4回
2023/07 訪問
一生に一度は訪れる価値ありと言い切れる桃源郷で至高の鮎尽くし
京都の初夏といえば季節の彩り様々ある中でやはり鮎、そして鮎といえば名店名物ある中で個人的にはこちらの感動に今まで勝るものがない「美山荘」。今回は昼に数年ぶりとなる訪問で心待ちにしていた鮎尽くしを堪能です。
何かとメディアに登場し評判がさらに伝播すれど、京都の奥座敷からさらに人里離れて山深く分け入り、桃源郷のような花脊の庵は何も変わらず。風景から佇まいの空気感、女将は元より皆々の清楚な立ち居振る舞いまで心洗われます。
鬼灯の中に甘酒、胡瓜の葛切りとうな巻き、万願寺唐辛子にすっぽん、雉肉を北山杉の香る檜oilで…鮎はお初のなめろうにまず驚き、お目当ての燻され香ばしさ極まる塩焼きこそこちらならではの至高の逸品。西瓜の味覚すら仄かに薫る。
何を餌にしているか伝わるほどの滋味深さに五感が研ぎ澄まされる思い。〆はその鮎を土鍋の炊き込みご飯にて止め処なくおかわりしてしまい、食べ過ぎの罪悪感すら覚えぬひたすらの恍惚と満悦。絶賛してもし尽くせず言葉が足りず…
此の地に辿り着くまで時間をかけお金を掛け労を厭わず、その価値に相応しいと言い切れる一生に一度は訪れたい場所。叶うなら季節ごと…と次回は久々にゆるり一夜を過ごしたい欲求に駆られ、雪景色の冬に一日3組のみの宿泊です。
2023/08/06 更新
2014/04 訪問
2015/07/15 更新
この時期に訪れてみたかった雪景色の「美山荘」。今冬はいまだそれほど積もらず険しい山道の運転もひと安心、到着してすぐにやや吹雪いて粉雪舞い散る様に出迎えられる幸運も。
宿泊は希少な3室のみ、娯楽要素を一切廃した音のない世界、雪解け水が勢いよく流れる窓外の瀬音のみ耳に届く。料理は季節の山菜をふんだんに何も言うことのないこれぞの真骨頂。
雉や猪肉などジビエに冬の早掘り竹の子の瑞々しくやわらかで美味なこと。蜆の土鍋ご飯も満腹に重ねておかわり。翌朝も全くもたれず、時雨煮とへしこだけでまた白米も3杯平らげる。
特別な空間に得難い時間なれどすべてにさりげなく細やかで行き届いた何げない場所。生活や文化を積み重ねて継承されてきた美しものが有形無形に体現された世界がここに在りやと。