【1416】畜産副生物まで「大山黒牛」 : 焼肉 強小亭 銀座

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大山黒牛処 強小亭（鳥取県米子市）が銀座に進出。
2017年の和牛オリンピック肉質部門で日本一に輝いた「大山黒牛（だいせんくろうし）」の専門店。

お肉を食べてみた総論的な感想としては、肉質やわらか霜降りでありながら脂アッサリ。
銀座コバウ、うしごろ銀座店などの仕入れ先である吉澤畜産の牛肉を思い出しました。
筆者は濃厚嗜好なので脂がもっとコッテリしているほうが理想ではあるのですが、
このエリアで絶大な支持を受ける吉澤畜産の如き大山黒牛の実力は確か。

東京の芝浦食肉市場では畜産副生物（いわゆるモツ・ホルモン）の銘柄指定が不可能で、
ブランド牛のタン、ハラミ、レバーなど内臓系の部位にはなかなか出会えないのですが、
同店はタン、ハツ、インサイド（ハラミに近い部位）まで大山黒牛という強みも持っています。

銀座らしくお洒落な意匠の店内で、油跳ね防止のエプロンが紙ではなく厚手の布エプロン。
卓上の窪みにガスロースターが設置されており焼肉は全てスタッフの手で焼かれます。
客は自らの手を汚すことなく出てきた料理をひたすら食べるだけでした。

生 サントリー マスターズドリーム（700円）
瓶 キリン 一番搾り（900円）中瓶

スタンダードコース（定価15,000円→クーポン等で割引）

01.季節の前菜（大山黒牛 炙りユッケ、牛タン有馬煮 南瓜ソース、季節野菜の冷やし鉢、活けタコの胡麻酢和え）
02.寿司（雲丹肉巻き むらさき醤油 山葵油）
03.椀物（肉吸い 松茸 焼栗）
04.先焼き 2種（ランプ 牛タン）
05.生野菜（鳥取産 根菜と金山寺味噌）
06.中焼き 2種（ハツ インサイド）
07.逸品（冷製 黒鮑の茶碗蒸し）
08.焼きしゃぶ（シンシン 蛤の御出汁）
09.すき焼き（サーロイン 天美卵）
10.食事（鳥取産ご飯 時雨煮 スープ）
11.甘味（季節のフルーツ）

まずは高級店ならではの合法ユッケ、かつて庶民も楽しめたユッケですが今となっては高級料理。
卵黄だけでなく松の実、湯葉、アボカドと入っていて食感が面白いです。
生肉ならではの大山黒牛の滑らかな肉質に舌鼓。

やわらかなタン有馬煮の下には里芋、上にはカボチャソースとキャヴィアが乗っています。
季節の野菜はナメタケのようなキノコ、冬瓜、ナス、サツマイモ。
タコ胡麻酢和えの上にはイクラと蟹肉も盛られて豪華絢爛。

今ではすっかり定番の組み合わせとなった「うにく（雲丹＋牛肉）」。
寿司として出てきているだけあって土台は酢飯で、シイタケ旨煮、銀杏、そしてガリも添えられています。
北海道のムラサキウニを使用しているそうですがボリュームたっぷり。
1万円クラスのお高め鮨店が扱うようなレベルのウニで、安物のウニとは美味しさの次元が異なります。

椀物は肉吸いとのことですが、大阪の大衆的な肉吸いとは一線を画して出汁が割烹のお椀のよう。
そして使われているお肉が、大山黒牛のカルビの切り落としのような、脂ノリノリな部位で美味しいです。
欠片ほどの量とはいえ吸い口に信州の国産松茸が使われているのは嬉しいところ。
他に焼き栗、ニンジン、ジュンサイも入っていました。

焼肉はランプ、タン、ハツ、インサイド（ハラミに近い部位）。
ガスロースターでスタッフが適切に焼いてくれます、レアーな火入れをリクエストすることも可能。
前述の通りタン、ハツ、インサイドといった内臓系の部位まで大山黒牛。

ちなみに単品メニューを見ると、極みタン3,600円、ハラミ3,000円、ハツ1,200円でした。
大山黒牛の畜産副生物ということで希少価値が高いのでしょう。
モツラーとしてはブランド牛のホルモンを味わえるだけでも貴重な体験です。

口直しの生野菜は、エシャロット、ミョウガ、ナス、オクラ、トマト、ブロッコリーなど。
アクセントに抹茶を入れたビーツのドレッシングや金山寺味噌と合わせて楽しみます。
大山産というシットリ滑らかな生ハムも乗っているのがさりげなく嬉しい。

焼肉店だけでなく割烹の要素も出そうとしているように見える同店。
高級食材の黒鮑を冷製の茶碗蒸しに仕立てています
上には和風出汁のジュレと「もって菊（紫色の食用菊）」。
茶碗蒸しの中には細かい黒鮑と大根が入っており、大根の効果かサッパリ系の茶碗蒸し。

焼きしゃぶ用にシンシン登場。
シンタマの一部であるシンシンは、和牛以外の牛では赤身肉であることが多いですが、
流石は大山黒牛のシンシンだけあって霜降りが素晴らしいです。

シンタマは水分量が多いので焼肉よりしゃぶしゃぶに向いているという意見もありますが、
このように焼きしゃぶにして蛤の御出汁と合わせるというのは確かに良いアイディア。
アッサリした脂の霜降りシンシンが蛤出汁、大根おろし、とろろ、九条ネギと相性良し。

最後は「王道」とも言えるサーロイン。
ジャンボ（篠崎）のスペシャリテ野原焼きのように、こだわり卵で「焼きすき」に仕上げます。
筆者が濃厚嗜好なこともあってかサシ入りまくりのサーロインが本日の白眉。
これだけサシが入りながらアッサリと楽しめる肉質なのでオリンピック日本一なのでしょう。

サーロインの焼きすきはタレの味が強いので鳥取のコシヒカリとも合わせていました。
個人的にはもっと硬い炊き加減でも良いのですがお米の美味しさは確か。
おかずとしてトロトロやわらかな時雨煮、セロリの漬物、紫蘇昆布、更に赤出汁。

甘味はブルーベリーバニラジェラート、レモンのブリュレといったスイーツに、
季節のフルーツとしてフレッシュなスイカ、梨、ブルーベリーと果物も添えられて。
レモンを爽やかに効かせながら濃厚なブリュレが個人的には気に入りました。