魚が売りのイタリアン : イルチッチォーネ

連休が始まった週末に渋谷での買い物のついでに家人とランチに行ってみた。
１２時過ぎに渋谷の駅から電話で席があるか確認してから訪問した。

店名は面白い名前で、太っちょという意味だそうだ。
連休で渋谷の中心から離れているので先客は２名ほど。
１３時近くになり３組が次々と入店してきた。
連休中なので昼の出足も遅いのかもしれない。
厨房に男性2名、フロアーが女性1名の体制だ。

スプマンテを貰い、前菜とパスタとメインのランチコースの組立を相談する。
フロアー担当の女性にあれこれ質問していたら、シェフが厨房から出て来て説明してくれた。
気さくな感じで、初めての店なのだがリラックス出来る。店名と同じ様な立派な体格。
食べるのも飲むのも大好きだそうだ。もう1人の男性はシェフの弟だそうだ。

相談の上決めた料理と寸評は以下の通り。
結論としては大変バリューがあるお店だ。
気軽に食べるイタリアンとしてはパスタもメインの魚も十分合格点。
料金はワインも含め財布に優しい。
魚は神経締のものを仕入れており、ねかし方に注意を払っているそうだ。
若い人が気楽に旨いもの食べてワインを飲んで、
ワイワイガヤガヤ楽しむのにピッタリではなかろうか。
我々の様な年輩の者は、週末のランチで軽くワインとイタリアンを愉しみたい。
オーナーとスタッフも気さくで明るいところがこれまたいい。

前菜
ブラックペッパー入りのオムレツ
インカの目覚めとタコとパプリカ
豚の豚足、耳、頬肉などのテリーヌ仕立て
人参、玉葱、ベビー帆立 愛媛産ブラッドオレンジのラペ風
ズッキー二のツナを主体にした詰め物

前菜はどれもいい出来である。手の込んだものはないがどれも真面目に作られている。
インカの目覚めとタコの組合せも良いが、ブラックペッパー入りのオムレツが気に入った。
卵の旨味を楽しんでいると、最後に胡椒のピリッとした辛味が舌を刺激する。
人参と玉葱にブラッドオレンジも組合せとしてはいい。
それに私の好きな所謂フロマージュ・ド・テットが入っているのも嬉しい。
外した料理がなく出だしから期待出来る。

パスタ
シラスと春キャベツの青のりソース　リングイネ
海老と新牛蒡とドライトマトのソース　コンキリオーニ

春らしいものと珍しいものを一品ずつ選んだ。
リングイネは春キャベツの柔らかさがシラスの繊細な魚体とマッチしている。
青のりが殊の外オリーブオイルとマッチしていることにも感心した。
パスタは何故リングイネなのかと思っていたのだが、ソースとの相性だろうね。
少し平たい形状がモノを言っているし、もっちりしているリングイネがこのソースにあっている
これをスパゲティで作ってもこの美味さは出ないだろうな。

コンキリオーネは初めての食べた。二枚貝の貝殻の形をしたパスタだ。
一番感じたのは、皮を剥かずに使っている新牛蒡の朴訥とした土の香り。
いいね〜。凄くいい。これは新鮮な感覚で心地良いが、これだけでは終わらない。
何が驚きか？ドライトマトと海老の旨味が貝殻状のパスタに良く絡むのだ。
絡むと言うより貝殻状のパスタの中にソースが入り込んでいるので、
パスタの小麦の旨さと共にソースをたっぷりと味わえる。
うん、これもいい。

メイン
カジキマグロのソテー
かさごのアクアパッツア

カジキマグロのソテーは火入れが見事であった。
真ん中の部分は仄かにロゼが残り、
皿の上で完全に火が入る様に計算されている。
脂がある切り身ではないが、熟成したことで旨味が膨らんでいる感がある。
取れてからどの位ねかせたか訊くのを忘れたが熟成度合いも良いのだろう。

かさごは普通のかさごではないとのことだが、名前を忘れた。
最近ものが覚えられない。認知症の始まりか。
困ったな〜。尤も困るのは関係者だ。
一緒に煮込まれているのは定番の浅利、オリーブ、プチトマトだ。
オリーブは深いパープルのもの、即ち熟成の高いもを使っている。
味はまあまあ。魚の身が弾ける様な新鮮なものがこの調理方にはあっていると思うが...
旨味は浅利やトマト、オリーブが補うので、新鮮なプルンとした身を楽しみたい。
なにしろGWで漁は休みだろうから新鮮な魚は望めない。
この料理は簡単で、魚を丸ごと使うと見栄えもいいから、家で来客がある時に向いている。
何度もスープ（水）をかけまわすのがこつだ。
あら、またお料理教室になってきた（笑）。

デザート
ライチのソルベとゴンゴンゾーラのタルト
バニラアイスとオレンジのタルト

デザートは何方のジェラートも中々良い出来であった。
それに比べタルトは今一つの感が否めない。
私はデザートはあまり食べないのでいいが、
女性だったらばもう少し頑張ってと言いたくなるかもしれない。

冒頭に結論は述べたが、再度言えば、気軽に使いたい店だ。
次回は愚息達か愚息達の友達を連れて来たいと思う。