3回
2017/12 訪問
年に一度、同じ日に、同じ場所で、同じ御菜。
♪
今日は楽しいクリスマス〜
年に一度のクリスマス〜
晩から朝までクリスマス〜
灰から日までクリッスマス!
クリスマス音頭©️大瀧詠一 http://recochoku.jp/song/S22386881/
マカオいいとこ一度はおいで、酒はうまいしネーちゃんはキレー
…というわけで、博打と星誕快樂に湧くテッカバ・シティを一人歩く、旅商人の足取りも軽い。
連日の実演調理の甲斐あり、特設売り場に用意した天狗物産社謹製アイノックス・ユキヒラ・ソースパンの在庫は完売、最終日を残して「客注」をとるほとの売り上げとなったからだ。
あと一日、オトウサン頑張ってガバガバ稼いじゃうゼ!
と、なれば本番に備え、気を練り、身を養うために、マカオ名物猪扒包(ぽーくちょっぷ・ばーがぁ)を朝からガブガブやるのも悪くない。
0900時カフェ・ヴィクトリア。
早晨! やっわい、と店に入り、二人がけの小さな食卓に至り、スマートフォンの画像アーカイヴを開いてみると、昨年の同日、やはりここで朝食をとっている事が判明、落ち着きも家庭の団欒もなく、旅に出ては日銭を稼ぎ続けるアヒルの水かき、コマネズミ的稼業を選択した我が #冷酷な現実 に向かい合わざるを得ない。
向かい合っての早餐は、奶茶(みるくてぃ)に決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。
もしあるとすれば、早餐特惠(もーにんぐせっと)にすると飲み物はオートマティカリにミルクティー、アルのコトよ、文句、ある? 的なことを早口の粵語でまくしたてられた「らしい」から、とは、理由があろうがなかろうか問答無用で運ばれてくるから黙っている。
そう思いながら一年ぶり二度目、社会通念上の惣菜パンの #断面に着目する と、具の唐揚げは、肉に予め上漿(下味)が施されている事のわかる色合いで、パンごとかじりついてみると、万世のパーコーをより醤油リッチにしたような風であり、それと同時に
「ん? 豚肉にしちゃ随分キメが細けえな」
と気付き、改めて歯によって形成された剪断面、破断面をしげしげと眺めてみ、さらに舌の上に残る後味を探ってみると、猪扒包と言いながら、実は鶏腿肉が採用されている事に軽い衝撃を受け、とはいえ醤油ベースだけにオリジナルの豚肉より味のまとまりは悪くなく、一体感もあり、さて、このまとまりの良さを鑑み、名より実を取り、敢えて羊頭狗肉的な素材選択をしているのか、それとも単なる原価低減志向の表れなのか? と怪しみつつ、あ、そーいえばエチゴ・スワローシティ界隈では昔から、焼鳥と漢字表記だと正肉、やきとり、ヤキトリとあれば労働者諸君御用実質本位の豚の内臓焼きであったなぁ、と、関係ありそうで実はあまりない事を思い出しては、いんだよ細けえ事は! と嘯き、えー、つまりアレかね、江戸っ子だからタクシーで日比谷行ってくれって言ったら渋谷に着いちゃった、みたいな話かね? と、落語のマクラ的な事を思い浮かべては、もーたいへんなんスから、どーも、すみませーん©️海老名家 と、アタマに手をやらない、事もない。
2017/12/31 更新
2016/12 訪問
シリーズ マカオ・カツ・サンドに着目する(疾風怒濤編)
マカオ風カツサンドを追え! と勝手に始めた猪扒包探訪だが、当方は昔読んだ雑誌飲食男女の記事に触発されて、が動機であった。
一方、世界有数のお調子者シェフ、アンソニーボーディン氏が以前、テレビで紹介した事で、英語圏ではPork Chop Bunとして人口に膾炙されており、マカオに行ったら一度はお食べ、と一種の名物になっているらしい。
そして最も有名にして行列ができる猪扒包の店は、氏の訪問したココという事になっているらしいが、たかが、といったらなんだが、とんかつバーガーひとつのために氹仔島まで足を延ばすというのは、いくらなんでもいい大人としてどうなのよ、という気もするし、そもそも商いで当地に訪れているわけで、そのような酔狂に時間を費やす余裕がない。
と、いう訳で、仕事先から徒歩圏、朝から開いていて、遅い朝飯というか朝昼兼用めしとして採用が可能、という目的に合致した、ごく限られた範囲で経廻る。
こちらは先日訪問した金馬輪から数軒離れた並び。
こんぬつわ、ヤッワイ、と人差し指を上げて店の中に入っていくと、お店の女将らしい夫人から、どこでもいいから腰かけろ、とでもいうように面倒くさそうに手で指し示されるので、手近な食卓に収まる。
品書きを見る。探すまでもなく猪扒包を見出し、これを指差しで注文。いつものながれ。
茶餐廳では熱咖啡に決めている。
決めているのに理由はない、あったとしても忘れてしまった。
もしあるとすれば、注文しおわりメニューを手放し、気を抜いていたところで、やお・もー・ちゃー? といきなり聞かれたため、つい延髄反射でいーがーふぇ、と応えてしまい、すぐさま南無三、こう頼むとクリープだかコンデンスミルクが飽和までブチこまれたコーヒーが来ちまう、と思い出した時には手遅れで、目の前に白濁するナゾの飲み物が来てしまったから、とは、自らの恥をさらすだけだから、黙っている。
そう思いながら、これもお約束のハーフカットに泣き別れ? され運ばれてきたポーク・チョップ・バンに着目すると、衣は社会通念上のカツとの相似形を見せるパン粉で形成されており、噛り付いてみるとはしごのぱいこうだんだんめんのぱいこうよろしくシッカリ、というよりかなりあくどく下味が施されており、揚げ油がまるで継ぎ足し継ぎ足しの老舗の味よろしくお疲れちゃんな風でチョッとむっと来るところが下町的で、パンがコッペパン風なのがさらにそれを助長しているが、裏面を若干トーストしていて芳ばしさを加えているところに猪口才というか曲者な風を覚え、全体にゲテっぽく、ああ、これこそが元々の、民俗的にして通俗風な猪扒包の基本形なのかもしれないな、と一人合点しない、事もない。
2016/12/30 更新
こちらへ伺うのも5年ぶり。
久しぶりすぎだし、狭い路地の続くマカオではGoogleマップさんもお手上げ。
まともに位置情報を提供してくれないから、ちょい道に迷いながらもどうにか到着。
一時期、大陸観光客が殺到しごったがえし、殺伐とすらしていた雰囲気は落ち着きを取り戻し、近所にお住まいと思しきご隠居衆が、井戸端会議ないし床屋政談、もしくはよもやま話に興じている様がほほえましくもホッとさせられる。
豬扒包。
マカオ名物ということになっている、豚のから揚げバーガー。
澳式カツサンドとでも申すべきか。
素朴でストレイトな、余計なことをしていない味わい。
意外? にも、肉を挟んでいるバンズがパリッとしており、妙な甘みがないところに、この地がかつて、ポルトガルの植民地だったことを想起させ
……って、考えすぎか、はは。
諸物価高騰喧しい昨今にあって、はみ出る肉のヴォリュームに大いに瞠目しつつ、熱咖啡(ホットコーヒ)と共にガブガブやると、5年の月日の流れの速さにボーっと
……するが、このおかずパンひとつで腹がいっぱいになっている自分を発見して、ああ、これが50代から60になるという事なんだね、と、そっとため息をはかない、事もない。
なんだかなあ。
尚、具体的な御菜の詳細は、別掲の写真ないし、写真のコメント欄に当たっていただきたい。