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この口コミは、さむそんめいんどりぱすさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
夜の点数:4.2
2006/09 訪問
夜の点数:4.2
蝦跳ねても枡を出ず 宮崎台の天ぷらの名店「美かさ」 朱漆のカウンターで舌鼓
2007/03/28 更新
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「おっかしいなー。ゼッタイこの辺りなんだけど」
「しっかりしてよ。さっきから同じとこグルグル周って。ったく方向音痴なんだから」
業を煮やした妻が通りすがりの人に尋ねている。
「この先の角らしいわよ」
車を停め歩いていくと何やらカグワしい香りが・・・(胡麻油の匂いだ!)
匂いを発している角を曲がると美かさの表札。感動を覚えたとともにホッとした。
やんごとなき食べログ重鎮レビュアーのお歴々が挙って賞賛する「美かさ」。
宮崎台は縁もゆかりも無い土地であるが、「淡雪」なる譬えの活きた鯊はじめ最上の旨い天ぷらが食せるとあれば労は厭わない。
19:30の予約時間5分前に入店。先客の8名ほどのグループがまだ食事中であった(恐らく接待。最もお偉方と思しき客が完全に出来上がっている)。カウンター後方の待合室に通される。私たちより遅れて予約客3組全て揃うが先客は帰る気配なし。初回のスタートが遅れたのであろうか。時刻を過ぎて漸く〆の品が供されていた。
「だから、2番手はいやなのよ」と小声で囁く妻。
カウンターの中からご主人が申し訳なさそうな顔で此方を見る。如何にも実直そうなご主人である。目の前の酔客相手には殆ど話はされていなかった。
結局20分遅れでのスタート。「本当にお待たせして申し訳ございません」と上品な物腰の女将さん。ご主人もそうだが実に腰が低く人柄の良さが窺える。逆に此方が恐縮してしまう。
こういうカウンターのみ完全入替予約制の店だと居合わせた客層でガラッと印象が変わる。後の組でよかったと思った。
「お飲み物はいかがいたしましょう?」
「びぃ・・・」「お茶ふたつお願いします!」
微かな期待は「淡雪」のように消え去った。
・銀杏
・むかご
・蝦頭素揚
・巻蝦
・グリーンアスパラ
・鱚
・椎茸
・子持ち鮎(!)
・岩牡蠣(!!)
・松茸
・鯊(!)
・蓮根
・穴子(!)
・天茶
天ぷらはどれも素材を活かした素揚げに近い。これは抹茶塩で、これは天つゆで、と一品ひと品ご主人の説明がある。
特に印象に残ったのは北海道厚岸産の岩牡蠣の天ぷら。主人の説明をちゃんと聞いておらずなんだか分からず口に含んだが、いやー、まさしく生きててよかった!感動。絶品。悶絶。いや実際、本当に!(なぢらねさん無断使用ごめんなさい・笑)
鯊は20センチ近くもあったろうか。かなりデカイ。俎板の上で元気に飛び跳ねていた。子鯊の時季が本当はもっと美味しいのだろうけれども。「大根おろしをたっぷりと天つゆに入れ、鯊をスプーンにして掬って、急いで食べて下さい」とご主人。子持ち鮎は蓼酢で。口をパクパク開け俎板の上で暴れる元気な穴子は東京湾産。観念しろよと目打ちされ一気に捌かれる。見てて可哀相であったが約5分後目の前で金箸で二つに割られた穴子はカリカリッと絶妙の揚げ具合。合掌。御馳走様でした。
これで一人7,000円はゼッタイにお値打ち。天麩羅初心者でもご主人の丁寧な説明が逐一あるので安心。はるばる東京から出向く価値は十分。行きつけの一軒にしたいお店です。ご近所/沿線の方が羨ましい。