2代目に引き継がれる味とスタイル : 手打そば もり

予算:
定休日
月曜日

この口コミは、蓼喰人さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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4.5

¥2,000~¥2,9991人
  • 料理・味4.7
  • サービス4.2
  • 雰囲気2.9
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.0

3.9

¥4,000~¥4,9991人
  • 料理・味4.1
  • サービス3.8
  • 雰囲気2.8
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク3.8
2024/01訪問4回目

3.9

  • 料理・味4.1
  • サービス3.8
  • 雰囲気2.8
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク3.8
¥4,000~¥4,9991人

2代目に引き継がれる味とスタイル

 こちらも数々の思い出がある私にとって大事な蕎麦屋。
 約4年ぶりの訪店である。
 現在はまだ30歳代と思われる2代目が継がれている。
 
 昼でも一杯やることは可能だが、カウンター7席の手狭のため少し時間をずらした方が良かろうと、13時半ごろに格子戸に手を掛ける。
 先客は4人で中ほどの席を選ぶが、すぐに2人が退店し他の2人にも配膳済みのためゆっくり出来そう。
 手伝いの女性アルバイトが居ることも有るそうだが、この日はワンオペで頑張っている。

 まずはビール(ヱビス中瓶)をもらう。
 お通しの「そば味噌」は少量ながら老舗同様の仕事で美味しい。
 肴には「酒肴盛り合わせ」をもらうが、内容は次の通り。
 「鴨スモーク2種・馬刺し・イカ塩辛クリームチーズ添え・板わさ・鰯旨煮唐墨大根おろし添え」。
 出来合いのものがほとんどだが大皿に彩り良く並べられており、バラエティに富んだ一品ごとを丹念に味わうのは中々楽しい。

 ビールは早々に空になり、壁に'店主お薦め'と掲示された「白隠正宗」をもらう。
 穏やかな口当たりと、ふくよかに広がる旨味が良かった。

 蕎麦はいつも「三色」だったが、'冬季限定'と付された「牡蠣蕎麦」が気になり頼んでみた。
 出された大振りの鉢の上置きは中々壮観。
 焼き海苔の上には結構な大きさの牡蠣4個が乗り、ネギも厚めの斜め切りが4個並び、さらに三つ葉と柚子が色と香りを添えている。

 牡蠣はしっかり目の火通りだが、プリッとした食感が保たれ旨味も十分。
 葱も吟味されているようで、甘みと歯触りが心地よい。
 蕎麦は細目ながらある程度の歯触りは保たれており、気持ちよく啜れる。
 添えられた「黒七味」を振り入れれば、さらに味が深まる。

 もちろん牡蠣のエキスが溶け込んだつゆも実に美味い。
 こちらでは江戸前蕎麦屋の定法通りに、温蕎麦にも湯桶が添えられ中身は釜湯のままの自然体。
 割りやすいように空の蕎麦猪口と蓮華が付けられ、最初は少しずつ移して蕎麦湯を注ぐが、この旨いつゆを残すのは忍びなく、塩分過多とは承知の上で最後は全て飲み尽くす。
 醤油味のつゆ大好きな東京人の性は如何ともしがたい。


 前回訪れた時にはまだ2代目には何となく不安定さが見られたが、今回はしっかりした仕事ぶりが認められ、落ち着いた応対ぶりにも好感が持てる。
 長年馴染みにしている店の味とスタイルが、きちんと引き継がれていることを嬉しく思う。
 
 注文を付けるとすると店構えで、創業当時のままでほとんど手直しされていないため老朽化が目立つ。
 カウンターに並ぶ一本足のスツールは、軋む音がやけに気になる。
 このままで良いと思う常連も居るかも知れないが、何らかの改良をお願いしたい。

  • 手打そば もり - 「酒肴盛り合わせ」

    「酒肴盛り合わせ」

  • 手打そば もり - 鴨スモーク2種

    鴨スモーク2種

  • 手打そば もり - 馬刺し・板わさ・イカ塩辛クリームチーズ添え

    馬刺し・板わさ・イカ塩辛クリームチーズ添え

  • 手打そば もり - 鰯の煮物・唐墨大根おろし

    鰯の煮物・唐墨大根おろし

  • 手打そば もり - ビール

    ビール

  • 手打そば もり - お通しの「蕎麦味噌」

    お通しの「蕎麦味噌」

  • 手打そば もり - 「白隠正宗」

    「白隠正宗」

  • 手打そば もり - 「牡蠣蕎麦」

    「牡蠣蕎麦」

  • 手打そば もり - 蕎麦を手繰る

    蕎麦を手繰る

  • 手打そば もり - プリッとした大粒の牡蠣

    プリッとした大粒の牡蠣

  • 手打そば もり - 旨味たっぷり

    旨味たっぷり

  • 手打そば もり - 葱も美味い

    葱も美味い

  • 手打そば もり - 黒七味を振って

    黒七味を振って

  • 手打そば もり - 温蕎麦にも付く湯桶

    温蕎麦にも付く湯桶

  • 手打そば もり -
  • 手打そば もり -
  • 手打そば もり -
  • 手打そば もり -
  • 手打そば もり -
  • 手打そば もり -
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2020/03訪問3回目

3.8

  • 料理・味3.9
  • サービス3.7
  • 雰囲気3.0
  • CP4.2
  • 酒・ドリンク3.5
¥2,000~¥2,9991人

平日の昼は息子さんが担当

 外出はなるべく控えるべきなのかも知れないが、都内の人の多さにはあまり変化が無いように思える。(日付:3/26)
 出かけた帰り、遅い昼食の場所として選んだのは3年ちょっとご無沙汰のこちら。

 13時半過ぎに入店。
 入ってみると、一目で息子さんと分かる体格も容貌もご主人にそっくりな若者と、手伝いの女性の2人がカウンターの中に居る。
 先客の姿は無く'どこでもどうぞ'の声に、私の定位置と言えるカウンターの奥の席を選ぶ。

 昼でも肴類の注文可能を確認の上、ビール(ヱビス中瓶)と「酒肴三点盛」を頼む。
 何度か頼んだことがあり、内容も「板わさ・鴨燻製・イカの塩辛とクリームチーズ」で目新しさは無いが、鴨は2種類が出され、いか塩辛も塩分控えめが良かった。

 ビールは程なく空いてしまったが、長居をするつもりは無いので蕎麦にする。
 やはり目が向くのは壁に掲示された'本日の変わり蕎麦'で、今回は「海老切り」とのこと。
 こちらには7.8回訪れているが、これは初めてである。
 今回はこの「海老切り」と「せいろ」を合わせた「二色そば」にしてみた。

 まず「海老切り」が、つゆや薬味と一緒に角盆に乗って出された。
 干し桜海老の粉末が練り込まれていると思われる綺麗なピンク色で、手繰れば微かに海老の香りと味が感じられる。
 食感は良好だが切れ切れが目立ち、水切りも少々甘いのが残念。

 2枚目の「せいろ」が盛られて笊が、タイミングよく前から手渡される。
 こちらも香りや歯触りはまずまずだが、やはり千切れた部分があった。
 手狭な店で大きな茹で釜が置けないことと、昼の仕舞いに近かったせいもあり、麺が湯の中でよく泳いでいなかったのかも知れない。
 この点への配慮は、やはりお父さんであるご主人に一日の長があるように思う。

 つゆは相変わらずの仕上がり。
 やや甘目だが、出汁の旨味と'かえし'のコクが融合された美味しいつゆである。
 今回の「海老切り」にも良く合っていた。

 薬味の山葵や辛味大根も、きちんとしている。
 蕎麦湯は遅い時間帯のため白濁が強いが、不自然な粘度は無いのですっきりと〆られた。


 簡略ながら気持ちの良いひと時を過ごせた。
 全体的に値段が安いのも相変わらずで、今回も2,000円ちょっとは極めて良心的。

 前回訪れた時に、ご主人から平日の昼は息子さんに任せていることを耳にしていたが、柔和な応対ぶりは好感。
 夜にゆっくり訪れるのが相応だが、時間をずらした昼に気軽に寄るのも良いものだ。

 帰りは便の良さでは地下鉄の西早稲田が断然近いのだが、高田馬場まで思い出深い道筋を歩いてみた。
 途中に在る都内の名画座でも老舗の「早稲田松竹」も、コロナウイルスのおかげで休館中。(この当時は3/27までだったが、現在はさらに延長されている)
 先行きの見えない不安は当分続くようだ。

  • 手打そば もり - 「酒肴三点盛」

    「酒肴三点盛」

  • 手打そば もり - ビール

    ビール

  • 手打そば もり - お通しの「そば味噌」

    お通しの「そば味噌」

  • 手打そば もり - 板わさ

    板わさ

  • 手打そば もり - 鴨の燻製2種

    鴨の燻製2種

  • 手打そば もり - いか塩辛とクリームチーズ

    いか塩辛とクリームチーズ

  • 手打そば もり - 「海老切り」

    「海老切り」

  • 手打そば もり - 海老切りを手繰る

    海老切りを手繰る

  • 手打そば もり - 海老切りを啜る

    海老切りを啜る

  • 手打そば もり - 2枚目のせいろ

    2枚目のせいろ

  • 手打そば もり - せいろを啜る

    せいろを啜る

  • 手打そば もり - 蕎麦湯は白濁

    蕎麦湯は白濁

  • 手打そば もり - 酒肴の品書き

    酒肴の品書き

  • 手打そば もり - 蕎麦の品書き

    蕎麦の品書き

  • 手打そば もり - 壁の掲示

    壁の掲示

  • 手打そば もり - 外観

    外観

  • 手打そば もり - 「早稲田松竹」も休館中

    「早稲田松竹」も休館中

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2017/02訪問2回目

4.5

  • 料理・味4.7
  • サービス4.2
  • 雰囲気2.9
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.0
¥2,000~¥2,9991人

相変わらずの真摯な仕事振り

 横浜でのコンサートが終わったのは5時、その後会場で出会った学生時代からの友人と、ホールの近くで演奏の感想を語り合いながら軽く飲んだ。
 帰路は、今ではここから我が家の近所まで乗り換えなしで戻れる便利な時代になったが、途中でちょっと寄りたい気分になる。

 幾つかの候補が頭の中を駆け巡るが、決めかねてシートに座り続けていた。
 ようやく意を決して降り立ったのは西早稲田で、そこから歩いてすぐのこちらへ向かう事にする。

 時刻は8時近くで、混んでいることも予想されたが、幸いに先客は居なかった。
 愛想のよいご主人に迎えられて、定位置のカウンター一番奥に座る。

 店はご主人と、人は変われど昔から縁が続いている留学生アルバイトの女の子の二人体制。
 息子さんに代替わりしたという情報も耳にしていたが、現在平日の昼は息子さん、平日夜と休日はご主人が交代で出られているとのこと。

 まずはビール(ヱビス中瓶)。
 お通しの「そば味噌」も変わらぬ味。

 肴には「馬刺し」をもらう。
 刺しの入った凍ったままを薄くスライスして、ルイベ状で出されるのが昔からの手法で、溶けかかったものを生姜醤油で食べる。
 最近は新鮮な生肉のままを出す店が多いが、こちらのスタイルも懐かしく、値段が手ごろなのも有り難い。
 
 あまり時間も無いので酒は控え目に、壁に掲示されたおすすめの「彦市」をグラスで一杯もらう。
 やや甘めの味わいが、馬刺しに良く合った。

 蕎麦も量は欲しないので、いつもの「三色」では無く「きのこおろしそば」を選択。
 注文が入ると、ゴリゴリと辛み大根をおろす音が聞こえて来る。
 暫しの後に、一式が乗った角盆がご主人から手渡された。
 
 数種の茸と大根の中につゆが注がれた、大振りの抹茶茶碗のような器、大皿に簀子を敷いた上に盛られた蕎麦。
 それに追加用のつゆ徳利と、薬味皿で一式である。
 茸は水煮されたたっぷりの「ひら茸・なら茸・なめこ」などで、これは既製品であるが、それぞれの歯触りが面白い。
 適度に辛い大根とやや甘めのつゆを馴染ませたものに、蕎麦を絡めるようにして啜る。

 つゆを足して味を調整しながら食べ進めるが、喉越しの良い二八の蕎麦との相性は良く、瀟洒な味わいが楽しめた。
 蕎麦湯は仕舞に近いため結構濃いが、べたつくようなことは無く、気持ち良く〆られた。

 短時間ではあったが、期待通りの寛いだ時間を過ごせた。
 ご主人の体調は、相変わらず万全ではないとのことだが、真摯な仕事と腰の低い応対振りは健在。
 こちらも私にとっては大事な一軒で有ることを改めて思う。

  • 手打そば もり - 「きのこおろしそば」一式

    「きのこおろしそば」一式

  • 手打そば もり - 瓶ビール・お通し

    瓶ビール・お通し

  • 手打そば もり - 「馬刺し」

    「馬刺し」

  • 手打そば もり - 生姜醤油で

    生姜醤油で

  • 手打そば もり - 「彦市」をグラスで

    「彦市」をグラスで

  • 手打そば もり - きのこおろしのつけ汁

    きのこおろしのつけ汁

  • 手打そば もり - 蕎麦を手繰る

    蕎麦を手繰る

  • 手打そば もり - 絡めるように蕎麦を啜る

    絡めるように蕎麦を啜る

  • 手打そば もり - 蕎麦湯

    蕎麦湯

  • 手打そば もり - 肴

  • 手打そば もり - 蕎麦

    蕎麦

  • 手打そば もり - 飲み物

    飲み物

  • 手打そば もり - 酒のラインナップ

    酒のラインナップ

  • 手打そば もり - 壁の掲示

    壁の掲示

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2016/04訪問1回目

4.5

  • 料理・味4.7
  • サービス3.8
  • 雰囲気2.7
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.0
¥4,000~¥4,9991人

4.5

  • 料理・味4.6
  • サービス3.5
  • 雰囲気2.7
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.0
¥2,000~¥2,9991人

繊細な仕事が貫かれた名店、ご主人の元気な姿に安堵

 こちらも私にとっては大事な蕎麦屋。
 しかし何時でも混んでいるイメージが有るため、何となく行きそびれて3年半近くご無沙汰してしまった。

 立て込むとゆっくり出来ないので、敢えて天候の悪い日曜日の口開け時を狙って訪れる。
 最近は息子さんが店を任されているという情報も有ったが、カウンター内には恰幅の良いご主人が変わらずに立たれてることにホッとする。

 まずはビール(ヱビス中瓶)、お通しの「そば味噌」の味も変わらない。
 料理は何でもできるとのことだが、やはり定番の「酒肴三種盛り」を選んでしまった。
 内容に目新しいものは無いが、ちょっと飲むには好適で、これで540円は安い。
 ビールは程なく空になったが、それほど長居をするつもりはないので、酒の追加は壁に掲示された'おすすめ'の「秀鳳」のグラス1杯に止める。

 12時近くになりそろそろ席も埋まり始めたので、早めにこれも定番の「三色そば」を頼んでおく。
 今回の変わり蕎麦は「桜の葉切り」で、一枚目はこれが出されたが、刻んで混ぜ込んだ葉がはっきりと見え、香りも食感も程良い。
 普通の「桜切り」でも香り付けには塩漬けの葉を使い、色は食紅で淡く染めることが一般的だが、こちらでは小細工はせずに「桜の葉切り」と呼んでいるところに、ご主人の律義さが感じられる。

 2枚目の「せいろ」もまずまず。
 3枚目の「田舎」は野趣あふれる仕上がりで、今回は'こちらでもお試しください'と、小皿で塩が出された。
 しかし昔からこちらでは、雑味の無い「つゆ」の仕上がりが素晴らしいため、つゆで食べた方がずっと美味く感じた。
 蕎麦湯は口開けのため多少の手は加わっているが、ベタベタとした粘性が無いため気持ちよく〆られる。

 元々ご主人は亀有の「やざ和」の出だが、現在では完全に独自の世界を築き上げている。
 今では我が家の近くから地下鉄一本で行ける便の良さとなっており、これからはもっと頻繁に足を運びたいと思う。
 (新規に7枚の写真を追加掲載) 


≪2012年11月のレビュー≫ 

 約2年振りの訪店である。
 主人の体調などから今回もやっているかなと少々不安を抱きつつ、開店直後の6時過ぎに店に向かう。
 地下鉄の出口から足早に辿る歩道から、看板の明かりが見えた。
 
 引き戸を開ければ先客も無く、大柄ながら腰の低い主人が変わらぬ笑顔でカウンターの奥の席を勧めてくれた。
 すぐに‘お寒い中お越しいただき、ありがとうございます’と、柚子の薫りの蕎麦湯が出される。

 蕎麦猪口で手のひらを温めながら見上げる壁の掲示から、まずお薦めの「義侠」を1合。
 お通しは炒った蕎麦の実たっぷりの「そば味噌」。

 肴には先に「酒肴三品盛」をもらう。
 内容は2種類の味の「鴨スモーク」、こちらの定番の「クリームチーズの烏賊塩辛のせ」、それに乾燥岩海苔を添えた「板わさ」である。
 盛り付けも繊細、量もたっぷりで酒が進む。

 程無くもう一品頼んでおいた、「はりはり鴨鍋」が熱々で登場。
 鴨が重なったがこちらはスライスした抱き身が表面を覆い、その下にはたっぷりの水菜、豆腐、えのきたけ、それに柔らかい自家製の鴨つくねが2個潜んでいた。
 汁は上品な塩味仕立てで、大根おろしと原了郭の「黒七味」が添えらえている。
 出汁は流石に高級割烹店のような具合にはいかないが、この値段では十分な出来栄えで、身も心も温まる逸品。
 追加で頼んだ「雪の芽舎」と共に、しみじみとした味を堪能。

 蕎麦はやはり「三色そば」にしてしまう。
 1枚目の「菊切り」は初めてであったが、色が鮮やかな割に抑えられた香りと歯触りが心地良い。
 2枚目の「せいろ」、3枚目の挽きぐるみを細打ちにした「田舎」、ともに相変わらずの仕上がり。
 盛りは呑んだ後では多過ぎるくらいの分量で、これで千円を切る値段は明らかに安い。

 つゆは甘口だが3種類に適合させるには、このくらいでも良いと思う。
 蕎麦湯は白濁が濃く、一見ドロドロではないかと心配するが、意外にさらっとしていて好感できるもの。

 手の空いた主人に、数年前にけがに遭われて以来の病気の経緯などを伺ったが、現在も店に立たれているのは立派だと思う。

 アシスタントは相変わらず韓国からの語学留学の女の子である。
 習慣の違う外国の方を使うのは大変ではという問いに、気持ちがピュアなだけに仕事を覚えてもらうにはかえって好都合という返事。
 そう長くは続けられないのが玉に傷のようだが、恒常的に人材を斡旋してもらっているとのこと。
 今回も女の子に噛んで含めるように語りかける、主人の姿が印象的であった。

 最後まで後客は現れなかったが、'一週間に一日くらいはこんな日も有るのですよ'ということで、今回はゆっくりと「蕎麦屋酒」が楽しめ、主人といろいろと言葉を交わせたのは実に幸運であった。
 

≪2010年12月のレビュー≫ 

 久しぶりの「もり」である。
 10年ほど前、一気に評判が高まったころは、決して綺麗とは言えない僅か8席の店に、蕎麦好き人間が殺到したものだった。
 大柄の主人が限られたスペースで、窮屈そうに仕事をこなしていたが、体系に似合わず(失礼)蕎麦は実に繊細で、カウンター越しに主人の人柄が直接伝わる雰囲気にも良い印象を持っている。

 その後主人が体調を崩して、開けている時が‘目っけ物’といった時期が続き、どういう方向に進むかを案じていた。
 夜に何度か訪れて振られたことがあったため、日曜昼の口開け時に寄ってみた。主人の元気そうな顔に安堵する。

 一番乗りでゆっくり出来そうなので、蕎麦前に懐かしい「酒肴盛り合わせ」と、酒は「鶴齢」の「無濾過生原酒」を注文。
 盛り合わせは「馬刺し・牡蠣オイル漬・鴨スモーク・板わさ」それに定番の「イカ塩辛にクリームチーズ」の5点盛り。
 何れも既製のものを切って盛りつけた程度であるが、酒を楽しむには十分の内容。
 またたく間に1合が空き、お勧めの'おりがらみ'の「白岳山」を追加して、至福の時を過ごす。

 その後の相次ぐ来店客に合わせて「三色」を注文。簾の子に盛られた3皿が時間差を置いて供される。
 最初に「柚子切り」。香りと色合いが丁度良く、喉越しが楽しい。
 次の「せいろ」。細めだが、凛とした中にしなやかさも兼ね備えた端正な出来。
 最後の「田舎」で、星も見え粗めの食感だが武骨さは無く、まさに精妙な仕事。
 1つずつの盛りが通常の店の一枚分ほどあり、これで950円は安い。

 「つゆ」はやや甘めだが、締まりのある丁寧な仕上がり。
 「蕎麦湯」は結構濃度はあるが、べたつき感が無いまろやかさで「つゆ」との調和が良い。

 相変わらずの蕎麦の見事さに感嘆する。
 スペースが狭いため、蕎麦は早朝に自宅で打って運んでくる。
 主人の体調は未だ万全ではないそうだ。最近は息子さんが手伝っているとのことだが、ぜひこの味と技を伝えてほしい。


 この辺りは私にとっては、学生時代から数々の思い出のある場所。最近地下鉄の駅が近くに出来て便が良くなり、町の変貌ぶりは隔世の感がある。こちらも何れ「明治通り」の拡張に伴い、無くなってしまうと思われる立地。
 存続する限り、通い続けたい店である。

  • 手打そば もり - 「酒肴三点盛り」(2016/4)

    「酒肴三点盛り」(2016/4)

  • 手打そば もり - 瓶ビール・お通し(2016/4)

    瓶ビール・お通し(2016/4)

  • 手打そば もり - 「秀鳳」をグラスで(2016/4)

    「秀鳳」をグラスで(2016/4)

  • 手打そば もり - 「桜の葉切り」を手繰る(2016/4)

    「桜の葉切り」を手繰る(2016/4)

  • 手打そば もり - 「田舎」を塩で(2016/4)

    「田舎」を塩で(2016/4)

  • 手打そば もり - おすすめの酒は「秀鳳」(2016/4)

    おすすめの酒は「秀鳳」(2016/4)

  • 手打そば もり - 今回の変わり蕎麦は「桜の葉切り」(2016/4)

    今回の変わり蕎麦は「桜の葉切り」(2016/4)

  • 手打そば もり - 酒・お通しの「蕎麦味噌」・酒肴の品書き

    酒・お通しの「蕎麦味噌」・酒肴の品書き

  • 手打そば もり - 2種目に頼んだ「雪の芽舎」

    2種目に頼んだ「雪の芽舎」

  • 手打そば もり - 「はりはり鴨鍋」

    「はりはり鴨鍋」

  • 手打そば もり - 「鴨鍋」を小鉢に

    「鴨鍋」を小鉢に

  • 手打そば もり - 「鴨鍋」はつくね入り

    「鴨鍋」はつくね入り

  • 手打そば もり - 「三色そば」1枚目の「菊切り」

    「三色そば」1枚目の「菊切り」

  • 手打そば もり - 2枚目の「せいろ」

    2枚目の「せいろ」

  • 手打そば もり - 3枚目の「田舎」

    3枚目の「田舎」

  • 手打そば もり - 「蕎麦湯」白濁しているが粘度は少ない

    「蕎麦湯」白濁しているが粘度は少ない

  • 手打そば もり - 店主おすすめの酒・本日の変わりそばの掲示

    店主おすすめの酒・本日の変わりそばの掲示

  • 手打そば もり - 酒の品書き

    酒の品書き

  • 手打そば もり - 蕎麦の品書き

    蕎麦の品書き

  • 手打そば もり - 腰掛けには可愛らしい店名の縫い取りが

    腰掛けには可愛らしい店名の縫い取りが

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店舗基本情報

店名
手打そば もり
受賞・選出歴
そば 百名店 2021 選出店

食べログ そば 百名店 2021 選出店

そば 百名店 2019 選出店

食べログ そば 百名店 2019 選出店

そば 百名店 2018 選出店

食べログ そば 百名店 2018 選出店

そば 百名店 2017 選出店

食べログ そば 百名店 2017 選出店

ジャンル そば
予約・
お問い合わせ

090-1764-1136

予約可否

予約可

住所

東京都新宿区高田馬場1-3-10

交通手段

副都心線西早稲田駅より一番口を出て右手に進み最初の信号を渡ればすぐ。
★二番出口ならまっすぐです。
JR高田馬場駅より早稲田通りを東へ、馬場口で明治通り右折、徒歩7分

西早稲田駅から299m

営業時間
  • 火・水・木・金・土・日

    • 11:30 - 14:30
    • 18:00 - 21:00

      L.O. 20:30

    • 定休日

営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

予算(口コミ集計)
¥1,000~¥1,999 ¥1,000~¥1,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード不可

電子マネー不可

席・設備

席数

8席

(カウンター8席、ときどき9席)

個室

貸切

不可

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

空間・設備

カウンター席あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、焼酎あり、日本酒にこだわる、焼酎にこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

一人で入りやすい 知人・友人と

こんな時によく使われます。

ロケーション

隠れ家レストラン、一軒家レストラン

備考

ご訪問される際に、ご主人にご連絡することをお勧めいたします。

初投稿者

PriPriGoPriPriGo(425)

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