街の洋食屋さんを標榜しているのは分かりますが。 : グリル丸の内亭 西武池袋店

2020年の食べログ事始めです。
元旦は流石におせち料理をいただきますので、2日からの活動ということになりますが、三が日あたりは一般の街の個店だとまだまだ年始休暇というところが多いですね。
このため、どうしても休業リスクの無い百貨店やショッピングモールあたりでの活動に頼ることになります。

そんなことで、この日のターゲットは西武百貨店の池袋本店。
池袋は、暮れにも訪れたところですが、その際に改めて飲食店の奥深さに触れたところだったので、その残像を引きずりつつ改めて攻めてみることにしたものです。

西武百貨店池袋本店は、元旦から営業していますが、レストラン街である8階の「ダイニングパーク池袋」は、三が日は日祝日扱いで10時半からの営業になっています。
今回は、ダイニングパーク池袋の26店舗あるレストランの中から洋食のこちらのお店を利用することにしてみました。
こちらのレストラン街で利用、レビューしているのは、「ジャスミンタイ 西武池袋店」のみですので、食べログレビューでは当店で2店目ということになりますが、食べログを始める前から何度か利用したことがあるレストラン街ですので、あまり珍しい感じはしません。

当店は、昭和39年、東京・丸ビルに誕生した「東宝パーラー」をルーツとする洋食店です。
東宝パーラーというのは、当時東宝グループ企業であった東宝不動産株式会社の飲食事業への参入の一環として、日本初の多種類アイスクリーム専門喫茶として出店したものです。
東宝パーラー、確か千駄ヶ谷にも支店があったのではないでしょうか？

当店は、平成23年4月にオープンしていますが、当時の運営主体は、株式会社東宝レストランサービスでした。
同社は平成28年12月に社名変更でＴＯＨＯリテール株式会社となっています。いずれにせよ東宝株式会社の完全子会社ですので、阪急阪神東宝グループの一員ということになりますね。

ＴＯＨＯリテール株式会社は、現在直営飲食店を5業態（丸の内ディンドン、グリル丸の内亭、パパイヤリーフ、オリエンタルカラーズ、しなの路）14店舗運営するほか、運営委託店舗として、10業態13店舗の経営に携わっています。

当店は、その直営店舗の一つに数えられます。

西武百貨店池袋本店は縦長の造りで、地下2階から8階までは各フロアが大きく3つのエリア(北、中央、南)に分けられています。
8階については、南エリアが、トラベルやアウトドアスポーツなどのコーナーになっており、ダイニングパーク池袋は、中央エリアと北エリアにまたがってあります。当店は、その中の中央エリアの一角で営業しています。

初売りによる混雑も予想してオープン時刻の10時半を目指して伺ってみました。
当店に着いたのは10時35分頃。
店内には先客1組がいましたが、さすがにまだ空いています。

店員さんから好きなところへ座って可と言われたので、入口に近い4人用テーブル席に座らせてもらいました。
店内はテーブル席のみで、こじんまりした空間。多少の高級感もあって、いわゆる洒落た街の洋食屋さんに近いイメージです。
卓上にはメニューブックと、1枚紙のサーロインステーキのメニューが置かれていました。
メニューブックを眺めると、ハンバーグステーキとオムライスが中心メニューのように思われ、それらを核にしたバリエーションメニューが目立ちます。

お値段は、ホテルのダイニングあたりをイメージするとそれほどは高くはなく、例えはハンバーグステーキだとノーマルメニューのデミグラスソースが単品@1,408円、ライス又はパンを付けると1,617円になります。
年始の初外食で、多少贅沢したい気持ちもあったので、注文は、ハンバーグコンビネーションメニューから黒毛和牛のハンバーグとエビフライとカニクリームコロッケをチョイス。これにライスを付けました。税込みで2,024円ですので、Ｂ級目線の私としては、やはりちょっとした贅沢ランチになりました。

提供まで意外に待たされ、待つこと17分ほど掛かって注文の品がようやく提供されました。
ハンバーグとカニクリームコロッケ、エビフライの盛られたプレートは、ザ・洋食という豪華な感じでなかなか見栄えがします。

早速、黒毛和牛ハンバーグからいただきます。
ソフトな食感のハンバーグですが、つなぎ臭さがあるわけでなく、黒毛和牛由来の脂がこのソフトさにつながっているものと思います。
牛肉の風味もしっかり感じることの出来るハンバーグで、デミグラスソースも変に甘すぎることもなくいい感じで、なかなか美味しかったです。

カニクリームコロッケは、オレンジ色に染まったクリームソースが包まれたコロッケです。
色合いのセンスはどうかと思いましたが、カニの風味はしました。しかし、カニの食感まではあまり感じることが出来ず、街の洋食屋さんの上質のカニクリームコロッケと比べると明らかに落ちますね。

エビフライはやや細長いビジュアルですが、プリプリした食感を感じることが出来ます。
このサイズ(長さ)が全体のビジュアルを引き上げる役割を果たしていますが、味の方は、まあ平均的といったところでしょうか。

ということで、ハンバーグはなかなか美味しかったものの、フライ系については、街の洋食屋さんの職人技には及んでいなかった印象で、値段の高さも考えると、コスパ面ではあまり高い評価は出来ないですね。

街の洋食屋さんを標榜しているのはよく分かり、そのこと自体はいい視点だと思いますが、そこに近づくための今一歩が足りない感じです。
ただ、街の個店を盛り上げたい立場としては、企業系に真似できないものがあることを実感できた点で、どことなく嬉しい気持ちにもなり、複雑な心境ですね。