お洒落でヘルシーなだけの店では無い。 : BEPPIN食堂

　2020年1月2日18時40分到着。
　正月休みの高速道路渋滞を乗り越えるために腹ごしらえが必要である。久々に『さ〇やか』でハンバーグをと思ったのだが、駐車場は道路上まで車列が繋がる満車状態、100分待ちという狂乱の混雑に早々と見切りを付け、すぐ近くにある『BEPPIN食堂』へ転進を開始。以前に一度訪れていたのだが、こちらも捨てがたい良店なのである。
　野菜が売りであり、店内も清潔で明るい白壁ベースの内装とくれば、女子向けの上品でしゃらくさい店、と思われがちだが、これがそうでもない。メイン料理のセットに付けられるグリーンサラダとパンまたはライスがおかわり自由なのである。大の男も十分満足いけるのだ。
　さて、本日はどうするか、考えた挙句、全ての味覚をワンストップでいただける『Happyコース』（2000円）とやらを注文する。前菜三種と、サラダ、スープ、ピクルスなどがワンプレートになったもの、メインにとろーりチーズの煮込みハンバーグ、かぶとポルチーニのクリームパスタ、デザートとドリンク、という取り合わせである。どうやら、この店の冬の定番らしい。
　まず前菜が登場。田づくり（カタクチイワシの小魚、所謂ごまめ）を人参と一緒にカレーマリネにしたものと、テリーヌ、ローストビーフが一口サイズで並ぶ。すぐにサラダとスープのプレート、パンが登場したので、この組み合わせをいただきながらメイン料理を待つ。
　サラダには、酢橘味と胡麻味のドレッシング二種が付く。まずは導入として酢橘の方でサラダを楽しみながら、前菜を箸休めにいただくのである。ローストビーフの肉気や、こってりしたテリーヌ、カレー味のマリネなどが、サッパリした酢橘味の味のサラダに挟まれてバランスが良くなる。グリーンサラダの葉物は瑞々しく、添えられた赤かぶのスライスはシャキシャキと歯応え良し。
　さらにその間、スープとパンもいただく。こちらは、冬らしく白菜の細切りがたっぷり入ったクリームスープだ。味はあっさり目で、あまり塩味はなく、出汁と牛乳の味、野菜の旨味がメインのやさしい味である。フランスパンと一緒にいただくとする。サラダの付け合わせに、大根のカレーピクルスと人参のマリネがあるので、これも箸休めになって良い。
　それらを楽しむ内に、メインの一つ、『とろーりチーズの煮込みハンバーグ』が登場。ココット皿に入ったハーフサイズの煮込みハンバーグである。このタイミングで、サラダとパンのおかわりを所望。店員さんが持ってくる大きなボウルに入ったグリーンサラダを、好きなだけ盛って貰えるのだ。これは嬉しい。パンの方は温めて出されるので、一枚づつのようである。
　さて、ハンバーグとパン、サラダで第二ラウンドである。今度のサラダには、こってり目に胡麻のドレッシングを振りかける。ハンバーグはハーフサイズではあるが、チーズが蕩け、その上にはこの店が一つの売りにしている、フレッシュマッシュルームのスライスがたっぷり乗る。ハンバーグの両脇には、ジャガイモと人参が控えている。これらをソースやチーズと一緒に余さず捉えるため、スプーンでいただく。粗挽き肉のプリプリとした歯応えと肉汁の旨味が溶け出したソース、そこにチーズが加わるのである。そして、フレッシュマッシュルームの風味と食感もプラスされるので、ハーフサイズとはいえ、なかなかの満足感を叩きだしている。
　第二ラウンドが終了すると、第二のメイン料理、『かぶとポルチーニのクリームパスタ』登場である。ここでもう一度サラダとパンを所望。第三ラウンドの開始である。
　パスタは平打ちのモチモチした生麺が、アーモンド型の皿の中央に盛られる。皿一面にポルチーニの香り漂うクリームソースが張られ、麺の上にはグリーンサラダと同種の葉が乗り、脇には、薄切りにした生の赤かぶと、ボイルしたのか蒸したのか、火を通した三角の肉厚の赤かぶが添えられる。こちらも少なめサイズのようだが、存在感はある仕上がりである。ポッテリとしたクリームソースの舌触りとモチモチ麺の歯応えに、添えられた野菜の瑞々しいシャキシャキ感が加わることが、存外のバランスとして心地よい。時々、麺の中からポルチーニ茸が顔を出し、コリコリした茸の食感を追加してくれる。口の中はポルチーニの香りで満たされていく。
　最後に、皿に残ったソースをフランスパンで掬い取っていただく。ソースは残さんのだ。
　さて、〆のデザートはシブーストであった。小振りで長方形、生クリームとミントの葉、カシスのソースが上品に盛られている。ドリンクはコーヒーにしたのだが、連れは紅茶である。そちらの方が正解であったか。

　はらくちである。ここ数日野菜が不足していた感もあったので、その点でも満足であった。さてさて、渋滞東名に前進である。