ビリヤニとプラオの食べ比べ : シターラ 青山店

表参道駅近くにある南アジア料理店です。

お店は、骨董通りの小笠原流会館の地下１階にあります。
地下１階が飲食店街になっており、ビルに入らずとも歩道からアクセスできる階段で行くことができます。

外観は白を基調としたシンプルな印象で、一部の壁はガラスになっており、店内の様子が見えます。
店内も外観と同様に白を基調にしていて、上品な印象です。お店としてはあまり大きくはなく、座席数は少なめなので、ランチタイムには短いものの行列ができます。

ランチメニューは、カレー１種のセットが１，２００円です。カレーもスペシャルカレーにチェンジすると４００円前後のプラス料金がかかります。
２種類のカレーがいただけるＷカレーセットは１，５００円です。
他にビリヤニセット（１，７５０円）、タンドリーチキンプレート（１，９００円）と町のインドネパールカレー店とは価格もラインナップも違いますね。

いただいたのは、
■ビーツとチキンのカレー、筍と春キャベツのプラオ（１，８００円）
限定メニューで、本場の料理というよりも、日本の素材を使って本場の技法で作られたプラオという感じですね。
プラオとビリヤニの違いについて議論になることがありますが、こちらのお店のものは明確な答えが出ているものです。
プラオは、炒めているようでお米が油でコーティングされています。油はバターかギーのようで、乳脂肪分由来の香りがしますね。
『プラオ』はトルコ料理の『ピラフ』が伝播して南アジアで定着したものということですが、こちらのプラオは『海老ピラフ』的なニュアンスがありますね。そう感じさせるのは、ご飯に絡むバターでしょう。源流にピラフがあることがわかりますね。
それでも、南アジア料理らしさがある部分も強く、スパイスはホールのクミンが入っていて、軽く香ります。
お米は、もちろん、長粒米で、しかも、一般的に見るものよりも更に長いですね。
バスマティライスなのかはわかりませんが、お米由来のいい香りもするので、喫茶店のピラフとは一線を画す、エキゾチックな味わいがあります。
おもしろいのは、具がタケノコとキャベツである点です。野菜がメインで味気なくなりそうですが、タケノコには下味をつけてあるので、味わいのバランスがいいですね。
ライタは、マンゴーペースト入りのものです。ここにも違いがあります。
ベースのライタですが、ビリヤニに付属するライタは塩気が強いのに対し、プラオのライタはちょっと控えめです。マンゴーソースは香りを加えてくれている感じです。
付属のカレーは決まっています。見た目はビビットな色合いでビックリしますが、食べてみると味は普通にバターチキンカレーですね。ビーツを使うことで赤くしているので、激辛なわけではなく、濃厚なバターチキンカレーです。具のお肉は、チキンティッカを使っているようで、カレーに入っても香ばしさを失っていません。
奇抜なカレーではなく、普通に美味しいカレーです。
サラダは、レタスで自家製っぽいドレッシングがかかっていますが、これは軽い酸味があって洋風な感じです。
パコラは、ジャガイモ天ですね。それ以外の何ものでもないです。
パパドは、豆せんべいです。揚げているようで香ばしさがあり、胡椒が入って、ちょっとスパイシー。
フルーツは、四角くて、ぱっと見た限りでは新手のパコラかと思ったのですが、パイナップルでした。
食後のドリンクは、ホットマサラチャイを選びました。砂糖は別で提供。スパイスも香りますが、茶葉をケチっておらず、紅茶が香るのが印象的でした。

■ビリヤニセット（１，７５０円）＋ポークビンダロー（＋３９０円）
有名店、名店のビリヤニにしては珍しく、パウダーのスパイス主体で、ホールのスパイスがあまり見えないのが特徴ですね。クミンが見えるぐらいです。
また、特徴的なのは、チキンのサイズです。チキンレッグ１本分が２分割されて入っているようで、山盛りのビリヤニに見えますが、チキンの量が多いです。
スパイスとチキンを一緒に炊き込むことで、スパイスの香りとチキンの旨み、特に骨付き肉を使っているので骨からも旨みが出ているのでしょう。ご飯が進むビリヤニに仕上がっています。そのため、このボリュームでも軽く食べられてしまいます。
お米は、プラオと同じ長粒米ですね。こちらも同じぐらいの長さがあります。
どの素材もいいもので、かつ、量もしっかり使い、材料費をケチらない作りが美味しさの秘訣のようです。
ライタは、塩気がちょっと強い印象ですが、スパイスの多いビリヤニでは、このぐらいの塩気がアクセントになりますね。
付属のカレーは選べますが、せっかくなので、プラスアルファの価格で注文できるものを選択。ポークビンダローです。
インドでもゴア周辺は、ポルトガルの影響が強く豚肉料理があるためこのようなカレーになります。
酸味があるのが特徴のカレーなのですが、こちらのお店のものはちょっとマイルドな酸味です。
北インドカレーと同じぐらいの粘性があり、適度な酸味とスパイシーさで、豚肉の旨みを食べるカレーになっています。
サラダやパコラはプラオと同じです。
ドリンクは、マンゴラッシーにしたのですが、カルダモンがパウダーで入っているようで、エキゾチックな香りがしました。濃度も濃く、マックシェイクぐらいの吸引力が必要です。


このお店に限った結論かもしれませんが、プラオは乳脂肪分由来の味わいと香りが特徴でスパイスが控えめ、ビリヤニはスパイスの芳香でライスを食べるものというところでしょう。
どちらも美味しく、どのカレーも美味しかったので大満足のランチでした。
インドネパールカレー店と比べると２倍ぐらいの価格設定ではありますが、立地、雰囲気、味、希少性とどれを取ってもいいところばかりなので、この価格でも適正か、もしくはお得感があると思います。
自信を持っておすすめできるお店だと思います。