神無月サスケさんが投稿した京料理 卯柳(京都/京都市役所前)の口コミ詳細

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神無月サスケ (40代後半・男性・福岡県) 認証済

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京料理 卯柳三条、祇園四条、三条京阪/日本料理、ふぐ、天ぷら

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2013/12 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

京懐石のフルコースを本場京都の先斗町で初体験。素晴らしさに未だ余韻が冷めません

京都の四条の鴨川沿いに、高級なお店が並ぶ通りがあります。それが先斗町(ぽんとちょう)、
僕の地元福岡でもテレビで京都特集がある場合、大抵取り上げられている、
我々の持つ京都へのイメージをもっとも体現した場所のひとつです。

僕はこれまでの食べ歩きでは、カレーやエスニック料理が中心で、京都に行くことが増えた今でも、
そういった料理のお店が中心でした。
これは、せっかく外食するなら、普段味わえないものを、というところからだと思います。

今ではおかげさまで、徐々に同じ分野に興味を持つ方から、口コミの内容をご参考にしていただけることが増えてきたようです。
しかし、徐々に、それならば自分の書くことにある程度の責任を持たねば、と思い始めてもいたところです。

エスニック料理の分野でも、本当においしい料理というのは、食材にこだわり、丁寧に仕事をしていることに例外はありませんでした。
僕のマイレビュワーさんを拝見していても、それらのこだわりを一番理解しているのは、高級料理のこだわりを理解している方です。
僕も、レビュワーとして一歩前に進むために、一度、本場のものを味わおう。そう考えていたところでした。

僕がリスペクトするマイレビュワーさんの一人に、misspepperさんがいます。
彼女によると、福岡にも和食のお店があるが、京都には水準が及ばない、本当の和食を味わいたいのなら、本場京都で、とのことでした。
そこで僕は2013年の年末、今年の食べ歩きの総決算も兼ね、先斗町で本場の京懐石を味わうことにしました。

これまで僕は和食は、地元福岡で、四千円くらいまでのものしか味わったことがありません。
本場の真髄を味わうためには、一万円前後のコースを、と考えていました。
結果、お店の前のメニューを見て、こちらの「京懐石 鴨川」をいただくことにしました。

正直、僕にはいささか素敵すぎるたたずまいです。勇気が必要でした。
お店の方が迎えてくれて、1階のカウンターに通してくださったので、
自分は勉強のために入った、という事情を話して、写真撮影なども快諾してくださったのですが、
本当に、僕のような客への対応も、大変行き届いていました。

隣には二人で僕のよりも高いふぐのコースを頼んでいたお客さんがいたのですが、
僕の方にも、きちんと話をしてくださいました。
僕は、食べ歩いている旨を話したため、京都の食やお酒の事情などを伺いながら食事をしたのですが、
良いお酒もすすめていただきましたし、本当に楽しかったですね。
前述のお隣のお客さんたちは、店員のお姉さんのプライベートを聞いたり、羽振りの良さをアピールするためか
食べ終わったら「次はラーメン食べるか」などと話しており、これが京都の楽しみ方なのか、とも思いました。

料理の方も、結論から申しますと、本当にはずれのないものでした。
特に口コミなどを見ないで入ったのですが、これまで食べてきた料理よりも、味と食感の繊細さ、上品さが段違いで、
後味まで計算されつくされており、食材も大変良い物を使っており、まさに京懐石の真髄をしかと確認しました。

一万円のコースでしたが、まさに支払った値段を裏切らないものでした。
周囲には同じ水準のお店がたくさんありますが、もちろん、僕はそれらとの比較は出来ません。
しかし、僕のように、「一度本格的な京懐石を味わいたい、そのために一万円くらいを予算としている」というスタンスの方がいらっしゃれば、
このお店は、支払った対価に相応以上の感動、京懐石の真髄のひとつを見せてくれることは、間違いないと思いました。

現在、食べログの方では、3.20という控えめな点数のようですが、これは近くに同じ水準のお店が多いせいか、
現時点ではまだ口コミが少ないために他ならず、他所でこの内容の料理を出したなら、遥かに高い点数がつくだろうと感じています。

今回、僕が頼んだ京懐石のコース「鴨川\10500」について、説明いたします。
こちらのお店では、ふぐの12600円のコースなどもあり、ふぐ料理が食べたい方にはそちらがおすすめのようです。

最初に頼んだのは京都の地ビールでした。

・前菜の五種盛り
ふたを開けると、もみじの葉を使った、美しい盛り付けが出てきます。
鴨やさわら、そしてさつまいもなどですが、どれも、素材の味が活きていて、食感も工夫されています。
やはり、最初の前菜から、しっかりと魅せてくれました。

驚いたのが、後味ですね。口の中に、おだしの味の後味がじんわりと残るのです。
この「後味のよさ」、これが今後の料理にも共通することなのですが、
それが理由で、お酒を飲んで口の中を洗い流すのがもったいなくなり、お酒の量がいつもより少なめでした。

珍しいものでは、卵の黄身を煮たものもがあり、どうやって形を整えたのかも不思議ですが、
味も凄く面白い。中が少しだけとろりとしているのに、おだしがしみている。
上品さだけではなく、サプライズもある。これが本物の和食だ、とまずは引き込まれました。

・本日の鮮魚のお造り
最初に特筆すべきは、醤油も一応ついてきますが、塩で食べるのがいいということ。
三種類のお塩を出してくださいます。粗めになっており、食感が面白いですが、ほんのり甘味があり、
昆布ベースのような旨みも加わっているのです。塩自体がおいしい。
付いてくるわさびは、自分で目の前ですりおろすことが出来るのです。
おろしたてのわさびは初めていただきましたが、それほど辛くないんですね。わさびの甘味、そして旨みが強く、
素朴ながら繊細な塩の味わいと大変マッチします。
この日は鯛や鮭、かんぱちに加え、うにと湯葉が付いてきました。
魚の鮮度も凄いです。僕は地元福岡でうまい魚を食べてきたつもりなのですが、全く遜色がない。
本当にうまい刺身を、醤油ではなく塩でいただくという味わいに、感激しておりました。

食べた後、塩とわさびの味わいと、うにの味わいなど、後味も大変良く、
しばらくその後味を楽しんでいました。

・ふぐ炙りのお吸い物
出て来た容器の見た目も素敵です。この後にも共通しますが、器ひとつとっても、こだわりなのが分かります。
蓋を開けると、じんわり湯気が立ち上がる中から、ふぐとおだしの匂いがほんのりしました。
ふぐは柔らかく、おだしは酸味と旨みをほんのり利かせて強すぎず、ふぐの食感が楽しめるようになっています。
口の中の後味を一旦リセットする役割もあるんでしょうね。シンプルなのに繊細でした。

・鴨饅頭
蓋を開けると、お団子のようなものが、あんかけになっていて、ねぎともみのり、わさびが載っています。
あんは、葛にゆずなどを使って昆布などのおだしと一緒に上品に整えてあるんでしょうか。
凄くやさしいのに、口の奥深くまでだしのうまみが広がるんですよ。どろりとさせすぎていないのに汁っぽくもない。
鴨饅頭というのは、お米(もち米?)で作られているようで、お米の食感が残っています。見た目に反して、
おかゆのように口の中で崩れる食感が楽しめます。
ここにもみのりの磯の香りと、少し乗ったわさびの辛さがアクセントになっているのが凄いです。
本当に、意外性のある組み合わせの食感と味わいを見せてくれる、地味なように見えて、サプライズのあるお料理でした。

・さわらの西京焼き
見た目は普通なのですが、食べてみて、こんなに旨いさわらは、食べたことがないと思いました。
白身魚特有のくせがまったく取り除かれています。魚の脂とみその味わいが強すぎず、味付けが上品で、
凄く後味が良いんです。骨も小骨まで丁寧に取り除かれていて、全く骨がないのは職人芸です。
魚自体の食感も柔らかく、ほどよい脂と相まって、本当に生まれて初めてですよ、白身魚でここまで感動したのは。

魚嫌いの子がいますが、恐らく、あまりいい魚を食べてこなかったからだと思います。
こちらの魚を食べれば、魚嫌いなど一発で直ることでしょう。

・豆乳蒸し
箸休め的な位置づけでしょうか。茶碗蒸しの、卵の代わりに豆乳を使ったものです。
おだしは控えめで、大豆由来のまろやかな味わいと、とろとろの食感が口に広がります。
こちらも、後味を洗い流す役割なのでしょうが、ほんのりとしたまろやかさが口の奥に残るんですよね。

そこで僕はここで、ビールを飲み干し、次のお酒を頼むことにしました。
こちらのお勧めは、地酒の日本酒と白ワイン。僕は、日本酒のお勧めをうかがいました。

話に寄ると、京都の地酒は、辛口を謳っているものが多いけれど、実際に飲んでみると、甘口と同じような飲みやすさを兼ね備え、
甘口が好きな人にも好評だと言います。
僕は、「松の翠(みどり)」というのを注文しましたが、確かにその通りでした。
辛口特有の強さと爽快さがあるのに、甘口によくあるじんわりと広がって行く甘さが強いんです。
口の中に広がる後味も、凄く上品です。
正直、料理の後味が素敵なので、飲むのはもったいないと思ったくらいですが、本当に料理との相性は、後味も含めて絶妙です。

・松葉蟹香り揚げ
天ぷらです。松葉蟹の他には、万願寺唐辛子や金時人参など、京野菜が揚げられています。
こちらも塩でいただくのがいいようです。一応ついてくるおだしも、自家製で上品な甘さと奥深さがあります。

最初に驚くのが、衣のつけ方。ほんのりつけて油で揚げてあるだけで、いずれの天ぷらも、素材のうまさが見事に感じられるんです。
万願寺唐辛子は、唐辛子の名に反し辛さは抑え目で、特有の甘さが感じられます。
金時人参は、若干堅めに揚げられていますが、それでも人参特有の甘味がじんわりします。
れんこんなんかもあった記憶がありますが、こちらもからりと揚がっていて食感がいいです。
そして、メインの松葉蟹の足の天ぷらは、蟹の旨みが大変強く濃縮されており、天ぷらという食感の意外性も相まって、
初体験の味と食感に驚きました。うまい。蟹の旨さを活かして、さらにその旨みを閉じ込めて高みに到達した料理があったなんて。

油もののはずですが、全くしつこさはありませんでした。
ただ、油ものを食べた、っていう満足感は凄くありました。

・季節の酢の物
この日は松葉蟹の酢漬けでした。脂っこい天ぷらの後は、酸味のあるものを、ってことでしょうが、
こちらは、酸味を抑え、蟹の柔らかい部分に凝縮された旨みがじんわりと後味に残りました。
蟹の旨い料理が2連続で来たわけですが、蟹の旨みが凄く口の奥にじんわり広がるのに、魅せ方は違うんですよね。
酢の物も、天ぷらも、蟹の旨みをどうやってここまで出すんだろう、なかなか素人の僕じゃ思いつかない調理法です。

位置づけとしてはご飯と味噌汁の前のクールダウンに近いのでしょうか、僕はここで残りの地酒を一緒に飲みほす位置づけでした。
本当にシンプルなのに旨く、お酒の旨みと合うんですね。

・伏見のご飯、赤だし味噌汁、お漬物
お漬物はわさびだそうですが、やはり上品ですね。
ここまでの料理の余韻を、じっくりと続けさせてくれます。

・デザート
この日はわらびもちでした。

ごちそうさまでした。

和食の最高峰、京懐石の真髄、しっかりと僕の体と舌の奥に刻み付けさせていただきました。
大変、有益な経験が出来たばかりでなく、エスニック料理における旨さと比較した、日本料理ならではの繊細な旨さというのを、
しっかりと感じ取ることができました。

和食といえば、最近世界遺産に登録されたばかりだということが、店員のお姉さんとの話でも出て来ましたが、
まさに、タイミングがよかったかもしれません。
僕の行きつけのエスニック料理屋の、パキスタン出身のご主人も、和食が好きだと言います。
本当にうまいものを作れるのは、様々な一流の味を知る人なのかもしれません。

僕も、その世界に、最初の一歩を踏み出すことが出来たのかもしれません。
今後も、懐具合と勘案して、こういうお料理を経験して、自分の中の食の経験を、少しずつ、豊かにしてまいりたいと思いました。

最後に、個人的な話を。こちらは、僕の食べログでの600軒目の口コミになります。
2013年の年末に、思い切って入ったこちらのお店での目くるめく経験こそ、そのメモリアルに相応しいと思い、こちらに決めました。
2013年は、食べ歩きによって、素晴らしい皆様と出会うことができました。
やはり、食に詳しい方との交流は、食に対する認識をさらに豊かにしてくれるものだと痛感いたしました。
僕も、少しずつ、これからも、精進したいと改めて思いました。
今後も皆様、よろしくお願いいたします。

  • 先斗町の高級なお店の連なる中にあります。店内から鴨川が見えます

  • 京懐石コース(左)ととらふぐコース(右)。一万円のコースの内容は、値段を裏切りませんでした

  • 前菜の五種盛り。ふたを開けると(上)、上品な盛り付けが心を掴みます。卵の黄身の煮物など珍しくて食感と味わいに工夫されたものも

  • 本日の鮮魚のお造り(上)。湯葉も入っています。わさびを自分でおろすことが出来る上、醤油の代わりに三種類の塩(下)で食べ、魚の鮮度と食感の繊細さに驚きました

  • ふぐ炙りのお吸い物。柔らかいふぐとほんのり強くないおだしがシンプルにまとまっていました

  • 鴨饅頭。主張しすぎないのに後味がいいおだしと、もみのりやわさびの上品なアクセントがいい。饅頭の方もお米の食感が残っているのがよい

  • さわらの西京焼き。魚の脂とみその味わいが強すぎず、大変後味が良い。骨も小骨まで丁寧に取り除かれていて、柔らかい

  • 豆乳蒸し。おだしは控えめで豆乳本来のまろやかな味わいととろとろ食感が口に広がります

  • 日本酒地酒メニュー。他に白ワインなども置いています

  • 最初に頼んだ地ビール(上)と、地酒「神聖 松の翠(みどり)」(下)松の翠は辛口の中にも甘さが口の中に広がり、大変飲みやすさと奥深さを兼ね備えていました

  • 松葉蟹香り揚げ。こちらも塩でいただきます。他には京野菜の唐辛子や人参。素材のうまみと食感が閉じ込められている衣のつけかたと揚げ方が秀逸です

  • 季節の酢の物。松葉蟹の酢漬け。酸味を抑え、蟹の柔らかい部分に凝縮された旨みがじんわりと後味に残り、地酒に大変合いました

  • ご飯、赤だし味噌汁、京漬物(わさび)。お米がふっくら炊けており、余韻を与えてくれました

  • 京懐石 鴨川(10500円コース)のデザートはわらびもち。大変よろしゅうございました。

  • カウンター席。足を延ばせる床には、ホットカーペットが敷かれており、配慮が地味に行き届いているのを感じて嬉しかったです

  • 窓から外に出ると鴨川が見られます(上)。カウンターの前には、ふぐのいけすもあります(下)

  • この日のお会計のレシート。この価格帯の食事は初めてだった僕、今後の招福のお守りとして、お財布にしまっておきます。

2014/01/12 更新

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