【大御所の料理を久しぶりに】 : GINZA TOTOKI

1990年代銀座レカンのシェフだった十時さんとはその頃よく色んなレストランを食べ歩いていた。

レカンから独立した時の「レディタン　ザ・トトキ」の開店時には少しオープンを手伝った。そして9年前の2013年に「GINZA TOTOKI」にリニューアル。実は申し訳ないがリニューアル後は全然訪問してなくて今回初訪問。

ランチにお邪魔して、お任せで適当に少なめにメインを2種、その前に前菜2品と言う構成で出してもらうことにした。
まずは昼からシャンパンをいただく。

前菜は「北海道とうもろこしのソフトクリーム」から。…上部はとうもろこしの生クリーム、下の方にはとうもろこしの粒々入りソフトクリームが入っていて、上品に甘くて美味。粒々の食感までもが美味しい。

ここでパンとバターが提供される。
パンはフランスから半冷凍で取り寄せているもの。冷凍モノだから美味しくない、と言うことはなくかなりちゃんと美味しい。

そしてバターは日本製と、もう一つはイタリア「BEPPINO OCCELLI （ベッピーノ オッチェリ ）」と言う発酵無塩バターが提供される。
断然後者がパンの美味しさを引き立てる。

前菜2品目は「岩手産のキタムラサキ雲丹と佐渡島の糸もずく」…久慈に近い岩手県沿岸部最北端の洋野町（ひろのちょう）で獲れた一番美味しいと言われる4年ものの「4年ウニ」を使う（5年経つと苦味が出る）。ウニの周りには佐渡島の糸もずく。実はこの組み合わせ、糸もずくがウニの甘さを引き立てる。面白いなぁ、こう言う発明。もずくにはわずかに塩味をつけているかも知れないが酢味ではなく自然な味わい。

ここでパンの追加。…中に粒オリーブそのものが入っている「オリーブ入りパン」…これも美味しいし、イタリアバターとの相性もとても良い。これもまたフランスから持ってきているパン。
…なかなか便利な世の中ですね。

十時さんはさっきのウニと言い、このパンを活かすバターと言い素材を何でどう活かすかを常に考えているのかも。

「島根県産の天然鰻」…島根県益田市に流れる国交省の水質調査で何度もNo.1になった清流『高津川』で獲れた天然鰻を一つは軽く焼いて蒸した『白焼き』にしてフランス料理風にアレンジ。胡瓜の爽やかさと、鰻自体の筋肉質のような心地よい歯応え。鰻そのものの味をしっかりと感じながら、上品な味わいが伝わってくる。
　もう一つは「パートブリック（＝フランス料理に使う薄い丸型のクレープ状のもの）」…パートブリックに包まれた中身には鰻と少しのバターライスが入る。絶妙な旨さ。
全然違う天然鰻2種のメニューを食べられるなんて、なんて贅沢。

もう一品…「佐渡仔牛」
年間に佐渡からわずか2頭しか出荷されていない中でその一頭の貴重なお肉をいただく。手前はリブロース。脂は乗っているが脂切れがとても良い。旨味と脂の甘みが特徴的。

後ろ側はリブロースを覆っている脂の部分。
これまた脂が美味い。
横には赤大根おろしが添えられ、そこに柚子胡椒を足して脂と一緒に食べるとサッパリと食べられる。その他、2年間雪室で熟成した長芋、同じく2年間雪室で熟成したジャガイモ…これはもう甘さがサツマイモと思うくらいにめちゃくちゃ甘い。今まで知っているジャガイモの味を想定して食べると衝撃を受ける。

「デザート」…フレッシュな桃と桃のコンポートの二重奏。上は寒天に覆われているが、桃だけで食べると飽きも来るが、この寒天食感が絶妙に変化をもたらし、役に立つ。
桃そのものも美味しいし、コンポートも甘すぎず、桃のシャーベットやミントのシャーベットもアクセントになっていて美味。

食後はコーヒーと一緒に「カヌレ」や「ゼリー」、「ガレット ブルトンヌ」などのミニャルディーズ。
さらには「カボチャのチーズケーキ」までいただいてしまった。…バスク風のねっとり濃厚タイプのものではなく、和風チーズケーキといった感じのイメージ。
　チーズたっぷり、かぼちゃしっとり。これから季節ごとに変化させたチーズケーキにチカラを入れるそう。少し前はマンゴーだったそう。多分秋はアレだよね。

久しぶりにゆっくりお話しできて楽しく過ごさせてもらった。次の予定が夕方で、時間に余裕があって良かった。結局滞在時間3時間（笑）。それだけ楽しく美味しかったということ。

またの再会を約束して、店をあとにした。次はなるべく、早めに来ないといけないな。