（再訪）素直な美味しさと誰もが感じることをできるのではないでしょうか。 : 馳走 山傳

旅行の途中で三島に宿泊することになり、前回美味しいと感じたこちらを約1年半ぶりに訪問しました。予約したのは数日前でしたが、当日は満席でしたので運よく予約できたようです。

コースは何段階かありまして、予約時に言われた中ではもっとも高い15,000円のコース（プラスサービス料5%と消費税）でお願いしました。コースの内容は以下のような感じでした。

・先付（スズキ、はすいも、ごぼう、きゅうり酢）
・八寸（太刀魚、まぐろ、雲丹、鴨ロース）
・お椀（穴子、冬瓜）
・向付（まぐろ、かます、黒むつ）
・唐墨の味噌漬け
・焼き物（九州王のクラシタ、伊勢海老の唐揚げ）
・お凌ぎ（温泉卵、鯛）
・茶碗蒸し（金目鯛、アオサ）
・雲丹ご飯、香の物、味噌汁
・デザート

前回はくっきりとした輪郭のある美味しさ、すなわちどちらかと言うと派手な味付けかなあと感じていましたが、今回はもう少し落ち着いた、素直な美味しさと感じました。個人的には何かしらもう少し個性のようなものを感じられるといいかなあと思ったりはするものの、幅広い客層からするとどなたにでも好まれるような今の味がいいのかもしれません。

前回は空席もあり多少のんびりした感じもしたものの、この日は満席、カウンター、テーブル席、個室とあり、それぞれ料理もタイミングも異なるのですが、ご主人は厨房とホールのスタッフに適切なタイミングで指示を出してさばいていきます。わたくしへの料理の提供もスムーズでしたが、カウンター席なのにご主人とお話する時間がほとんどなかったのが少々残念ではありました。

いずれにしましてもこの美味しさを提供してくださるというのは嬉しいことです。今後ますます人気店になっていくのではないでしょうか。

以下はいくつかの料理の印象です。

☆先付（スズキ、はすいも、ごぼう、きゅうり酢）
　独特の香りを感じることもあるスズキを使っていますが、クセなく感じさせて爽やかなスタートです。

☆八寸（太刀魚、まぐろ、雲丹、鴨ロース）
　見た目はやや地味ですが、いずれもしっかりとした味わいです。

☆お椀（穴子、冬瓜）
　前回は土瓶蒸しがあったためお椀がなく、今回はお椀が楽しみでした。素直な吸い地でやや地味ながらも全体がよくまとまっている美味しいお椀でした。

☆向付（まぐろ、かます、黒むつ）
　飛び抜けてよいという感じではないながらもどれも程よく良質でした。前回は目一鯛のような東京ではあまりみかけないお魚もあり、やはりそういう地のものがいいように思います。

☆唐墨の味噌漬け
　なんだかふわふわの食感でさっぱりといただけました。

☆焼き物（九州王のクラシタ、伊勢海老の唐揚げ）
　九州王というのは熊本の黒毛和牛のブランドのようです。今回はこれがもっとも気に入りました。脂は控えめでくどさを感じないですし食感も柔らかくかつしっかりとした食感も楽しめるように仕上げてありました。肉がどちらかというと苦手なのですがなんの苦もなくいただけました。

☆お凌ぎ（温泉卵、鯛）
　爽やかな出汁がよくて、終盤ですがすっといただけました。

☆雲丹ご飯
　余れば持ち帰れるのですが想像通りの美味しさで残らずいただいてしまいました。

三島への旅行者としての利用です。

三島で観光の際の食事と言えば鰻というイメージですが、今回はゆっくりと食事をしていろんなものをいただいてみたく、その希望に合うお店を検索して探しました。三島駅周辺800mの検索で、口コミ件数は少ないものの点数が2番目に高いこちらを訪問することにしました。数日前に電話で予約しました。一人の予約を受け付けてくださるのはありがたいことです。

三島の中心地からやや離れた場所で周囲には飲食店はほとんどありません。そんな街の中にこちらのお店はあります。店外にはメニュー等は確か置いておらず、知らないと入りにくくはあります。

お店に入っての第一印象はこぎれいな居酒屋という感じ、個室もあればテーブル席もあり、わたくしは一人なのでカウンターです。意外と席数は多いですし、アラカルトも用意されているので、予約はなしでも訪問可能なのかもしれません。

先ほどこぎれいな居酒屋と書きましたが、カウンター内を見るとそれは大きな勘違いとわかります。凛とした立派な広々としている調理場になっており、ご主人は常にカウンター内にいらっしゃいます。一方他のスタッフの方々は別の場所で調理や接客にあたっています。

6,000円、8,000円、10,000円、12,000円のコースがあり、予約時に12,000円でお願いしてありました。アラカルトの組み合わせにいくつか上質の素材を加えてくださっている感じの内容です。内容は以下のとおりです。いくつもの食材や調理法等が抜けていましてすみません。

・先付け（はす芋、〆鯖、ごぼう、等）
・八寸（かます、ゆば、もろこし、白バイガイ、等）
・土瓶蒸し（松茸）
・向付（目一鯛、金目鯛、鮪のお刺身）
・焼き物（太刀魚の松茸包み焼き）
・肉料理（牛ヒレ肉の低温ロースト、黒鮑白扇揚げ）
・炊き合わせ（あん肝、子持ち鮎、鴨のロースト等）
・雲丹ご飯
・デザート

全体的には、とても明確な輪郭のある、わかりやすい美味しさでした。かと言って無理に作った味というわけでもなくて素材感もきちんと残っており、やや濃い味ではあるものの個人的にはとっても好みでした。お話を伺うと、それぞれのお皿にきちんと工夫が凝らしておられることがわかり、それでこのような味になっていることが実感できました。

前述のように、料理長は常にカウンター内にいらっしゃいますが、個室、テーブル、カウンターで様々な注文が入っているのに、人数的には手厚く配置されているスタッフの方々への指示を常に飛ばしながらご自身も手を動かし、スムーズに注文が捌かれていきます。わたくしは一人の訪問なのに、一つ一つのお皿が供される間隔がちょうどよかったのは気持ちいいです。お話を伺ったことを含め、ご主人の情熱を感じます。伊豆への旅行の際等にまた訪問したいものです。

以下はいくつかの料理の印象です。

☆土瓶蒸し
　汁の見た目は透き通っています。味も澄み切った感じです。なお、土瓶蒸しがあったからお椀がなかったのでしょうけれども、こちらのお椀がどんな感じか、次回はいただいてみたいものです。

☆お造り
　目一鯛（メイチダイ）というお魚は初めていただきました。食感が素晴らしいです。真鯛とかより弾力がある感じでしょうか、あまり経験のない食感です。
　それから、わさびが甘くて美味しいのです。余ったわさびはそれだけでいただきました。そんなわさびをふんだんに使っておられることは嬉しいことです。

☆炊き合わせ
　あん肝がふわふわなのです。蒸しているのではないそうです。（ではどうしているかは聞きそびれました。）