『シリーズ「帰ってきた #だからワタシは嫌われる」(その13) お稽古ざんす』ムササビヒンソーさんの日記

【面白くって】もうぞこいてんなよ。【ためになる】

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ムササビヒンソー (60代前半・男性) 認証済

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食べ物屋や酒場通いには無論、うまい不味いもあるけれど、ここではこうという「型が決まる」つまりお稽古事の自分の出来栄えを面白がる、みたいなところもある。

よくいうお蕎麦屋やお寿司屋での立ち振る舞い、注文の仕方、酒の飲み方なんていうのがそれで、これをルールだと思うと煩雑かつ鬱陶しいと感じる一方、ご案内の通り、お稽古事のお浚い会とか、楽器の発表会みたいな気分でいると面白くない、事もない。

とはいえ武道や茶道、生け花なんかみたいに、その店、その地方独特の「流派」もあり、そこから外れると怒り出す「原理主義」なひと(お店もお客も)もいたりするから、これまた厄介。

又、修行の守破離じゃないけど、いきなり破や離を前面に押し出してきて「どうだこれこそ本質」なんてやってくるのを「流儀」とする、新派みたいなお店もあったり。

昨今はこの「新派」寄りのお店が、特に高級店と言われるところに少なくないから、比較的古典遵守「お稽古」派のわたくしなどはまぁ、ビックリしちゃう訳です。

・全員同時で座った途端一斉に、おつまみや小皿、おすしが問答無用でずんどこ出てきて二時間みっちり腹いっぱいな、「オマカセ百番勝負」とか「ムニュ・デキュスタシオンぶつかり稽古」とか

・料理を一皿頼むと、それに合わせて店側推奨のワインをグラスに一杯ずつ、必ず注文するように促される「マッチング・アプリ修行」とか

古い、モノクロ映画に出てきそうな「飲み屋の風景」がカッチいい、シブいよなぁと思って、老け技修行? に励んできて、ようやく所作と自らの年廻りが茶番じゃなくなったと思ったら、もうそりゃ時代遅れ、オールド・ファションドってもんだと叱られているようで落ち着かない

…ってバカだねオレ。はは。

例えば口溶けがいいようにフワリと握ってくるから手のひらに直接渡してくるお寿司とか、具沢山かつ海苔がパリパリの方がいいから巻き簀を用いず手巻きでどうぞ、とかというのは、「新派」の解釈としてアリだとは思うのだけれど、生憎それを傍にどうやって酒器を用いるかという「型」「作法」が定まっていないから、ウロタえてしまうんだろうな。

そういう「新派」のみなさまには、出来ればお店の入り口に

・「オマカセ流腹一杯派」とか
・「箸を使わせぬ接待を伴う飲食流お口にあーん派」とか
・「金と書いて愛と読む高額食材ずんどこ流領収書承ります派」とか

と、剣術の道場よろしく「看板」を据えておいてもらえると、有難いんだけどな。

#だからワタシは嫌われる

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