imosaさんが投稿したうを徳(東京/東向島)の口コミ詳細

imosaの日本全国食べ歩(る)記

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うを徳東向島、曳舟、京成曳舟/寿司

1

  • 夜の点数:4.8

    • ¥15,000~¥19,999 / 1人
      • 料理・味 4.8
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.8
      • |酒・ドリンク 4.0
1回目

2016/09 訪問

  • 夜の点数:4.8

    • [ 料理・味4.8
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.8
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

江戸前寿司と京料理の共存という理想的な在り方

【再訪 2016年9月】(初訪 2014年7月)
久しぶりに再訪レビュー。
今回の主役は信州産松茸と鰻3種の食べ比べ。

鰻は天草産の天然海鰻、島根神西湖産の天然鰻、愛知産の養殖もので、神西湖産の鰻はミニ蒲焼き丼にしてくれました。
蒲焼きのタレは当然自作されたものを使いますが、たまり醤油にザラメなど使って作るという、古くから名古屋で用いられるものにも似たタレのよう。
それでも甘めのタレにくぐらせながらも皮をパリパリに保っている蒲焼き丼は、他のうな丼には感じたことのない独特の魅力があります。

松茸は見たことのない大きな海老芋とともに椀になって出されました。
ネットリとした美味しい海老芋と、香り、食感の良い松茸の相性は素晴らしいものでした。

そして印象に残ったのが南紀白浜産の黒鮑を使った蒸し鮑。
変に硬くてコリコリしたものでなく、むっちりとして豊かな旨みを備えた黒鮑です。
これは本当に素晴らしかった。

この日は鱈の白子も良いものが入ったらしく、イクラと合わせ盛りのミニ丼を作ってもらえたりしました。
プルプルの食感と濃厚な旨みは私の拙い言葉では表現し切れるものではなく、とても美味しいものでした。

やはり秋はいろいろと美味しい素材が豊富で、ご主人の腕前もあって堪能させていただきました。
最近いろんな飲食店に対して感動する機会が少なくなってきたと感じており、それは私個人の味覚に問題があるのかと思ってちょっと不安だったのですが、今回のラインナップにはきちんと美味しいと感じられて安心しました。
あくまで相対的な感度の問題だったと捉えておきます。


【再訪 2016年1月】
新しいシステムに慣れず、再訪レビュー分が下書きできるものと思いこみ、下書きしてみたら既訪分も丸ごと下書きになってしまいました。
大勢のレビュアーさまがレビューされる中、私のようなものが改めてレビューするのも恐縮ですが、再度アップさせていただきます。

ご主人のブログによると、今回より焼き台をガスから炭火に変えたそうです。
逆にこれまでガスであのクオリティのものを出していたということが驚きではあります。

ご主人いわく、炭火は難しい、んだそうで、慣れるまでには少し時間がかかりそうです。
また炭火によって、クオリティが一段階アップするのが楽しみです。


【再訪 2015年9月】
実に面白いお店だと思います。
週末中心に予約を取っておかれないと、入れなかったときに場所柄他のお店を探すのが大変な場所ですので予約を取っておかれることをお薦めします。

少人数でいくより大人数(但し6名程度がMax)、一度目より二度目、三度目の訪問になるほど満足感が増していきます。
訪問を重ねるたびに我々の好みなどを熟知してくれ、それに旬の食材やご主人の豊富な引き出しが加わることで、実に楽しいラインナップの数々。

最近では週末中心に予約もしづらくなっているそうですが、場所柄目立つお店ではなかっただけで、これが本来のあるべき評価だと思います。


【再訪 2015年4月】

今回は一人で再訪。
旬に入ってきたという、鳥貝(大阪湾産)がこの日のメイン。

ご主人が貝の肝の中では一番旨いという通り、鳥貝の肝は貝のものとは思えないような味わい。
貝そのものも当然美味しかったんですが、今回はこの肝の方がむしろ主役でした。

また何でもないような素材の富山のホタルイカが妙に美味しかったのでご主人に聞いてみると、やっぱりこの1~2週間が1年を通して最も美味しくなるんだとか。
旨みが明らかに濃厚で、何もつけなくても美味しく食べられます。
桜と同じでほんの一瞬光る時期があるようです。

京都の物集女(もずめ)の筍が出回り始めたようですが、国内でも指折りの高級品というだけあってさすがに柔らかくて美味しい。

旬を捉えた食材を駆使した料理を堪能できるのが和食の醍醐味だと思いますが、ここはやっぱりそういう意味でも楽しいです。

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【再訪 2015年2月】
通うほどに新鮮な感動のあるうを徳。
今回は6名で訪問させていただきました。
ご一緒させていただきました皆さま方、ありがとうございました。

今回も我々のために日本全国から美味しい素材を集めてくださったご主人には感謝です。
大間産本マグロや昆布森生牡蠣、宮城産金華サバなど豪華絢爛たる素材を駆使して調理いただく料理は言うに及ばず、わざわざうなぎ好きだという私のために仕入れていただいたという、この時期には希少な天然うなぎ。
ブログによると、アメ横でたまたま見つけたという海外産のようで味は推して知るべしなんですが、何よりこの気持ちが嬉しい。

当然不特定多数の客を相手にする飲食店とは同一に扱うことはできませんが、このラインナップにして10,300円という価格設定からしても如何に良心的なお店であるかが分かっていただけるものと思います。(今回はお酒の持ち込みの負担分を含めてトータル15,000円程度となりましたが)

常連のレビュアー様方を前にして生意気な言い方ではありますが、一度目よりは二度目、二度目よりも三度目と訪問を重ねるごとに通うほどに自らにフィットしてくると言うか馴染んでくるのを感じます。
当然それはご主人が客である我々の好みを通うほどに把握してこられているというのはあるにせよ、むしろ我々の方がご主人の引き出しの多さに魅了され、惹きつけられているからこそ感じる感覚なのかもしれません。

カウンター席のある日本料理屋というと何かと緊張感漂うお店も多い中、初回の訪問時から非常にリラックスして食事ができたのもご主人のお人柄ゆえかもしれません。
とにかく色んな魅力の詰まったお店ですので、一度の訪問で満足されるのではなく、二度、三度と通って見られることをお薦めします。

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【再訪 2014年10月】
前回夏の訪問で感動していたお店に再度予約を入れて訪問です。
ご主人は日本全国の美味しいものを調べておられて、料理人の中でもマニアの領域。
東京にいながらにしてこれだけ全国の美味しいものが食べられるお店は稀有でもあります。
東向島という立地も手伝ってか、内容の割りに予約も取りやすい上にお客さんの入りも適度。
古い内装に抵抗のある方もおられるかもしれませんが、私自身はこだわりがないので居心地も悪くありません。


【琵琶湖産ホンモロコと稚鮎うま煮】
いきなり貴重な素材を使った料理が出てきました。
私が川魚嫌いという噂がありますが、そんなことを言った記憶もなく美味しく食べさせてもらいました(笑)。
ほろっと口の中でほどよく崩れる魚は、味付けもほどよく魚の旨味をともないます。

【赤貝】
素性を聞きそびれましたが、目の前で貝殻から身を剥いて一個分まるまるの提供となりました。
血が赤いので赤い身だとは知っていましたが、目の前で捌いてもらったのは初めて。
噛むほどに旨味を感じる赤貝は実に美味しい。

【ウニ食べ比べ】
根室のバフンと青森のムラサキ。
青森の方はやや形が崩れているのもあってか、食感の比較的しっかりしている分、根室の方が味もしっかりしているように感じました。
好みは根室の方ですが、それぞれ違う味わいなので食べ比べてみて初めて理解できますね。

【栗】
他のレビュアー様のレビューで見た渋皮煮なのかもしれませんが、あまり細かく聞かなかったのでどういうものかわかりません。
やや甘く煮た上で冷ましてあるのか、味の染みた栗はかなりの美味しさ。
これもまた手の掛かったひとつの料理であると思い知らされます。

【ナガスクジラの尾の身】
個人的に刺身でクジラを食べたのは記憶にはありません。
見た目牛肉のような肉質でありながら、食べてみると肉よりも脂っこくなく赤身も柔らかい。
塩と醤油が用意されていましたが、これは塩で食べた方が旨味がよく分かります。
あまり口にできないものをいただけました。

【明石の鯛】
話でしか聞いたことのない鯛(笑)。
初めて口にすることができました。
多少寝かせているのか、身がややねっとりしていて鯛独特の旨味を感じます。
他の鯛と比べてどうなのかという違いはよく分からないので言えませんが、やはり昔から名が通っているだけある魚でした。

【たらの白子】
これも素性を聞きそびれました。
淡い出汁で味付けされているようでそのまま食べられます。
白子の風味を充分感じられる料理です。

【北海道産メジマグロ】
一度藁で焼いたものをニンニク醤油でざっくりと和えたもの。
藁で焼いた風味が残っていて単にコンロで焼いたものとは雲泥の差。
ニンニクはそんなに強くもなく、美味しく食べられます。

【海老芋と松茸のお吸い物】
松茸の量がすごい!
香りもしっかりするけど、これだけ産地にこだわるご主人が外国産を使うはずはないですよね(笑)。
これだけの松茸が入るということにまず感動。

少量のほぐした蟹の身を添えた椀。
海老芋は軽く素揚げでもされているのか、周りがやや香ばしい印象ですが、確信はありません。
こちらでいただく椀の美味しさは特筆ものです。

【イカのわた和え】
この辺りからお隣のお客さんがやたらと話しかけてきたので、料理の名前すらおぼろげ(笑)。
塩辛のようにも見えますが、塩辛と言うよりもわたで和えた料理という感じ。
塩辛くもなく、実に美味しい料理です。

【自家製からすみ】
ここで自家製のからすみ。
数日前にもフレンチで牡蠣に添えられてからすみが出てきましたが、なぜかその記憶があいまい。
なので比較も難しいんですが、こちらのからすみは濃厚な旨さがあって秀逸。
単体でいただいたこともあってか、こちらのものが強く印象に残りました。

【のどぐろ クルミチップス焼き】
金沢の寿司屋ではどのお店でも食べたのどぐろ。
全国で獲れる魚ですので珍しいわけではありませんが、カマ部分をクルミチップスで焼いたのどぐろは変化球といった感じでオツです。
当初何だか変わった風味を感じたので、違うとは思いながら「藁で焼いたんですか?」と聞いたところクルミチップスという答えでした。
クルミチップスの風味をまとっているので、ある意味燻製とも言えるのかもしれませんが、あくまで魚に軽く火を入れた程度の熱の通り具合でした。

【天然うなぎの食べ比べ】
静岡産と宍道湖産の天然ものの食べ比べ。
あれ?前日に訪問した池袋のお店では宍道湖産が無かったのに、こっちにはありますね(笑)。
ご主人の仕入れ力には感服しました。

肝や頭、骨まで出されますが、頭は初めて。
細かいところまでホジクり出しますが、なるほど、頭は頭で独特な味がしますね。
天然ものだからか、よく焼いてありますが、天然ならではの味が感じられたような気がします。

白焼きはどちらも美味しいんですが、値段の上では倍ぐらい違うそうです。
もちろん宍道湖産の方が上。
ご主人の話では宍道湖もあまり天然ものは獲れなくなってきているそう。
最近の流れからしても何時まで天然ものを食べられるんだか心配です。

食べ比べてみると分かりますけど、やっぱり水の違いが出るんでしょうか。
明らかに違ううなぎです。
静岡産ももちろん美味しいんですが、日本海側の宍道湖は水がきれいなのか、純粋なうなぎの良い香りが感じられるように思います。
これもまた塩だけでいただきますが、白焼きの旨味を味わうには塩が一番です。
醤油ではうなぎの本当の風味がなくなってしまうように思います。

【握り】
この辺からお隣さんが一層しゃべり出しました(笑)。
酔ってきたのかは分かりませんが、おかげでネタの名前すら曖昧。
中には間違っているものがあるかもしれませんが、何卒寛容にお願いします。

今回はアラがありました。
魚偏に荒と書くようですが、福岡などでアラと呼ばれるクエでは当然なく、ハタ科の魚。
今回のラインナップもなかなか魅力的で、海老のすり身入りの玉子焼きに至るまで堪能させてもらいました。

【鯛の潮汁】
流れから見てもおそらく明石の鯛のあらを使っているのかと思われます。
たくさん入ったあらには、ぷりぷりなゼラチンのようになっている部分もあったりして実に美味しい椀です。
汁自体にはほとんど味を感じないくらいのものなんですが、鯛の美味しさで食べた感じ。

【唐津のいちじく】
熟しているのもあって、かなり柔らかく、皮ごと食べられます。
子供の頃には実家の裏にいちじくの木があったので、よく食べていました。
それに比べると、食感を感じるような果物としてのピークのタイミングではなく腐る手前まで熟したものという印象。
このタイミングでいちじくを食べたのは初めてでしたが、この熟した甘さはまた独特。
魚なども寝かせたりして新鮮なものとは違った良さを引き出す江戸前寿司職人の感性が感じられました。


【全体を通して】
今回はお隣さんがいたこともあって、ちょっと違った雰囲気になりました。
もちろんそれはそれで楽しいんですが、純粋に料理を楽しみたいお店ではおしゃべりも程ほどにしたいもの。
それでも食材マニアのご主人のお話を聞いているとやっぱり面白い。
今回も勉強になるとともに面白い経験ができました。
次回の予約をお願いして気持ちよく帰途につくことができました。
ごちそうさまでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【初訪 2014年7月】
かねてから訪問してみたかったお店ですが、東向島という立地がその訪問を阻んでいました。

大きな通りから一本引っ込んだところにある、昔ながらの古家といった感じのお寿司屋さんです。
表の看板には『すし処』という字に店主さん自ら書き加えたのか、『おすもじ処』となっていました。
どうやらお食事的な意味らしいのですが、寿司に限定したくないという店主の意思の現れなのかもしれません。

店内に入ると10畳くらいの和室に店主さんと向かい合うように6人座れるカウンター席。
10畳の奥にも6畳くらいの和室が仕切りのない状態であるようです。

店主さんは私の知る限りの寿司屋さんの店主とは違い、物静かで風貌もやや学究的な雰囲気で学者のようにも見えます。
先代からこの地で寿司屋を営んでおられるそうですが、寿司はこの店で修行し、料理などは京都で修行されたそうです。
まさに江戸前寿司と京料理の二刀流を使い分ける理想的な存在。

お酒はお店お薦めの賀茂鶴を冷酒で。
クセも無く飲みやすくて食事を楽しみたい時は良いお酒のように思います。

最初は椀から。
穴子を揚げたものが入っていますが、天かすを多めに投入されているようで比較的こってりとした印象。
それでも軽く柚子の皮も振ってあって脂っこくは感じません。
山葵の存在も手伝って食欲が刺激されます。
揚げた穴子を椀にするという手法は初めて見ましたが、見事です。

続いては牡蠣の燻製と冬瓜の煮物を合わせたもの。
途中で白すぐりというブドウのようなものも加えていただきました。
程よい燻製具合が実に見事で、牡蠣の旨味を損なうこと無く味を凝縮させています。
元の状態からするとかなり縮んでいると思いますが、スモークの香りも然程気になりません。

続いてはなんと穴子の刺身。
静岡に鰻を酢で締めて食べさせる店はありますが、酢で〆ていない穴子の刺身とは驚きました。
蒸したものとはまた違った食感ですが、他の食材では替えることができない味という感じ。
滅多にない経験をさせていただきました。

ちなみに塩と醤油が用意されますが、塩はフランスのゲランド、醤油は店主さんオリジナルの出汁を合わせたブレンドだそう。
山葵は静岡の御殿場産というこだわりようです。

藁で炙ったという鰹も出てきますが、そこらの店で食べるようなたたきとは一線を画す味。
周りを単にコンロなどで炙るものと違い藁で炙ったが故でしょうが、藁の香りがほんのりと香ります。
好んで鰹のたたきは食べる食材ではないんですが、こういう的を得たひと手間、一工夫を加えるのが非凡だと思わせます。

そして軽く酢で〆た縞鯵。
店主さんは酢で〆た方が旨いというお考えのようで、その考えに基づいた料理のようです。
酢の〆具合の強いものは苦手なんですが、仄かに感じる酢の風味が実に心地よいです。
このくらいの酢の味わいであれば私みたいな酸味苦手な者でも美味しく食べられます。
通常の縞鯵と比べてどうかわかりませんけど、この縞鯵は美味しく食べられました。

明石産の蛸を煮たものを山葵とともに提供されます。
切り口に波型を付けながら切られた蛸は意外にもサクッとした歯ごたえ。
もっと弾力を感じるような蛸しか食べたことがなかったのでこの食感は面食らいました。
やや多めかとも思われる山葵と醤油の味の染み込んだ蛸は相性抜群でした。

そして赤むつと日向南瓜。
別名のどぐろと呼ばれる高級魚ですが、皮がトロトロながら身はふっくら。
煮付けのような味でのどぐろの良さを生かした薄味の味付けが絶妙。
お新香のような食感の日向南瓜を時折ポリポリとかじりながらのこののどぐろは酒のアテに最高です。
今までは正直美味しいと思わせるのどぐろ料理に出会ったことがなかったんですが、今回のどぐろが高級魚たる理由がよく分かる料理でした。

そしてこの時期の鮟肝。
あまり食べたことが無い食材なのでよく知りませんでしたが、北海道の余市のものらしくこの時期でも充分美味しいとのこと。
簀で巻いてあったためか比較的しっかりした形状を保っていながらねっとりとしたキメの細かさを感じる上質な鮟肝。
初夏のものとは思えないような美味しい鮟肝です。
この日のラインナップでも鰻と並んでハイクオリティな一品でした。

続いてはじゅんさいの土佐酢ジュレ。
ところどころ柔らかく固められたジュレとじゅんさいのつるっとした食感の合わせ方が見事。
これまでの流れを一旦区切る上でもさっぱりといただけて良い仕切り直しになります。

なんとここでパイナップルが登場。
明らかにここで大きな区切りを付けようとされておられるようです。
後でライナップを見直すと、この前までが京料理でこの後が鰻から始まる江戸前寿司。
大きな区切りはこのためだったのかもしれません。

店主さんも果物がお好きらしくタダオゴールドというパイナップル。
目の前で切り分けてくれましたが、酸味を全くと言っていいほど感じないながらも自然な甘さ。
繊維もしっかりしているのにこれほどの甘さを感じるパイナップルは初めて出会いました。
ちょっと感動。

この日のメインとも言っていい天然うなぎの白焼きの登場。
天然うなぎはあまり獲れるものではないので出てこない日の方が多いと思いますが、この日は幸運にも大阪湾の天然ものと霞ヶ浦の天然ものが入荷したらしく、贅沢にも食べ比べをさせてもらいました。

いずれも蒸すことなく素焼きしただけの白焼きでしたが、店主さん曰く、養殖ものは脂を落とすためにも蒸した方が良いが天然ものなら素焼きだけの方が美味しいとのこと。
全く同感です。

もっぱら白焼きは山葵とともにゲランドでいただきましたが、大阪湾の天然うなぎは旨みをしっかりと感じて普通に旨いうなぎです。
これで食べ比べと言われても違いなんて分かるのかな?とも思いましたが、さにあらず。

霞ヶ浦のうなぎは段違いの旨さ。
全くと言っていい程濁りを感じない白焼きは、うなぎの風味がストレートに感じられます。
天然ものであるだけに香りも良くパリッという食感がたまりません。
天然ものでも良質なものでないと大して美味しくは感じないものですが、これは素晴らしい。
この品と鮟肝は芸術的なレベルだと思います。

そして合わせて出てきたのが骨せんべいと肝。
肝はひとつしか無かったので皆さん気を遣ってくださり私がいただきました。
肝は消化器官や胆嚢などもくっついたもので、かなり強めに炙ったらしくカリカリな食感です。
ふっくらと焼いた方が美味しいようにも思いますけど、この店主さんのことだから何か意図があるんだろうと思います。
ただ胆嚢が入っているが故の仄かな苦味も感じるんですけど・・・天然ものの肝とは言え、あまり特別なものを感じるものではありませんでした。

そして江戸前寿司8貫がスタート。
大分の城下鰈から始まった寿司はどれも満足のいくレベルですが、気になったのは熟成させている途中の三宅島産の間八。
確かに魚でも新鮮さばかりが珍重されるものでは無いのは魚に詳しくない私でも知っていましたが、熟成させて5日目の間八はややねっとりとした食感が出ていて新鮮なものとは違った美味しさ。

江戸前寿司の魅力とはこういった熟成とか昆布締め、ツメなんかを駆使して魚の旨さをもう一段階引き上げるところにあるんだろうと思います。
寿司によっても酢で軽く〆てあったりヅケにしてあったりと実に楽しい構成です。
やはりこの辺りは寿司職人としても高いレベルにある方のように思いました。

玉子焼きは車海老も入っていると言う、甘さを感じるふわふわなもの。
寿司屋さんの玉子焼きに詳しくない私は伊達巻のような甘さに感じましたが、ご一緒させていただいた方はカステラのよう、とおっしゃっておられました。
なるほど、食感まで考えると確かにその表現は適切です。

最後は利尻産の雲丹と徳島産の鱧のお椀。
これが〆というのが、旨さを追求して形式にこだわらないご主人の良さかもしれません。

驚く程大きくて厚みのある鱧は箸で掴むのが大変な程の重さです。
これだと味はどうなんだろうと思うのも杞憂。
美味しい鱧です。

鱧の影に隠れるように入っていた雲丹も思ったよりたくさんあって、これもまた素晴らしく美味しい。
香りも良く旬の良さが充分引き出されているように思います。
いわゆる潮汁という感じの味付けの印象でしたが、とても上品な味で鱧と雲丹の魅力が十二分に引き出されたお椀でした。

逆にこういう終わり方の方が料理の印象がより記憶に残るような気がして良いかもしれません。
もちろんそれだけの質の高い料理でなければ意味はありませんが。

京料理と江戸前寿司の見事な融合、堪能させていただきました。
全国の美味しいものを集め、如何に美味しく仕上げるかを追求するご主人の研究熱心さがよく現れた料理だったように思います。

不便な場所にありますけど、機会があればまた再訪してみたいと思わせてくれるお店でした。
このお店に行くためだけに東向島に足を運ぶ価値のあるお店だと思います。
ごちそうさまでした。

  • 信州産松茸

  • 京都産小芋きぬかつぎ、北海道産牡蠣燻製

  • 天草産天然海うなぎ

  • 北海道根室産さんま

  • 南紀白浜産蒸し黒鮑

  • 愛知産養殖うなぎ

  • 明石産ひらめ、利尻産むらさきうに

  • 千葉勝山産黒むつ煮

  • 島根神西湖産天然うなぎのミニ蒲焼き丼

  • 気仙沼産鰹藁焼き

  • ズイキの胡桃ソース

  • 徳島産海老芋と松茸の椀

  • イクラと岩手産たら白子ミニ丼

  • 大間まぐろ中落ち

  • 松茸のっけ丼

  • ひらめのえんがわ

  • まぐろ

  • 土佐産しまあじ?

  • 北寄貝

  • 白子と松茸

  • こはだ

  • しめ鯖

  • 201505

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  • 201505

  • オレンジとサクランボ

  • 鯛の子と空豆

  • 筍と烏賊の木の芽和え

  • 鰤卵のカラスミ

  • 鰻の椀

  • 鳥貝肝

  • 鳴門の鯛

  • 鶴齢一合

  • 根室バフン雲丹

  • 伊豆のわさび菜

  • 琵琶湖の稚鮎の天ぷら

  • 琵琶湖のホンモロコ

  • 大阪湾の鳥貝

  • 物集女の筍の椀

  • 東京湾の太刀魚

  • 富山のホタルイカ

  • 対馬産メジマグロの中落ち

  • 対馬産メジマグロの藁焼き

  • みる貝

  • 青森ヒラメ

  • 高知産本鮪中トロ

  • コハダ

  • 平貝

  • 高知産本鮪赤身

  • 春子鯛

  • 鯛の潮汁

  • 車海老入り玉子焼き

  • ミンク鯨のレバー竜田揚げ 聖護院カブすりおろし

  • 新潟村上ズワイガニ蟹味噌和え

  • 昆布森生牡蠣

  • 明石産ヒラメ

  • 根室産バフンウニ

  • 下関産マナガツオ3日干し

  • 大間産本マグロ大トロ

  • ナガスクジラ尾の身【2014.10】

  • 自家製カラスミ【2014.10】

  • 平目【2014.10】

2016/10/09 更新

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