ChinaMoon/あなたの月を追って : チャイナムーン 新宿店

新宿ピカデリーという集合映画館は客層が若くて忙しなく、いつやって来ても混雑しているというネガティヴなイメイジを抱いていたが、本日私が鑑賞しようとしている「燃えよドラゴン」は(笑/ギャグではない)スマホで確認したところ客入りが鈍いようで、悠々と真ん中の席をとることが出来た。

新型ウィルスの影響で新作映画の公開が足踏みされているのか分からないんだけど、昔の大ヒット作の封切り劇場での公開が目立つ今日この頃。昨日の「トータル・リコール」に引き続き、ノスタルジアに微睡むというのも悪くないかなと。
因みに並行し、平成版ガメラの第一作も都内の数館で掛かっているんだけど、そちらは大盛況のようで、昨日今日と空席をチェックして最前の両端しかそれを見つけられず、今週の鑑賞は諦めた次第

<R2.11.29>

「ChinaMoon」

中国の夜空に浮かぶ月は、どんな色してるのだろう ……
今の今(この翌日の夜)、頼りのY～ちゃんは目の前で新人教育に勤しんでいるので、ちょっと割って入って聞くことが憚られる。

新人の女の子 「白焼って何ですか ?」
Y～ちゃん、おでん鍋から実物を引きあげて見せながら 「コレ、サカナヲシボッタモノ」
魚を絞ったものだそう。

実はこちらのお店は私の中でずっと引っ掛かっていて、今回ようやく再訪を果たすことが出来た。
鉄箱に載って3階で下りたら入り口。お会計のお客さん越し、ウルフカットの兄貴が私を認め、左の空いているところへ !　と促してくれ、その言葉通りに左の列の4人掛けに、一人なのにいいのかなぁ ?　と思いつつ着いた。ホールの男性も私の動きを見ていたはずなんだけど、少々上の空であったか、無反応を貫く。
と、兄貴が戻ってきて、再度私へ、「左の席へ !」　と

―― そんな右とか左とか言われても知らねえよ、ちゃんと“そこへ”って言ってくんないと。おれんちじゃないんだから

“辛 !　麻婆豆腐/ランチセット” @1,000也。

ホールの男性に、またしても千数百円の世界かと観念し、例の定食を注文。
男性は黙って去っていったが、点心とかディザートは選ばなくて良いのだろうか ?　疑問は残ったが、分からないので黙っていることに。
と、メニュウにほんとうに小さく、これは日本語として合っているのか分からないんだけど、“ランチセット単品”なる表記が見えて、ああ、黙っているとこれになるんだなと。
図らずもそれが1,000円だったので、とりあえずlucky !

舞い降りた膳はおかずに対してご飯が小さく見え、左目だけでメニュウの中に“ご飯お代わりフリー”という神のお告げを探しつつ、同時に右目だけでザーサイの小鉢をとらまえ、先ずはそれと白いご飯の口中調味を成し遂げる。
左目は未だお告げを探し当てることが出来ていない。やおら右目だけを、麻婆豆腐へとロックオンさせた ……

ずっと引っ掛かっていたというのは、私はこちらの麻婆豆腐をもっと美味しかったんじゃないかと思っていて、もしかしたら海老チリもちゃんとしたものが出てくるのではないかという淡い期待を抱いていたんだけど、どうやらそれは幻想だったようである。
麻婆豆腐の挽肉の質が、明らかに大陸系中華居酒屋のそれなんだけど、最初からこうだったのか、もう思い出せない ……

やはりご飯に対して麻婆豆腐がかなり余ったが、お代わりは踏みとどまった。
となると、私が最初にやらかしてしまったと思った1,580円の点心付きのセットだと、もっとご飯を余らせてしまったはずなので、その意味ではダメイジは最小限に抑えられたと思う。

そして私の中で中国の月が、憐れ翳った ……

【還って翌日の居酒屋 (つ～か今夜だけど)】

「綺麗な人かどうか確認しようと思ったんだけど、良く見えなかった」
「ちゃんと確認しに行けばいいじゃないですかぁ～」
「でも、(横から見た姿や佇まいで)だいたいそうじゃない(綺麗じゃない)って分かったから、もう大丈夫」
「私もそう思います ……」

Y～ちゃんと新人のコンビとはまた別にホールに立つ、数ヶ月前にやってきた女の子に、女性一人客が入ってきたことに着目してしまった刹那目が合ってしまって、気恥ずかしくって勝手に言い分けするボク。これは優しさかも知れないけど、女の子が結論的に同調してくれたことには心底救われた

「ノミモノダイタイオボエタ ?　マタソノトキニオシエテアゲルカラ ♪」

そして今まさに眼前に繰り広げられているドラマに食い入ると、新しい女の子に手ほどきするY～ちゃんの、これも優しさが際立っているが、その優しさが果たして中国人が元来持っていたものなのか、それとも数年掛けて後天的に日本で身につけたものなのか、そのことがたいへん興味深く、つい遠巻きに見守ってしまう。

―― これってまさか、娘の成長を見守る父親の心境なのかなぁ ……?　いや違う !　おれとY～ちゃんはあくまでも一人の男と一人の女 !　それだけは絶対に見失っちゃいけない

今日は丸一日雨らしい。何も悪い事してないのに。
昨日久々、鉄板焼き屋で二時近くまで飲んでしまった。この店の営業時間は午後六時から午前二時までなので、そういった意味でママは平常通りに仕事しただけにすぎないんだけど、あまりにも店の開け閉めをマイペースでやっちゃってるこのママに、そこのところを皮肉って帰ること、けっして抜かりはしない

<H29.9.17 新宿>

「霞月樓」

雨が降っていたので狭っ苦しいところはパスしたく、自動的にいつもの銀座ライオンに脚が向かっていたが、途中で中華の看板をみつけた。
看板を見ると内容がなかなかに良さそうであったので (まあ実際そんなの分かんないけど)、小さな鉄箱に載って三階への釦を押した次第。で、エントランスからフロアを覗き込んで、野郎の一人くらい座れそうだなと確認した上で傘袋を拝借し、手にしていた折りたたみ傘を突っ込んだ。

午後二時十五分。
私を認めた、フロアをハンドリングしていると思しき若きお髭の男性によると、間もなく昼の部ラストオーダーで、二時四十五分で一旦クローズとなるが宜しいでしょうか ?　とのこと。問題ない旨伝え、無事二人掛けのテーブルに着席。店内は高級感があって、且つ清潔。BGMは洋楽。フロア担当の女の子はふつう～やや美人くらい (いらないだろそんな評価 !)。

そしてこの、チャイナガールとペーパー・ムーンを合体させたようなカタカナの屋号併記の謎とは ……

ランチセット+点心1品+デザート
“辛 ! 麻婆豆腐” @1,480也。

麻婆豆腐は“辛 !”というのが気になったが、見るからに日本風に調整された、逆にある意味昔ながらのマイルドなもので、量も私的には十分。に対し、ご飯のお茶碗は中華にあっては定石の、小さなやつ。とんもろこしと玉子のスープは濃厚で、塩っ気もしっかりしていて美味しかった。

で、これは時折先述させていただいていることなんだけど、麻婆豆腐っつ～のも、ご飯がなくなるとその魅力をほぼ消滅させる類いの料理だと思っていて、目の前のテーブルをバッシング中の女の子に早速「ご飯を半分くらいおかわりください !」とやった

何か作業していても(いや、またはもっと積極的に、作業しているふりをしての)お客さんのからのメッセージのキャッチという技術は、商売では非常に大切なことだと思うが、こちらのウェイトレスさんもきちんとそれができていて、非常に気持ちが良い。

で、そろそろ宣告された二時四十五分に近づき、両脚に力をこめて立ち上がる。
最初は何も考えていなかったが、粘っていたわけではないんだけど、料理の提供まで含めて三十分というのもけっこうタイトだなということに、あらためて気付かされる。
ぎりぎりまで急かされ感を一切受けなかったことも良かった