調理人の個性が出ているお店。ある意味、本場らしいのかも : 上海港

両親等の介護は、多くの人が直面する課題だと思いますが、特に俗に言う高齢化社会が現実のものとなっている現在ではそれから派生した色んな問題(例えば、特養の待機の問題や介護職員の処遇やなり手不足の問題など)も浮上して、大きな社会問題となっています。
そして、これらが、これから先、更に大きな問題になってくるのは確実なのでタチが悪いですよね。

我が家も、私の両親は、父親が晩年デイサービスやホームヘルパー、有料老人ホーム等のお世話にはなりましたが、幸か不幸か短期間でそれも終わりを告げました。
かなりの修羅場の話しもよく聞くだけに、それに比べたら子孝行の両親だったので取り敢えず一段落と思っていたら次は義父母の番です。
私と家内はかなり年の差があるので、親もそれと連動した年の差があり、私の方が片付いてしばらくすると家内の方というのは当然の流れかもしれません。

家内の実家は湘南・茅ヶ崎にあるのですが、最近は、両親ともに病院や施設の世話になることも多くなってきており、家内が出向く機会も多くなっています。
この日もそんな1日で、しかも帰りがかなり遅くなるとのことだったので、家での夕飯は無く帰路で夕食を食べていくことにしました。
さて、何を食べるかですが、ここのところ、ちゃんとした中華料理を食べていない気がした(ラーメンやつけ麺は除く。)ので、BM店から中華のお店を探索した結果、たどり着いたのが、外苑前にあるこちらの上海料理のお店です。

ひと口に上海料理と言っても、高級店から大衆店まで幅広いですが、当店の場合はいわゆる町中華に毛が生えた程度の気軽に使えそうなお店という印象を持っていました。

当店の創業年については、はっきりしたことが書かれた情報は見当たりませんでしたが、食べログの最古のレビューは2008年6月と食べログが世に出た時期と近接しているので、それなりの歴史を持った店であることは疑いありません。
創業年を探る唯一の手がかりと言えそうなのは、当店が入居している建物(フォンテ青山)の築年ですが、これは情報があり、1978年(昭和53年)11月となっていますので、自然に考えるとそれが創業年ということになります。
とすれば、創業45年目のシーズンを迎えていることになりますが、ビル竣工前から他の場所で営業していた可能性やビル完成後にテナント入れ替えがあった可能性等も排除出来ないので、やはり確かなことはベールに包まれていますね。

当店の店名は、シャンハイコウではなく、「しゃんはいみなと」と読ませるようです。
青山通りから階段を10段ほど上がるとビルの1階になり、奥の方に当店の黄色い看板が見えてきます。
その下を右に曲がってビル内に入ると左手奥に当店があります。

前面の通路が狭くて遠くからだと店内が見えないこともあり、やや入り辛いお店です。
店内は入って右手に厨房とそれに面したカウンター席が5席、左手から奥にかけて4人用テーブル席が6卓24席あるので、計29席のキャパです。

先客は、一番奥のテーブル席に1組2名のみで空いていたのは良かったのですが、感心出来ないのは、厨房の調理人(ノーマスク)とカウンター席に堂々と腰掛けている女性スタッフ2人(マスク有り)がゲラゲラ笑いながら大声で雑談していること。
日本人経営者の飲食店では客の目の前でプライベートを曝け出す光景はあまり見られないと思われ、ある意味中国本場の場末の料理店みたいな雰囲気を感じますね。

テーブルの上に貼られたガラスの下には定食メニュー、セットメニューが敷かれていますが、店員さんから、これは15時までのランチメニューですと言われます。
夜の部は別メニューになっており、単品料理等がズラッと書かれたメニューを渡されました。
当店はレバニラ炒めが有名みたいなので、レバニラ炒め定食@800円を頼もうと思っていたのですが、定食メニューが無いので、レバニラ炒め定食のようなものを食べるにはレバニラ炒め単品@780円を頼んでライス等を別に注文するしか無くかなり割高になります。
それなら、ランチメニューに無いメニューを頼もうと考え、上海港秘製焼きそば@980円と焼き餃子@380円を注文しました。
単品にしてはそれほど高くはないですね。

待つこと8分ほど掛かって上海港秘製焼きそば、その後3分ほどで焼き餃子が提供されました。
上海港秘製焼きそばは、見た目は「梅蘭」の焼きそばと瓜二つです。
溶き卵を絡めて焼き上げた麺の中には肉と野菜を醤油風味で炒めてとろみをつけた餡かけが入っており、これも梅蘭の焼きそばそのものです。
これは明らかなパクリみたいですね。
ただ、味の方は、調味料の使い方や油を少なめに焼いている点など独特のものがあり、個性的です。
油が少ないことでやや味気ないこと、具もよく分からない調味料の味がすること(あまり好みではありません。)など、私の好みとは相容れないところがありましたが、これは好き嫌いの問題だと思います。

焼き餃子も焼く時の油を少なめにしていると思われ、カリッとは焼かれているものの油の美味しさがあまり寄与していません。
油が多い料理についてカロリー面等で敬遠する人がいることも承知していますが、やはり中華料理は油を使ってこそ美味しいという面もあるので、ここは調理にもう一工夫欲しいところですね。
中の餡も、焼きそばの中身の餡と共通で、独特の風味です。
前記の通り、私は好みではありませんでしたが・・

それでも、好意的に見れば、調理人もその他のスタッフもメニューも味も、個性たっぷりで、並の大陸系大衆中華とはひと味違う点で面白いお店だと思いました。
その意味では、ちょっと変わった中華が食べたい向きには試す価値のあるお店だと思います。
こういうお店は、あまり大衆受けする味付けに迎合しないところに存在価値があるのかもしれませんね。