追加　画家でもあるフレンチシェフの料理は : レ・クリスタリーヌ

よく絵画のように美しい料理。そういう賛辞を目にする、美しい料理は美味しい。確かにそう思う時も多い。確率が高いと言えるかもしれない。要は料理人の気持ち、心がけだろう。あのポール・ボキューズ。惜しくも2018年1月に他界したが。

1970年代に京都で。懐石料理に出会って感銘を受けた。フランス料理はそこからヌーベルキュイジーヌへと進む。そういう説があるくらい。マントンのMirazuのマウロ・コラグレコ。「シェフは画家のようなもの」という。南仏の豊かな食材を。パレットに自然の生命力を皿の上に描く

「カルパッチョ」とヴェネツィアとの深い関係。実は料理のカルパッチョは、画家のカルパッチョが造った。画家ヴィットーレ・カルパッチョの描いた絵画。赤色が鮮やかに美しく使用されている。それで赤い牛肉料理が。カルパッチョと命名されたという。

そして、この店のオーナーシェフ田中彰伯氏。渋谷のコンコンブルなど多くの店を経営。料理人として大活躍している。他方、個展を持つほどの画家でもある。キャンバスの上に。緻密で色鮮やかな。フランス料理の世界を描き出す

光まばゆい光の南仏の修行時代。おそらく彼の感性が磨かれたのだろう。この店のテラス席やクリスタルな空間は。それを彷彿とさせるに十分。現在は料理人に加えて。フランス料理を題材とした画家として。数々の美術展に入選を果たしている。

南青山では昔から有名フレンチで。激戦地の中でも傑出したCPを誇っている。地元民に加えマダムたちにも大変な人気。瀟洒な白い建物とフランス国旗。そしてテラス席でくつろぐ人々。明るい陽射しがあれば。まさに絵画のよう。

ランチのコースで。オードブル盛合せ、メインは魚か肉の料理。これにデザートが選べる。1500円というかなりお手頃な値段で。これでは人気があるのが良く分かる。オードブルの盛合せはキッシュ、パテ、人参サラダ、オリーブなど多彩。

メインは「スズキのピカタ　エシャロットのクリームソース」。シェフは独自の真空調理法を開発したくらいの実力。しかしこちらは何かしら正統派風。しかし、見かけ以上に味わいは。繊細なテイストが混じりあい。しっかりとした調理技術が窺える。

デザートは「フランス風シュークリーム、チョコレート添え」。豪快な一品で。最初、どのように食べるのか。躊躇するくらい。ランチコースはこれにコーヒーが付いて。やはりかなりお得感がある。南青山界隈のフレンチでは飛び抜けた人気店。それも理解出来る。

青山の骨董通り辺りはあまり知られておりませんがフレンチ・レストランが多いエリアです。松浦亭、志度、ローブリューなどなど隠れ家的な店が多いのも特徴で地元の余裕のある方々や表参道でショッピングがてら、さらに奥様方の食事会にと人気の高い店がそろっています。

そもそも骨董通りという奇妙な名前を付けたのは古美術商の中島誠之助氏。氏が経営する古美術店「からくさ」は1976年に開業、そのPRの為に青山5丁目交差点から六本木通り高樹町交差点までを命名しました。

1980年代に女性向けブティックが青山から骨董通りに進出しこの名前が定着、それとともに南青山は大人の街、最新ファッションの街として注目を浴びました。そこへ続々進出してきたのがフレンチやイタリアンなどの店です。

オシャレに鋭い人々は食にも拘りを持ち1990年以降は本格派の有名店が居を構えひしめき合うようになりました。南青山には現在フレンチとイタリアンの店だけで150店以上あると言われています。

そんな一つがこの店です。骨董通りから道一つ折れると左手に明るい陽射しを浴びて瀟洒な白い建物が現れます。フランス国旗が初夏の陽射しにひときわ輝き、ときおり吹き抜く薫風に眩しく揺れています。

店に近づくと南欧風に白いテーブルが配置されたテラス席があり、近所の方々がゆったりと寛いで楽しく談笑しながらランチをとっているという羨ましくなるような光景が見えます。

逆に店内はうって変わってシックないかにもフレンチレストランのような品の良い調度品が配置され奥には奥様方のグループの為のような半個室が見え、この日もすでに楽しげな会話が聞こえてきます。

人気のランチは1575円のコース（プラス400円でスープ付き）。オードブル盛合せ、メインは魚と肉の料理8種類から選択し、デザートも5種類から選べます。加えてグラスワインは400円からとかなりお手頃です。これでは人気があるのが良く分かります。

オードブルの盛合せはキッシュ、パテ、人参サラダ、オリーブなど味わいの異なる小宇宙が色とりどりに寄せ合ったもので、よく見かけるお手頃なランチで登場する前菜とは異なり納得感にあふれるものです。

メインは「スズキのピカタ　エシャロットのクリームソース」。一口にピカタと言ってもいろいろな調理方法がありますが、こちらは何かしら律儀にお約束通り作ったという正統派。要は溶き卵のソテーですが見た目も味わいもまさにその通り。

ピカタとはイタリアンのピッカータで小麦粉をまぶし、溶き卵の衣をつけてソテーしたものですが厳密な定義はなくて店によって調理法が異なるくらいです。しかし見かけ以上に味わいは繊細なテイストが混じりあいしっかりとした調理技術が窺えます。

デザートは「フランス風シュークリーム、チョコレート添え」で写真をご覧の通りシュークリームがチョコレートのガウンに包まれたような豪快な一品です。最初、どのように食べるのか躊躇してしまいます。

口の周りを気にせずに食べるとどろりと濃厚な味、表も中も口当たりはしっかりとチョコレートで甘さも濃いのでこの迫力あるデザートで〆とは驚きました。イタリアで生まれてフランスで育ったシュークリームらしい一品です。

このランチコースはこれにコーヒーが付いていますからかなりお得感があります。南青山界隈のフレンチでは飛び抜けた人気店であるのが理解出来ます。