上海風情/蛋と蚕 : 上海風情

ここのところ東京は日照時間が少ないらしく、しかし今日は暫くぶりに太陽が長時間照るので、皆さん安心してたまった洗濯をどうぞ !　と、お天気お兄さんが声高らかに宣言していたが、なんか曇ってるし(笑)。

午後一時を過ぎたところ。当然のことながら、未だ新橋という夜の町の真価は発揮されていないが、こんな新橋も私は好きだ。寧ろ夜の過激な呼び込み合戦には心底閉口してるし。週一くらいで新橋で飲んでいた頃には、酔って駅まで歩いているときにこれをやられて何度も険悪な雰囲気に至ったことを思い出す。
私がもっとも言いたいことは、何故呼び込みが激化するのかといったら、それに“ついて行ってしまうヤツがいる”ってこと。だから呼び込みの人たちばかり責められないのだが、それでも、私はそもそも職業差別の感覚なんか持つ人間じゃないんだけど(これは自分がアスペルガー症候群ということにも依る)、あまりにもしつこくついてこられると反撃の目的で仕方なく、「もっとちゃんとした仕事探したほうがいいよ」って何回も ……

―― それが一番効果的な返しだからつい。無礼なヤツらにはこちらも礼儀を守る必要なんかないと私は思っているんで。そしてもういい加減、そういうケンカ商売もNo,thank you.だよ ……

<H30.12.13 新橋>

「上海風情」

階段を下りてフロアに下り立つと、先ずお店のお姉さんがこちらに気付いてくれたが、手が空かない為かとくに交通整理をしてくれる気配もない。なので勝手に奥へと足を進めてみる。で、適当なところはと彷徨って死角の多いパーティションの奥へと突っ込んでしまい、これではお姉さんの目からロストされてしまうのではと一瞬不安になったが、なんのこっちゃない、お姉さんは私の直ぐ後ろからコップの水片手に無言で(笑)ついてきてくれたようである。
しかしこのチャンスを逃したらヤバいだろうと、店頭である程度目星をつけていたものを、そこで間髪を容れずに注文させていただく。

BGMはJAZZ。煙草はOK。すこし落ち着くと、常連さんなのであろうか、いつもの五人部屋は空いてる ?　といった感じで複数名のお客さんたちが下りてくるが、そのくらいは余裕で許容するようである

“香腸炒蛋/ウィンナーと玉子炒め” @700也

品書きにこの四字熟語だけを見つけたのであれば、絶対に注文しなかったろう。どう見てもその字面(じづら)はなんか奇っ怪な感じである(笑)。
(蛋っていうのはおそらく、卵のことなんでしょうね。それが蚕(かいこ)に見えちゃうから構えちゃう/笑。蚕とか腸とか、どう見ても江戸川乱歩入ってるでしょ)

キクラゲが混入されていたが、しっかりしていて反発力があるので除去はわりと簡単、皿の隅に除けながら食べ進む。ご多分に漏れず卵はたくさん使っていると思うが、極端なボリウムでないことが良かった。ご多分に漏れず、ご飯は量産中華屋でよく出てくるやつの、例の圧縮盛り。ご多分に漏れず、スープが若干ぬるいか(笑)。そして“ウィンナーと～”と、ウィンナーを頭に持ってきたわりには、ウィンナーの存在感が希薄過ぎやしないか。

まあでも、杏仁豆腐もついてこれで700円だったら、十分だと思う。
まず美味しいしね。その美味しさを私に分析させていただければ、それはまさしくオムレツに醤油かけてやったときのそれで、要は醤油と卵の相乗は常に美味しい、ってこと ♪

お会計も内税で、ほんとに700円ジャストの明朗会計。
ふたたび階段を上って白日の下に身を晒せば、まさか雨粒が落ちてきているではないか !　これで明日の朝、あのお天気お兄さんは全日本国民に向けて謝罪することになるだろう(笑)。

私はそんなことまったく不要なことだと思う側の人間だけど、世間において、まさか自然現象である天気がほんとうに人間に予知できるもののように錯覚してしまっている、そんな非科学的な人たちが幅を利かせているから始末が悪い。
そしてそういった人たちに向けてポーズで謝罪するということが日本人の思考停止を促進し、自分たちマスコミによる大衆操作を円滑なものにするとの明確な意思に基づいてそれを毎度実行するということこそが、“爽やかな”朝のお天気お兄さんの仮面の裏に隠されたほんとうの邪悪なのであって、そういう意味ではお天気お兄さんに怒ってもいいんだけど、怒りどころが違うわけよ。

―― だから予報を外して謝るお天気お兄さんには、ほんとうなら、私たちはそんな子供じゃないから !　雨具の用意の判断くらい自分でできるから !　って怒んなきゃいけない。まあ良くも悪しくも、それが日本人ってことなんだろうけどね ……