正宗哈尔滨风味 : 京華閣

現地人向け度 ★★★★★(5) 中国人客しかいなかったり
日本人向け度 ☆☆☆☆☆(0) 日本人が来なくてもやっていけるお店

2015.03 夜×２

１回目１人あたり 3985円
・蛋黄焗虾仁 1380円
・排骨冬瓜汤 1080円
・干锅肥肠 1180円
・草帽饼 380円
・羊肉串 90円×4
・孔府家酒 2000円
・生ビール(モルツ) 500円×2
全部で 7970円

２回目１人あたり 2900円程度
・牛肉拉皮 1000円
・干锅茶香牛柳 1380円
・酸菜蛎蝗粉丝锅 1280円
・蛋黄焗南瓜 1000円
・羊肉串 90円
・羊肉筋 130円
・孔府家酒 2000円
・生ビール(モルツ) 500円×2
・烏龍茶 300円
全部で 9309円（ここからクーポンで500円割引）


　東京東部の中華屋で、哈尔滨（ハルピン）出身の店員さんに教えてもらったお店。ここしか行かないと言っていたから、かなり期待して行った。ご一緒いただいたのは、現地味の中国料理が分かり、美味しいと共感してくれそうな方。中国では当たり前に食べられているものでも、日本人に馴染みが無いが美味しいものがたくさんある。哈尔滨人が美味しいと言うからには、哈尔滨らしいものを食べたい。花椒はもちろん、孜然（ズーラン、クミンの事）、八角（スターアニスの事）、香菜（パクチー）など中華のスパイス使いや、醤や黒酢使いに抵抗が無いだけでなく、美味しいと思えるか。ナレと味覚の広さが必要ではあると思う。
　お店は満席で賑わってます。中国人率がとても高い。予約しないと厳しいです。中国人に美味しいお店で間違いない。それでは哈尔滨らしいものを頼んで行きましょう。東北菜でも、大連の魚介とは違い、肉や野菜が中心です。揚げもの、焼きもの、煮もの、肉と野菜をバランス良くね。狗もあるけど、朝鮮族の東北人が日本で狗を食べても全然美味しく無いって言ってたんです。狗の種類が違うし冷凍だしって。日本でちょっと食べた事はあるけど、食べ物とは思えない味。なので狗はどこでも却下です。１回目は突き出しありで、ピーナツとモヤシのナムル。モヤシのナムルからして、スターアニス風味で朝鮮系とは異なる美味しさで期待させる。２回目は突き出しをもらえなかった。そのあたりも大陸らしい。


・蛋黄焗虾仁 (4.0)
　エビの黄身包み揚げ。（お店の説明）
　中国では女性に人気の優しい味。知らない人が食べたら、きっとカレー粉をまぶしていると思うはず。本来は鴨の卵の黄身の粉。今は鶏が普通らしいです。黄身の粉を衣としてまぶして揚げたエビ。エビの味と優しい黄身の濃い味がマッチしてます。エビの質もけっこう良かった。エビ以外にもカボチャなどがあり、大連だと、殻ごとのワタリガニだったりする。そのワタリガニのが大好物なんですよ。

・排骨冬瓜汤 (4.8)
　スペアリブ冬瓜スープ。（お店の説明）
　東北地方では冬瓜を良く食べるんです。スペアリブも。その２つを汤（湯：スープ）で鍋に。この汤が良い。中国的に当たり前に美味しいのだが、実はこの当たり前の味が日本ではなかなか無い。スープをほとんど飲み干した。スペアリブと冬瓜も程よく煮込まれているのだが、少なめ。クコの身と香菜（パクチー）が爽やかさを加えている。最初は塩分が濃いと感じたが、すぐになれて、実はそうでも無いような。スープまで全部飲んだのだから、かなり美味いんです。

・干锅肥肠 (4.0)
　ホルモンの唐辛子鍋煮。（お店の説明）
　干锅（干鍋：ガングオ）、鍋と言ってもドライタイプ。ドライタイプのカレーに似たものと思えば良い。四川菜（四川料理）なのだが、東北人は四川菜が大好き。花椒や孜然は少なめで、生唐辛子で辛さ演出。豆鼓が良いコクを加えている。ホルモンの質は意外にも高く、柔らかく噛み締めて甘味が出る。ガツガツとビールや白酒のアテにイケる。

・草帽饼 (3.7)
　麦藁帽子型やき餅。（お店の説明）
　中国版パロタ（インドのパン）と言えば良いだろうか。インドのパロタに比べれば、甘さが少なく、油が多い。玉子の黄身が練りこまれ、コクは深い。東北地方の濃い味の料理に良く合う。

・牛肉拉皮 (4.5)
　牛肉と板春雨和え。（お店の説明）
　タレをかけて楽しむ冷菜。タレはおそらく黒竜江省の黒酢。ちゃんと酸っぱく、コクがあり、エグみが無い。でもクセがあるので、普通の日本人は敬遠する味。注文時に大丈夫か少し戸惑った。ご一緒いただいた方は、みんな美味しいとバクバク。中国現地の味がお好きな方で良かった。板春雨がプルプルして、特に黒酢に合う。牛肉もうまし。

・干锅茶香牛柳 (4.5)
　茶樹菇と牛肉の干鍋。（お店の説明）
　菇(gū、キノコ)、茶樹菇で細長い茶色のキノコ。キクラゲ、マッシュルーム、ベビーコーンも入っている。東北らしい味付けの四川料理、干锅(gānguǒ、汁の無い鍋料理)。東北らしさと四川らしさを併せ持った濃い味付けに負けない素材感、主に歯ごたえと香り。油っぽさも少なめ。下にオニオンスライスが敷かれて、一緒に食べると爽やかさもある。これは美味いわー。

・酸菜蛎蝗粉丝锅 (4.7)
　漬け白菜、カキ、春雨煮物。（お店の説明）
　东北酸菜锅の豪華版。东北は東北、満州の事です。酸菜(suāncài、白菜の酸っぱい浅漬)。
蛎蝗(lìhuáng、牡蠣)。粉丝(fěnsī、細手の春雨)。牡蠣が入っているから豪華版なんです。
　味は酸っぱさがあり、白菜のシャクシャクした歯ごたえ、カキから出る出汁、ツルモチっとした春雨、クドさが無く、素材が現地より良いから、現地より美味しいかも。カキを楽しみたいなら早めに引き上げたいけど、出汁を出したいから入れたままにしたい贅沢なもどかしさがあった。こちらのお店は東北味の鍋物がかなり良い。それはきっと、現地人に好まれる大事な要素。

・蛋黄焗南瓜 (3.5)
　かぼちゃの黄身包み揚げ。（お店の説明）
　蛋黄焗虾仁と同じ要領で中身がカボチャ。料理の合間、酒の合間に良いです。揚げ立ては少しイヤな風味があったが、冷めたら落ち着いた。揚げ物が若干弱いのかもしれない。

・羊肉串 (3.5)
・羊肉筋 (3.8)
　ラム串と、ラム筋串。（お店の説明）
　正宗哈尔滨风味烧烤串、と書いている。正しくハルピン風味の串焼き。孜然が控えめではあるが、肉質、焼き加減、まあまあ良し。羊肉串は１串９０円だから、けっこう満足。羊肉筋は筋ばっている部分が多いが、噛み締めれば、こちらの方が旨味はある。


　哈尔滨らしいものを、哈尔滨らしい味で、しっかり食べた。酒はもちろん乾いて爽やかな風味の白酒「孔府家酒」。度数弱めだし、次の日に残りにくいし。なんと言っても、爽やかで味が良い。安い白酒では、今知っている限りベストだと思う。中国現地の味のお店では、白酒を飲みたい。あれば、ですけど。紹興酒を飲むのは日本人だけですよ。
　そんなに大箱では無いがコックさんは複数人いて、調理ごとに担当が決まっていると思う。味の方向性が少しずつ違う。これも中国現地味の楽しさだと思う。１人のコックさんだと、どんなものでも同じ方向性で飽きてしまう場合があるんですよね。特に日本人がやってて本格的とうたわれている中華に多く感じる。
　メニューの日本語が的を射て分かりやすい。かなり的確で、現地系の現地人が集まるお店としては、秀逸なメニューだと思う。値段は現地人向けにしては若干高いような気がするが、日本の一般的な中華としては、これだけのものでたっぷりの量なので安くなる。結果、哈尔滨の味が好き、哈尔滨の美味しいものを食べたい、そういう要求にはかなりの良店です。雰囲気は中国そのものですよ。ガヤガヤと活気が溢れていて、元気に食わないとダメやろって感じ。
　2015年3月時点では食べログの評価は｢3.00｣。評価以上に良いお店には間違いありません。東北菜としては、四季海岸も良いんだけど、こちらもなかなかで甲乙付け難し。池袋北口、魅惑の中国菜ワールド。日本の中華料理ではなく、中国の料理「中国菜（ぢょんぐおつぁい）」。正宗哈尔滨风味、まさにハルピンの風味です。

　ごちそうさまでした。