北海道産小麦「春よ恋」使用のベーグル旨し : VANITOY BAGEL 蔵づくり本店

私は、これまでベーグルをあまり好んで食べてきませんでした。
よくベーグルと普通のパンの違いが言われますが、普通のパンは、生地を発酵、成形した後で焼き上げます。
これに対してベーグルは、焼き上げる前に生地を茹でるんですね。
はちみつやモラセス 、モルトエキスなどを加えたお湯で生地を茹でてから焼き上げるのが定番で、発酵の工程が少ないために大きく膨らむことはなく、また、茹でることで生地がギュッと詰まるので、1個あたりの生地の重量が多くなり、よく噛んで食べる必要があって満腹感につながりやすいわけです。
また、基本的に脂質が少ないこともあり、健康、美容志向の方に好まれてきました。

私は、もちろん健康は気になりますが、美味しくないものを食べてまで健康になりたいとは思わない(逆に美味しいものを食べても健康にはなり得ると思っている。)ので、脂質の少ない食べ物は美味しくないと決め付けてベーグルを敬遠していました。
また、ベーグルは基本的にサンドイッチみたいな形で食べられることが多く、このひと手間が面倒ということもありました。

要は食べず嫌いだったわけですね。

ところが、TOKYO版のパン百名店の攻略を進めていくうちに、いくつかのベーグルショップを利用することになり、プレーンベーグルでもバターやオリーブオイルで美味しくいただけること、また、様々なフレーバーのベーグルがあって色んな味を楽しめることを知り、次第にベーグルが好きになっていきます。
こうなると、健康にいいという点は、むしろ背中を押してくれる材料にもなりますよね。
ベーグルショップは何故か女性のオーナー、店主が多いという意外な発見も、より興味を抱くことにつながっています。
食べログパン百名店2020に選定されているお店だけを見ても、西荻窪の「ポム・ド・テール」(工藤美幸オーナー)、代々木公園の「テコナベーグルワークス」(高橋雅子オーナー)、そして白金高輪の「マルイチベーグル」(植木美穂オーナー)あたりが挙げられ、私は勝手に都内ベーグル百名店の女性オーナー御三家なんて名付けてます。

川越の観光コースのど真ん中と言っていいエリアにある当店もそんな女性オーナーのお店です。
正確には運営会社である株式会社GIZMOの代表取締役はご主人が務めておられますが、創業者で実質的なオーナーとも言っていいのは、加島裕子さんという女性で、ご主人と二人三脚で起業されたようです。
元々は、2003年5月に移動販売カフェとして創業され、2006年12月に当店をオープンしています。
バニトイというのは、ご夫婦の二人の娘さんの名前に因んでいるそうですが、実は私のメルアドも同じ思考なんですｗ
それにしても、バニトイとはどんな名前なのか、興味がありますよね。

2009年には2号店として本川越駅と川越駅の中間くらいに「バニトイベーグル 川越店」をオープンしていますが、その後、2011年12月に若葉店、2015年9月に国分寺店、2018年12月に狭山店を順次オープンしています。
その後、若葉店は閉店となっており、現在は全4店舗体制で運営しています。

バニトイのベーグルの最大の特徴は、北海道産小麦の「春よ恋」をベースにしている点。
春よ恋は、製パン適性の高い小麦の中でも、今では最右翼の存在と言っていいと思いますが、北海道産小麦の今を切り拓いたと言ってもいい幻の品種「ハルユタカ」の後継品種です。
北海道産小麦を使用するベーカリーも大分増えてきましたが、具体的な品種名を前面に出しているケースはまだまだ少ないですので、この点では貴重な存在だと思います。

当店は川越の観光ルートの中心になる一番街の中でも、時の鐘のちょっと北側の観光客で賑やかなエリアにあります。
この日は、ちょっと早めのランチを済ませた11時40分頃の訪店となりました。
店内は狭いのですが、入った正面にショーケースがあり、そこで商品を選ぶ対面販売方式のお店です。
迷うこと請け合いの多彩なベーグルが並んでいますが、その中から以下2点を購入しました。
・和風小江戸ベーグル＠360円
・こしあんくるみベーグル＠310円
小計670円
消費税53円
合計723円

ベーカリーのコスパの目安として2個でワンコインは大幅に上回りましたが、ベーグル専門店の相場としてはこんなものかなという感じですね。
持ち帰って、翌日の朝食に供しました。

和風小江戸ベーグルは、添付されていた食べ方指南に書かれていた通り、霧吹きをしてからレンジで20秒加熱し、1300Wのオーブンで3分間加熱してマーガリンをつけていただきました。
雑穀生地に鰹節ととろけるチーズを巻き込んだベーグルですが、和風味とベーグルってこれだけ相性がいいんですね。
特に鰹節とチーズの風味の競演が素晴らしく、予想以上の美味しさにびっくりしました。

こしあんくるみベーグルも同様の方法でリベイクしていただきました。
菓子パン風ベーグルなのでそのまま食べても良いかと思ったのですが、やはりベーグルはリベイクしてなんぼというところがあるので、それに従いました。
春よ恋のもたらす生地のもっちり感が存分に発揮されており、こしあんとくるみの風味のコラボも絶妙で、また、マーガリンをつけることであんバター的な風味も付加されてとても美味しいです。

さすが百名店に選定されるだけあって、ベーグルの種類も良く考えられていると思います。
お値段がやや高いのは否めませんが、この満足の対価だと思えば、まあ納得ですね。