2回
2012/10 訪問
気の利いて、肩肘張らない最高のイタリアン
1年ぶりの再訪です。
大阪のキタエリアのレビューを書くことが多いウチにとって、大和川より南のお店はなかなか再訪機会がないお店が多いのですが、このお店は、前回行ったときから何度も「もう一回行きたい!」と言い続けていました。
とは言え、なかなか機会を見つけることができず、無理矢理「この店にもう一回行きたいっ!」とイベントを立ち上げてみたところ、お付き合い頂ける方が4人見つかり、ウチも含めて5人で再訪させて頂くことになりました。
こちらのお店が「良いな」と思うのは、その時の旬の食材をシェフの感じる”美味しさ”で表現するある意味とんでもなくクセのある料理を提供すること。おしゃべり好きのオーナー曰く「ウチの料理が好きって人はずれてると思う」という位、ちょっと味わったことのないようなイタリアンを提供してくださいます。
この日は食べ損ねたと思った「栗と自家製ベーコンのカルボナーラ」が偶然の積み重ねで頂けることになり感激。
自家製の塩気の強いベーコンに、卵黄、生クリームの濃厚なカルボナーラのソースが絡んでいるのですが、そこに存在感のある"栗"がたっぷりと!
とにかく、栗の甘い香りがソースに移っていて、まるでフレーバーティーのように香ります。普通のカルボナーラでは考えられない香りのパスタです。
他にも、
目一杯の厚切りにされたサーモンに茄子のピューレをかけたカルパッチョ。その上には林檎、クルミ、生ハム、セロリのサラダ、ピンクペッパーが味を美味く締めています。
前菜に提供されるドライトマトは国産のものとは明らかに違う鮮烈な香味。これだけ売って下さいといいたくなるお味。
自家製ソーセージは腸詰めではないタイプなので、ソテーすると出る油をしっかりと焼き野菜に吸わせて。
ゴルゴンゾーラのペンネは濃厚すぎるクリームソースに悩殺されてしまったり。
中華麺のようなタリオーニにはキノコがたっぷり合わせてあるので、秋らしい香りに包まれます。
この日、一緒にお付き合い頂いた方の中には、ソムリエの方もいたのですが、ワインと合わせて本当に喜んで頂きました。
おかげで、ウチもあまり飲まないビールやワインを飲んで、ちょっと飲み過ぎ、食べ過ぎ。
クセのある料理なので合わない人もいるかもしれませんし、ウチのレビューを読んで頂いている方には行きづらい場所のお店かもしれません。紹介している料理も旬を過ぎてしまうと食べることができません。
ですが、ウチはやはり思いっきり推したいお店の一つで、再訪でまたその気持ちを確かめることができました。
また、行きます。ほんとーにごちそうさまでした。
【以下は'11.10.30レビュー】
愛媛から同業者が来阪されるとのことでオフ会を開催しました。
あとで聞いたところ、どうしてもこのお店に行きたかったとのこと。ウチが東京にそれだけ「どうしても!」というお店を知っているかというとそんなことはありません。それだけに食事前から楽しみだったのですが、いやいや、それ以上でした!
場所は堺市の白鷺駅から徒歩5分ほど。大阪府立大学の側の学生街の中に立つ、それほど大きなお店ではありません。
ですが、店頭の雰囲気は良いんですよね(撮影したのですが、しっかりと保存を忘れるという失態を演じました。)、ウチの自宅側に「ROCCO」というイタリアンがあるのですが、地元にしっかり根付いた、知る人ぞ知るという店構えのお店です。
店内はカウンター席19席、テーブル席は12席。テーブル席はちょっと詰め詰めな感じですが、仲間内であればこれくらいの距離感が良いかも。
この日は、幹事さんが¥3,500円程度の料理でと言っていたのですが、さっそく店員さんが気を効かせてくださいます。
「隣のテーブルは学生さんが多いのでパスタを多めに出そうと思っているんですが、こちらは飲みそうなのでどうしましょうか? チーズとか前菜を多めにしてみましょうか?」
もう、この気遣いからノックアウトですわ。
幹事さんは数年ぶりにこのお店に予約を取ってたのですが、以前来店時のことを覚えてはるという、なんとも素晴らしい接客ぶり。
元々ウチは飲む方やないんで、他の5人が生ビールをオーダーする中、ソーダ水という選択を考えていたのですが、店員さんはビールという言葉を聞いて、押しつけがましくない程度にベルギービールを薦めてくださいます。それにつられて、ウチもそのビールを飲んでみることに。
これが美味い! いや、ウチ、はっきりと言ってビールは大嫌いです。呑み会でも最初の一杯で避けられないときだけ周りに合わせて飲むくらい。
それなのに、小瓶(ですよね??)を一本、さっと飲んでしまいました。
その後も、仕入れは安く叩いたという赤ワイン(「でも、イタリアでグラスでがばっと飲む感じなんですよね~」とさらっと言ってくれる)をさっと持ってきたり。料理に合わせて次はボディのしっかりしたものを提供して下さったり。もうとにかく巧いんですよ。
料理もどれも一口違います。
ブルスケッタは「こういうことはあんまりしちゃいけないんですけどね」と言いつつ、ゴーダチーズをたっぷりと、アンチョビをあしらってみたり。
さらっとプロシュートを出してみたり。
秋刀魚の香味焼きはそのままローストするんじゃなくて、マリネにしたものをローストして、蕪のピューレと合わせてみたり。
パスタもジェノベーゼだと思ったら、「バジルは季節で味にムラがありすぎるんで、青じそを使ってみてます」なんて呟いてみて、また食べるとこれがとんでもなく美味かったり。
個人的に良いなと思ったのは、「ハマチと焼き茄子の手打ちpici(ピチ)」「自家製ベーコンのアマトリチャーナ」のパスタ2種。
「ハマチと焼き茄子の手打ちpici(ピチ)」は何を置いても、ピチの食感が面白い! ピチはシエナ地方の手打ちパスタで、店員さん曰く「イタリア人、アホですよね。めっちゃ手間かかるんですよ、これ」と言うぐらいでして、写真を見ても分かるとおり太さがうどん並みです。ところが食べてみると、食感は明らかにパスタなんですよね。
ゆで時間はなんと20分!
ハマチと焼き茄子を合わせているんですが、これがもう絶品です。塩梅がものすごく繊細な場所で押さえられていて、もっちもっちのピチの食べ応えがたまりません。
店員さんに「めっちゃ美味しいです!」とつたえると、「美味しいやったらやめようと思ってるけど、めっちゃ美味しいなら続けないとね」と(笑)。
「自家製ベーコンのアマトリチャーナ」はピチと比べたら、特殊なパスタではありませんが、こちらは自家製ベーコンが素晴らしかった。
ベーコンは以前勤めていた東淀川区(今は移転されているようですが)の「オステリア ニンナナンナ」の、自家製ベーコンが好きだったのですが、こちらは塩気たかなり強めのしっかりとしたベーコンで、小さく刻んでいるのですが存在感がありまくりです。
トマトソースとの相性もばっちりで、これはランチメニューで出されたらホンマたまりませんね。淀屋橋に出張して欲しいくらい。
そうそう、その後に提供されたカルボナーラはまた違ったベーコンで薄切りの食感が面白いと思ってしまいました。
「若鶏のフリカッセア」を追加でいただきましたが、グリーンオリーブがアクセントになった軽い煮込み料理で、美味しかったです。
ホントに料理も、ワインも、店員さんの接客も素晴らしいお店でした。
今年行ったイタリアンではベストですね。ぜひ、食べログのメンバーの方とご一緒したいお店。
必ず再訪したいと思います。ほんとーーーーに、ごちそうさまでした。
2012/12/31 更新
年末の営業終了後の常連さん向け貸切営業のお誘いがあったので、7年ぶりのディナータイムに。
こちらのお店は、そのときそのときの旬の具材によるその日限りの料理が魅力なので、あのとき食べたあれが美味しいだけじゃなく、そのときに食べるこれが絶品というのがさりげなくすごいと思います。
この日は、日頃よりもさらにスペシャルな感じで。メニュー名は適当に私がつけているので、ご容赦のほどを。
・生ハムとモッツァレラ
・海鮮サラダ
・しらすのバジルソースピッツァ
・ポルチーニ茸のペペロンチーノ
・蟹クリームタリアテッレ
・鴨を添えたリゾット
・ペンネグラタン
・デザート3種
どれも「うんまい」んだけど、驚かされたのは2つのパスタ。
少しピリッとした辛味にポルチーニ茸のとんでもない香りで夢中になるペペロンチーノに、蟹のうま味がぎゅっと仕込まれてもちもちの食感で満足感の高いタリアテッレ。
ペンネグラタンはシナモンの香りがしたり、リゾットはちゃんと生米から作る時間がかかるけどとんでもなくうまく、デザートのケーキはトマトとクリームチーズのパウンドケーキ。
いい意味で「クセの強い」イタリアンで、誰にでもおすすめしたくなるお店です。