6回
2020/08 訪問
【天ぷらのホームグラウンド】
食べログレビューを見ると、2年ぶりの訪問。
僕の愛すべき天ぷらホームグラウンド。この日の帰り際の会計を見ると、通い始めた35年前とほとんど変わってない気がする。これほど、世の中の天ぷら屋さんが高騰する中で有り難い存在。
ご主人の横田さんももう齢70歳になるらしい。
僕に取っては35年風貌は変わらない気がしてたけど、そんな事はないな。
性格は最初の頃の方が尖ってた気がするが、最近は丸く、いや、少しだけだけ丸くなったような気がする。
17時半の一回転目に訪問。
まずは「ヱビスビール(小瓶650円)」で乾杯からスタート。
まずはお通しの「サラダ」から。僕に取ってはちょうど良い量。
「才巻海老の頭」から…相変わらずカラっと揚げられ美味。お塩でいただく。
「才巻海老」…中は生っぽく揚げられ、期待通り絶品。ひと口は塩で、もうひと口はレモン塩で。
「ヤングコーン」…まずはひと口何もつけず、そのあとカレー塩で。甘さが引き立つ。
「椎茸と真薯」…油が滴るので要注意。でも絶品。
「メゴチ」…ふくよかな身のメゴチ。カレー塩でほっかほっかの身が寄り味に厚みを増す。今がシーズン。
「キス」…連続で魚。天ぷらネタの定番。安定の美味しさ。
「アスパラ」…ハフハフ、熱く美味い。
「稚鮎」…レモン塩でいただく。強めの苦味がとても美味しい。
「レンコン」…シャキシャキ食感のレンコンが美味。塩、レモン塩、大根入り天つゆの3種で色んな味を楽しむ。それぞれ美味しい。
「ホタテ」…塩でいただくとその甘みがよく伝わる。中身は生に見える揚げられ方。ホント、昔から変わらぬ技術。
「小玉ねぎ」…中が熱々なので、下手すると火傷するので要注意。でも猫舌じゃない人はこの熱くて甘い玉ねぎを楽しんで。レモン塩に漬けるとやや温度下がるので、最初のひと口はレモン塩で。その後はどの食べ方でもオッケー。
「稚鮎」をもう一つ…有り難い。この大人の苦味、今年の夏の思い出になる。
「才巻海老」をもうひとつ。…今度はやや深めに揚げて芯のみ生状態。これまた美味い。
「穴子」…最初のひと口は何もつけずにそのままいただく。外は香ばしくカリっと揚げられ、中は柔らかホクホク。よこ田さんならではの出来栄え。その後はレモン塩、天つゆといただく。
寿司屋さん同様穴子が出ると、天ぷらもそろそろ終盤。祭りの終わりが近づく寂しさを感じる。
最後はよこ田さんのスペシャリテ?あると、めちゃ美味しい高知産の特注「小茄子」2つ。…これが食べられない時は物足りない気持ちになるが、これから秋にかけてが本番。
是非食べて欲しい一品。
〆のご飯は天丼、かき揚げと白ごはん、天茶の3種からセレクト。
僕は35年、ほぼ天茶でお願いしている。ただ今日はお腹がいっぱいでご飯は少なめにしてもらうようオーダー。
蓋にワサビがついていて、それとお新香の刻まれた野沢菜を半分以上天茶にかき混ぜていただく。やっぱり絶品〜。
最後のデザートは「桃のシャーベット」…ちょっと粘土のあるシャーベット。口の中をさっぱりしてくれる。
最後、ご主人が一緒にエレベーターに乗り込んで来て少し会話。
なんだか、僕の食の出発点である店でもあり、古く青春を共にした店ゆえ感慨深い。
色んな大切な人たちとご一緒したなぁ、と思い出も蘇って来た。
いつもありがとうございます。
基本は変わらないけど、実はちょっとした世の中の変化と自然の流れの変化を感じた。でも、もう、これで良いと思う。
2020/09/06 更新
2018/03 訪問
【春夏秋冬に訪ねる店】
旬を楽しむために春夏秋冬に一度は来る事にしているお店。
最近インフレ激しい飲食業界の中で、ここは何十年と大して変わらない価格を続ける。
今回は春を楽しみに。
鮎、ふきのとう、筍、アスパラ、ベビーコーン…旬の終わるスミイカ…。
次の訪問は夏だな…。鮎はシーズンが長いものの、一期一会。次来た時には今日食べたほとんどのネタが食べれないところが逆に良い。
その他今回は定番のさいまき海老、ホタテ、キス、小茄子(高知産)、穴子、追加でもう一回さいまき海老、小茄子、といただいた。
天茶で〆て、デザートの苺アイスクリームへ。
旬という日本の贅沢を味わうために、この店に通い続ける。次に来た時イカは「アオリイカ」になってるな…。それはそれで楽しみ。
2018/03/25 更新
2017/12 訪問
【通ってたのに知らなかった…】
今年の締めくくりということもあって、12月は馴染みの店へ行くことが多い。
もちろん予約が取りやすい事が前提だけれども。。
今月も10月に引き続き「天ぷら よこ田」へ。
海老、海老頭、ヒメコ鯛、玉ねぎ、小茄子など、先々月と変わらない構成。でも、安定の美味しさ。
今年も旬の食材を何度もいただきました。お世話になりました。
先月発表があったので、会話の中でミシュランの話が出てきた。
ご主人は数年前に断ったのだそう…これだけ通ってたのに初めて聞いた。。
最初の時にも断ったのだそう、でも、こちらが選んだのだから(関係ない)的な話をされたとか…。
常連のファンが付いているから、それで良いんだと、大将。
そのおかげで僕らは予約が取りやすくて助かる。それでもこの日も満席二回転。
店と客の関係と、予約の取りにくさとノーショウと、課題の出てきた2017年。
来年は食の業界もどんな変化をしていくんだろ。
2017/12/21 更新
2017/10 訪問
【大将、今夜も絶好調】
シーズン毎にほぼこの店に訪問するのが習わし。
天ぷらはいつも通りに美味しかった。
今日は特にヒメコダイが当たりかな。
もちろん、初っ端の海老頭を塩で食べてたら、ご主人がまた、口を出してきた(笑)「カレー粉がいいと思いますよー」
「ずっと通ってるんだからお連れさんに食べ方教えてあげなさいよ」と、また今日もご主人の指導がまず入る。はいはい、海老は「一尾は塩で」もう一尾は「レモン塩」で。ベビーコーンは「カレー粉」で…。
今回ご一緒したふたりはビールを飲んでいたが、来た来た…いつものように「ビールはお腹が張るから、そろそろお終いにしましょう!」とご主人。
もうここまでくると毎回こう言う「(柔道の時のような)指導!」展開を楽しむしかない。ずっと芸風変わってないし…。よこ田を開けてからかれこれ37年だそう。僕が通い始めて30年。
その後、僕が言う間も無く、件の「ヒメコダイ」はカレー粉、「玉ねぎ」は塩で。
ホタテは何も付けずに、穴子は最初の一口は何もつけずに、あとはご自由に…。
最後に天丼か天茶を選ぶ。結局3人とも天茶をセレクト。
さて大将、「天茶は、お新香の刻み野沢菜を半分だけお茶漬けに入れると美味しいですよー」、逆らう余地もなければ、逆らう必要もない。
結局今日も全部、基本ご指導付き。
大将はいつにも増して絶好調。いつまでも、末永くこの芸風は続いてほしいな。
2017/11/14 更新
2017/06 訪問
【通い続けて30余年】
やはり、ここが僕の天ぷらホームグラウンド。コースは1本、値段は今どきにしては本当にリーズナブルな1万円がコースの料金目安。
天ぷらにつける調味としては塩、レモン塩(レモンを絞って小さなお匙に大盛り3杯の塩を混ぜたもの)、カレー粉+塩、天つゆ+おろし大根の4種。
いつも「川井さんはよ〜くご存知だから、自由に食べてください」と言われながら自由に食べようとすると「それはカレー粉の方がいい、それは塩レモンで」とご主人の横田さんから決して自由に食べさせてもらったことはない(笑)。ま、これは一種の掛け合い^ ^。
ともかくこの店の天ぷらは衣が薄く、あくまでも素材を活かすための揚げる行為であることを感じる。店の造りも影響しているのだろうか改めて感じたのが、天ぷらを揚げる音がここまで心地よい店も珍しい。
この日も❶「海老脚」からスタート。カラッと揚がっていて絶品。こちらは一つはレモン塩、もう一つはカレー塩でいただく、、やはり美味い。。❷175度で揚げた「才巻き海老」は半分をレモン塩で、残り半身を塩で。
❸「ヤングコーン」はカレー塩で、より甘く感じる。❹「海老しんじょ椎茸」は油がジュワッと出てくるので口内火傷に注意しながら食す。塩も天つゆも何もつけずとも十分な旨み。
続いてこの時期ならではのメインイベント
❺琵琶湖の「鮎」。これも何もつけずに香りと苦味を楽しんだ。。この鮎、実は彦根で湖魚を扱う「木村水産」のモノ。一度現場を視察させていただいたが琵琶湖で生まれた鮎を丁寧に育てたシロモノ。横田さんは秋までのシーズン、ずっとここのモノを使うのだそう。
❻「アスパラ」はいくつかの
もうひとつのこの時期ならではの楽しみ
❼「姫小鯛」は表面はサクッとした食感、中身はふわっとした柔らかさ。素材を本当に活かしている。佐島で獲れたもの。
❽「新玉ねぎ」…玉ねぎの甘さが引き出されてこれまたたまらない美味しさ。。
❾「キス」…衣の薄さに本当の技を感じる。「タネを揚げずに衣を揚げる」というご主人の言っている意味がよく分かるひと品。
➓「ホタテ」…中はほぼ火が軽く通っただけの、素材を最大限に活かした一品。写真を撮ってる間にも余熱でどんどん変わっていくので、早めに食べないと台無しになる。
11「鮎」のお代わり^ ^
12「新ハス」…熱々コリコリの食感を楽しむ。
13いよいよクライマックス。ご主人の言う「梅雨アナゴ」…この時期のアナゴは冬と違って乗っている脂は少なめ。衣をカリッと揚げることで中身のふわっとした「カリッふわ」感を楽しむ。まずはひとくち何もつけずに。その後はカレー粉でも、天つゆを少しつけても美味しい。
14「小茄子」…これも浸み出す熱い油に注意しつつ楽しむ一品。
15 〆の「才巻き海老」…中の絶妙な揚がり方にいつも感動。
最後にかき揚を天茶でいただく。かき揚をまず崩すことで出汁が出てくる。そこでひとくちいただく。どんぶりの蓋についているワサビを入れ少し味を刺激的にしてもうひとくちサラサラと、さらに途中で付け合わせの漬物「胡麻入り野沢菜」を半分ほど投入すると違った味が楽しめる。(天茶のほか天丼の選択肢もあり)
もう少したつと、イカも良いシーズン。かえってすぐまた来なければと、刺激受けてしまった。
2017/06/17 更新
麻布十番の大通り(環状3号線)の雑居ビル2階にあった頃から通っていた。
そしてその後商店街の並ぶ十番通りに店を移してからも何度もお邪魔した。
その「天冨良 よこ田」が来週12月30日をもって店を閉じる。
コロナの影響も多少あったが、齢70歳を迎え、元気なうちに引退しようと言うことらしい。
最初に伺った時は、ピリッとして怖いご主人だった。天ぷらのネタを揚げるたびにこれは塩に、これはレモン塩に、レモンを絞って小さじ3杯塩をそこに入れて、などと指示が飛ぶ。
かれこれ40年。「川井さんはずっと通ってるから好きに食べて」と言われながらも、「それはレモン塩が良いと思いますよ」とやはり指導を受ける。
でも、愛があるからこの指導、好きです。
今はだいぶ性格も柔らかくなった。
横田さんの揚げる最後の天ぷらを食べる為にこの1〜2カ月はずっと2回転満席。ファンが集まっている。1ケ月少し前に電話を入れてなんとか入れた今回。
たまたま、隣に座った女子大生はひとりで初めて来たと言う強者。終始感動していた…。
サラダから始まり、
カリカリに揚げられた海老脚をそのままと塩をつけて、
さいまき海老の芯は絶妙に半生に揚げられ、
ヤングコーン、
椎茸海老真薯、
レンコン、
深く揚げたメゴチ、
軽く揚げたキス、
中はしっとり生状態のイカ、
少しわざわざ冷まして出してくれた小玉ねぎ、
中は柔らか半生のホタテ、
ホクホク筍、
再度のさいまき海老、
銀杏さやえんどう、
脂の乗った冬の穴子は深くサクサクに揚げて
揚げ出しナスはおろし天つゆにつけて…
最後にもう一度追加注文に、イカをオーダー。
残念ながらさいまき海老は数量が限られていて追加は食べられず、横田さんの最後は絶妙な半生揚げのイカ…記憶に残るだろうなぁ。
〆はいつもの天茶で。
野沢菜を半分入れて、どんぶりの蓋についたわさびも混ぜて、かき混ぜていただく。
あー、あの20代の時からずっと食べてきた味だ。
いつもやるような細かな味の評価なんて野暮なのでしない。…最高の味でした。
泣きはしないけど、ちょっとジーンと来た。
色んな大切な人をお連れした店でもある。
接待にも使った、デートにも、チーム員も、後輩も連れて来た。
走馬灯のように思い出が駆け巡る。
実はあの通い始めた頃から値段は大して上がってない…それが驚き。このご時世に「別にちゃんと商売出来ていれば良いじゃないですか、高すぎますよ最近」と、横田さん。
70歳になる尊敬できる天ぷら職人が引退する。普通に良くある事かもしれないけれど、僕にはまだ、残念すぎて割り切れてはいない。
でも、ありがとうございました。
横田さんの天ぷらを食べられて幸せでした。
お世話になりました。