明治・大正・昭和。。。激動の時代を生き抜いた”正統派にっぽんの洋食”　そして平成の世に受け継がれ。。。 : 煉瓦亭

映画「小さいおうち」を観たいという義母（はは）の要望に応え、銀座にやって来た。

「ごめんねぇ～！ふたりの邪魔をしちゃって。。。」
「いえ、いえ！積極的に歩かないと足から弱っていきますから」

８人兄弟の末っ子の義母は今年喜寿を迎える。
大変に聡明な家柄で育ち、この年齢にもかかわらず、大学の英文科を首席で卒業したらしい。今でも月に１０冊以上の文献を読み漁り、そこで得た色々な情報を我々に教えてくれる。
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前日の『天麩羅つな八』と同じ導入文じゃねーか！ぽかっ(._+ )☆＼(-.-メ) おいおい

そんな義母は「小さいおうち」の主人公、布宮タキと同じ東北の生まれ。晩年のタキを演じる倍賞千恵子とは同年代だ。
小説同様、激動の時代を生き抜いて来た義母がどんな人生を歩んで来たのか、多くは語らないが、映画を観終わった時、ひと粒の涙が頬に光っていた。

映画「小さいおうち」は、作家中島京子の直木賞受賞作を、日本映画界の巨匠”山田洋二”がメガホンを取り、出演した黒木華（はる）が第６４回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞（銀熊賞）を受賞したことでも話題になった。
元女中のタキが、自身の回想録を元に、かつて奉公していた「赤い三角屋根の小さいおうち」に住んでいた平井家のことを顧みながら、ある「密やかな恋愛」について回顧する物語。昭和初期から次第に戦況が悪化していく中での東京の中流家庭の庶民の生活が描かれている。

昭和という時代は、義母にとって人生の2/3を過ごしてきた青春そのものであった。
昭和は遠くなりにけり、されど人の心に深く刻めり！

（閑話休題）
料理とは全く関係のない導入文になった。要は「小さいおうち」を観に行き、銀座の『煉瓦亭』でランチを愉しんだということだ。

映画を観終わると丁度いい時間になった。
「何が食べたいですか？」
「○○さんにお任せしますよ。私は何でも食べられますから。。。」
義母は絶対に自分の希望を主張しない。あれがいい！これがいい！となかなか決まらない義母の娘とは大違いだ。（笑）

映画に感化された訳ではないが、少しでも義母に喜んで貰おうとの思いから、昭和の香りを色濃く残す『煉瓦亭』を目指す。休日の昼時ということもあり、店頭には年配の方々を中心に数人が席待ちをしていたが、回転が早く１０分ほどで席に案内された。

●元祖オムライス
玉子料理が好きな義母は”元祖オムライス”
戦時中は玉子も貴重品であったため、その時代に憧れたものは幾つになっても好物だという。元祖はご飯がケチャップライスではない。此れは元々、玉子にご飯を混ぜて焼き上げた賄い料理として作られたことに由来するとのこと。鈴木ちなみに元祖は『煉瓦亭』であるが、発祥は『北極星 心斎橋本店』といわれている。

●スパゲテーナポリタン
”スパゲティ”ではなく、”スパゲテー”なのだ。
わが家のナポリタンは、ケチャップたっぷりで味付けをしたが、流石に此方のナポリタンは濃厚なトマトソースで作られている。酸味が強く、上品なタイプのナポリタン。B級グルメの代表料理だが、此処の”スパゲテー”はB´級の美味さだった。

●カニクリームコロッケ
”カニ”クリームコロッケに”カニ”が入らなくなって久しいが、此処のコロッケには２匹は”カニ”が住んでいる。
口に入れた瞬間にカニの風味はフワァ～！と広がり、カニ好きは”口福”感１２０％必至！揚げ上がりも完璧、サラッ！サクッ！サッパリ！の３Sを実現している。

●カキフライ
冬期限定Menuのカキフライ。
岩手県北三陸産の大ぶりの牡蠣を使用していることから、大震災以降２年間はMenuから消えたそうだ。
２年ぶりに昨年復活を遂げたカキフライ。揚げ物に定評がある此処のカキフライが美味くない訳がない。自家製のタルタルソースも酢が立っておらず実にバランスがよい。
この冬食べた”カキフライ”中で、間違いなくNo.1の”カキフライ”だ。

●ビーフシチュー
このデミグラスソースの深い琥珀色をみていると吸い込まれてしまいそうだ。
もう言葉にできない美味さだ。口に入れた瞬間にホロッと崩れてしまうほど柔らかいビーフがゴロゴロと入る。
自家製バゲットを頼み、ソースの１滴まで掬って食べよう。

「やっぱり”日本の洋食”は美味しいねぇ～♪結婚で上京した時に初めて食べたオムライス。。。美味しかったねぇ！」
明治・大正・昭和。。。激動の時代を生き抜いた”正統派にっぽんの洋食”　そして、この味は次の世代に確実に引き継がれていくことだろう。(*¨)(*･･)(¨*)(･･*)うんうん