とても良心的 : とんかつ衣浦

改めて今更ながらに思うが、とんかつは関西より圧倒的に東京の方が店が多い様だ。無論、関西でも豚肉は食すし、鶏肉、牛肉他の夫々の消費量が果たしてどうなのかという比較を調べた訳でもないが・・・

この店はオフィスの近くに以前からある。昔の同僚を誘い、とんかつなら利き腕が使えなくとも食べることが出来る筈。千切りキャベツも然程、労せずなんとかなるだろとのことで二人で出かけた。未だ、緊急事態宣言が明けての直ぐで、途端に夜の飲食店が賑わうものでもなかろうことからか、客は、当方２人を除けば先客が一人、後で２人が入ってきたのみ。

いきなりとんかつを頼むのではなく、最初のツマミを頼み、ビール中瓶を２本頼み。後はハイボールを飲んでいた。子；津節しているので酒をあまり飲むと腫れるので宜しくないのだが、まあ、程々に飲んでいた。
閉めで、ミックスのとんかつを頼んだ。海老フライも付いている。左手でソースを回すので加減が判らず、不細工な掛け方になったが仕方ない。1,300円程だったか、数年振りに訪れたが、変わらずとても安い。驚きである。
昔の同僚も、少し前に大病をして手術をしたという様なことを仰せであった。当方の手首の骨折どころの話ではない。知らず色々あるのだ。その大半を知らずに年年歳歳ということになる。あまりなんでもかんでも知ろうとするのも問題で、そうすると疲弊するし、知らなくてもなんともならないことが殆どで、情報過多の中では、自分での自制が無いとおかしくなる。
同僚には、それは知らずに大変だったね。もう、再発等は無いの？　という様な事を聞き、お互いおっさんになったの～と愚にも付かないことをしゃべっていたが、久しぶりなので何だか染み入る様であった。それにとんかつが花を添えた形である。とんかつはやはり「陽」に気持ちを向けるので良かったとも言える。

約２年振りの訪問。変わらずヒレかつ・ロースかつ共に１，０００円を切るのは立派。肉の質は然程上等ではないし少し揚げ過ぎの感もあるが、量は充分。本当にサラリーマンの味方である。一人だとカウンターがあるので其処に座ることが出来ればいいが、基本的に相席覚悟が必要。

この値段なので、キャベツのお代わりも無いし、ドレッシングも一種類もない。ちょっと物足りない感じはあるが、やはりとんかつをご飯、味噌汁、漬物のセットで１，０００円を切る価格で出す。そこがこの店の肝である。


（２０１２年８月）
会社の近くにある掘留公園の脇にあるとんかつ屋。この近くには「生駒」という結構歴史のある店もあるが、二つともよく頑張っている。そんな感じである。この店で、驚くのは、まず、その安さである。ロースかつ定食が６８０円。ヒレかつ定食が８８０円。今迄に、これより安い店はちょっと覚えがない。故に、昼時ともなると、出来るだけＣＯＳＴを抑え、且つ、栄養も付けようというサラリーマンで溢れるのである。入口外に券売機があり、そこで、食べたいもののチケットを求めるのだが、まあ、とんかつ屋故、種類もそう多くなく、果たして意味があるのかどうか不思議だが、店に入ると、活きのいいおばさんが、席の配置。注文の伝達。テーブルの掃除と目まぐるしく、キビキビと指示をしている。席はカウンターとテーブル席（４人掛け×３）のみだが、基本的に複数で来た場合は、まあ、別れて座る様なことは余りないだろうが、このおばさんの指示通りに従うということである。

着席すれば、先ず、味噌汁とご飯が運ばれてくるが、揚げものにつきまとう、供されるまで、ゆっくりと待つと言うことが、この店ではまるでない。ほんの２～３分で、頼んだものがロースであろうが、ヒレであろうが、ちゃんと運ばれてくるのである。これは、要するに、注文を受けてから揚げるのではなく、ある程度、毎日の注文数がどの程度であるかを長年の経験で、体感としての統計で、先を読んで揚げているのだろうと思う。決して、揚げる時間に工夫がある訳でもなく、其処は他と同じである。
故に、揚げたてではないのかと思う向きもあろうし、厳密に言えば、その通りだが、これが、まあ、きちんとしたとんかつなので驚く。僕は肉の旨さは値段に比例すると確信するものだが、この店のそれは、要するに、とんかつとして抜群というものではないが、そのＣＰは、驚くべきものである。きちんと溢れる肉汁そして肉そのものの美味さ。揚げ具合もいい。平平凡凡とした変哲のないものだが、これこそ、とんかつというもので、まあ、何故、こんな価格でやっていけるのか首を捻る程である。巷にある凡百のとんかつ屋は、手本にするといい。

結果的に、この値段故に、とんかつ屋では求めにくい客の回転率を上げるスタイルなので、客は、出された食事をもくもくと食べ、食べ終わると、即座に、店を出る。そういう感じである、決して愛想も良くないし、先ず、そういう余裕もない感じだが、この値段での、この内容だから、文句も出ないのだろうな、いつも混雑しているのがその証である。サラリーマンに重宝されているのも宣べなる哉。女性の比率は、かなり低いが・・・