~ 銭形平次 捕物控 5-② ~ 居酒屋ゆうれい(後編・サブレビュー) : 地鶏専門個室 宇佐美 大宮東口店

この口コミは、kuidouraku11さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

1.9

1人
  • 料理・味1.5
  • サービス2.0
  • 雰囲気2.0
  • CP1.8
  • 酒・ドリンク2.5
2017/12訪問2回目

1.9

  • 料理・味1.5
  • サービス2.0
  • 雰囲気2.0
  • CP1.8
  • 酒・ドリンク2.5

~ 銭形平次 捕物控 5-② ~ 居酒屋ゆうれい(後編・サブレビュー)

このレビューは上記「銭形平次 捕物控 5 の後編にあたるレビューです。
経緯が分かるように、1回目レビューの一部分を転載いたします。


~ 銭形平次 捕物控 5-①(前編)~ 居酒屋ゆうれい   2017/12/08投稿

「親分、物の怪や幽霊を見たことがありますかい」
「そんなものに近づきはねえよ。もっとも、最近のお化けは人の形をしてるとは限らねぇらしいぜ」
「へぇ、どこかで見たことがあるんですか」
「先日、お前さんと一緒にいた綾ちゃんってのがそうだろう。キャバクラ通いがバレて鬼みたいになったってのは違うのかい」
「親分があっさりオイラのアリバイを崩しちまうからですよ」
「そうか、それは済まなかったな」

Z級居酒屋レビューの達人の kuidoの平次と、子分のがらっ八の吾郎君は、大宮の事務所でこんな無駄話の応酬をしておりました。

「親分、その娘にはまた改めて挽回を頂くとして、今日は物の怪の話をさせておくんなさいよ」
「いやに執念が深いじゃないか」
「ここ大宮の東口にも、その物の怪がチョクチョク出るって話をお聞きですかい」

がらっ八の吾郎君は、両手を胸にだらりと泳がせて、怪談噺の型になりました。
それをkuidoの平次も真剣に聞きます。がらっ八が何か劣悪居酒屋のネタを嗅ぎ出して来たらしいことに気がついたのでしょう。

「きっと、美い女かもね」
「誰が」
「その物の怪がですよ。たまらない美い女の幽霊かもしれませんぜ」
「馬鹿だね。いくら美い女だって足がなかった日にゃア、一緒に逢引きも出来やしないじゃねぇか」
kuidoの平次はたまらずのけぞり返ります。

「いやー、あっしの好みの話じゃないですよ、親分。真剣に聞いておくんなさい」
「いつだって真剣だよ」
「いままで居酒屋に入って行った沢山の客衆が、皆んな魂を抜かれたように呆然と帰ってくるって話なんです。忘年会とかの宴席を楽しみにして居酒屋に入っていったのに、出る時は心も財布もすっからかんになっちまうらしいんです」

これは kuidoの平次 としても聞き捨てならない話です。
顎をクイと前へ突き出して話の続きを促します。

「不思議なのは、みな口を揃えて、何があったか分からないって言うんですよ。どうしてこんなに高くつくのか、こんなはずじゃなかったのに・・・って風にね。

kuidoの平次は一言「むぅ」と唸ったきりで考え事を始めました。居酒屋で料金が高かったり、サービスが悪い店に当たることは、繁華街では間々有るものです。ですが、訳が分からないというのは珍しい。がらっ八のいう美女の幽霊はともかくとして、いずれ狸か狐の仕業かもしれません。

「それでなんですが、今晩あたり物の怪退治に行きましょう。付き合って頂けますか」
「別にかまわんよ」
「それと今回は、あっしにも謎解きをさせて下さい」
「おや、八吾郎親分のお出ましだね。その代わりしくじりやがったら、獺祭の一升瓶での向う脛をかっ払ってやるからな」
荒っぽい事を言いながらも、平次親分は、可愛がっている子分を見て、ニヤリニヤリと笑っているのでした。


そんなやり取りもあって、二人が用意を整えて事務所を出たのは暮六つの刻で、夜の帷がすっかり下り切った頃になっていました。フラリと駅を背にした二人ですが、八吾郎の先導で中銀座に向かいます。物の怪が出ると専らの噂になっているのは一番街という駅東側の通りだったのです。確かにアーケードの入口を見てみると、去年までは殆ど居なかった客引き亡者の餓鬼共が、群れをなして「居酒屋いかがっすか…居酒屋いかがっすか」と呟きながら徘徊をしています。
大宮の駅周りは日が暮れたとは思えないような賑わいでしたが、この辺ともなると人通りもめっきり少なくなり静かなものです。ただただ、客引きがうろつくだけの商店街の荒れっぷりが、列車の通過音を背景に、妙に身に染みてきます。


「あれは何だ」

がらっ八の吾郎が突然立ち止まり、居酒屋の入口に掲げられた看板を指さして呟きました。
1つのフロアに2つの店名を掲げるダブルネームという経営の店です。店の中身は一つしかないのに、広告宣伝のために二つの屋号を使い分ける、残念な経営方針をとっています。
どうやらがらっ八は、銭形平次捕物控シリーズ第1話での平次の真似をしているようです。

「親分、ここが怪しい。入りやしょう」
がらっ八はICレコーダーを片手に、眦を下にとりつつ一歩一歩確実に階段を降りていきます。
すると入口の扉には・・・確かに「枕崎」「薩摩鳥助」の二つの店名表示があったのです。

また、通路には、外したパーテーションと思われる壁の一部が何枚か立て掛けられており、普段使いの居酒屋では見ることができない異質の店内風景を醸し出しています。そして、入口の脇には日本酒と和傘が4本乱雑に転がしてあって、やはり並みの居酒屋のセンスではありません。

店内に入ると個室に案内されました。ただ、その造りは漫画喫茶に例えられるような、新しいがとても簡素で安普請な個室です。スタッフや隣室の話し声がそのまま聞こえてくるのです。

それでも、気を取り直して生ビールで乾杯をします。スーパードライとの事でしたが、細めのダイエットグラスであることと、配膳まで何と12分も待ったこともあって、この時点でかなり凹んでしまいました。ちなみにお値段は637円(税込み・以下同じ)です。益々テンションが下がります。

続いてお通しをいただきます。イクラを載せた茶碗蒸し(432円)です。極めて少量というだけでなく、合成イクラが熱で変質して、食感が凄いことになっていました。

料理は定番となっている、九条ネギの玉子焼き(745円)を注文しました。先般より、九条ネギの偽装販売業者が検挙されるなど、話題の食材を使った料理です。がらっ八の吾郎君はしっかり吟味するため、皿に目鼻がくっつく程に近付いて確認をしています。

「てへっ、こいつは酷ぇ」
「どうした、八」
「こののっぺりした玉子焼きも凄ぇが、上に載せた葱までホカホカに温めてやがる」
確かに近付いてみると、玉子だけでなく葱からも湯気が上がっているのです。

「こいつは電子箱で一緒に加熱しちまったに違いねぇ」
がらっ八は呆れるだけ呆れた後は、九条ネギなる青物を口に放り込み、生臭さに当たって「ぐふぅ」と意気消沈の体になってしまいました。

次いで頼んだのは鶏の唐揚げです。ブロイラーではないかと思われる若鳥肉に大量の衣を付けて揚げており、ジューシーさを全く感じさせない肉質と、カラカラの外皮の食感に再度呆れてしまいます。平次はオリジンの唐揚弁当が恋しくなりました。
料金は790円の消費税ですから、実質853円です。

そして最後の注文となる、お漬け物盛り合わせですが、これがとても衝撃的な料理でした。平次も吾郎も、皿に盛られた余りの貧相な香の物が届けられると、口で丸文字を描いたまま動かなくなってしまったのです。

大根は水分が飛びカサカサになった黄色い沢庵漬けが4切れ。
胡瓜は単に輪切りにした浅漬けが4切れで、こちらは殆ど味がしません。
極めつけは茄子で、瑞々しいをはるかに通り越した水浸しの味わいでした。

これで価格を見ると、税込みで637円にもなります。いくらなんでも残念の程が過ぎるというものです。
しばらくの間、二人はテーブルを見つめたまま呆然としてしまいました。まるで魂を抜き取られたような心持ちになっています。やっとの事でがらっ八が次の言葉を吐き出しました。

「親分、居酒屋に出る物の怪ってのは、きっとコレですよ」
「と言うと」
「メニュー表やHPに使われている写真とは違って見える料理やサービス。きっとこの近くには狐狸の類が隠れているのかもしれませんぜ」

kuidoの平次はもう一度メニュー表の写真やHPにある写真を確認してみました。
そこにはとても美味しそうな料理や煌びやかな部屋の写真が描かれていました。

しかし、腕を横に伸ばして部屋の庇を指でなぞってみせると、指先には綺麗に何かの跡が付くのです。普段からkuidoの平次が世話になっている町奉行の御内儀木蓮様や、浅見nのおひい様がご覧になれば、さぞかしお怒りになるに違いありません。

「親分、こいつぁー駄目だ。早く奉行所に戻って、レビューには岡っ引きとしての感想を正直に報告しやしょうよ。そうすれば、狐狸の類はきっと大人しくなるにちげぇねえ」

そういってサッパリと気持ちを改める吾郎君です。右手の爪楊枝で歯をせせりながら、鼻唄か何かを唄い出しそうな勢いです。
それなのにkuidoの平次は、一向に物憂げな表情を崩しません。

「すると八は、これで解決するって了見なんだな」
「て言いますと」
「まだまだやられちまう客衆は出ると思うよ」
「うへぇ、そんなもんですかね」
「わからないかね。このレビューも物の怪退治には効果が薄い」
「書いてもダメってことですか、親分。ではどうすればいいんです」
「二日悩んでおととい来やがれだな。八ももう少し知恵を絞ってみろ」
「人が悪いや…今日の親分は」

と、今回ばかりは釈然としない子分の八吾郎でした。(後編に続く)

※写真は実際の1回目のレビューをご覧ください。


■■■■■■■■■■■■■■■■


~ 銭形平次 捕物控 5-②(後編)~ 居酒屋ゆうれい  

「親分、そろそろ種明かしをしちゃくれませんか」
がらっ八の吾郎君が、親分と慕うkuidoの平次に泣きを入れています。

馴染みの居酒屋で二人で飲むまでは良かったのですが、前々回の大宮の居酒屋【薩摩鳥助 × 魚河岸枕崎】(※ダブルネームのため店名を2つ記載)訪問の話題になると、何やら確認したいことがあるようです。

「前回の訪問(5-①)では本当に酷い料理ばかりでしたが、レビューはもう上げたんですよね」
「ああ、食べロ奉行所には評価★1.9で報告したよ」
「へェ、あれで★1.9なんですか。オイラはもっと低評価かと思いましたぜ」
「まぁ、サービス料とかの料金上乗せがなかったからな」
二人は苦笑いをしながら、前回訪問時に提供された貧相なお新香(637円税込み)を話題に出しています。
居酒屋としては高料金で低サービス、店もダブルネーム経営で、Z級居酒屋としての要素を十分に備えた当店は、前回(12月8日更新)のレビューで、kuidoの平次は相応の評価をしていたのです。

ところが
「では、人を化かす 物の怪 退治に効果はあったのでは?」との質問に
「それはどうかな」
と応じる平次。やたらとトボケた表情を浮かべて、子分の吾郎君を煙に巻きます。

その仕草一つ一つに、岡っ引きとしての格の違いを思い知らされるようで、吾郎君は頭を掻きむしって考え込んでしまうのです。
「一体、何が駄目だって言うんです。前回のレビューの最後でも騙される客衆は無くならないって…それでは、いくら真面目にお店の口コミを増やしても、失敗しないお店選びという食べログの主旨は達成できない事になりやしませんか」

「訳を知りたいか」
「無論で。このままじゃ酒が通りが悪くなっていけない」
「ならば、もう一度大宮に行くしかあるまい」
「ヘエ…あの店にもう一度ですか」
「そのまさかだよ。八、支度しろ」

そんなこんなで、二人は一度訪問した当店【薩摩鳥助 × 魚河岸枕崎】に再訪をする事になったのでした。

※※※※※※※※

実際訪問をしてみると店の方は何も変わっていません。
店外には二つの店名看板が掲げられていて、いわゆるダブルネーム経営を行っている店です。
階段を降りて店内に入れば、忘年会の団体客が多くなったからでしょうか、前回よりもかなり騒がしい環境でした。

早速、ビールを注文します。消費税込みで637円とやや高めの印象です。注文してから数分待たせるのは、店として従業員さんが足りていないからでしょう。

変わらずお通しは、鶏の蒸したものに合成イクラが3粒のもので、当たり前のように432円もします。

地鶏のたたき(税込み745円)は、メニュー表の写真とはかなり違い、小さ目で皿に4切れ程です。下には玉ネギを敷き、上にはいつもの九条(苦情)ネギです。水切りが不十分なので、皿がウエットな状態で配膳されました。美味くありません。

今回の逸品は天然マグロ頬肉の朴葉焼きでした。
私は食品知識に乏しい人間なのでぜひ勉強したいところなのですが、マグロのほほ肉って確か希少部位で、鮮魚を取り扱う料理店でたまに見ますが、かなり小さい半月形のパーツだったように思います。これを直角形に四角く切り取るとは、どれだけの大マグロから切り出したのかと驚いてしまいました。食してみたところ、普通の赤身を焼いたのと似たような味がしました。価格は税込み1,069円です。

トイレは色々な生理用品が用意されていたのは好印象でした。ただ、長く補充されていないのでしょうか、篭の中がスカスカで綿棒が横倒しになっていました。また、清掃状態確認表があって実施後に名前が書き入れられていたのですが、もう少し多めに記入した方が印象も良いと思います。私の中では1日2回は最低基準だと思っています。


※※※※


「さて、そろそろ本題に入ろうか」
どっかりと胡坐をかいたkuidoの平次は、スマホの食べログアプリを起動します。
当店のダブルネームのメインの方の店名である【魚河岸 枕崎 大宮店】の口コミには、幾つもの高評価書き込みが並んでいるようです。

平次は言いました。

「ユーザーも決して馬鹿ではない」

残念ですが、今回平次が言えるのはこれだけのようです。(2,000文字にわたる解説は縮小させていただきました)
インターネットの世界では様々な情報が流布されます。私達は何が真実かを見極める目を持たねばならないようです。

  • 地鶏専門個室 宇佐美 -
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  • 地鶏専門個室 宇佐美 - 前編で出てくるお新香盛り合わせ

    前編で出てくるお新香盛り合わせ

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2017/12訪問1回目

1.9

  • 料理・味1.5
  • サービス2.0
  • 雰囲気2.0
  • CP1.8
  • 酒・ドリンク2.5

~ 銭形平次 捕物控 5-① ~ 居酒屋ゆうれい (ダブルネーム店のため並行レビュー)

「親分、物の怪や幽霊を見たことがありますかい」
「そんなものに近づきはねえよ。もっとも、最近のお化けは人の形をしてるとは限らねぇらしいぜ」
「へぇ、どこかで見たことがあるんですか」
「先日、お前さんと一緒にいた綾ちゃんってのがそうだろう。キャバクラ通いがバレて鬼みたいになったってのは違うのかい」
「親分があっさりオイラのアリバイを崩しちまうからですよ」
「そうか、それは済まなかったな」

Z級居酒屋レビューの達人の kuidoの平次と、子分のがらっ八の吾郎君は、大宮の事務所でこんな無駄話の応酬をしておりました。

「親分、その娘にはまた改めて挽回を頂くとして、今日は物の怪の話をさせておくんなさいよ」
「いやに執念が深いじゃないか」
「ここ大宮の東口にも、その物の怪がチョクチョク出るって話をお聞きですかい」

がらっ八の吾郎君は、両手を胸にだらりと泳がせて、怪談噺の型になりました。
それをkuidoの平次も真剣に聞きます。がらっ八が何か劣悪居酒屋のネタを嗅ぎ出して来たらしいことに気がついたのでしょう。

「きっと、美い女かもね」
「誰が」
「その物の怪がですよ。たまらない美い女の幽霊かもしれませんぜ」
「馬鹿だね。いくら美い女だって足がなかった日にゃア、一緒に逢引きも出来やしないじゃねぇか」
kuidoの平次はたまらずのけぞり返ります。

「いやー、あっしの好みの話じゃないですよ、親分。真剣に聞いておくんなさい」
「いつだって真剣だよ」
「いままで居酒屋に入って行った沢山の客衆が、皆んな魂を抜かれたように呆然と帰ってくるって話なんです。忘年会とかの宴席を楽しみにして居酒屋に入っていったのに、出る時は心も財布もすっからかんになっちまうらしいんです」

これは kuidoの平次 としても聞き捨てならない話です。
顎をクイと前へ突き出して話の続きを促します。

「不思議なのは、みな口を揃えて、何があったか分からないって言うんですよ。どうしてこんなに高くつくのか、こんなはずじゃなかったのに・・・って風にね。

kuidoの平次は一言「むぅ」と唸ったきりで考え事を始めました。居酒屋で料金が高かったり、サービスが悪い店に当たることは、繁華街では間々有るものです。ですが、訳が分からないというのは珍しい。がらっ八のいう美女の幽霊はともかくとして、いずれ狸か狐の仕業かもしれません。

「それでなんですが、今晩あたり物の怪退治に行きましょう。付き合って頂けますか」
「別にかまわんよ」
「それと今回は、あっしにも謎解きをさせて下さい」
「おや、八吾郎親分のお出ましだね。その代わりしくじりやがったら、獺祭の一升瓶での向う脛をかっ払ってやるからな」
荒っぽい事を言いながらも、平次親分は、可愛がっている子分を見て、ニヤリニヤリと笑っているのでした。


そんなやり取りもあって、二人が用意を整えて事務所を出たのは暮六つの刻で、夜の帷がすっかり下り切った頃になっていました。フラリと駅を背にした二人ですが、八吾郎の先導で中銀座に向かいます。物の怪が出ると専らの噂になっているのは一番街という駅東側の通りだったのです。確かにアーケードの入口を見てみると、去年までは殆ど居なかった客引き亡者の餓鬼共が、群れをなしてウロウロ徘徊しています。
大宮の駅周りは日が暮れたとは思えないような賑わいでしたが、この辺ともなると人通りもめっきり少なくなり静かなものです。ただただ、客引きがうろつくだけの商店街の荒れっぷりが、列車の通過音を背景に、妙に身に染みてきます。


「あれは何だ」

がらっ八の吾郎が突然立ち止まり、居酒屋の入口に掲げられた看板を指さして呟きました。
1つのフロアに2つの店名を掲げるダブルネームという経営の店です。店の中身は一つしかないのに、広告宣伝のために二つの屋号を使い分ける、残念な経営方針をとっています。
どうやらがらっ八は、銭形平次捕物控シリーズ第1話での平次の真似をしているようです。

「親分、ここが怪しい。入りやしょう」
がらっ八はICレコーダーを片手に、眦を下にとりつつ一歩一歩確実に階段を降りていきます。
すると入口の扉には・・・確かに「枕崎」「薩摩鳥助」の二つの店名表示があったのです。

また、通路には、外したパーテーションと思われる壁の一部が何枚か立て掛けられており、普段使いの居酒屋では見ることができない異質の店内風景を醸し出しています。そして、入口の脇には日本酒と和傘が4本乱雑に転がしてあって、やはり並みの居酒屋のセンスではありません。

店内に入ると個室に案内されました。ただ、その造りは漫画喫茶か独居房に例えられるような、新しいがとても簡素で安普請な個室です。スタッフや隣室の話し声がそのまま聞こえてくるのです。

それでも、気を取り直して生ビールで乾杯をします。スーパードライとの事でしたが、細めのダイエットグラスであることと、配膳まで何と12分も待ったこともあって、この時点でかなり凹んでしまいました。ちなみにお値段は637円(税込み・以下同じ)です。益々テンションが下がります。

続いてお通しをいただきます。イクラを載せた茶碗蒸し(432円)です。極めて少量というだけでなく、合成イクラが熱で変質して、食感が凄いことになっていました。

料理は定番となっている、九条ネギの玉子焼き(745円)を注文しました。先般より、九条ネギの偽装販売業者が検挙されるなど、話題の食材を使った逸品です。がらっ八の吾郎君はしっかり吟味するため、皿に目鼻がくっつく程に近付いて確認をしています。

「てへっ、こいつは酷ぇ」
「どうした、八」
「こののっぺりした玉子焼きも凄ぇが、上に載せた葱までホカホカに温めてやがる」
確かに近付いてみると、玉子だけでなく葱からも湯気が上がっているのです。

「こいつは電子箱で一緒に加熱しちまったに違いねぇ」
がらっ八は呆れるだけ呆れた後は、九条ネギなる青物を口に放り込み、生臭さに当たって意気消沈の体になってしまいました。

次いで頼んだのは鶏の唐揚げです。ブロイラーではないかと思われる若鳥肉に大量の衣を付けて揚げており、ジューシーさを全く感じさせない肉質と、カラカラの外皮の食感に再度呆れてしまいます。オリジンのお弁当が恋しくなりました。
料金は790円の消費税ですから、実質853円です。

そして最後の注文となる、お漬け物盛り合わせですが、これがとても衝撃的な料理でした。平次も吾郎も、皿に盛られた余りの貧相な香の物が届けられると、口で丸文字を描いたまま動かなくなってしまったのです。

大根は水分が飛びカサカサになった黄色い沢庵漬けが4切れ。
胡瓜は単に輪切りにした浅漬けが4切れで、ほぼ味がしません。
極めつけは茄子で、瑞々しいをはるかに通り越した水浸しの味わいでした。

これで価格を見ると、税込みで637円にもなります。いくらなんでも残念の程が過ぎるというものです。
しばらくの間、二人はテーブルを見つめたまま呆然としてしまいました。まるで魂を抜き取られたような心持ちになっています。やっとの事でがらっ八が次の言葉を吐き出しました。

「親分、居酒屋に出る物の怪ってのは、きっとコレですよ」
「と言うと」
「メニュー表やHPに使われている写真とは違って見える料理やサービス。きっとこの近くには狐狸の類が隠れているのかもしれませんぜ」

kuidoの平次はもう一度メニュー表の写真やHPにある写真を確認してみました。
そこにはとても美味しそうな料理や煌びやかな部屋の写真が描かれていました。

しかし、腕を横に伸ばして部屋の庇を指でなぞってみせると、指先には綺麗に何かの跡が付くのです。普段からkuidoの平次が世話になっている町行所の御内儀木蓮様や、浅見nのおひい様がご覧になれば、さぞかしお怒りになるに違いありません。

「親分、こいつぁー駄目だ。早く奉行所に戻って、レビューには岡っ引きとしての感想を正直に報告しやしょうよ。そうすれば、狐狸の類はきっと大人しくなるにちげぇねえ」

そういってサッパリと気持ちを改める吾郎君です。右手の爪楊枝で歯をせせりながら、鼻唄か何かを唄い出しそうな勢いです。
それなのにkuidoの平次は、一向に物憂げな表情を崩しません。

「すると八は、これで解決するって了見なんだな」
「て言いますと」
「またやられちまう客衆は出ると思うよ」
「うへぇ、そんなもんですかね」
「わからないかね。このレビューも物の怪退治には効果が薄い」
「書いてもダメってことですか、親分。ではどうすればいいんです」
「二日悩んで一昨日来やがれだな。八ももう少し知恵を絞ってみろ」
「人が悪いや…今日の親分は」

と、今回ばかりは釈然としない子分の八吾郎でした。(後編に続く)

  • 地鶏専門個室 宇佐美 -
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  • 地鶏専門個室 宇佐美 - 美味い…のか

    美味い…のか

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店舗情報(詳細)

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店舗基本情報

店名
閉店 地鶏専門個室 宇佐美 大宮東口店(【旧店名】厳選地鶏の個室居酒屋 薩摩鳥助)

このお店は現在閉店しております。店舗の掲載情報に関して

ジャンル 居酒屋、ダイニングバー、焼き鳥
住所

埼玉県さいたま市大宮区宮町1-51 大宮みのやビル B1F

交通手段

大宮駅 東口

大宮駅から241m

営業時間
  • ■営業時間

    16:00~24:00

    ■定休日

営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

予算

¥2,000~¥2,999

予算(口コミ集計)
¥5,000~¥5,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(VISA)

電子マネー不可

席・設備

席数

10席

個室

貸切

不可

禁煙・喫煙

全席喫煙可

2020年4月1日より受動喫煙対策に関する法律(改正健康増進法)が施行されており、最新の情報と異なる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

駐車場

近くにコインパーキングあり

特徴・関連情報

利用シーン

お子様連れ

お子様連れでのご宴会にもどうぞ

オープン日

2016年12月14日

初投稿者

グリーンパフェグリーンパフェ(1621)

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