東銀座の老舗フレンチ。お料理は秀逸でシェフの自信とこだわりを感じますが、グラスワインはちょっと違うかな。食べログフレンチTOKYO百名店2023＠東銀座 : ル・ジャルダン・デ・サヴール

先日、休日にこちらのフレンチに行っていました。「ル・ジャルダン・デ・サヴール（Le jardin des saveurs）」さん。日比谷線・浅草線の東銀座駅から徒歩３分くらい。大江戸線の築地市場駅から徒歩５分くらいでしょうか。JRの新橋駅からも歩いて行ける距離ではあると思う。新橋演舞場の近くにお店はありました。

外観は真新しい感じですが、このジャンルではかなり老舗の部類に入るフレンチだと思います。歴史と伝統、シェフの長年の積み重ねを感じられるお店。入口を入ると階段があって、そこを下に行くとカウンター８席のみの小さなお店がありました。弧を描くような劇場型のカウンター席。面白い席配置です。こちらは食べログフレンチTOKYO百名店２０２３＆２０２１と２年選出されているほか、The Tabelog Award Bronzeを２０２１、２０２０、２０１９、２０１８、２０１７、２０１６と６年受賞しているみたいです。好みは人それぞれなので、私自身それほど他の方の口コミに影響される方でもないですが、一般的に見ると、かなり評価が高いフレンチレストランだと思います。

完全予約制で、事前にメインを魚か肉か選択しておくというシステム。仕込みから含めてシェフのこだわりをビンビン感じる。このクラスのお店には珍しくサービス料は別には取っていない。食べログのページによると、税、サービス料込みだと書かれています。なるほど。結論から言うと、お料理は秀逸だと思います。素材も良く、調理も丁寧。シェフの話しぶりを聞いていても、しっかりと自分の筋があって、そこに向かってブレてない。客に迎合する感じもない凛とした職人という感じでした。しいて言うなら、私は、お料理もさることながらワインにも関心があるので、それ込み込みのコメントです。


私は、こちらのランチコースを選択。お料理は肉を申告しておきました。

ランチコース　５品　６０００円(税込)

ですね。お料理の内容は

アミューズ（つぶ貝、冬瓜をサフラン風味のゼリー寄せにしたもの）
福島県産川俣シャモのバロティーヌ
人参のポタージュ
肉料理のメイン（和牛ホホ肉のパン粉焼き（私が付けた仮名））
デザート


最初のお料理は、アミューズですね。これはつぶ貝と冬瓜をサフラン風味のゼリー寄せにしたものだそうです。表面には磯の香り。中はプルっとした食感とつぶ貝のコリコリっとした食感がアクセントになっています。コクのある美味しいゼリー寄せです。美味しいですね。

これは白ワインだなと思いグラスワインをチョイス。ただ、こちらは白は１種類のみ。赤はブルゴーニュルージュ（ピノ）とサンテミリオン（メルロー主体）の２種類がありました。あとはシャンパーニュもあります。やや選択肢は絞られている感じか。その点はちょっと残念な気もしなくはない。もちろん、グラスで何本も開けてしまうと状態が悪くなって廃棄率が上がってしまうので、回転がいい今風のワインバルなんかでもない限り、そう多くのワインをバイザグラスで提供することは少ないのかもしれない・・・。

その日の白はマコンのヴィラ―ジュでしたので、それをお願いしました。

Verget Mâcon Villages Terres de Pierres 2018
ヴェルジェ マコン ヴィラージュ テール・ド・ピエール　グラス　２５００円

名前のとおり、マコンのヴィラージュですね。ジャン･マリー･ギュファンが８０年代からやっているネゴシアンがこのメゾン･ヴェルジェです。ジャン・マリー・ギュファンはシャルドネでは割と有名な作り手だと思います。ギュファン・エナンというドメーヌを経営していて、ネゴシアンもしているという感じでしょうか。一般的なネゴシアンは、自分で畑を持たず、ブドウ栽培家やドメーヌからブドウやワイン果汁を購入して、醸造・熟成・アッサンブラージュし、瓶詰めして販売します。彼は自分の畑もあるけど、ネゴシアンもしているという感じ。どっちかというと自社畑のドメーヌの方が高くなりがちなんですけど、ネゴシアンは一つの畑の不作などの影響を受けない（ブレンドを変えればよい）ので、安定した品質を維持できます。あんまりパッとしなかったマコンを押し上げた作り手の一人だと私は認識していますが、いかに。

味わい的には、まぁ、マコンヴィラ―ジュであることを考えれば美味しい部類だと思います。レモンイエローの色味。柑橘系もありますが、マンゴーや杏子のようなニュアンス、ミントのような感じもありますかね。酸は割とシャープに感じられました。アルコール度数も１３％でているので、ブドウの成熟度は高そう。複数の土壌のブドウを合わせているようで、シュールリーも数か月しているようなので、ブドウのコクというか風味を白にしては感じられる１本かなと思いました。ただ、まぁ、これサービス料込みだとしても、グラス１杯２５００円は高い気がするな（笑）。そこまでのワインではないので。自分で家でテーブルとして飲むなら・・・とは思うけど、お店で積極的に選択して飲むほどのワインではないかも。値段はネットで見てみれば分かりますが、１本３０００円くらいであります。この値付けをどう考えるかはお任せします。

次のお料理は、福島県産川俣シャモのバロティーヌですね。これは福島県産の川俣シャモをひらいて、その中にフォアグラ、豚足、鳩の肉などを詰め物としたバロティーヌだそうです。シャモから取った出汁にヴィネガーを加えた物をソースとしてサラダに添えているとのことです。贅沢なお料理ですね。味は濃厚で美味。様々なお肉が川俣シャモの中で一つになっている感じ。フォアグラや鳩の肉などが入っているので、多少の臭みなどがあるのかな？と思っていましたが、そんなこともなく、確かに野性味はありつつも、上品で、クラシカルなフレンチ食材を丁寧にまとめてありました。これは美味しいですね。オススメのお料理。

続いて、人参のポタージュですね。これもかなり丁寧に処理されている印象。これ本当に人参のポタージュなのか？と思うくらい滑らかで上品な味わい。久しぶりにこのくらい丁寧な人参のポタージュを食べた気がします。人参のおいしさを感じられます。

メインの肉料理は、和牛のホホ肉をパン粉をつけて焼き、そこにフランス産ピクルスとマスタードを使ったソース。紫タマネギをローストした物と小松菜が添えられていました。ホロっとほどける牛ホホ肉も美味しいのですが、このソースが秀逸ですね。凄く美味しいソースでした。ピクルスとマスタードとおっしゃっていましたが、ちょっと酸味があってすっきりしたソースです。

お肉に料理に合わせて赤ワインを飲んでみようと思いサーブの人に一応、聞いてみる。もちろん、ワインメニューを見ればある程度のことは分かるのですが、どう考えているのかを探るためにも、いつも聞いてみる。ただ、正直、ワインのサーブの方はたいした知識はなさそうな印象。ブルゴーニュルージュとサンテミリオンの２種類だったので、ブルゴーニュルージュはピノノワール、サンテミリオンはジロンド川の右岸なのでメルロー主体なのは火を見るよりも明らかではある。何か料理とのマリアージュの観点からアドバイスがあるかな？と思いましたが、特にはなかった。うむ・・・。

まぁ、そうなると気分でいいや。と思い、ややヴィンテージが古めだったので、どんなもんかな？と思いボルドーを選択しました。

Chateau Montroc Lussac-saint-émilion 2007
シャトー・モンロック　グラス　２５００円

エチケットを見ると、Lussac-saint-émilionの記載があるので、サンテミリオン衛星地区でも最北のリュサックのワインのようですね。まぁ、ここら辺も試験的にはワインの試験では良く出ます。最北とか最南、最小、最大とかね・・・。当然ながらメルロー主体のワインです。ネットで調べると、ブレンド比率はメルローが８０％、カベルネ・ソーヴィニョンが１５％、カベルネ・フランが５％ほどブレンドされているようです。　

色味は濃いめのガーネットダークチェリーレッドという感じ。果実味も結構ある気がする。赤系果実というよりは黒系果実の印象。メルローらしさもあるにはあって柔らかな印象。でタンニンはしっかり。何となく樽香も感じますかね。アルコール度数は、１３％でしたかね。余韻はほどほど。まぁ、悪くはないけど、これもあんまりピンと来なかったかなぁ。ちなみに、こちらも値段はネットで見ると１本２５００円から３０００円くらいが相場のようです。やはりこれも値付けについては思うところがあるかな。まぁ、判断はお任せします（笑）。

最後にデザートですね。杏子を使ったデザートだそう。底が杏仁豆腐。上の方はアイス状になっているみたい。ムースグラスなどと説明していたかな。杏仁が好きなので美味しくいただけました。飲み物はコーヒー、紅茶、ハーブティーがあるとのことでしたので、私は例によってハーブティーを選択しました。すっきり美味しい。

店内の様子ですが、前述のとおり、弧を描いたカウンタースタイル。シェフの劇場のようです。コートをかけられるハンガーラックのほか、荷物カゴもあったと思います。店内はクラシックの音楽が流れています。お料理はかなりしっかりしたフレンチという感じで美味しいと思います。シェフも職人気質で自分の道を突き進んでいる感じ。一方で、ワインについては、もう少しアップデートがあっても良さそう。正直、マコンもそうだけど、悪い作り手ではないものの、クラシカルな作り手以外にも最近では若手の良い作り手もどんどん増えていますし、選択肢があっても良さそうですね。私の中ではグラスの値付けはワインその物の値段に比して強気認定です。お会計はクレジットカードが使えます。便利ですね。シェフは声が大きくグイグイくるタイプ。一方ドリンクをサーブする人は体がデカい割には妙に物静かという不思議な組み合わせでした（笑）。

ごちそうさまでした。長年のシェフの経験と自信に裏打ちされた料理は秀逸ですね。６０００円程度のコースでもその一端は十分感じられそう。一方、ワインはそれに比べると驚きや感動はなし。サーブの人もイマイチな感じでした。総合的に見るとこのくらいの評価になりますが、良かったらお試しあれ。