kuroたんさんのマイ★ベストレストラン 2014

kuroたんのレストランガイド

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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今年も食べログと多くのレビュアー様のお陰で素晴らしいお店に出会う事ができました。
個人的にはスローフードと非日常が味わえるお店が好きですが、
今回選んだ10店は、いずれも素晴らしい雰囲気と卓越した料理で楽しませていただいたお店ばかりです。
ご参考になれば幸いです。

マイ★ベストレストラン

1位

エルルカン・ビス (湯河原 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.6
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2014/05訪問 2014/05/11

なごみの空間と極上の料理

ゴールデンウィーク中という事もあり小田原駅は新宿並の混雑だったが、湯河原駅に降り立つと一気に静かになった。
駅前のタクシー乗り場も行列は無く、すんなりと乗ることができた。

車は山側へと進み、途中から細い曲りくねった道に分け入り段々と上って行く。
上るにつれて人家は疎らになり、所々に別荘と思われる建物が垣間見える程度だ。
お店は、そんな閑静な環境の中にひっそりと建っている。
回りを竹林に囲まれ、綺麗に管理されたアプローチや庭が心を和ませるようだ。
入口には日本料理店のような白い暖簾が掛かり、和と洋が入り交じった独特の雰囲気を醸し出している。

店内は庭に面した側が大きなガラス窓になっていて外の景色を眺めながら食事できる趣向だ。
テーブル席が窓側と厨房側二列に並んでいて、全部で40席くらいはあるでしょうか。
内装全般は華美を抑えた、どちらかと言えばシンプルなものだが清潔感があり非常に落ち着きのある快適な空間です。

さて、こちらのメニューですが、ランチタイムは二つのコース料理に絞られていて
今回は「saveur」というコースをいただきました。
内容は以下の通りです。

◦アミューズ:ピクルス、チーズパイ、プティシュー・豚肉のリエット詰め

◦一の前菜:筍入り海老真丈・木の芽ソース
まるで和食のような一品。庭で採れた筍を使っている。
和食の真丈よりもふわっとした仕上がりでサイコロ状にカットされて入っている筍の食感が楽しい。
上に乗った赤海老のマリネも素晴らしい仕上がり。

◦二の前菜:スモークサーモンのドゥミコンフィ・クリスタルウォータソース
第一にサーモンが棒状にカットされているので薄切りでは味わえない食感が楽しめる。
火入れも絶妙です。
第二に野菜の澄まし汁とブイヨン等で作られた水のように澄んだソースが斬新だ。

◦魚料理:アイナメの揚げ蒸し・エスニックブイヨンソース
一度揚げてから蒸すことにより適度に油が抜けて、コクがありながらさっぱりとした仕上がりになる。
アイナメには2mm幅の飾り庖丁が入っていて食べやすく、また上品なソースも絡みやすい。

◦肉料理:秀麗豚フィレ肉のグリル・蕗の薹と焼きナスのマントノン風・和三盆と生姜のソースで
秀麗豚は愛知県豊橋産のブランド豚。
蕗の薹と焼きナスのピュレを肉の上に塗り焼いている。
こちらも火入れは絶妙で肉は驚くほど軟らかい。
上品な豚肉本来の味に蕗の薹のほろ苦さ、和三盆の甘さ、生姜のピリ辛が合わさり、何とも言えぬハーモニーを奏でる。

◦小さなご飯物:ずわい蟹のご飯
帆立のダシとバターで炊いたピラフのような仕上がり。
ずわい蟹も入って濃厚な味。
量は、ほんの一口分ですがこのくらいが適量かもしれません。

◦本日のデザート1:抹茶のアイスクリーム、紅茶のロールケーキ

◦本日のデザート2:ブラジルプリン
練乳、ココナッツミルク等が入ったプリンは結構濃厚な味です。
見た目はシンプルですが、これは美味しい。

◦食後の飲物:コーヒー、ハーブティー

コース全体で感じたのは、ランチタイムとは思えない充実した内容だったこと。
CPも文句なしです。
料理は素材の生かし方、調理技術、巧みなソース使いを始めとする独創性、どれを取っても非凡な技を感じます。
シェフはフレンチは元より、イタリアン、日本料理の有名店で研鑽を積まれたようですが、その成果が各料理に遺憾なく発揮されていました。
素晴らしいなごみの空間の中で極上の料理をいただき、久々に感動の余韻に浸りました。

  • アミューズ:ピクルス、チーズパイ、プティシュー
  • シャンパン
  • 一の前菜:筍入り海老真丈・木の芽ソース

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2位

ラ・ターブル・ド・トリウミ (茅ケ崎、北茅ケ崎 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.6
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥8,000~¥9,999

2014/06訪問 2015/10/19

確かな食材と卓越した調理技術

茅ヶ崎市松が丘。
典型的な住宅地だが、その間を通る路は狭く入り組んでいる。
付近の家々は植栽を設けた所が多く、家が密集している割りには閑静な環境を形成している。

そんな一帯にこちらのお店があるのだが、その洋館造りの建物はそれ程異彩を放つ事も無く回りの風景に溶け込んでいるようだ。
今回は平日のランチタイムにお邪魔しましたが店内はほぼ満席。
それでも各テーブル席は余裕を持ってセットされているので、気兼ね無く楽しめそうな雰囲気です。

ランチタイムのメニューはコースが三つあり
今回はその中から「6月の特選ランチメニュー」をいただきました。
詳しい内容は以下の通りです。

◦アミューズ:マスクメロン・茴香の香り

◦最初の小さな一皿:地元産有機新人参のムース・コンソメジュレと共に
最初は南瓜でも入っているのではと思うほど甘さが引き立っていた。
滑らかでコンソメジュレとの相性も抜群です。

◦初夏のスペシャリテ:隠岐産岩牡蠣の温製・軽くスモークして
結果的に本日一番の一品。
牡蠣のぷりぷり感はもちろん、火入れの状態が絶妙で瞬間スモークされた風味が追い打ちをかける。
下に敷かれたキャベツも甘い。
食感、バター系のソースを加えた全体の味のバランス、何も言うことはありません。

◦2皿目のオードブル;ブイヤベースの冷たいジュレ 穴子、帆立貝、車海老とルイユソース・ラタトゥイユ添え
ジュレは濃厚な魚の旨みが詰まっている。具材の魚介類も鮮度抜群です。
ソースは少しニンニクが利いて良いアクセントに。
また別に添えられたラタトゥイユは野菜がシャキシャキした仕上がりで爽やかな一品でした。

メインディッシュ:活エゾアワビのリゾット仕立て・その肝のリゾットと岩海苔のソース
予め食材のアワビを見せてもらいましたが鮮度は文句なし。
肝のリゾットは苦みはほとんど無く、旨みだけが凝縮されている。
アワビはヴァプールした後薄くスライスして、食べやすく工夫されています。
全体的な味のバランスはさすがです。

今月のデザート:出始めの白桃のコンポート・シャルトリューズ酒のグラニテとミントのソルベ
まずコンポートの作り方が変わっている。
その日注文を受けてから作り始めるという。
桃を湯むきして、半割にしてから種を取りシロップに漬け込むというもの。
当然、桃に余り熱が入っていないのでフレッシュ感が残る。
とても斬新な一品でした。

ランチタイムとはいえ、コースは適度にゆっくりと進み全体で2時間ほど。
サービススタッフは男性の方二人で、料理の説明は元より、全般的に丁寧な接客でとても快適な一時を過ごすことができました。
料理は鳥海シェフの料理哲学が反映されたような内容で十分堪能させていただきました。
できれば、また秋頃お邪魔してその季節の料理を味わってみたいですね。

  • アミューズ:メロンと茴香
  • 最初の小さな一皿:有機新人参のムース・コンソメジュレと共に
  • ミモザ

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3位

石臼挽き蕎麦香房 山の実 (山ノ内町その他 / そば)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.4
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2014/08訪問 2014/08/18

ふくよかに香る生粉打ち蕎麦

長野県内でも評判のお店だがアクセスの不便さ、営業日の少なさ、営業時間の短さ等で
ずっと訪問できずにいた。
今回、満を持してやっと伺うことができた。

アクセスは一応信州中野駅からバスが出ているらしいが、短い営業時間にうまくたどり着けるものは無く
結局レンタカーを借りてお店に向かった。
中野市街地からは国道403号線を走り竜王スキー場を目指す。
道も空いていたので大体30分ほど走って無事到着。

お店はロッジ風の建物で予想以上に大きい。
全部テーブル席だが40〜50席くらいはあるでしょうか。
明るくて素朴なインテリアは山の中のちょっと洒落た食堂といった雰囲気で
拘りの蕎麦屋さんという気配は微塵も無い。

少し心配になったが、生粉打ち蕎麦と、こちらのもう一つの売りである蕎麦粉のピッツァをお願いした。
最初にお茶が出され、続いて漬け物が出て来た。
地元の山で採れた根曲り竹、胡瓜、鞍掛豆だが程良い塩梅の出汁に漬け込まれていて美味しい。

次に本命の蕎麦が出て来た。
笊に盛られた蕎麦は1.2mm前後の極細打ちで比較的綺麗に揃っている。
繋がりも生粉打ちとしては問題ありません。
今日の玄蕎麦は富山県の蓑谷産とのことですが、その風味の強さに驚きました。
香りも十分で、今が真夏であることを一瞬忘れさせるほどのレベル。
量も結構多めでしたが、そのまま何も付けずに半分以上食べてしまった。
蕎麦粉も良質ですが、この辺は水も良いようで、その相乗効果が十分出ていました。

辛汁は、濃度がやや薄めですが、十分な強い出汁で返しを立たせた引き締まったもの。
蕎麦湯は別製の濃厚タイプで両方とも美味しくいただきました。

最後に出て来たのが夏野菜をトッピングしたピッツァ。
膨張剤を使っていないようで薄い生地の上にトマトソースが敷かれ、ズッキーニ、南瓜、アスパラ、トウモロコシ等が乗っている。
生地は小麦粉のものと比べるとさっぱりとした味わいで、微粉の蕎麦粉に混ぜられた丸ヌキを粗く砕いた粒が微妙にアクセントを
与えている。
これは蕎麦屋さんが片手間で作っているレベルでは無いですね。
十分に吟味された素晴らしい出来栄えでした。

アクセスの悪さには泣かされましたが、十分それに見合う内容のお店でした。
今回はお盆の時期だったので自分の車で行くことは止めましたが、それ以外の時期だったら
やはりマイカーで行くのがベストと思われます。
次回は小布施辺りと組み合わせて、車でのんびりと伺いたいですね。

  • (説明なし)
  • 突き出し:漬け物
  • 生粉打ちそば

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4位

鬼怒川 竹やぶ (新守谷、小絹、守谷 / そば)

1回

  • 昼の点数: 4.1

    • [ 料理・味 4.1
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2014/04訪問 2014/04/25

癒やしの空間で味わう極上の蕎麦

鬼怒川というと栃木県の鬼怒川温泉周辺をイメージしてしまうが、こちらのお店は、その大分下流の茨城県守谷市にある。
この辺りは鬼怒川の最も下流に近く、川は少し先で利根川に合流している。

常磐自動車道を谷和原インターで下り、西に向かって車を走らせる。
途中幹線道路から車一台がやっと通れるような細い道に分け入り、しばらく進むと到着する。
お店は付近の風景に溶け込むような、ひっそりとした佇まいで、付近に建つ一般民家との区別もつかないほどだ。
直ぐ目の前には雄大な鬼怒川が流れ、川縁には満開の菜の花が咲き誇っている。

建物は素朴な外観とは裏腹に随所にセンスを感じさせるもので、何とも言えぬ落ち着きを漂わせている。
竹やぶ系のお店としては最も装飾性の少ない地味な部類と言えそうです。
店内は川側が大きなガラス窓になっていて採光も十分。
窓に沿って4人用のテーブル席が並んでいる。
内装全般も素朴ながら静かで落ち着きのある素晴らしい空間です。

さて、こちらの蕎麦ですが、ベースとなるのは2種類。
一つは丸ヌキを製粉して打った「せいろ」、もう一つは玄蕎麦を挽きぐるみにした「田舎」です。
今回は、その両方の蕎麦と鰊の棒煮をお願いしました。

蕎麦は柏の本店と同じ程度の細打ちで、延し、庖丁、繋がり状態共に文句なしの出来映え。
今日の玄蕎麦は長野県信濃町産とのことですが、香り、風味、いずれも素晴らしい。
玄蕎麦も十分吟味されているようです。

田舎蕎麦はせいろと同様の細打ちで、こちらもしっかり繋がっている。
透明感のある綺麗な見栄えです。
田舎蕎麦は外皮や甘皮のやや粗い粉が混じるため、特に生粉打ちで打つ場合は高度な技術が要求されるが
こちらの蕎麦は見事の一言。
風味はより強く、野性味さえ感じさせる。美味しいです。

辛汁は江戸前としては標準的で、返しの熟成、出汁の濃さ共に十分で円やかに仕上がっている。
蕎麦湯は蕎麦粉を溶き入れた濃厚タイプで風味も素晴らしい。

今まで竹やぶ本店・阿部孝雄氏のお弟子さんのお店を何軒か回らせていただきましたが、お店造り、蕎麦の出来映え等で
こちらは最も自分の好みに合うお店でした。
やはり竹やぶの暖簾は伊達ではないというところでしょうか。
少し遠いですが、石川県の「手取川・竹やぶ」さんにも機会を作って是非お邪魔してみたいと思いつつお店を後にしました。

  • お茶とおしぼり
  • にしん棒煮
  • せいろ

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5位

玄蕎麦 野中 (中村橋、練馬 / そば)

1回

  • 昼の点数: 4.1

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.7
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2014/01訪問 2014/01/31

見栄え、味が両立する稀少な蕎麦

西武池袋線・中村橋駅より南東方向に徒歩15分程歩くと
マンションや個人住宅が建ち並ぶ一帯に黒塀を巡らせた趣のある建物が出現する。
入口には梅の花の暖簾が掛かっていて、しっとりと落ち着いた雰囲気が漂っています。

店内は入口際にある製粉室に続いて左手に厨房があり、客席は中央から奥に向かって広がっている。
外観同様に落ち着きのある快適な空間です。

今回いただいたのは、「淡い緑のせいろ」と呼ばれる粗挽きの蕎麦。
麺線の綺麗さ、繋がり状態共に文句なしの仕上がりで、甘皮部分の粒が混じった蕎麦は美しいの一言。
香りや風味も秀逸で、粗挽きの効果が十分に出ていました。
麺線は1.5mm前後で標準的な太さ。もちろん喉ごしも問題ありません。

辛汁は標準的濃度で、返し、ダシ共に丁寧な仕事を感じさせる仕上がりですが、
このレベルの蕎麦だとほとんど要りませんね。
最後に蕎麦湯で割っていただきました。

使われている器類は、洋食器のロイコペを始めセンスの良い和食器が混じり、演出に一役買っていました。

ところで、ここ1〜2ヶ月の間に西武池袋線沿線の蕎麦屋さんを回りましたが、本当にレベルの高いお店が揃っています。
そんな中でも、こちらのお店は頭一つ抜け出ている気がしました。

  • 淡い緑のせいろ
  • 甘皮部分も混じる粗挽きです
  • 辛汁と薬味

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6位

日本料理 幸庵 (藤沢、石上 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 -

2014/06訪問 2014/06/28

6月は氷室開き

梅雨の合間の夕刻に藤沢の幸庵さんに初めてお邪魔しました。
藤沢駅からは徒歩数分の距離でビルの1階にお店が入っている。
ビルの中とは言え入口へのアプローチは工夫され、それらしい雰囲気は漂っています。

店内はデザインされた柔らかな光が満ちる空間で非常に落ち着いた大人の雰囲気だ。
客席は、お座敷、テーブル席、カウンター席に分かれ、全体的にゆとりを持ったスペースが確保されている。

今回は厨房側のカウンター席に案内されました。
厨房前とは言え仕切られていて調理場の様子は見る事が出来ないが、ゆったりと寛げる素晴らしい空間です。

今回いただいた料理のテーマは「氷室開き」
氷室は冷凍設備の無い時代に雪や氷を保存した施設だが、冬の間に貯蔵した氷雪を毎年6月末に取り出したという。
これが氷室開きで現在でも金沢ではこの風習が受け継がれているらしい。
そんな風習を反映させた料理の詳細は以下の通りです。

先付:毛蟹と青ズイキの生姜酢ジュレ掛け、梅酒
氷を模したガラスの器に榊の葉が蓋代わりになっている。
中身は蒸した毛蟹、青ズイキ、オクラ等で上に蟹味噌、生姜酢の柔らかいジュレが掛かっている。
蟹肉の甘み、蟹味噌の旨み、生姜酢の爽やかな酸味が調和した素晴らしい一品でした。

椀:蒸しアワビ、蓮豆腐、睡蓮菜、青柚
出汁は上品で申し分なし。ハス豆腐はすり下ろしたレンコンとワラビ粉で作っているとのこと。
アワビは肉厚で適度な食感を残している。贅沢な椀物です。

造り:鱧、真蛸、アイナメ
鱧とタコは湯引きしてあり、鱧は表面を炙っている。アイナメは皮目を炙った焼霜造り。
一手間加えた効果は食感、風味に生かされていた。
添えられた長野県のこみやま醤油、梅肉醤油も美味。

八寸:鰻の酒塩焼き、石川小芋のウニ鋳込み、満願寺唐辛子の焼き浸し、鰹酒盗・クリームチーズ・枝豆、ジュンサイと黄鬼灯
どれも丁寧な仕事を彷彿させる一品で、特に鰻の焼きは完璧で食感が素晴らしかった。

焼物:和牛肩三角の藁焼き、ルッコラ、レホール
肩三角の部位を藁で焼いた一品。
レアーな仕上がりで肉は十分軟らかい。焼いた藁が入っていて、それが香ばしい調味料になっている。

煮物:冬瓜と穴子の炊き合わせ
洋食器・ロイヤルコペンハーゲンの器で供される。
上品な出汁が利いた、ほっとするような一品。

食事:冷やし胡麻ダレうどん・三つ葉・四万十の川海苔を添えて
手作りの氷鉢で供される。
うどんは海藻が練り込まれているとの事だが、あまり風味は感じなかった。
胡麻ダレは、二番出汁+当たりゴマ+味醂+淡口醤油等で調味された奥深い味わい。
上に振られたアラレが良い食感のアクセントになっていました。

甘味:氷室缶・黒蜜添え
氷を模した甘納豆入りの寒天。器もテーマに合っている。

水菓子:完熟梅のアイスクリーム、宮崎マンゴー、マスクメロン、スイカ
梅のアイスクリームが素晴らしい。

料理全般では伝統的なものに加えアイデアを加えた創作的な一品も垣間見えて興味深い内容になっていました。
器類も内容に合わせて十分吟味されていることが伺えます。
接客全般は穏やかで丁寧なもの。間も申し分なしでした。

故事に擬えた料理の数々、十分堪能させていただきました。

  • 先付:毛蟹と青ズイキの生姜酢ジュレ掛け、梅酒
  • 先付
  • スパークリング ワイン

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7位

シェ・ヒャクタケ (茅ケ崎 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2014/08訪問 2014/08/12

食材の特徴を知り尽くした料理

茅ヶ崎駅南口から徒歩数分のところ。
小さなビルの2階にお店がある。
通りからは目立たない感じで小さな看板が出ています。
1階に入っているお弁当屋さんが目印になるでしょうか。

階段を上って2階へ出ると手前の道路側は居酒屋さんが入っていて、その奥がこちらのお店だ。
入口に至る通路も狭くて、入口のドアも素っ気く、まさに隠れ家の様な感じですね。

店内に入ると正面にオープンキッチンがあり、それに沿ったカウンター席が数席と、後はテーブル席が適度な間隔でセットされている。
全部で20席程度でしょうか。思いの外コンパクトな店内ですがシェフ一人、サービス担当一人で営業されるには限界と思われます。

こちらのお店ですが、現在とても予約が困難で訪問1ヶ月前でもなかなか取れない状況です。
特にランチタイムは難しく、今回は数回の電話で何とか席を確保する事ができました。
当然のことながら、この日も満席でした。

ランチタイムは基本的に二つのコース料理があり
今回はお昼のフルコースをいただきました。
内容は以下の通りです。

◦前菜1:フルーツトマトのファルス、魚介のテリーヌ 桜エビとマンゴーのソースで
使われている食材は帆立、海老、蟹等の魚介とトマト、アボカド、アスパラ、ズッキーニ等の野菜。
盛り付けも綺麗で全体的な味のバランスも秀逸です。
ファルスやテリーヌの上品な味に少し塩気の利いた桜エビのソースがベストマッチ。

◦前菜2:フォアグラのソテー・ソーズ・ペリグー
無花果のコンポートの上にフォアグラが乗せられている。
フォアグラの濃厚な旨みと無花果の甘さ、バルサミコが混ぜられたトリュフのソースの穏やかな酸味が合わさり
至福の味わいです。

◦魚料理:黒むつのポアレ・ブイヤベースのソース
お皿の中央にサフランライス、ラタトゥイユ、黒むつの順に盛られていて、奥にはモンサンミッシェルのムール貝のワイン蒸しが置かれ、回りにブイヤベースのソースが添えられている。
濃厚な魚介のエキスが凝縮したソースが全体をまとめていて、まさに海を味わう一皿です。

◦肉料理:十勝牛牛タンのグリエ・赤ワインのソースで
牛タンは20時間煮込んだものをグリエして仕上げている。
驚くほどの柔らかさで口の中で溶ける感じがたまりません。
フォンドヴォー、赤ワインを詰めたソースも好相性。

◦デザート:桃づくし(桃のソルベ、桃のムース、桃のジュレ、桃のコンポート)
単一の食材ですが、調理法を変えた手の込んだ一品。
微妙な食感の違い、味の変化を楽しめる一皿でした。

満席のお客様で、やや時間はかかりましたが十分完成された料理の数々を堪能させていただきました。
また食材に合わせたバラエティ豊かなソース使いも印象的でした。
本格的なフレンチというと堅苦しい雰囲気になりがちですが
こちらは百武シェフの人柄でしょうか、堅苦しさは微塵も無く快適なランチタイムとなりました。
次回はカウンター席を何とか確保して調理風景を眺めながら楽しみたいものです。

  • 前菜:フルーツトマトのファルス
  • 前菜:魚介のテリーヌ・桜エビ、マンゴーのソース
  • セッティング

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8位

そばきり 日曜庵 (柴又、新柴又 / そば)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.1
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2014/11訪問 2014/11/12

常陸秋・3年熟成の凄味

柴又帝釈天横の住宅地の中にひっそりと佇む。
柴又駅からは帝釈天の参道を通り徒歩5〜6分程度。
帝釈天の駐車場辺りの路地を少し入った所にお店がある。

外観は下町にそぐわない感じの少し洒落た建物で屋根の上にある風見鶏風のオブジェが目を惹きます。
店内は入って正面が調理場になっていて、右手に客席のスペースがある。
照明は絞られ、しっとりと落ち着いた上品な雰囲気が漂っている。

メニューは冷たい蕎麦が中心でかけ蕎麦等の温かい蕎麦は無い。
酒肴は定番の玉子焼き、鰊の棒煮、鴨焼き等の料理を中心に何品か揃っているが、天ぷらはやっていないようです。
基本的な蕎麦は、普通のせいろ、田舎蕎麦、粗挽きせいろの3種類でいずれも生粉打ちで提供されている。

ところでこ、ちらの蕎麦の最大の特徴は玄蕎麦を寝かせて熟成させていること。
茨城県の契約農家から新蕎麦(ひたち秋蕎麦)を仕入れ、遮光性のあるフィルムで真空パックして
温度、湿度管理された環境で2〜3年間寝かせるというもの。

今回は「粗挽きせいろ」と普通の「せいろ」の2種類をいただきました。
粗挽きせいろは1.5〜1.6mmの麺線で比較的に揃っている。
20〜30メッシュの粉が中心と思われますが、さすがに全体的に短めです。
甘皮部分をたっぷり含んだ蕎麦は十分な香りと豊かな風味で文句なしの出来映え。
通常の新蕎麦では味わえない奥行きのある味わいがたまりません。

普通のせいろは粗挽きよりも細い1.2〜1.3mmの極細打ち。
こちらは微粉を使っているせいか、しっかりと繋がっている。
麺線も綺麗です。
穀物感や野性味は粗挽きには及ばないが、熟成された風味や香りはしっかり出ている。
喉越しは、こちらの方が秀逸でトータル的に完成された蕎麦と言えそうです。

熟成蕎麦は今まで何回か食べる機会がありましたが、初めてその効果をはっきりと感じられる蕎麦に出会えました。
こちらは週に金・土・日の3日間しか営業しない事で、一見趣味でやられているお店の様に思われがちですが
ご主人に話を伺うと、それ以外の日は玄蕎麦の管理、製粉作業全般等の仕事があり週に3〜4日営業するのが限界とのこと。
大変手間のかかる丁寧な仕事で真摯に旨い蕎麦を追求するその姿勢に脱帽です。

昼時で店内満席の忙しい時間帯にも拘わらず丁寧に説明して下さったご主人様、ありがとうございました。

  • 粗挽きせいろ
  • 水蕎麦
  • 粗挽き・生粉打ち

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9位

カンブーザ (横浜、神奈川、反町 / イタリアン、ピザ、パスタ)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.7
    • | CP 3.7
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2014/08訪問 2014/09/08

完成度の高い料理とホスピタリティ

横浜駅西口からモアーズの横を抜けて徒歩5分ほど。
人気店のカンブーザさんに初めてお邪魔しました。

メイン通りから一本手前の路地沿いにひっそりと佇んでいる。
レンガ風の外壁の比較的小さなビルで目立った看板等は一切無いので近づかないと分からないですね。
外壁に絡んだ緑の蔦が目印になるでしょうか。

店内は1階の正面に広めの厨房があり、客席は1〜2階に分かれている。
今回は早めに予約してあったので、2階の窓際の席に案内されました。
客席は適度に照明が絞られ、落ち着いた雰囲気が漂っている。
最初に驚いたのがスタッフの数が多いこと。
特に厨房の中は5〜6人はいるでしょうか。
サービススタッフは2階だけで2〜3人。期待出来そうです。

今回いただいたのは「夜のプリフィックス コースB」というコース料理で
前菜、ピッツァ、パスタ、メイン料理、ドルチェ、食後のカフェ等が数種類のメニューの中から選べる
自由度の高い内容となっている。
詳しい内容は以下の通りです。

◦アミューズ:冷製スープですが内容は失念

◦前菜:テスティーナ ディ マイアーレ・サルサヴェルデ添え
 簡単に言うと、豚の頭の軟骨の煮こごり。コリコリした食感が楽しい。
◦前菜:43℃で軽くスモークした八海山サーモン・サラダ添え

◦パスタ:フレッシュポルチーニのタリアテッレ
 ◦ピッツァ:リモーネ(広島県瀬戸田産有機レモン・モッツァレラ・自家製パンチェッタ)

 パスタもピッツァも文句なしの出来映え。特にピッツァは味のバランス、生地の食感共に秀逸。

◦メイン:山形牛のビステッカ・鎌倉野菜添え
     :川俣軍鶏の炭火焼き、きのこのトリフォラーティ添え・サマートリュフをかけて


◦ドルチェ:白桃のコンポスタとジュレ・ミントのジェラートと共に
      :ヴァローナ社64%チョコレートのムースとバナナのセミフレッド


◦カフェ:カプチーノ、小菓子

コース全体のボリュームは丁度良く、調理には丁寧さが伺えます。
厳選された食材と確かな調理技術で完成度の高い料理に仕上がっていました。
またサービス全般も予想通り、料理の運ばれるタイミング、説明等でそつが無くスムーズに機能していました。
丁寧な接客ですが一方で堅苦しさは無く、適度にフレンドリーさもあり、快適な食事となりました。

  • セッティング
  • アミューズ
  • 前菜:テスティーナ ディ マイアーレ

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10位

季より (牛久 / そば、日本料理、創作料理)

1回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2014/02訪問 2014/03/01

「蕎麦を売るより人を売る」

常磐線・牛久駅から1.3kmほどの距離。
かなり離れているが初めての街なので歩いてみた。
駅からは国道6号線に出て、後はひたすら国道沿いを竜ヶ崎方面に歩く。
1kmほど進んだ頃国道から外れ、疎らに建つ住宅地の中に進むとお店がある。
ゆっくり歩いて20分ほどでしょうか。

お店は青い屋根の奥に向かって細長い建物で、奥がプライベートスペース、手前側がお店になっている。
また駅から遠い立地のせいか、お店の前は広々とした駐車場が用意されています。
店内へは入口で靴を脱いで上がるスタイル。
上がって直ぐの所にある居間風の一室に案内されました。
広さは12畳くらいでしょうか。テーブル席は余裕を持って配置されなかなか落ち着きのある空間です。
壁には「竹やぶ」系のお店共通の阿部孝雄氏の書が飾られている。
この他にも奥に別の部屋があるようです。

さてこちらの蕎麦の特徴ですが、手挽き製粉で蕎麦粉を取っているため一日15食限定になっている点でしょうか。
商業ベースで考えると旨みのある商売とは言い難いが、それにも増してハイレベルな蕎麦を提供したいと思うご主人の意思が反映された結果でしょう。
蕎麦打ちそのものは15分もあれば終わるが、製粉作業全般はその20倍以上の時間がかかる。
毎日それらの仕事をこなされているこちらの様なお店には頭の下がる思いです。

話が少し逸れてしまいましたが、そんなわけでこちらの基本的な蕎麦の種類は一つだけです。
もちろん単品で頼むこともできるが、今回はせっかく遠出してきたので「おそばのコース」、ニシンの一週間コトコト煮をお願いしました。
内容は以下の通りです。

●そばがき
秋田県・横手市産の玄蕎麦を使用とのこと。一般的な蕎麦掻きよりも細かめの粉を使っていて、舌触りが滑らか。
とても柔らかい仕上がりで、風味も素晴らしい。

●ニシンの一週間コトコト煮(別注)
調味は醤油味、甘さも適度で上品な味。
全体の形や皮目も綺麗に残っていて丁寧な仕事ぶりが伺えます。

●せいろ蕎麦
玄蕎麦は秋田県横手産と北海道・蘭越町産のブレンド。
麺線は1.2mm前後の細打ちで綺麗に揃っている。
粗挽き粉も混じった蕎麦は、やや若々しさはあるものの十分な香りと滋味深い風味が素晴らしい。
重箱のような塗りの器に直接盛って供されるが水切りも完璧で問題なし。

●かけそば
遠い所から来たということで、特別にサービスで出していただきました。(感謝)
甘汁は、鰹節の出汁がしっかりと利いていて塩分濃度も丁度良い。
蕎麦はせいろと同じものと思われますが、種物に使うにはもったいないですね。
甘汁の中でも十分な風味を感じます。

●デザート:豆乳プリン、小豆のムース、干し芋の蜜煮
一般的な蕎麦屋さんの甘味とは違って独創性を感じる。
どれを作るにも手間がかかるし、またその出来映えも出色です。

今や「竹やぶ」を巣立った職人さんは数多く存在するが、それぞれ基本的な技術では共通する点があるものの、
そこから発展する形でそれぞれの独自性を打ち出している点が興味深い。
竹やぶの基本理念は「蕎麦を売るより、人を売る」との事ですが、その教えも着実に浸透しているようです。
こちらのご主人も、まだお若いご様子なので、これからの更なる進化に期待したいところです。

  • そばがき(秋田県・横手産玄蕎麦)
  • にしん一週間コトコト煮
  • せいろ(横手、北海道・蘭越産のブレンド)

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