメ
　　コンソメは都萬牛でとったもの。
　　松茸の大ぶりなカットがたっぷり。
　　早くも顔が緩みっぱなしです。
　　
　　＊WHITE TEA SPARKLING
SILVER NEEDLE
　　　アマゾンのサジーなどが入っています。

２，ユッケ
　　Xのシグニチャー
　　長方形の皿の左には、ユッケ。
　　そこに、目の前で、たっぷりのトリュフを。

　　右には、ロゴ入りの缶。
　　キャビアの缶に見えますが、ただのキャビア
　　ではありません。
　　レモンサワークリーム、角切りユッケ、キャビアの
　　3層になっているのです。

３，焼き松茸
　　軸は炭火焼で。
　　笠の部分は、但馬牛タンのしゃぶしゃぶと。
　　なんと、松茸出汁のスープです！！

４，但馬牛タンシタ
　　初代葱師　清水さんが創った天童市産の
　　寅ちゃん葱と。

　　タンシタという珍しい部位で、
　　歯ごたえがあり、噛むほどに旨味が
　　じわっと出てきます。

　　＊宇治茶
　　　
５，但馬牛タン元
　　川崎シェフの焼きの技が光ります。
　　外側はカリっと、いい火入れです。

６，但馬牛タン　厚切り
　　レモン塩で。
　　このレモン塩も、他とは一味違い、
　　タンの旨味を引き立てます。

　　このあたりで、土鍋で炊き始めたご飯が
　　炊きあがり、炊き立てを出してくれます。
　　お米は、かやもり農園の「伝GOLD」。
　　艶々で、甘みのあるお米です。
　　しかも、新米。　
　　やはり、白御飯に焼肉。　たまりません。

７，サラダ
　　蕪、黄ズッキーニ、インゲン、
　　マイクロトマトなど。
　　リンゴと塩昆布のヴィネグレットで。

８，松茸ｘ茶碗蒸し
　　牛骨スープの出汁で作られた茶碗蒸し。
　　柔らかく煮込んだタンと松茸がたっぷり。
　　飛来幸地鶏の卵のコクを感じます。

　　＊ROYAL HONEY deluxe

９，但馬牛ハラミ
　　塩とタレで
　　たっぷりの山葵も

10、シャトーブリアン
　　　ふわっふわで、唇で切れるほど。
　　　極上です。

11、松茸ｘすき焼き
　　松阪牛のサーロイン
　　寅ちゃん葱
　　飛来幸地鶏の卵
　
　　ここで、ご飯もお替り。

＊赤ワイン
　　　TORBRECK BAROSSA VALLEY 2014
　　　豪産　ローヌスタイルの赤
　　　シラーとヴィオニエ
　　　フルボディで、品のあるコク。


12、冷麺
　　なんと、キャビアがのって登場。
　　途中で、ヘベスの果汁を投入して味変を。
　　青唐辛子がいいアクセントです。

　　＊Queen of Blue deluxe
東方美人

13、松茸土鍋御飯
　　なんと、仕上げにエシレバターをからめます。
　　このあたり、フレンチ出身の川崎シェフならでは。

14、ジェラート
　　川崎シェフのスペシャルジェラートで、
　　液体窒素で、目の前で作ってくれます。
　　モクモクと湧き出るスモークに、期待が高まります。
　　この日は、マッコリのジェラートに、
　　山梨産のシャインマスカット。
　　先ほど搾った胡麻の殻のパウダーを
　　振りかけて。

　　＊Amethyst Mariage
日本山ぶどうとカベルネソーヴィニヨンで
　　　作られた希少交配種「ヤマ　ソーヴィニオン」
　　　のぶどうジュース。
　　　3年熟成させているとのことで、
　　　ジュースとはいえない極上の飲み物。

15、八女のほうじ茶

＊キムチ
　・白菜のサラダ風
　・アイコトマト
　・パイナップル
＊黒糖仕込みのガリ


そして、帰りには、カレーパンのお土産が。

翌朝まで、美味しい夢を見させてくれます。


めくるめく極上素材によるコース構成と、

完璧なホスピタリティ。

日本の秋、心から楽しませていただきました。

星条旗通りには、なぜか会員制レストランやバーが

軒を連ねますが、こちらもそんなレストランのひとつ。

小さな看板を目印に階段を降りると、

重厚な扉。

そこを開けるとさらに隠し扉があり、そこからは

唯一無二な焼肉ワールドへ。

これまでの「焼肉」概念を覆す

「焼肉」なのです。

個室4部屋のみ。


肉割烹全盛の今にあって、あえて、肉割烹ではなく、

あくまで「焼肉」にこだわりぬき、こだわった結果が

この究極ともいうべき、空間、肉のセレクト、焼きの技、

そして、それを取り巻くゴージャスなプレゼンテーション。


この日、まったく異次元にいざなわれました。


こちらをプロデュースした、肉マイスターの田辺晋太郎さんが、

自ら、お肉を焼いてくれたうえ、

彼が高校生のときから、いかに焼肉にハマったか、という話を

熱く語ってくれたのでした。

こんなに、焼肉愛に満ちている人のこと。

このお店のこだわりは、驚きの連続でした。

まず、本物の和牛として、但馬玄（たじまぐろ）を

フィーチャーしていること。

脂の融点が12℃で、本鮪のように低いことから名づけられた

だけあり、くどさがなく、いくら食べても食べ疲れない、究極の和牛です。

しかも、但馬玄のエサは、胡麻、蕎麦、粟、稗など、

ミネラル豊富なもので、内臓も臭くないのです。

さらに、個室には、ロースターと鉄板の2種を備え、

直火でお肉に「緊張」を与え、分厚い鉄板で、それを「緩和」する、

という技をみせてくれます。


さらに、そのお肉を取りまく演出も

思わず感嘆するようなプレゼンテーション。

カリブの海賊船にでも乗っているような宝箱が

運ばれてきます。

ずっしりとした蓋をあけると、

この日のお肉がずらり。

宮崎の都萬牛、松阪牛、そして、先ほどの但馬玄。


最上級のものに出会うと、いつも思うのは、

左脳で旨味をきちっと理解しながらいただこう、と・・・。

しかし、いざいただくと、左脳は思考停止し、

完全右脳支配下に置かれ、ただ感性のみで、

その旨味と余韻に浸る結果に。

もちろん、この日もその連続でした。


さて、ワクワクのコースが始まります。

＊は、ワインのマリアージュ。

１、都萬牛のエキス
　　そもそも、都萬牛というのは、健康的な赤身肉を
　　めざし、獣医師が作っている牛。
　　その都萬牛を5日間、霧島連山の天然水で煮込んだ
　　コンソメスープなのです。

　　＊シャンパーニュ
　　　JAQUESSON 743

２、ナムル
　　6種類の野菜のナムル
　　・小松菜と胡麻
　　・フルーツトマト
　　・白ナスのお浸し
　　・鳴門金時とトリュフ
　　・蓮根の甘酢
　　・国産蕨
　　　（国産はかなり珍しいとのこと）

　　焼肉の場合、季節感を出しずらいので、
　　ここは美しい6点盛りで、秋を演出。

３、但馬玄　ユッケ
　　三角バラのユッケ
　　バフン雲丹　
　　マルセイユ産トリュフ
　　その隣りには、「X」のロゴ入り缶が。
　　中には、艶やかに光るキャビア。
　　その下には、タルタルとサワークリーム。
　　
　　これはもうかなりゴキゲン状態です。

＊白ワイン
　　　Lorenzon Mercurey Croichots 1st Cru　2012
シャルドネ１００％

＊キムチ3種
　・ヤンニョム白菜
　・フルーツトマト
　・パイナップル

　　魚醤を使わず、出汁だけで漬けるキムチです。

４、但馬牛タン　薄切り
　　超希少部位、黒タンの中心部分を、
　　片面のみ焼き、焼いていないほうを
　　舌にのせて楽しみます。

　　タンなのに、銘柄指定です。
　　特殊ルートがあるそう

　　＊白ワイン
　　　Pouilly-Fuisse 2017
VERGET Terroirs de V
　　
５、但馬牛　タンシタ
　　タンと喉の間あたりです。
　　秋田「高村」直伝、葉唐辛子味噌で。

６、但馬牛タン　しゃぶしゃぶ
　　牛骨、牛テールのスープでさっとしゃぶしゃぶに。
　　このスープの旨味は反則的。

＊日本酒
　　　ふた穂　２０１２
　　　低温瓶内熟成

７、但馬牛タン　厚切り
　　黒タン元の中心で、３ｃｍカット。
　　この分厚さに、目が釘付けです。
　　焼きあがってカットした瞬間、
　　田辺さんのドヤ顔。
　　素晴らしい火入れです。
　　自家製レモン塩と特製ダレで。

８、サラダ
　　温度と食感にこだわった、とのことで、
　　冷え冷えの器で登場。

ここで、なんと、油絞り器（オイルプレッソ）が登場。

目の前で、大量の胡麻を絞って胡麻油を製造。

絞りたてをワイングラスに入れた、その香りは、

胡麻油と一言で片づけられないほどの、

フレッシュならではの芳香を放ちます。

そのごま油を以下につけて。

９、但馬玄　ハツ
　　特製塩ダレで。
　　このハツにはちょっと感動しました。
　
　　＊ポートワイン
　　　W&J Graham's Fine White port

10、但馬玄　レバー
　　極上のごま油をまとったレバーは
　　想像を絶します。

11、テールスープ
　　牛テール、牛骨、牛バラ骨、牛アキレスを
　　48時間煮込んだ、えもいわれぬコク。
　　これは、夢にもでてきそうな旨味でした。

12、赤身
　　都萬牛のトウガラシ
　　特製ダレ

＊赤ワイン
　　　Gevrey-Chambertin 2017
Domaine Arlaud

13、サガリ

14、松阪牛　サーロイン

15、但馬玄　特上カルビ
　　三角バラ

＊赤ワイン
　　　Silver Oak 2014
Alexander Valley

16、松阪牛　サーロインのすき焼き風
　　飛来幸地鶏の卵をからめて
　　韮のサルサと、
　　ヘベスポン酢で。

17、冷麺
　　キャビアとヘベスの果汁　
　　青唐辛子のアクセント

18、もつまぶし
　　ホルモンの土鍋炊き込みご飯で、
　　目の前で、炊き立てを。
　　お米は新潟　かやもり農園の、「伝　GOLD」
　　なんと、鮭をたい肥にして作られています。

　　最初はそのまま。
　　後半は、和歌山のぶどう山椒や、
　　蟹風味のガーリックチップをかけ、
　　味変を。

19、ジェラート
　　ここで、シェフの川崎さん登場。
　　目の前で、マッコリに、－196℃の液体窒素を
　　盛大に注ぎ、ジェラートにしていきます。
　　そのジェラートに、岡山産シャインマスカット「晴王」を。


　最後の最後まで、楽しませていただきました。

　そして、さらには、お土産でいただいたカレーパン。

　「365日」とコラボしたカレーパンです。

　箱を開けると、おいしくいただくため、
　　
　レンジで20秒、その後、トースターで2分半と

　細かく指示が・・・。　

　これを見て、本当に、おいしさへこだわっていることを

　再確認。

　夕べの余韻が冷めやらないまま、

　カレーパンで、至福の朝ごはんでした。


　今回いただいたコースは、32000円。

　ワインペアリングは、10000円。

　「焼肉」にも、もっとできることがある、との思い。

　天晴です。