『恩師の残像』お茶山さんの日記

お茶山の勝手にグルメガイド

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お茶山 (男性・山口県)

日記詳細

 福岡に同業者数名と出掛けた。一応、研修名目である。
 同行のグループの中に、とある女性がいた。女性がいることそのものは珍しくないのだが、清楚な美しさが目を引く女性というのは、かなり珍しい。
 私も当初、かの女性に意識を向けていたが、途中から、その人を取り巻くおっさんの行動の方が楽しいことに気づいてしまい、人間観察に方向転換してしまった。(美女より、ムサいおっさんに興味があるというわけではない。断じて。)
 周囲の人間はチラチラと彼女を見やりながら、時に面白くもない冗談を言ったりして、かなり浮かれている。(冗談なんか言いそうもないようなキャラの人が変な事を言ってたりするのが、相当ウケる。)
 新幹線の中で色々しゃべくっていると、突然「お茶山くんではないかね・・・。」と後ろの座席の乗客に声をかけられた。さっきトイレに立ったおじいちゃんが自分のカオをジロジロ見るので声のトーンを落とした方がいいかな・・・と不安になった直後のことである。
 「???」何と、高校の時にお世話になった先生である。
 ひえーっ。馬鹿笑いしてた、恥ずかしい。
 何よりも恥ずかしいのは、向こうが気付いて下さり、こっちが、きょとん・・・だったことである。
 「お茶山さんってそんなに印象的な生徒だったんですか?ひょっとして優秀だった・・・とか?(おいおい・・・)」と例のマドンナちゃんが我が恩師に尋ねた。
 「いやあ、そうじゃない。(おいおい・・・)独特の服装で学校に来ていたからね。」と恩師はお茶山の恥ずかしい過去を語ってくれた。
 確かに・・・。咄嗟に思い出して自分で赤面した。
 高校時代の私の服装、それは、「ど根性ガエルのヒロシ」ファッションである。殆どコスプレと言ってもいい。気に入ったデザインのものが無くて、自分で描いてプリントTシャツを作る程の気合いの入れようであった。
 アハハハハ・・・現在のお茶山を知る人々に笑われた心の傷、簡単に癒えるものではない。
 しかも「その後、外資系の衣料メーカーに就職と聞いてびっくりした。服に興味があったんだねえ。」とまで、言われた。
 「まあ、今は故郷に帰って全く別の仕事をしておりますので・・・。」と言ってそれ以上喋るのを止めてもらう。
 その晩は、「ツンドラ」でのロシア料理の味がわからなくなるほど打ちひしがれていた。
 高校時代の恩師の残像がおぼろげに浮かぶ。その姿は、当然ながらおじいさんではない。今日の新幹線で出会ったあの人、本当に恩師だったのかとさえ疑い始めてしまった。いっそのこと、すべてが夢であってほしいくらいだ。
 その後、タレント・お○ぎも好きだと言うホテルニューオータニのバーを訪れる。その後、嫌な事を忘れるための深酒という最悪パターンに陥ったのは言うまでもない。
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