７月末で閉店のお知らせ、極上の蕎麦をありがとうございました。　熟練した手仕事が極上の蕎麦を造り出す。 : 蕎麦切り　こばやし

2016/7/12
「蕎麦切り　こばやし」さんが7月末をもって閉店される事となりました。
先ずは13年にわたり極上の蕎麦を提供された事、誠にありがとうございました。そして、お疲れさまでした。

この日は無性に"蕎麦切りこばやし"さんの手挽き蕎麦が食べたくなり訪問しました。
いつもならどの蕎麦屋も落ち着いたピーク過ぎに伺うのがにゃんコラ流なのですが
今日は何となく急ぎ足で富士宮まで向かいました。
これが、大正解で12時30分に到着ですが、すでにウエイティングの行列！
席待ち表には11人待ちでした。
尚且つ、僕等の2組目後で蕎麦終了が書かれました。
45分待って着席。そして、目に付いたのが閉店の知らせの張り紙が・・・・

手挽き限定蕎麦が有るかと花番に伺うと、風味1人前と雅2人前で売り切れとの事。
その3枚を迷わず即注文しました。
今思えば、最後に限定手挽きの渾身の蕎麦を戴けて本当に幸運でした。
蕎麦の感想は前レビューと変わらず極上の蕎麦と辛汁。
心残りはメニューに無い新蕎麦の熟成（マイフォロアーの魔方陣様に情報を戴きました）手が回った時だけ打つ生粉打ち十割を食せなかった事です。

会計時に伺うと、「背骨の圧迫骨折、頸椎ヘルニア、両手の手根管症候群での両手の痺れで蕎麦打ちはもう限界」と言っておりました。
重い石臼の手挽き、常時4種類の蕎麦打ちは若い身体を以っても大変な重労働です。
ましては、お年を召したお身体では今や身を削ってまでの製粉、蕎麦打ち、営業をされた事は容易に察しが付きます。
私は正に一枚入魂の蕎麦を戴いた訳です。

これでまたひとり、巧みな技を持つ手打ち蕎麦職人が勇退してゆきます。
蕎麦切りこばやしの蕎麦が戴けなくなります。とても残念でなりません。
あらためて13年間ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
また、暖簾を下ろすその時までお身体のご無事をお祈りいたします。
これからは、どうかご自愛ください。

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１２月１６日（火）今日は、かねてから伺いたかった”蕎麦切り　こばやし”さんへ訪問です。
マイレビュアーの魔方陣様、amera様のレビューを拝見して以来この日を心待ちにしておりました。
そしてKACHI様もリベンジしてまでのご訪問！

新東名　新富士I・Cで下りてものの５分で到着。アクセス良好です。
冷たい雨が降る中１３時頃入店。駐車場には沼津・富士山ナンバーのみで４台駐車。
限定の手挽きが有るか不安がよぎる。のんびりし過ぎた(>_<)

いざ入店。
緑色の暖簾をくぐり扉を開けると前室とトイレ、引き戸の先に客室がります。
カウンター５席、座敷に４席×４の１６席、合計２１席の構成です。
電球色のペンダント照明が雰囲気良く店内を照らし、大きな窓からは自然光が差し込みます。

さて注文。
僕　：限定　風味（税込）900円　手挽き　粗挽き　細打ち
相方：限定　雅　（同）　900円　日、月、火曜日のみ　色白の粗挽き　細打ち
追加で　限定　香味（同）900円　手引き　極粗挽き　太打ち
　　　　せいろ　　（同）800円　通常蕎麦　合計3500円を3300円に。
　　　（追加は辛汁が十分余った為、蕎麦と薬味のみでー200円　せいろは大盛りサービスして頂けました！）

実食。
先ず辛汁。熟成された返しに、それに見合う濃度のダシがマッタリとして円熟した味わいになっています。
蕎麦を手繰り五分の一程チョット浸けて一気にすすると丁度良いそんな辛汁です。
限定蕎麦は最初は塩でということです。薬味はさらしの白ネギに上質な本山葵。
　　　　
雅　：一番粉をサラッと挽いて粗挽き粉をブレンドした様な感じです。
　　　色白で透明感があり蕎麦の粗い粒子が散りばめられ正に雅の名にふさわしい。
　　　上品な景色が美しく淡く若草色に輝いている。　　
　　　食感は更科のシコっとした食感に粗挽きながらもツルっとした喉越し。
　　　口の中で体温に温められると共に湧き上がる柔らかな香りに甘み。
　　　洗練された女性的な蕎麦。（相方はこれが一番との事）
風味：手挽きされた粗挽き（通常これは極粗挽きと表現されてもおかしくない）で細打ちに仕上げられています。
　　　細さに香り、風味、味わい等全てに於いてバランスのとれた粗挽き蕎麦。
　　　シッカリしたコシは噛むほどに味わいが増し、極上の蕎麦と言うにふさわしい。
　　　色合いも、淡いうぐいす色で新蕎麦らしい。

以下追加。
香味：手挽きされた極粗挽き（通常なら限界値を超えているのではと思うほどの粗挽き）の太打ち。
　　　やはり新蕎麦と言えども短めになっている。
　　　しかしながら麺体にすること自体、相当に高度な技術だ。
　　　色合いも風味同様綺麗なうぐいす色で粒子の粗さで表面が波をうっている。
　　　口に入れた瞬間から香りが立ちあがり噛むほどに穀物感が湧き上がる。　　　
　　　プチっとした食感もアクセントになり味も濃い。
　　　コシの強さにあごの筋肉も乳酸が溜まりダルくなる程噛みまくる。
　　　いずれの限定蕎麦は塩が良く合う。それだけ良い素材と言う事でしょう。

せいろ：ご主人のご厚意で「蕎麦大盛りにしたので良かったら食べて下さい。」と。
　　　　有り難くお受けして相方と共に美味しく頂戴致しました。
　　　　
　　　　この蕎麦は通常の蕎麦で電動石臼で細挽きにされています。
　　　　淡いうぐいす色で滑らかで艶のある麺体は細打ちに仕立てられています。
　　　　繋がりも申し分なく端切れもありません。
　　　　細挽きである為、香りの立ち上がりは緩やかですが、それでも十分に新蕎麦の香りが立ちます。
　　　　シッカリしたコシに弾力で、弾ける様な歯切れも楽しませてもらいました！　
　　　　細打ちで辛汁の絡みも良い。
　　　　この蕎麦なら温かい蕎麦も美味しいはずです。温・冷共にバランスが取れた
　　　　流石とも言える見事な蕎麦です。

〆の蕎麦湯は細工無しの釜湯です。辛汁の味が馴染みこちらの方が好みです。
熟成した醤油に負けないほど良く抽出された鰹ダシが香り立ち美味しいです。
飲み干した後、今度は先に蕎麦湯を猪口に注ぎ後から辛汁を入れます。
するとどうでしょう、全く違った味わいに。一気にダシの香りが立ちあがる！
汁にも良い仕事をされています。

限定、通常の蕎麦共に二八蕎麦ですが適量の加水で打たれている様で軟な蕎麦ではありません。
水切りが少し甘い様に感じますが（簾を持ち上げると下に水が溜まっているほど）、
蕎麦が水を吸う無く、食べきるまで瑞々しさを保っていました。
例年今頃は福井県産だそうですが今年は相次ぐ台風で不作。
今年は会津産を使っているとの事です。これからは茨城産常陸秋そばも入荷する予定とか。楽しみですね。
茨城県産の蕎麦は、やはり台風で不作と聞いていましたが例年並みに収穫量は有るはずと教えて頂きました。
どうやらデマらしいと。少し安心しました。

今日は手挽きの貴重な蕎麦を存分に楽しませて頂きました。
明日からまた仕事を頑張れます！　ごちそうさまでした。