【★3.8】30,000円のファストフード【2644】 : 新ばし しみづ

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おまかせコース（30,000円、内税）滞在時間：約1時間40分

新橋鶴八（3.78）出身の清水邦浩親方が腕を奮う同店（3.97）。
酸味の立った赤酢の酢飯で勝負する江戸前の正統派、なお店内撮影禁止となっています。
ネット予約サイトOMAKASEで空き枠を見つけてお邪魔しました。

ツケ場前の直線カウンター7席のみ。
寡黙な親方、若い男性のお弟子さん3名、計4名でお店を切り盛り（全員が坊主頭）。
この日はお客さんの過半数が海外ゲストでした。

卓上の小皿に生姜の甘酢漬け（ガリ）が用意されており減ればすぐに補充されます。
甘さ控えめといったドライな口当たり。
このあたりも正統派を思わせる味付けでしょうか。

白木の見事なカウンターは高級店といった趣（おもむき）。
一方で椅子は居酒屋といった背もたれも無い丸椅子。
これは長っ尻を想定しない、鮨の源流にあるファストフードとしての矜持かも知れません。

感想を総論的に申し上げると30,000円でも相対的には安く思える内容。
都心の40,000円～50,000円も取るような食べログ超高評価鮨店に匹敵（或いは凌駕）。
もちろん下町や地方を探せば更に安い優良店も在るのですが、
同店は新橋という都心に在るのです（代償として椅子の座り心地は最低クラスです）。
下記の通り飲み食いして、お支払い総額35,800円でした。

キリンハートランド中瓶
日高見 超辛口 純米酒（1合ぐらいの徳利）

・おまかせコース（30,000円）

～おつまみ～
01.わかめ（煎り酒で）
02.お造り（鮃、真蛸、本わさび）
03.真牡蠣煮浸し
04.雲子（真鱈の白子）ポン酢
05.鰤（ぶり）の炙り
06.ホッキ貝のヒモ串焼き
07.アンキモ煮付け
08.海鼠（なまこ）酢
～握り～
09.真鯛
10.スミイカ
11.細魚（さより）
12.赤身
13.中トロ
14.大トロ
15.小鰭（こはだ）
16.平貝
17.煮蛤
18.春子（かすご）鯛
19.赤貝
20.鯖（さば）
21.ホッキ貝
22.車海老
23.バフンウニ軍艦
24.煮穴子（半分は塩で半分は煮詰めで）
～追加～
1.鰤（握り）
2.ネギトロ細巻き
3.干瓢細巻き

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点、表示価格は内税です

【3.3】わかめ（煎り酒で）

煎り酒と合わせるのが同店の定番のようです。

・お造り
【3.8】鮃【3.7】真蛸

カウンターの目の前に出された鮃と真蛸（真蛸は生ではなくてボイル済み）。
鮃は先ほどの煎り酒で、真蛸は塩で食べるよう推奨されます。
少し活かったようなコリコリ感を残す鮃からは旨味もしっかり感じられて良質。
やや弾力を残す火入れの真蛸は僅かに水っぽさが気になるも好みの食感。

【3.6】真牡蠣煮浸し

クリーミーな口当たりですが旨味アッサリ系、大粒で食べ応えには富みます。

【3.5】雲子（真鱈の白子）ポン酢

お弟子さんが湯掻いていました。
年が明けてそろそろ雲子が旬を迎えるはずですが、脂ノリや濃厚感に少し欠けるでしょうか。
ポン酢の酸味のほうが目立ちます。

【3.7】鰤（ぶり）の炙り

お弟子さんがガス火で炙っていました。
脂ノリ抜群なのですが、富山現地で食べた氷見産と比べると、脂がぼやけています。
ガス火が必ずしもダメというわけではないですが、
藁焼きや炭火焼きで食べさせるお店のほうが好印象。
とはいえ醤油ベースであろう甘めな味付けと薬味の芥子との相性の良さはなかなか。

【3.8】ホッキ貝のヒモ串焼き

内臓的な部位（ヒモ、ワタ、貝柱）を串に打って炙っています。
これは日本酒のアテに最適。

【4.1】アンキモ煮付け

大量のアンキモをタッパーで漬け込んでいます。
こんなに消費できるのかと思っていたら超大振りカットでドカーンと出てきました。
脂っ濃いので薬味の本わさびと合わせながら。
クリーミーで濃厚な味わい、蕩けるような口当たりも最高です。

【4.0】海鼠（なまこ）酢

茶振りにしているのか分かりませんがフルフルやわらか。
シコシコした歯応えも適度に感じられて火入れが抜群に上手いです。
高級店ならでは穏やかな酸味使いも海鼠の美味しさを引き上げていました。

【3.8】真鯛

ネットリやわらか熟成タイプですが酢飯との絡みは良くてまずまず。

【3.6】スミイカ

過度に包丁は入れておらず（酢飯とは絡みにくいですが）スミイカの身の歯応えを楽しめます。

【4.0】細魚（さより）

12月になってから江戸前の某老舗天ぷら店も細魚を使い始めていますが、
もう脂ノリが良くなっているのでしょうか。
（ネット情報によれば3月から5月が旬となるようです。）

硬めに炊いた大粒のお米に赤酢を合わせ、しっかり酸味の立っている同店の酢飯。
どちらかと言えば大振りに握っており淡白なタネでは酢飯に負けてしまうのですが、
この細魚は脂が強いからか酢飯とマリアージュして感動的な美味しさに。

【3.6】赤身

高級店ならでは酸味を感じる爽やかな本鮪。
ゆえに脂ノリに乏しい赤身では同店の酢飯に負けてしまうようにも。

【4.2】中トロ
【4.1】大トロ

ということで脂っ濃いトロには凄まじい相性の良さを発揮する同店の酢飯。
高級店ならでは脂の爽やかな中トロに酢飯がマリアージュ。
大トロも悪くないですが中トロよりも脂の旨味がぼやけており、
バランスの良い中トロの握りが本日の白眉といった美味しさでした。

【3.5】小鰭（こはだ）

そこそこ強めに酢〆してあり、同店の酢飯では酸がやや行き過ぎにも。
トロの後の口直しとしては一般的にこれぐらいの酸が求められるのでしょう。

【3.7】平貝

シコシコ歯応えを楽しめて美味しい平貝ですが淡白ゆえ酢飯に負けてしまう部分も。

【3.9】煮蛤

この酢飯には煮詰めを塗った江戸前の定番が良く合います。

【3.7】春子（かすご）鯛

そこそこ酢で〆てあるのですが、同店の酢飯と合わせるのであれば酢〆が蛇足にも。

【4.0】赤貝

フレッシュで良質、大振りで食べ応えに富み抜群に美味しい。

【3.9】鯖（さば）

酢で〆ていますが鯖の脂ノリのほうが勝っており美味しい。

【4.1】ホッキ貝

おつまみで端っこを炙っていましたが真打ちは握りで。
肉厚ミルキーなホッキ貝が同店の酢飯とマリアージュ。

【3.7】車海老

ホクホク甘い茹で車海老、大振りで食べ応えあるも、
甘みと大振りな点が少し酢飯との齟齬を生じてしまうようにも。

【3.7】バフンウニ軍艦

良質なウニとは思うのですが提供温度の低さが少し気になるところ。

【4.1】煮穴子（半分は塩で半分は煮詰めで）

トロトロに蕩けるような脂ノリの良さにウットリ。
1週間ぐらい前に某食べログGOLD鮨店で食べた穴子はパサパサでガッカリしましたが、
同店の穴子は桁違いに美味しかったです（同店も食べログBRONZE鮨店ではあります）。

【3.8】鰤（握り）

おつまみで食べて脂ノリの良さは分かっていたので勝ち確定。
炙って脂を落とすよりも、同店の酢飯と合わせるほうが活きるように思います。

【4.0】ネギトロ細巻き

ネギトロというよりも「葱入りのトロ鉄火」といったイメージ。
同店の酢飯がトロとマリアージュするのは前述の通り。
トロの切れ端のような部位を使っていますが十分に滑らかな口当たりで美味しい。

【3.5】干瓢細巻き

甘さ控えめオトナ味といった、上品な甘辛さの干瓢巻き。
ネギトロの後なので分が悪かったですが江戸前の定番がきっちり美味しいです。