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昼の点数:4.2
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¥3,000~¥3,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.2
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|雰囲気 4.3
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|CP 3.9
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味4.0
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| サービス4.2
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| 雰囲気4.3
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| CP3.9
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| 酒・ドリンク- ]
勝山の一級河川
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外観
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外観
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うな重
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店内
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店内
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店内
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2018/03/04 更新
勝山市本町2丁目。残暑がまだまだ厳しい9月の週末。訪れたのは、福井駅からえちぜん鉄道で約1時間、福井県の北東部、奥越と呼ばれる勝山の地。
かの地にある地元自治体が、こぞって推すのは恐竜博物館。私にとっては、てんで興味の対象外。お目当ては、かつて隆盛を誇った遊里跡。
昭和5年刊行の『全国遊廓案内』によれば、ここ湊遊郭は県下最大河川、九頭竜川の沿岸にあって、軒数は七軒、娼妓は二十五人位居て、全部居稼ぎ制だったとのこと。
その目抜き通りに置かれた立て札には、この河原通りは明治時代より栄え、料亭、貸席、遊郭や置屋などが並び賑わいを見せていた勝山唯一の花街だったと書かれている。
残念ながら、今では色あせたその街並みを散策していると、風情のある一軒の料理屋が目に留まった。
板張りの外壁には、装飾窓が施され、花街として栄えた時代より営む老舗ではないかとの直感がはたらく。少々敷居が高そうだが、意を決して引き戸を開けた。
玄関口の左手、畳敷きの店内は人気もないのにテレビが点けっぱなしのまま。ちょうど大河ドラマの再放送が流れている。
「ごめんください」声を上げるも、奥の室内にも人の気配なし。二度三度繰り返すも、出てこないのは、庭先にいるからなのだろうか。諦めかけたその時、「はい」とくぐもった男性の声が聞こえてきた。
現れたのは、老齢のご主人とおかみさん。「まだお昼は大丈夫ですか」尋ねると、「何名様ですか」との問い。
「一人なんですけど」映画寅さんのタコ社長を演じた太宰久雄にも似たご主人、やや間を置いてどうぞと通してくれた。
いわゆる店はお座敷割烹というのだろうか。対面カウンターが設えられた和室に上がり、差し出されたパウチ加工のメニューを眺めてみる。
意外や暖簾に書かれた寿司を始めとして、うなぎ、和洋定食や丼物、ステーキまでも。素直に考えれば、頼むべきは寿司かもしれないが、福井でもここは内陸部だからどうしようかと暫し黙考。
「おすすめはなんですか」注文を待つおかみさんに尋ねた。料理研究家の浜内千波にどことなく似たおかみさん、「おすすめと言われても」唐突な質問だったのか困惑の表情。
「やっぱりお寿司とか、あとはうなぎも良くでますね」「ではうな重(3千円)をお願いします」と伝えて、お茶を飲みながら出来上がりを待つ。ほどなくして、うなぎを刺すための金串の音が聞こえてくる。それに伴い徐々に高まる期待感。
注文して20分ほど。おかみさんにより、お盆が運ばれてきた。並ぶのはうな重に、小鉢とお新香。この小鉢はサービスですとのこと。
この里芋のとも合えという料理、地元勝山の郷土料理だという。自宅に帰ったあとに調べてみると、奥越エリアは里芋の産地と知る。
うなぎは、蒸しの過程は入らぬ関西風。味醂か酒の風味が強い独特なたれの甘み。まさか九頭竜川で採れたうなぎを使っているわけではないだろう。味や食感はそれなり。
暫く席を外していたおかみさんが客室に戻ってきた。小鉢を食べている私に、「お口に合いましたかしら」
すりつぶした里芋と味噌、胡桃、白ごまで合えた滋味深い味わい。「(お世辞抜きに)ごまや胡桃の風味が豊かで美味しいです」「田舎の料理ですけどね」謙遜しつつも、顔をほころばせる。
このやり取りがきっかけで、こちらのご主人は二代目で、若い頃片町(福井市の繁華街)のレストランで修行を積み、ステーキや洋食をその後メニューに取り入れたことを知る。
私が金沢から訪れたことを伝えると、「金沢は新幹線が開通して賑やかになりましたよね」「以前金沢の友達に会いに行ったら、ホテルのコーヒーが一杯千円もするなんて本当びっくり」目を丸くして笑う。
「でも、あと5年もしたら敦賀まで新幹線も延伸しますから、福井の街も変わると思いますよ」「それまで生きてられるかしらね」おかみさんは寂しげにつぶやいた。