imosaさんのマイ★ベストレストラン 2012

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

マイ★ベストレストラン

1位

ダバ インディア (京橋、銀座一丁目、宝町 / インド料理、インドカレー)

1回

  • 夜の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.7
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2012/08訪問 2015/04/30

更なる進化を遂げるダバ

【再訪】2013年4月   
再訪したいと思いながらなかなか訪問できなかったダバインディア。
今回もお声がけいただき再訪の機会をいただきました。

まずは白ワインで乾杯。
途中で赤ワインを2本追加しました。

【ひよこ豆と玉ねぎのサラダ】○
前回もいただいたひよこ豆のサラダ。
今回はややグリーンチリがあまり見られず、辛みも控えめ。
出だしから激辛だとちょっと味の感じ方にも影響が出るでしょうから、個人的にはこのくらいがベスト。
適度な硬さのひよこ豆にコリアンダーの風味が加わって非常に美味しい。

【マトンシークカバブ】◎
予約いただいたレビュアー様の指示でレアにしていただいていたようです。
ナイフをあてて半分に切ると肉汁があふれ出ます。
インド料理店の良店でも焼きが強いのが普通ではありますが、肉汁あふれるレアな焼き加減が好みの日本人としてはこの点が唯一不満ではありました。
この焼き加減が可能ならばもう不満と感じることは何もありません。
スパイスが練りこまれたカバブは肉汁と相まって非常に美味しい。

【ラム肉のムガライカバブ】◎
この日一番の料理がこれでした。
これもレアでお願いいただいていたようで、柔らかいラム肉にスパイス入りの生クリーム、ヨーグルトなどをまとわせて軽く焼いたもの。
軽く炙って香ばしくなったスパイス入りのヨーグルトがちょうど良い調味料となって口の中で広がります。
ラム肉自体が非常に柔らかく、まさに日本人好みの一品です。
レアが苦手な方は仕方無いですが、可能な方はレアをお願いするといいのではないでしょうか。
更に一段階上の料理を味わうことができます。

【チーズクルチャ】◎
モッツァレラかと思われるチーズがトロトロです。
チーズクルチャは良店と言われるようなお店で何度か食べただけではありますが、ここのは素晴らしい。
店によってはチーズに限らずいろいろなものを加えて提供されることも多いクルチャですが、この店はチーズと焼き具合に絶対の自信があるのでしょう。
完成度はピカイチです。

【マトンビリヤニ】◎
前回も注文していてその旨さに驚いていた品です。
純粋に炊いただけのビリヤニではなく炒めて提供していますが、チャーハンに慣れた日本人にはよく馴染む味です。
カレーで味付けしたチャーハンという表現も出来そうではあります。
骨を取り除いてあるマトンがごろごろ入っていて満足感の高い一品。
途中で生の玉ねぎをかじるとその鮮度のある辛味が心地よい。
最初はビリヤニに生の玉ねぎという組み合わせが不思議でしたが、これを食べると納得できます。

【カニカレー】
前回いただいたマンガロールのカニカレーとは全く違うものが出てきました。
マンガロール・・・はシーズンで無いようで、予約の際に無理を言ったところお店がアレンジして出して下さったようです。
ココナッツミルクやターメリック?などが使われているようでタイカレーっぽい。
美味しいとは思いますが、前回のカニはナイフを当てれば殻がさっくりと裂けていたのに対し、殻が硬いようでそれは出来ません。
ただシーズンで無いものを無理に注文したこともあるので、今回この品は評価の対象外とさせていただきます。

【ラムコリアンダーマサラ】◎
前回も食べていたものの改めて食べるとやはり秀逸。
柔らかいラム肉とコリアンダー風味のカレーの組み合わせは絶妙です。
コリアンダーがおそらくたっぷり入っているカレーなのですが、何故かコリアンダー臭さをあまり感じないのは不思議なところ。
コリアンダーがまろやかになったカレーという印象で、個人的にこの一品は外せません。

【南インドの辛いマトンカレー】◎
以前レビュアー様の持ち帰り用のものを一口いただいて撃沈していたメニューです。
今回は辛さにも慣れてきたのか、辛いものの普通にいただくことができました。
玉ねぎやグリーンチリなどの野菜と一緒に作られた赤いマトンカレーは旨みも上々。
辛いものが好きな方にはお勧めです。

【バナナパヤサム】
スパイス豊富な料理のデザートは得てして甘すぎることが多いので、クルフィ(アイスクリーム)以外にはあまり注文したことがありません。
これはバナナやココナッツミルクなどを混ぜて作ったものに米粉の麺だかを入れています。
自然な甘みで美味しいとは思いますが、敢えて食べようと思うかと言われると微妙です。

【クラブジャムン】
パンのようなものを甘いシロップに投入したもの。
甘いものは好きではありますが、好きなりに甘さのストライクゾーンがあるんです。
そこからは明らかに外れてます。私には甘すぎ。ダメだ、これは。


【総評】
最初に訪問してからと言うもの多くのインド料理店に訪問しておりましたが、やっぱりここは素晴らしい。
初回の訪問時は南インド料理を全く知らないような状態でもあり感動的に美味しかった記憶はあったものの、正直ここまでの点を付けていたのが後になって正しかったのかどうか不安ではあったのですが、今回の訪問でその判断が正しかったことを確信しました。
あくまで個人的な評価ではありますが、◎のついている料理に関して言えば、一般の店で置かれていればそれだけで看板メニューとして人気店になり得るレベルのものだと思います。

純粋な現地仕様かと言われると、大きく日本人向けにアレンジされているのは事実だと思いますが、これが美味しいと感じるのもまた事実です。
アーンドラキッチンアーンドラダイニングのようなお店で出されるものも非常に良質で香り高いものではありますし、何より美味しいとは感じるのですが、個人的な嗜好で言えばこちらの料理の方が非常に理解しやすく、またテンションが上がります。
インド本国の方やそれに近いこだわりを持っておられる方がこの料理をどのように判断されるかは分かりませんし、必ずしも良い評価ばかりにはならないのかもしれません。
ただ、これが私には非常にマッチする料理であるのは間違いないようです。

また今回は幹事さんの要望で焼きものをレアにしていただいたのですが、通常はしっかり火を通すのがインド流。
しかしながら南インド料理では名を知られたこの店が、この焼き加減を受け入れ、自分のものとしてしまっていたのには正直驚きました。

オープン以来、常に南インド料理界を牽引してきたダバインディアではありますが、先入観にとらわれることなく更なる進化を遂げようという姿勢はさすがと思わせます。
これによっていよいよ他店が手の届かない領域に入ってしまったのではないでしょうか。

是非今後もこの姿勢を保ち続けていただきたいと思います。
ごちそうさまでした。
ご一緒いただきました皆様、ありがとうございました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【初訪】2012年8月
日本における南インド料理店として最高の評価を受けていると言っても過言ではないダバインディア。
姉妹店であるカイバルグルガオン、そしてこのダバインディアの初代シェフとして招かれ、ダバの礎を築いたラマナイヤが現在籍を置くアーンドラキッチンアーンドラダイニング、更にダバ出身の方がオーナーシェフを務めるカッチャルバッチャルカマルプールディルセ、これらは全てが高い評価を受ける素晴らしい店ばかりですが、その共通項であるのがこのダバインディアです。

飲食店は一時的に繁盛することはあってもそれが恒久的に続く店というのは、移り変わりの激しいこの業界にあってはとても珍しい。
特にこちらのようにコックが常に引き抜きにあうような店にあっては、安定したものを提供することが非常に困難であることを考えれば尚更と言えるでしょう。
味もさることながら、それを支える仕組みにむしろ興味を持っていました。

今回マイレビュアー様と訪問させていただく機会を得て伺うことができました。
店内の壁は青を基調としたもので、余計な飾りつけはありません。
このお店の開店にあたって招かれたラマナイヤのデザインらしいのですが、むしろ従来のインド料理というイメージからはかけ離れた、どこかヨーロッパあたりの海岸沿いにあるレストランという印象です。
店内が多くの若い女性や近くに勤めるビジネスマンなど、これまであまりインド料理店とは縁の無かった層であるところを見ると、店内の装飾を含めて多大な支持を受けているように思われます。

まずはインド産赤ワインのボトル(インダージ カベルネソーヴィニヨン)を注文します。
これは強いクセらしいクセは無いです。それでいてなかなか重厚。
インド料理のようにスパイスの効いた強い味の料理には、それなりにどっしりした深みのあるワインが合うように思います。

ひよこ豆と玉ねぎのサラダ、マトンシークカバブ、マトンビリヤニを注文します。
ひよこ豆はインド料理ではよく見る素材ですが、ここに生の玉ねぎの辛みとスパイスの刺激、細かく刻んだコリアンダーの鮮烈さが加わって素晴らしく美味しい。
ところどころグリーンチリが細かく刻んだものが入っているので、辛いものが好きな方はこれと一緒に食べるといいですね。
サラダは他のお店でもいただきましたが、ここが一番好きかもしれません。

マトンシークカバブが来ました。
スパイス入りのヨーグルトに漬け込んでタンドリー窯で焼いた感じの色合いです。
ディルセではマトンの色合いがそのまま出ていましたので、ヨーグルトには漬け込んでいないようでしたが、ここはインド人コックが作りますから当然本来の作り方のようです。
今まで食べてきたものに比べるとジューシーさがあって美味しい。インドの方が焼くカバブにしてはとても素晴らしいと思います。
コリアンダーもそうですが、グリーンチリが練りこまれていて、この独特の風味や辛味もいい刺激になります。

ただ日本人がシェフを務めるカマルプールやディルセに比べると、焼き具合はやはり強め。
日本人にはミディアムレアの美味しさがよく理解できているので、その手前の状態を見極めて提供することができるのですが、その辺りはインドの方には難しいようです。
ただ、ミディアムレアというのは普通のインド料理店には無い焼き加減なので、もしそれを出してしまうと「生焼け」だの「本物じゃない」だの言われてしまう可能性があるわけで、そういう意味ではこれが60席を抱えるダバとしての精一杯のラインなのかもしれないですね。
特にこちらはインド人ビジネスマンなどもよくお客さんとして来られるようですから。

そしてマトンビリヤニ。
元々現地のビリヤニというのは何時間にもわたって炊いて調理するものらしく、本来の方法で作るお店ではこのようにグランドメニューには入っていません。例えば土曜のディナータイムのみの提供に限定しているアーンドラキッチンのように。
どうもこちらのマトンビリヤニは、ラマナイヤがいた頃に炒めるなどの手法も加えることによって簡単に作れるように工夫したレシピに基づいているようです。

とは言えさすがラマナイヤ。これめちゃくちゃ美味しいです。
マトンもどっさり入っていて、骨も入っていないので食べやすい。
後日アーンドラキッチンで食べたマトンビリヤニは、それこそマトンとスパイスの味だけで構成されてましたが、こちらは味も日本人好みに仕上げているようです。
時折添えられている生の玉ねぎスライスをかじったり、味付けをしたヨーグルトをビリヤニに混ぜながら食べても味の変化があって面白い。
これは一発で気に入りました。これだけを食べるために八重洲に来てもいいくらいです。

途中でキングフィッシャービールを注文。
続いて、マンガロールのカニカレー、ラムコリアンダーマサラ、南インドの辛いマトンカレー、バスマティライス(320円)を注文。

マンガロールというのは、インド南西部の港町の名前です。
カニというのは風味も繊細であるためか、日本ではカレーに入れる素材としてはあまりメジャーなものではありません。
日本のシーフードカレーでも大抵具材がカレーの風味に負けてしまっているケースが多かったので、どういうものが出てくるのか興味がありました。
出てきたものはカニ一匹を真ん中で割ったものが入った何とも豪華なビジュアル。
カレーはさらさらしたスープのような印象のもので、カニの上には生のコリアンダーがたっぷりかけられています。

殻を割るのが大変だな~と思ってましたが、ナイフを当てると簡単に殻が裂けます。
身を取りだして、カレーをかけたバスマティライスと一緒に食べるのですが、これまた美味。
カレーはカレーであっさりしていながら、細かい野菜などと一緒に煮込んだらしいとても旨みのある美味しいものです。
一方カニはカレーと一緒に煮込まれている時間が短いのか、カレーの味が馴染んでいながら過度にしみ込んでいないようでカニそのものの風味やみずみずしさをきちんと保っています。
このレベルの店で出てくるものですから当然と言えば当然ですが、この完成度の高さに驚きました。
ちなみにこの商品は割と早い時間帯に売り切れてしまうこともあるようです。

そしてラムコリアンダーマサラ。
以前カマルプールではラムミントカレーと言うのがありましたが、おそらくこれをアレンジしたものなんでしょう。
インド料理店では多用しますが、コリアンダー(タイ名はパクチー)は日本人には特に好みが分かれる食材ですから、それを知っている日本人シェフにとっては扱いに悩むところなのかもしれません。

私はコリアンダー大好きなので、全く問題ありません。
大ぶりなラム肉とともにコリアンダーがふんだんに使われたカレーをバスマティライスにかけて食べると、ラムの柔らかい肉を食べている充実感とともにコリアンダー独特の風味が味覚を刺激します。
これもこの店に来たら是非食べておきたい一品です。

最後に南インドの辛いマトンカレー。
これはマイレビュアー様がお持ち帰り用に調理してもらったものを少し分けていただきました。
基本的にこちらのお店ではお持ち帰りが可能です。
よくコンビニでスープなどを入れて売っているような容器に詰めてくれます。

これは写真を撮り忘れたようです(汗)。
汁気がほとんどなく、炒めているのかと思えるようなビジュアル。
辛さを抑えて作っておられるようですが、それでもかなり辛い(笑)。
でも一緒に調理されている細かい野菜やスパイスも手伝って、かなりの旨みです。
辛いものが好きな方には楽しめる一品だと思います。

それにしてもこちらは本当にメニューが豊富です。
おそらく大半がラマナイヤが作ったレシピで作られているのかと思いますが、シェフやコックがいくら入れ替わっても頑なにそして確実に守り続けているのはスゴイことのように思います。

また、この日はフロアマネージャーの柳谷氏はグルガオンに入っていてご不在だったようです。
こちらの人材配置の仕組みですが、どうやら姉妹店の3店にはそれぞれメインとなるフロアマネージャーがおられますが、それとは別にその3人をサポートする立場の複数のマネージャーが存在しているようです。
つまり急遽どこかのマネージャーが不在(休みを取るという場合も含みます)となっても他の2店あるいはサポートする立場のマネージャーが代わりを務めることができ、決してサービスには支障を来たさない、ということです。
仕組みがよく出来たチェーン店では比較的当たり前のことではありますが、このお店は機械的にオペレーションをこなせばいいだけではありません。特に調理面では身につけなければいけない知識や技術は山のようにあるはずです。

フロアでこういった仕組みを取られているということは、おそらくキッチンでも同様の仕組みをとっておられるのでしょう。
ダバのメインのシェフが抜けても他の2店のシェフもしくはサポートのシェフが代わりを務めることができ、決してレシピの質を落とすことは無いといったように。ダバのレシピを把握しているのは1人2人ではないわけです。
つまりはこの危機管理に対応する仕組みこそが、開店当時のラマナイヤが作成したレシピを忠実に守り、その地位を揺るぎないものにしているひとつの要因のように思われます。

単に料理だけの凄さに終わらない、ダバインディアの層の厚さを垣間見ることができました。
ますますダバインディアという店に対しての興味が沸いてきました。
また改めて訪問してみたいと思います。
ごちそうさまでした。
またマイレビュアー様、ありがとうございました。

  • クラブジャムン(420円)
  • ラム肉のムガライカバブ(950円)
  • 南インドの辛いマトンカレー(1,470円)

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2位

ディルセ (千駄ケ谷、北参道、国立競技場 / インド料理、インドカレー、創作料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 4.4
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.3 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2013/04訪問 2013/04/19

日本人によって進化を遂げるダバのDNA

【再訪】2013年4月  
マイレビュアー様3名とともに合計4名で再訪しました。
これまでも何度も食べているテッパンメニューのラインナップなので、個別の評価は過去のものをご参照ください。
(ひょっとすると個別のレビューを忘れているかもしれませんけど)

・前菜
【チキンのリエット風(ミニナン付き)】(420円)×2
【田舎風パテ】(720円)×2
【トリッパとロビア豆のピリ辛トマト煮込み】(580円)×1
【牛すじのおつまみカレー炒め】(420円)×2
・タンドール
【チーズクルチャ】(630円)×1
【チーズキーマクルチャ】(680円)×1
【ラム挽肉のシークケバブ】(720円)×2
【ポークスペアリブ・ゴアのヴィンダルー仕立て】(420円)×4
・カレー
【バングラデシュの豪快フィッシュヘッドカレー】(1,000円)×1
【マスタードソースの魚カレー】(1,000円)×1
【カルカッタフィッシュカレー】(1,000円)×1
【バングラの豆スープ”DAL”】Lサイズ(600円)×1
【ライス】(250円)×1

飲み物は白ワインボトル(2,600円)と赤ワインボトル(2,600円)
その他インドのウイスキーブランド「Amrut(アムラット)」の数種類など

これで一人あたり5,000円未満という安さ。
この日は早めに訪問して19時過ぎから23時近くまでいて、貸切状態でした。
日によってもかなりお客さんの入りは変動あるようでシェフも楽観的ではありますが、もっと評価されてもよいお店だと思ってます。

他にも訪問されたいというレビュアー様もおられますので、また5月にオフ会を行いたいと思います。
ごちそうさまでした。


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【再訪】2013年4月
またまた前回訪問から1ヶ月程度空いてしまいました。
再訪レビューはあまり書かないのですが、今回は点数をわずかながら変更しましたので再訪レビューを書きます。

本来アルコールをあまり飲むほうではないのですが、今回ビールやウイスキーの品揃えが相当ハイレベルだと感じました。
今回飲んだのは、「志賀高原IPA(長野の地ビール)」780円とインド産ウイスキーのAmrut(アムラット)のFusionです。

【志賀高原IPA】
志賀高原IPAは小さな瓶で出てきます。
シェフが言うとおり、ライチのようなフルーティな香りがする割にはしっかり苦味もあってビール好きには合いそうな一品。
私自身はそんなにビールって飲むほうじゃないんですが、このビールは苦くとも香りが柔らかいせいか、とても飲みやすく感じます。
アルコール度数も6%。ビールにしては高いほうではありますが、そこまで感じません。
これは合うなぁ。

【Amrut Fusion】
Fusionは2010年のWorld Whiskyで世界3位となった品だそうです。
インドは意外にもウイスキーの製造が盛んなようです。これもかつての宗主国であるイギリスの影響でしょうか。
ちなみにこのお店ではウイスキーに値段が書いてありません。輸入物なので時価だそうです。
これはアルコール度数も50%なので、イレギュラーですが少しだけグラスに入れてもらいました。
グラスの底から1センチくらいかな?入れてもらって、お会計から逆算すると200円分だったようです(笑)。
でもバーなどでこれを普通の量注文すると一杯1,500円くらいらしいですから、今の私にはこれで充分です。

これはとにかく香りが素晴らしく良いです。
それも時間が経つほどに香りに変化が起こっているのがよく分かります。
どんどんカラメルのような甘い香りに変わっていきます。
この香りだけ楽しむだけでも長時間楽しめそうです。
私のような素人でも世界3位になるだけあるなぁと妙に納得してしまうウイスキーでした。

【今週の魚カレー】
今週は蛤(はまぐり)のカレーでした。魚じゃないですけどね。
でもバングラディッシュはイスラムなんですけど、貝を食べるイメージ無かったのでシェフに聞いてみると、やっぱりバングラでも貝を食べてる人を見たことがないそうです。
当然ハラール食材だけがカレーに合うとは思ってませんが、この先入観の無い素材選びが畑中シェフのスゴイところです。

蛤は浅利のふた周りくらい大きなもので、それが7個入ってます。
蛤は見るからにふっくらとしたミディアムレアというよりもレアに近い状態。
貝の口がしっかり開いてるのにこの状態。一体どうやればこういう風になるのかよく分かりません。
これはインド料理しか経験したことのない人には絶対に出来ない芸当です。
ちなみに貝に熱はちゃんと通ってます。

味付けも秀逸。
蛤が活きるような玉ねぎなどの野菜を使ったサラサラカレーではありますが、ちゃんと蛤を支えつつ出過ぎないのがいい。
こちらのシェフは素材が絶対にカレーに勝ってないといけない、という考え方なので、絶対に素材の味がカレーに埋没していません。
それは初めての訪問から今まで、一度たりともブレていません。

あらかたのメニューは食べてはいますが、また次回の訪問が楽しみになるお店です。
ではまた訪問させていただきます。
ごちそうさまでした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【再訪】2013年3月
仕事の都合もあってなかなか再訪できず、前回の訪問から1ヶ月空いてしまいました。
その間にメニューが一部変わっているようで、そのうちいくつかを食べてみました。

【チキンのリエット風(ミニナン付)】420円
リエットはフレンチの肉料理で、細かく切った肉を叩いたりしながらほぐし、味付けしたもの。
シンプルですが、みじん切りのコリアンダーやグリーンチリなども入っているようで、適度なスパイシーさが秀逸。
ナンを一口大に切り分けたものが付いてくるので、これをレバーパテのバゲットのようにここに載せて食べます。
さすがフレンチの経験もあり、ダバインディアで修行された畑中シェフならではの料理です。
これも訪問した際のローテーションのラインナップに加えたいと思います。

【キッシュ ア ラ ディルセ】300円
おそらく直径にすると15~20cmほどのキッシュを8等分したくらいの大きさで出てきました。
具はじゃがいもがメインです。
程よく食感の残ったじゃがいもがたくさん入っている中、仄かにカレーの風味を纏わせた味付けがニクいです。
これまた畑中シェフならでは、という料理でしょうか。

【今週の魚カレー】1,000円
鯖のつみれが入ったカレーだとのことで注文してみました。
大きなつみれが3つ入った器には粗みじん切りの玉ねぎが大量に入った赤みを帯びたカレー。
上から生姜の細切りを振っています。
食べてみると、なるほどね、つみれの味が際立つカレーです。
つみれにはコリアンダーのみじん切りが練りこまれていますが、一度揚げているのか魚の臭みも感じることなく美味しいもの。
ちなみに魚に合わせるカレーというのは結構難しくて、大抵のカレーは魚の味を封殺してしまいがちですが、そこはさすがに畑中シェフです。
決して魚の味を邪魔せず、それでいてカレーとしては充分な旨味を持っています。


ちなみに前出のリエットとキッシュ以外に新しいメニューとして、ひよこ豆のカッチュンバル(420円)、トリッパとロビア豆のピリ辛トマト煮込み(580円)、本日のタンドーリフィッシュ(350円)です。
メニューも新しいものが追加されたし、また今後も訪問したいと思います。
ごちそうさまでした。

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【再訪】2013年1月
これまで月2回程度の訪問を繰り返しているお店です。
この日はマトンシークケバブ(720円)、パパドとクスクスのサラダ(420円)を注文し、カレーはどうしようかと思って「本日の魚のカレー」と「本日のお肉のカレー」の内容を聞いてみると、魚は何だか聞いたことのない名前。
何でも酸味と辛味のあいまったカレーだそうですが、あんまりイメージがつかなかったのでパス。
一方お肉のカレーはと言うと、チキンカレー。
何だチキンカレーかと思って、いつものようにカルカッタフィッシュカレーを注文しようとしたら畑中シェフには珍しくやけにチキンカレーを推してくる。
何でもこれは高校生の時に初めて作ったカレーらしく、それが十何年経ってこういう風に進化したんだな、というのが分かるカレーだとのこと。
それも何だかよく分からなかったんですが、とりあえずそんなに言うならと思って、そのチキンカレーを注文。

割と油多めとは言われていた通り、油の中に大きめのチキンの塊がゴロゴロ入り、玉ねぎなどの野菜をスパイスなどで炒めた具が沈んでいると言う印象のルックス。
こちらのカルカッタフィッシュカレーを食べたことがある方なら、ああいうビジュアルと言えば分かるでしょうか?
あれよりも油の比率はかなり多めではありますが。

でも一口食べてみるとこれが旨い。
油多めのマイルドな口当たりでありながら、スパイスも程よく効いていて素晴らしい完成度。
その昔、どれがお薦めか聞いても、どれも旨いですよ、くらいの答えしか返さなかったシェフがあれだけ推してきたのも納得の味です。

鶏肉は一部に皮こそついていますが、過熱されて油が抜けているのか嫌な食感や匂いは全く感じません。
それでいて鶏肉そのものはとてもジューシー。こういうのはどうやって調理するんだろう?と素朴に思ってしまう。
具は玉ねぎなどの野菜を炒めているようですが、あらかた形を失った状態の中にグリーンカルダモンやシナモンロールの木片なども入っているのが見て取れます。
油多めではあるので、スパイス感がビシバシという感じではなくマイルドな印象ではありますが、これは個人的にツボにはまりました。
盛り付けの際に上に振った生姜の細切りやコリアンダーのみじん切りがまた鮮烈な風味を放ち、料理にアクセントを与えています。
確かにこれまで食べたチキンカレーと名の付くものでは、これが一番、というか群を抜いてます。

最後にシェフから、どうだ?と聞かれたので旨いと答えると、チキンカレーはウチのが一番旨いと思う、と半分冗談めかしながら半分本気で言ってきました。
マトンの最高の使い手を間近で見てきたせいかマトンでは無くチキンを挙げてきたところが何だか面白かったんですが、シェフもこの一品には並々ならぬ絶対的な自信を置いているよのがよく分かりました。
このカレーはグランドメニューに加えないのか、と聞いたらそのつもりは無いそうで、運良くその日に当たれば食べられるメニューだそうです。
日替わりメニューも見逃せないとは、なかなか飽きさせませんね。
やっぱりここも通い詰める価値のあるお店です。
ごちそうさまでした。


【再訪】2012年11月 
実はこれまで何度か再訪していてほぼ全てのメニューをいただいていましたが、写真が撮れないこともあって、レビューがくどくなりそうでアップしていませんでした。
今回はここでオフ会をさせていただいたこともあり、レビューします。

マイレビュアー様とともに4名で予約して訪問です。
インド産白ワインのボトル(カベルネ・ソーヴィニヨン)でまずは乾杯。

基本的な注文は私で主導させていただきました。
既に過去のレビューで触れているものが多いので、重複するものは詳細なレビューを割愛します。

注文したものは、田舎風パテ、海老のマリネ、トリッパのスパイシー煮込み、牛すじのカレー炒め、チーズクルチャ、ラムキーマクルチャ、ラムシークケバブ、ポークスペアリブ ゴアのヴィンダルー仕立て。
カレーはマスタードフィッシュカレー(秋刀魚)、カルカッタフィッシュカレー(鯖)、ダルスープ。

マスタードフィッシュカレー(1,000円)は味付けはマスタード一色。
辛いというものではなく、風味がマスタードと言う感じです。
実際マスタードのシードがたくさん入っています。
シェフに言わせると、これは好き嫌いがお客さんでもかなり分かれるとのこと。
合うのと合わないのが6:4くらいだそうですが、私は4の方です(笑)。

カルカッタフィッシュカレー(1,000円)は玉ねぎを炒めることで味を作っているようで、油の中にたっぷりとおろし大根でも入っているのかと思うような外見です。多少のマスタードシードも入ってるみたいですが、あまり風味は感じません。
その中に軽く素揚げした鯖が2切れほど入っています。
素揚げすることで魚の表面がコーティングされ、カレーに入れても魚の旨味がカレーに流れ出ないんですね。
魚を美味しく食べるためにシェフがよく使われる手法です。
カレーはこれで全種類レビューしましたが、これが個人的には一番好きな味です。

魚に合わせるために水気の多いカレーにしているのかと思っていましたが、これをシェフに聞くと基本的にバングラディッシュの家庭で食べるものはこういったカレーだとのこと。
招かれたりすると、油を多くしたりして濃くすることもあるそうです。
なるほど。北インド系の店でもナッツや生クリームを豊富に投入したトロトロのカレーが多いですが、家庭ではこういったものではなく、もっとサラサラしたものだと言いますから、これは南アジア全般に当てはまることなのかもしれないですね。
家庭で食べるものは比較的サラサラで、人を招いたり高級飲食店などでは濃い味にするという。
ちなみにバングラディッシュではナッツや生クリームを投入するのは見たことがないそうで、油で濃くするみたいです。

シェフは日本の専門学校を卒業後にバングラディッシュに渡り、料理学校と現地ホテルでの勤務を通算1年半ほど経験されたようで、カレーだけはバングラディッシュのものを忠実に作っておられるそうです。
その後、バックパッカーなどを経て、国内のホテルでフレンチ、イタリアンを経験後、ダバインディアグループに入店され、ダバ、グルガオンなどでインド料理を経験されたそうです。

この経歴を見れば、フレンチやイタリアンとインド料理をこの高いレベルで融合させられる日本人がいかに少ないかが分かっていただけるかと思います。
つまりこの店は畑中シェフだけが作ることのできる唯一無二の世界なわけです。

インド料理以外の経験があるということがプラスに働いていると私が思うもうひとつのポイントが、インド料理店の多くは何が具に入っても変わらないと言いますか、具の味がカレーの味に埋没してしまっていることが多いんですが、こちらの畑中シェフの場合、例え魚であっても絶対に具の良さがカレーに勝っていると言うか、カレーに具を引き立てさせるような料理を作られます。
実際、彼自信も素材の味が主役であるべきという考えに絶対的な価値観を置いているようで、どの料理においてもそれは常に一貫しています。

こういう不利な場所でやってて・・・と多くの方に言われるようですが、シェフは「ここに来たいと思う人が来てくれればいい」とはっきりおっしゃっていました。
私もそう思いますし、必ず今後も再訪すると思います。
ごちそうさまでした。


【再訪】2012年9月
前回あまり深く切り込めなかったバングラディッシュの魚カレーを味わいたくてやってきました。
平日夜20時頃の訪問で、先客2組、後客2組で5卓あるテーブルは満卓。
シェフは、こんなこと稀なんです、と料理の提供が遅くなったことを詫びてくれましたが、当然の評価だと思うんですけどね。
むしろこれでも私には少ないんじゃないかと思えるくらいです。

この日はマサラフライドフィッシュ(450円)、バングラディッシュの豪快フィッシュヘッドカレー(1,000円)、ライス(250円)を注文します。

最初に出てきたのはマサラフライドフィッシュ。
秋刀魚にスパイス入りの衣を薄く纏わせて揚げているようです。
衣はカラッとなっているのに、中身はホクホクしています。

辛味をほぼ感じないところを見ると、スパイスはターメリック(ウコン)だろうか?
タイのイエローカレーにも色づけとして加えられるスパイスです。
これにもやはりコリアンダー(タイではパクチー)の粗みじん切りにした葉を振りかけています。
揚げていてもこのおかげか、さっぱりした印象があります。

個人的に揚げすぎてしまった青魚の揚げ物は最悪と言っていいほど不味いと思っているのですが、こういうちゃんとした火加減がわかる方が調理してくれると安心して注文できますね。

続いてフィッシュヘッドカレー。
大きなお盆にご飯がのせられ、その横に器に入った鯛の頭がまるまるひとつ入ったカレーの器が置いてあります。
カレー自体はさらさらしたもので、ルーと言うよりはスープのようなもの。
先日ダバインディアで食べたカニカレーもそうでしたが、魚介類にはこういったカレーを合わせることが多いのかな?

箸で身を崩しながら、身の入ったカレーをスプーンでご飯の上にかけて食べて行きます。
他にも玉ねぎだとかの細かい野菜の粒がたくさん見られます。
ケシの実も入っているようですね。

これまたほとんど辛くない。
激辛は食べられない私にはちょうどいいかもしれないです。
味も最初の一口二口は?という感じでしたが、徐々に身と一緒に食べ始めてから魚の風味が加わり、何となく複雑な味わいになってきました。
うん、これは美味しい。
魚の頭は割と美味しい部位が集まってますが、締まったほほ肉や目玉、かまの部分など、結構楽しめます。
皮にはうろこが残っていてちょっと食べづらいということはありますが、元々こういう料理なんでしょう。大きな問題ではありません。

シェフも相変わらず良い方です。
他にも試してみたい料理がたくさんあるので、また訪問させていただきます。
ごちそうさまでした。


【初訪】2012年8月
こちらはずっと訪問したいと思いながら、なかなか訪問できなかったお店でした。
ホテルなどで料理人として腕をふるっていた畑中氏が、八重洲にあるインド料理の名店ダバインディアで3年ほど経験を積んだ後、独立されたお店です。

スパイス入りのパテやトリッパなどがあるとは聞いていたのですが、店内撮影禁止につき料理の写真もなし。
インド料理は通常、鶏肉や羊肉は多用するものの牛肉や豚肉を使う西洋料理との融合がどういうものなのかとても興味がありました。

一方ランチはと言うとどうやらカレーセットのようなものが主体のようです。
これはこれで興味はあるもののやはりこちらの真髄を知るのは夜だろうと思い、伺うチャンスを狙っておりました。

今回幸いにもたまたま訪問されるご予定であったマイレビュアー様にお誘いいただき、初訪問。
店内は10坪もないくらいの広さ。4名席が3卓に2名席が2卓。
この日は畑中シェフお一人で調理から接客までこなしておられましたので、このくらいが限界ということでしょうか。

まずはインド産の赤ワインボトル(グローバー、レゼルブ、2,600円)を注文。
これは以前カマルプールで飲んだものと同じグローバーではありますが、クセの種類は同じながらその時のものよりも飲みやすい。
ワインというのは、香りや味を土や干草のように食べ物以外の物に例えられることもあるようですが、私の独断で言えばこれは「革」のような印象です。結構独特です。

続いて田舎風パテ(720円)、牛すじのおつまみカレー炒め(420円)、トリッパのスパイシー煮込み(580円)を注文します。

ペッパーが振られたパテはおそらくクミンとカルダモンが前面に出てきている印象。
辛みはほとんど感じません。適度なスパイシーさがいいアクセントです。
これは一気に食べてしまうよりは、他の料理との間にちびちびつまんでいたい味です。

牛すじのおつまみカレー炒めは、脂はとろとろになってますが牛すじでも割と肉の食感がきちんと感じられる部分が多いようです。
これは煮込んでいる訳では無く炒めなので、肉の表面がカレーと合わさった油をまとっていてなかなかの美味。
細かいスパイスや野菜なども一緒に炒められているようですが、この複雑な味が何とも言えず素晴らしい。
ご存知の通り、ヒンズー教徒が多数のインドでは牛肉は基本使いませんから、インド料理屋ではこういうものは食べられません。

トリッパのスパイシー煮込みは具のハチノスが隠れるくらいに、オレンジ色のソースがかけられています。
3時間煮込んで作るらしく、結構手間をかけているのが分かります。
ハチノスはとても柔らかく、味もピリ辛という程度。少しずつつまむには丁度いいです。
ハチノスは牛の胃なので、当然これも牛肉を使っています。他のインド料理店には文字通り真似ができない料理です。

続いて海老のマリネ コリアンダーの香り(580円)、チーズキーマクルチャ(680円)、ラム挽肉のシークケバブ(720円)、ポークスペアリブ ゴアのヴィンダルー仕立て(360円/1本)を注文します。

海老のマリネは背中を割ってボイルされたボタン海老クラスの大きさのものが4尾。
酸味がさほど強くない酢に玉ねぎスライスなどの野菜が何種類か入っています。
上に載っている生の刻んだコリアンダー(東南アジアではパクチーの名称)の風味が香りを引き立てます。
ちなみに生のコリアンダーは、この品に限らず多くのものに多用されています。
苦手な方は事前に申し出たほうがいいでしょう。

そしてチーズキーマクルチャ。
チーズを入れたクルチャはカマルプールでも食べたことがあってとても美味しかったのですが、こちらはラムの挽肉が入っています。
そこにチーズとおそらくニンニクの風味も効かせている様子。
ラム肉の旨みが生地によって閉じ込められているので、とても美味しい。
ちなみにクルチャとは、日本人に分かりやすく説明すると形状はおやきといった感じ。
若干もちっとした食感の薄手の生地にラムの挽肉やチーズなどを包み、平べったくして焼いています。
インドにはこういった挽肉を包んだものは無いはずなので、これもシェフ独自の料理なんでしょう。
この日の料理の中でも気に入ったもののひとつです。

ラム挽肉のシークケバブは、いわゆる一般のインド料理店で出てくるようなスパイス入りのヨーグルトなどに漬け込みタンドリー窯で焼いたものではなく、素材であるラム挽肉の色がよく分かるもの。
肉はやや粗めに挽かれたものに玉ねぎやグリーンチリなどの小さい粒が入っているのが見えるので、材料を全て混ぜてから焼くのでしょう。
一般のインド料理店ではこういう焼き物の焼き加減というのにこだわりはあまり無いようですが、こちらは絶妙。
ラム挽肉のジューシーさを最大限に保っていると思います。
この辺がインド料理以外の経験を持つ日本人シェフの良さだと実感します。

ポークスペアリブ ゴアのヴィンダルー仕立て。
ゴアというのは、長らくポルトガルの支配下にあって独特の発展を遂げたインドの西海岸中程にある小さなエリアです。
ヴィンダルーも興味があったので調べてみると、やはりポルトガルの料理法。
ワインビネガーやニンニク、唐辛子などに漬け込み、焼いたものだそうです。
手づかみで食べると、肉がとても柔らかくて簡単に歯でこそげとれます。
ビネガーの風味はあまり感じません。ひょっとすると別の素材を使っているのかもしれません。
これまた肉のジューシーさが際立つ一品。まったく素晴らしいです。これが一本360円でいいのか?と思ってしまうほど。

最後にカレーを注文します。
今週のフィッシュカレー(1,000円)と今週のお肉のカレー(950円)。
カレーは、シェフが以前訪問したバングラディッシュの傾向が強く出ているような印象です。
バングラディッシュはインドの東に位置し、海に面しながら河川が多く集まるため魚料理がメジャーです。
他にもフィッシュヘッドカレーなんてのもありましたが、この日は無難に今週のカレーにしました。
一方お肉のカレーはチキンだそうです。

ちなみにフィッシュカレーは、このお店の看板商品であるバングラディッシュダル(豆)カレーにいわしを加えたもの。
カレー自体は全く辛くないので、タイのイエローカレーのようにターメリック(ウコン)のみで色づけしているものと思われます。
ここに細かく砕いた豆(おそらくひよこ豆)や一緒に煮込んだ細かい野菜がたっぷり入っていて、最後に揚げたいわしを入れるよう。
揚げていることによって、いわし自体にカレーが浸みこまずいわしそのものの味が生きています。揚げ具合も的確で、身がしっとりしてます。
いわしもダルカレーもいずれも素晴らしいのですが、私がフィッシュカレーをあまり食べた経験がないこともあって、カレーに魚というのが今ひとつしっくりこなかったようにも感じました。もう少しフィッシュカレーの経験が必要なようです。

一方チキンカレーは、肉のかたまり以外にも大きな挽肉?と呼ぶにはちょっと大き目の肉がたくさん入っています。
こういう素材を大きめに刻むことによって、食感を持たせるというのもこのお店の特徴かもしれません。
こちらは南インド系に近いさらっとした印象のカレーです。
チキンの旨みがよく出ていて美味しいと思います。
カレーなどもそうですが、どの料理にもホールスパイスがふんだんに入っていて、ペッパーなどのスパイスをガリガリと噛みながら食べるというくらいのイメージです。これがなかなか鮮烈でいいと思います。

帰り際にシェフとお話をさせていただいたのですが、「スパイスが主役で素材が二番手になってしまうのではなく、素材が主役でスパイスはその引き立て役」という言葉がありました。これを聞いた瞬間に、この日食べたものが全て頭の中でつながった気がしました。
この言葉にこそシェフの考えが集約されているように思います。
多くのインド料理店はスパイスがメインの存在になっていて、素材が変わってもせいぜい具が変わったくらいの印象しかありませんでしたが、こちらは確かに素材が主役になっていますし、その考えは全ての料理に一貫して見られました。
ある意味、とても日本人らしい考え方だと思います。

寡黙で職人肌の畑中シェフですが、ホテルなどで経験した後に日本人などほとんどいないであろうダバインディアの厨房で3年間頑張ってきたというその気概は見上げたものだと思います。
フレンチやイタリアンの経験がありながら、質の高いインド料理を経験し、かつ日本人の好みをよく分かっている料理人がこの日本に何人いるかと考えれば、こういった料理がいかに唯一無二のものであるかがよく分かります。
今後も是非利用したいお店です。ごちそうさまでした。

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3位

土手の伊勢屋 (三ノ輪、三ノ輪橋、南千住 / 天丼、天ぷら)

2回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.7
    • | CP 4.3
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥2,000~¥2,999

2023/03訪問 2023/03/15

日本人のDNAを強烈に呼び覚ます老舗の天丼

【再訪】2012年5月
天丼に関しては、これ以上美味しい店を探す必要が無いように思えてきました。
こちらの天丼は、本当に素晴らしい。

最近は東武スカイツリーラインで仕事をすることが多くなり、この日も向かう途中でした。
13時を過ぎてもまだ昼を食べていなかったので、どうしようかと悩んでいたのですが、最近カレーが続きすぎていたせいか、「和」を求める気持ちがありました。
このお店は最寄は東京メトロの日比谷線三ノ輪駅ですが、またそこから歩くこと十数分という立地だけに「途中下車してまで・・・」という気持ちもありました。
ただ、やっぱり久々においしい天丼が食べたいな、と思ってしまうともうダメですね(笑)。
三ノ輪で下車して歩きました(笑)。

場所はまさに吉原のまん前。
ちなみに隣には明治38年創業の桜(馬肉)鍋の中江があります。
こういう「超」の付くような老舗中の老舗であり、かつ名店中の名店が並んでいるというのは、この地ならではなのかもしれません。
レトロというか、古い建物が大好きな私としては、この外観の風合いもたまりません(笑)。
もちろん中も当時の色合いを残しているものですが、他のお客さんがおられるので遠慮しました。
この建物は文化庁の重要文化財の指定を受けています。

次来た時には海老天丼を頼もうと思いながら、やはり頼むのは天丼(ハ)(2,300円)となめこ椀(200円)です。
このお店はイ、ロ、ハで天丼を分けています。これは具の数に差があるだけですが、ハが一番多いのです。
穴子1本、海老2本、ししとう2本、茄子、しょうが、かき揚げ(しらうお、海老、小柱)が入っています。金額が高いだけで具があまり入っていないお店とは訳が違います。
ちなみに具が多すぎてご飯が食べにくくなるためにこの帽子のような蓋が載っているのです。
この蓋を取り皿代わりにして具を一旦避難させてから、ご飯を食べるという算段なのです。
ちなみに天丼(イ)には、私の記憶が間違っていなければ蓋は付いていないはずです。

ここの天ぷらは揚げ具合も最高で、サクッサクッと食べられて中身はとってもジューシーで素材の味が全く損なわれていません。
油もいいのでしょうが、これだけの量を食べても胸焼けや胃もたれなどとは全く無縁のしろものです。
味付けも申し分なし。ご飯の量もかかっている天つゆの量も絶妙です。まさに完璧!

しかし、私はこのお店の天丼だけは本能で食べているというか(笑)、食べ始めると夢中になってしまって我を忘れているようです。
具も正直何が乗っかっていたかあまり覚えていませんでした。写真を見返しながら必死で書き出したという状態です(笑)。
これは日本人のDNAなんでしょうか?

ちなみにこちら伊勢屋さんは3人兄弟で、長男さんが現在こちらで跡を継いでおられ、次男さんが千束いせや、三男さんが蔵前いせやをそれぞれ立ち上げて営業されておられるそうです。

完成したスカイツリーは、ここからだとこんなに大きく見えるんですね。
わざわざここまで歩いて来た時間と労力も忘れて、仕事に向かうことができました。


【初訪(食べログ投稿上)】2012年3月
この店を初めて訪れたのは7年程前になります。
知り合いの社長さんがここの常連で、連れてきてもらいました。
そのときは、平日夕方にも関わらず行列ができていたのをよく覚えています。当時は今のように口コミサイトも多くなかった時期だと記憶していますので、この立地でこの人気はすごいなと思っていました。お客さんも年配の方が多く、やっぱり良いものが分かる人が来る店なんだろうな、と感じたのを覚えています。ただ、私はと言うと老舗と言われるような店で食事をすることに慣れていなかったせいか、緊張して味はよく覚えておりませんでした。

今回、どうしても「おいしい天丼が食べたい!」という衝動に突き動かされ食べログを見ていたら、以前に訪問したこともある「土手の伊勢屋」の名前が。店名に「土手の」と付くのが変わっているなと思っていたので、よく覚えていました。

もっとも近い駅は日比谷線の三ノ輪駅ですが、駅からは若干歩きます。
三ノ輪駅を降りたら明治通りを東に向かって歩きます。途中三ノ輪2丁目の交差点で明治通りを外れて土手通りを浅草方面に向かいます。しばらく歩くと左手に老舗らしき古めかしい建物が何軒か並んでおります。その中の角地にあるのがここです。

昼間に来たことがないので食べログで見たら11時半からの開店とあったので、11時15分くらいに着いたのですが、既に店内には人がおられます。日曜などの週末は11時オープンなんでしょうかね?それにしても古いながら味のある建物です。よく3・11でも倒壊しなかったものだと感心する程です。むしろこの頃の建物はしっかりしているんでしょうか?

天丼ですから比較的回転も早くて10分経たずに案内されます。
せっかくなので、天丼(ハ)(2,300円)となめこ椀(200円)を注文しました。ハというのがいわゆる松竹梅の松に当たるというか、いろんな具がたくさん入っているんです。

揚げているのは、比較的若い30代くらいのご主人です。ここ何年かで代替わりされたんでしょうね。
手際よく作られるので、あまり待たずに提供いただけます。出てきた丼には、蓋が具材の上に帽子のように乗っかっておりました。正直蓋としての役目は果たしていないような・・・。
ちなみに具は、海老2本、穴子1本、かぼちゃ1切(厚切りです)、ししとう1本、しょうが1本、かきあげ1個(小エビ、貝柱、しらうお)がところせましと詰めこまれております。

店員さんに写真の許可をいただき、パチリ。そしてまずは海老を一口。・・・うまい!天つゆがよくしみているのにサクッとしてます。全く脂っこさは感じません。またその味も絶妙で、まさに一口一口が快感ですらあります。
途中からは夢中で食べていたので、あまり印象が残っておりません。ただただ旨いという言葉に尽きます。
ちなみに具が多くて食べにくいので、蓋を小皿替わりにして移動させて食べました。蓋はむしろこのためのようです。

昔はよく理解できないまま食べていた天丼が、こんなにおいしいものだったとは。
接客も老舗だからと言って全く気取った感じはありません。退店時にもおばあちゃん(先代の奥さんかな?)が誠意のこもった「ありがとうございました」を言ってくれました。

個人的には価格以上に満足できるお店でした。若い方がちゃんと跡を継いでおられるようなので今後も安泰ですね。これからはたびたび寄らせてください。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • 再び天丼(ハ)

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4位

ナーガルジュナ (若松河田、曙橋、牛込柳町 / インドカレー、カレー、インド料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.3
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.5
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥1,000~¥1,999 -

2012/08訪問 2012/08/29

躍動するスパイス

【再訪】2012年8月
シェフが退院されたようで、一度行ってみようと思っていました。
金土日だけは3,500円ほどのコースが用意されるようですが、その前にギアラのカレーが気になっていたので再訪です。

伺ってみるとギアラのカレーはこの日の早い時間に終了したとのこと。。。
残念ですがしょうがない。
ラムすじ肉のカレーにDセット(スープ、サラダ、デザート付き)をお願いしました。
妹さんが私の顔を覚えてくださったようで、「大盛にしましょうか?」と聞いてくださいました(笑)。
嬉しいですねぇ。是非。

サラダはドレッシングが微妙に変わったような気もしないでもないですが、これは気のせいかな。
グレープフルーツにはネクタリンのチャツネがのっています。相変わらず美味しい。

スープは茄子の冷製スープ。
焼き茄子を裏ごししたものに、茄子の皮にバジルだかを加えたソースをかけ、上からスパイス(2種類ほどあったと思いますが、失念)をふっているようです。
とろっとした食感で、おいしい。
茄子はこれまで、揚げ茄子だとかのようにあの原形をとどめたものが美味しいと思ってましたが、こういうのもありですね。

カレーはラムすじ肉のカレー。
カレーは文句なしに旨いんですが、ラムすじ肉もたくさん入っています。
ちゃんと煮込まれていて柔らかい。カレーってこういうモツの具の方が合いますね。

ちなみにこの際、奥様がギアラのカレーが若干鍋底にでも残っていたのか、小皿でもってきてくださいました(泣)。
こういうの、嬉しいですよね。味だけじゃなくて、その店のファンになるってこういうところの気遣いが大きいなと思います。
ギアラは牛の4番目の胃ですが、脂が多くて個人的に好きなんです。これも旨いです。

ちなみに今回いただいたラムすじ肉のカレーは、ここしばらく訪問させていただいて食べていた中では最も辛かったです。
口当たりは、ナッツや生クリームなどによってとてもマイルドなんですが、食べているうちに汗が止まらなくなりました。
これがシェフのスパイス使いの本領ということなのかな?
スパイスがカレーの中で活きているような印象でした。ここまで変わるものかと驚きました。

今まではシェフが入院されていたことにより、仮のメニューであったため評価も仮という位置づけでしたが、今回シェフも復帰されたので改めて点数を見直しました。
と言っても総合は同じなんですけどね。

ごちそうさまでした。またお伺いいたします。

【再訪】2012年8月(★★★★→★★★★☆に変更)
お店のHPを見たら、ノンベジのメニューが変更になっていましたので再訪しました。
(牛)タンカレー(大盛でお願いしました)です。

大きな牛タンがいくつも入っています。
よく煮込まれているようで、スプーンで簡単にほぐれます。
口に運ぶと崩れるようになくなる。
まるでこれは高級な洋食ですね。。。
相変わらずパクチーも素晴らしく香りがよくて、カレーにも良く合います。
ちなみに今回のタンカレーはこれまで食べてきた中では、最もスパイシーでしょうか。

今回カレーの皿の端にはしょうがのチャツネが添えられていました。
その上にはフェンネルと思われる葉っぱが数枚。
好みで混ぜて欲しいとのことでしたが、私の感性が鈍いのであまり違いを感じませんでした。

デザートはココナッツのブラマンジェですが、その横にあるのは自家製の玄米ブランを使ったちんすこう。
沖縄出身のシェフならではですね。その上には柚子のチャツネが添えられています。
これまたおいしいものでした。

以前旅行先のある洋食屋でタンシチューを4,000円ほど払って食べたことがあって、値段なりにおいしいとは思ったもののこんな金額を払わないといけないものなのかな~という気持ちも正直どこかで持っていました。
それを考えると、今回こういう値段でこのクオリティのタンカレーがいただけたことは、素晴らしい経営努力だと思いますし、決して手を抜かずに高い質を求めていくという姿勢を垣間見た気がしました。

是非またお伺いします。
ごちそうさまでした。


【再訪】2012年7月
ラムタンカレーという新しいメニューに変更されたようでしたので、この日再訪しました。
ここしばらくはお客さんもほとんどおられない日が続いておりましたが、メニューが変わったこともあってか、まばらではありながら絶えず2~3組のお客さんがおられました。

ちなみにドリンクについては、グランドメニューの通りに出していただけるそうです。
ラムタンカレーのご飯、ルーを大盛りにしていただき、ココナッツラッシーも注文しました。
カレーには前回同様、無料でサラダとデザートが付いてきます。但し、このサービスはシェフが入院しているためにメニューが限定的になっている間だけです。

ラムタンカレーは、柔らかくなったラムのタンがとても美味。
小ぶりなものながら、5枚程度入っています。
なかなか食べ応えもあっていいですね。この値段では驚くべきことだと思います。


【再訪】2012年7月
2日くらいおいて再訪しました。
前回食べていなかったメニュー、きのこのトマトクリームカレーをいただくためです。

こちらは現在シェフが入院中のため、作り置きによる2種類のみの限定メニューであるのは初訪レビューで説明したとおりです。
そのためスタッフのご厚意により、サラダ、デザート付き、ライスは大盛無料というサービスをやっておられます。
前回は大盛は遠慮したのですが、今回スタッフの方から聞いてくださったので、お願いしました。
「カレーはどうしましょう?」と言われます。えっ!カレーも大盛できるんですか?
作り置きでの提供ということなので一瞬躊躇しましたが、それもお願いしました(笑)。

カレーはとてもまろやかです。
前回のビーフ・シャヒマサラの際もそう感じましたが、まるで良くできた洋食のような味わいです。
きのこもエリンギ、シメジ、マイタケ、しいたけなどが入っているようです。
他のレビュアー様も書かれていましたが、きのこがとてもシャキシャキとした歯ごたえを保っているのがすごい。
煮込んでしまうとこういう歯ごたえは無くなってしまうでしょうから、途中で加えるのだろうか?と思っていたところ、マイレビュアー様からのご指摘で、実はそうでなくカレーソースと一緒に煮込んで作っているのだそうです。これ、結構すごい技術だと思います。
それにしても具がたくさん入っているので、ベジ(菜食主義者向けメニュー)の割にはとてもボリュームがあって、満足感の高いものでした。

ちなみにこの日のデザートはメロンのコンポート。
前回のココナッツのブラマンジェも秀逸でしたが、これまた美味です。
メロンそのものの味わいを活かして、過度に手を加え過ぎていないのがいいと思います。

また、前回カレーにしか目がいかず、食べ忘れてしまったピクルス。
フルーツを使って作られたスイートと辛味の強いホットの2種類があります。
いろんな素材を使っているのですが、いずれにも入っているシークワーサーの皮が何だかいい風味をもたらしているように思います。
シークワーサーをピクルスに、という感覚はやはりシェフが沖縄出身ということもあるのでしょう。
スイートの方には何種類もの果物が入っているようで、これは無料という域を超えてますね。

私みたいな者が経営者だったら、こういう売上が発生しないようなものに時間をかけるようなことはしないと思うんですけど(笑)、ここは本当に時間と手間をかけて作っておられると思います。
こういうところにお店の姿勢は出るものですね。

到底この値段で利益があがっているとは思えませんが、それはやはりシェフが入院中であるため限定メニューになるが故のサービスでもあるのでしょう。
現実的にテナント料だとか人件費、光熱費をまかなう必要もあるからという事情もあるのかもしれません。
ただ、作り置きにしてこの質の高い料理を提供された者としては、シェフが復帰された暁にはぜひとも再訪してシェフの本領を堪能させていただきたいと思っています。


【初訪】2012年7月
こちらはマイレビュアー様からの紹介および別のマイレビュアー様のレビューを拝見して知りました。
何故かものすごく惹かれるものを感じるお店だったので、知った次の日に仕事もそこそこに(?)若松河田に降り立ちました。

こちらはシェフが入院されておられるらしく、医者から許可をもらっては厨房にやってきて作り置きをし、それをスタッフが調理するという形態をとっておられます。
そのため現在は18時からの営業のみ。
ちなみに休みも不定期で、その日の営業がされるかどうかは食べログトップページの店舗HPで告知されますので、それを確認後に訪問されることをお薦めします。

分かりづらい場所にあるお店をようやく見つけて地下に進むと、インド料理店とは思えないようなおしゃれな雰囲気。
テーブルも2段重ねのガラスでできていて、下の段にはメニューが置かれています。

現在は作り置きで対応しているため、メニューは2種類のみ。
きのこのトマトクリームカレー(1,000円)
ビーフ・シャヒマサラ(1,380円)
今回はビーフ・シャヒマサラを注文しました。サラダとデザートも付きます。
ちなみに私は今回普通でしたが、ご飯大盛は無料だそうです。

こちらのお店はムガール帝国の宮廷料理を源流とするムガール料理のお店であり、上品な北インド料理といったイメージです。
ちなみにビーフ・シャヒマサラのシャヒとは、王族の、という意味らしいです。
インド料理でビーフとは珍しいと思いましたが、ムガール帝国は元々イスラム教を中心とした多宗教なのでインド料理ながら牛は食べてもいいのでしょう。

まず出てきたサラダは、小さいサラダではなくちゃんとした皿に盛られて出てきました。
ピンクグレープフルーツとパイナップルが手前に2切れずつ置かれています。
ドレッシングには何やらスパイスらしきものが入っているように思いますが、強い主張をするわけではなく控え目な感じ。
レタスがやけにシャキシャキ、パリパリしている印象でとても美味しいと思います。

続いて出てきたのが、メインのビーフ・シャヒマサラとライスです。
カレーの上には紫たまねぎのスライスとパクチーが乗っています。
一口食べてみると・・・これが旨い!
スパイスを使っているのがよく分かりますし、芳醇でリッチな味わいです。

ただ、これまで食べてきた北インド料理とは明らかに印象が違います。
スパイスも効いていながら辛さも控えめ、それでいてまろやかな印象があって、何だか洋食っぽいような感覚を覚えました。
これが宮廷料理である所以なのか、手のかかったとても上品なカレーだと思います。
途中で紫玉ねぎやパクチーなどと一緒に食べると、これまた違った風味を感じられて楽しい。
個人的にはかなり好みの味です。

ホロホロになるまで煮込まれたリブロースの薄切り肉が口の中で簡単にほぐれてしまいます。
ライスは日本米ながら固めに炊いてあり、とても合います。

デザートはココナッツミルクのブラマンジェと・・・あとは失念(汗)。
ちなみに他のレビュアー様のレビューによるとインドのパンプディングのようなものだそうです。。。
ブラマンジェがとても美味しい。
インド料理のお店で、サラダにしろデザートにしろ、ここまで一品一品のレベルが高いセットを出してもらえるのはおそらく初めてです。

現在は2種類ほどのメニューでやりくりされていますが、シェフが戻ってこられたら更に素晴らしい料理が味わえるのだろうと思います。
お店のスタッフの方もとても親しみやすい方で応援したくなります。
シェフには是非全快していただきたいと思いますし、改めてシェフの本領を味わいに伺いたいと思います。

  • ラムすじ肉のカレー大盛(ライスとセットで1,300円、大盛は無料)
  • Dセットの茄子の冷製スープ(スープ、サラダ、デザートで600円)
  • Dセットのサラダ

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5位

つけ麺 道 (亀有 / つけ麺)

2回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.3
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ~¥999 -

2023/03訪問 2023/03/15

何度来ても新鮮な感動

再訪(2012年3月)
前回前々回と同様、今回も夕方17時から18時の客足が微妙に途絶えたところを狙って訪問。
席にひとつ空きがあり、待たずに入れました。というか、時間が限られている私には、待たずに入れるこの時間しか来られないのです。

とりあえず今日はつけ麺大盛(850円)を注文。
前回感じた、ひたすらこの麺だけをこころゆくまで食べ続けたいという欲求を満たすためです。

待つ時間がとても長く感じます。いや実際長いのかもしれませんけど。なにせ麺が極太ですから、茹でるのに時間がかかるのです。
ようやく出てきて一口食べると、やっぱり旨い。ただ、何も考えられないまま無我夢中で食べた前回までとは異なり、3回目ともなると若干冷静に頭を働かせます。
何がこんなに旨いのか?
他のつけ麺と明らかに違うのではないかと感じたのが、麺。もちもちしているのにみずみずしくてとても喉ごしがいい。口に入れたときに覚える快感とも言える感触は、つけ麺では今まで感じたことがないもののように思いました。

あとちなみに箸にらせん状に溝が彫ってあります。これは結構重要で、特にこの麺は水気が多くてすべるので、らせん状に彫られた溝によってちゃんと麺がつかめるため、全くストレスなく食事ができます。ストレスを感じると味に集中できないので、これは大きな違いになります。逆に割り箸だと何だかおいしく食べられなさそうな気がします。

ただ、今の私には大盛は重すぎましたね。年齢を感じます。若い頃ならば何でもない量なんですけど。
次は並盛でお願いします。


2012年2月(2回目)

本日再訪させていただきました。
仕事でやってきたのですが、亀有にやってくるとどうしても思い出してしまいます。

とりあえず仕事が片付いた5時ごろに早い夕食のつもりで伺うと、ラッキーなことにカウンター半分程度があいております。
前回と同じ特製つけめん(並盛、950円)の食券を買いカウンターへ。
10分程度で提供されます。一口食べると、旨い。旨いと感じると同時にひたすらこのつけ麺だけを食べていたいという衝動に駆られました。正直こんな感覚は初めてです。私は具が他の皿に乗っかって出される特製つけめんを注文したのですが、回りのよくこられている感じの方々は具の無いつけ麺の中盛や大盛などを注文されてました。やはりみんな同じなんでしょうか。

ちなみに私はこの前日新宿にある某有名つけ麺屋にお伺いしていたのですが、その何日か前にこの道にお伺いしていたため、新宿のつけ麺屋さんはかなりの辛口評点となってしまいました。実際こちらと同じ魚粉系で特製つけ麺の値段も同じ950円。味もさることながら、工夫が凝らされた道と比べてしまうと、同じ値段でこの程度かと思ってしまいました。新宿の某有名店は、今やネームバリューで続けておられるんですね。それもこの道というお店に出会わなければ気づかなかったことでしょうから、やはりそれだけ良い店なんでしょう。

相変わらず元気な店長さんにも会えてよかったです。
是非こちらには長く続けていただきたいと思います。


2012年2月(1回目)

先日亀有に行ったときに行列ができているのを見て、次亀有にきたら是非行ってみようと思っていました。
夕方だったので、行列も比較的少なくて食券を買ってからほどなくして案内されました。

カウンター8席のみの店内ですが、店内はきれいにされており店員さんも若い方ばかりで活気があります。厨房には若いながらも店を仕切っている責任者らしき方が、見かけによらず非常に丁寧な挨拶で迎えてくれます。

注文したのは、特製つけめん(950円)。食券機には男盛だとか女盛だとかいうのもあったようですが、最近食べられる量も少なくなってきたので並盛(200グラム?)にしました。
7~8分で提供されましたが、見た目からして創意工夫の結晶のような料理です。具材も普通のつけめんでは見たことがないようなものが並んでおります。薬味もその日によって変えるそうですが、今日はエシャレットを揚げて粗い粉状にしたもの(すいません、フライドエシャレットだか何だか言われたのですが、名前は忘れました)だそうです。

麺は店によってくっついて出てくるところが多いのですが、ここのは表面に水気を保ったまま食べ終わるまで麺と麺がくっつくことなく食べきれました。スープは詳しくは分かりませんが、鰹節や煮干などの粉末を使った濃い目のスープだと思います。太めの麺にはこういった濃い味のスープがよく合います。
薬味のエシャレットもあまり気になることもなく、ほのかによい香りを出しておりました。具材はどれも工夫されていておいしいものばかりでしたが、中でも生ハム(だと思われます)がおいしいと思います。最初に見たときには、何で生の肉が入ってるんだ?と思いましたが、スープにしばらくつけておいて温まったところで食べるとなかなかの美味です。

残念なのは、この時期すぐにスープが冷たくなってしまうことですね。最初は熱々で出していただいても数分程度でぬるくなってしまいます。さすがにこの寒い時期だけは仕方ないですね。
店員さんの元気な接客で、元気をもらった気がします。また亀有に来たら寄らせてください。

  • (説明なし)
  • 特製つけめん並盛

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6位

トマト (荻窪 / カレー)

2回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥1,000~¥1,999 ¥1,000~¥1,999

2023/03訪問 2023/03/15

何事にも完成ということはありませんが、このカレーだけは私にとっての完成形です

【再訪】2012年7月
この日はシーフードカレー(2,800円)を注文しようとしたら、「ムール貝が午後にならないと入荷しないので、午前中は出してない」とのこと。
やむなくホタテ貝柱カレー(1,780円)を注文しました。
大きなホタテの貝柱が4つごろっと入っています。
この日初めて食後のデザートが出てきました。
この時期限定なのかな?ちょっと嬉しいサプライズでした。
ごちそうさまでした。


【再訪】2012年5月
この日は土曜の昼時に訪問しました。
意外にも11時半過ぎくらいはまだまだ空いてますね。
12時くらいまでなら、常に2~3組しかいない状態です。

注文したのは(大山地鶏)骨付きカレー(中辛、1,780円)です。
カレー屋のカレーに入っている肉としては結構大きめな骨付き肉が2つ、ごろっと入っていました。
いつもながら、常に客の期待を上回るサービスを提供されます。
単に味だけでなく、きっとそういったところに対する評価もあるのでしょうね。

こちらは具材はポットに入れる直前に合わせるようで、骨付き肉にしても前回頼んだトッピングの野菜にしても中にカレーは浸みていませんでしたが、具材の味を損なわず、極めて良く出来たルーの味を邪魔していないというところから見ても、この方が個人的にはいいと思います。

前回レビューで一点訂正があります。
当初ご飯の上に載っているものが、「クコの実」と書きましたが、あれだけ食べてみるとレーズンでした。
再訪と言う事で、ちょっと冷静に食べることができました(笑)。

ちなみに当然ながら冷めてしまうと、香りも味もかなり落ちていきます。
こちらのカレーについては、個人的に普通のカレー以上にその度合いが強いように感じます。
今回私は骨付き肉の扱いに手間取りましたので、15分くらい食事にかかりましたが、最後の5分はかなり風味が落ちました。
可能ならば10分、あるいはそれ以下で食べられるのがベストかな、と思います。

次は、シーフードカレーかホタテの貝柱カレーを食べてみたいと思います。


【初訪】2012年5月
このお店は何度か店の前まで行くことがあったのですが、営業時間内とされているにもかかわらずカレーが無くなってしまったことによる終了の札がかかっていて、未だに訪問できていませんでした。
比較的近所である私としても、訪問できるまでにこれだけ同じ店に何度も足を運んだのは初めてかもしれません。

ちなみに日によっても違うのでしょうが、営業終了時間は前述の理由によって30分以上早まるものだと思っておかれた方が良いかと思います。週末と平日昼は特に混みますから、注意が必要です。
特に遠方からお越しになる方は無駄足にならないよう、早めの時間の訪問をお奨めします。

そういう訳で行列嫌いの私が訪問したのは、平日夜(笑)。これは近所にいる特権ですね。
行列もほぼ無くて、意外と空いているのです。とは言え営業時間とされている20時半まで営業されているとは思わない方がいいでしょう。先日も20時頃に訪問して閉まっていましたから。

一番人気の和牛ビーフジャワカレー(辛口、1,890円)、和牛ビーフカレー(中辛、1,890円)、仔牛のミルクカレー(マイルド、1,780円)などが並び、他にはシーフードカレーや大山地鶏骨付きカレーなど多数。多くが中辛です。そこに好みで季節の野菜(400円)、チーズ(320円)などをトッピングできます。
他にはビーフシチュー、タンシチューなどもあるようです。

ちなみにこちらは杉並区の「ヘルシーメニュー推奨店」(レベル3)の認定を受けています。
外食をされる方のためのメタボ予防が主な目的の事業のようですが、この中で最もレベルの高い3「主食、副菜、主菜がそろって栄養バランスがとれたおすすめ「ヘルシーメニュー」があります。」という認定を受けてるようです。ちなみにそのメニューは「野菜カレーのチーズトッピング」(781㌔㌍)です。

今回の写真にあるのは、ビーフタンカレー(中辛、2,380円)に季節の野菜(400円)とチーズ(320円)をトッピングしたものと、仔牛のミルクカレー(1,780円)です。

カレーのルーは34種類のホールスパイスを含む36種のスパイスや香味野菜、フォンドボー、グラスドビアン(フォンドボーを何度も漉しながら煮詰めて凝縮させたもの)を使って一週間かけて作り上げるそうで、とても粘度が高いものです。
欧風カレー独特の上品なスパイスの濃い香りが鼻を刺激します。
国産の米を使っておられるというご飯の上にはチーズとクコの実(?)が散らしてあります。これは何か意味があるのかな?

ポットからカレーをよそって、ご飯にかけていただきます・・・うまーい!(笑)
子供の頃から欧風カレーを食べて育った私からすると、このカレーはまさにどストライクです。
粘度が高いことからも旨みがとても濃いものであることは想像できたのですが、なぜかしょっぱさや脂っこさを一切感じません。
これが塩や脂に頼らないスパイスの旨みということなのでしょう。
この香りと重厚な旨みにもかかわらず、意外なほどにあっさりと食べられます。

季節の野菜は、じゃがいも、人参、ししとう、アスパラ、筍、シメジ、かぼちゃ、パプリカ、マッシュルームなど盛りだくさんです。
チーズまで入ると、ポットから溢れんばかりになっております。
肉も口に入れた途端、ほろほろと崩れていきます。これはイイ。ちなみにタンは、厚み1㌢ほどの大きなものが1.5枚分くらい入っていました。
ご飯もやけにおいしく感じます。当然良いものを使っておられるのでしょうが、やっぱりこれはチーズとクコの実(?)の効果なんでしょう。
ただ初めて来られる方は、野菜とチーズをトッピングされずにそのままのカレーの味を味わっていただきたいなと、個人的には思います。

薬味として出てきた玉ねぎのマリネもこれまた秀逸。
玉ねぎは多少の辛味を残しつつも意外なほどにあっさりと食べられます。
私はこれまでカレーには福神漬けという絶対的な相性を信じて疑わなかったのですが、一瞬で覆りました(笑)。
ちなみに玉ねぎのマリネと併せて福神漬けも提供していただけます。

マイルドなカレーはほとんど辛味は感じることはなく、子供さんでも食べられるものです。
一方中辛はスパイスが豊かで、ところどころスパイスの粒が残ってはおりますが、辛味はそれほどでもありません。粒状に残っているスパイスも、楽しむために敢えてそうしておられるのでしょう。

値段についても高いと感じる方もおられるかもしれませんが、この満足感であれば私はむしろ喜んで払いたい金額です。
このカレーは私個人の感想ですが、これ以上手の加えようの無い、言わばこの形態での「完成」に限りなく近づいていると言っていいのではないかと思っているくらいです。

失礼する際には、ご主人と奥様の真心のこもった「ありがとうございました」という言葉が何とも嬉しく思えました。
お二人ともとても謙虚だと思います。是非これからもいいお店にしていただきたいものです。ごちそうさまでした。

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • ホタテ貝柱カレー

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7位

旅人酒場 武蔵 (阿佐ケ谷、南阿佐ケ谷 / 焼き鳥、もつ焼き、居酒屋)

1回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 4.7
    • | 雰囲気 4.4
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2012/12訪問 2012/12/08

全てが期待を上回る!謙虚な姿勢と飽くなき探究心が生み出した自己流の奇跡

【再訪】2012年12月
今後は再訪レビューは減らそうと思っていたのですが、ちょっと事情があっての再訪レビューです。
前回のレビューで刺し盛りと串以外はほとんどメニューが無いという記載をしましたが、その日によって日替わりのお薦めメニューがあるようです。

まずはお通し。
左がイカの身でイカワタを巻き、凍らせたイカのルイベ。
程よく溶けつつある状態の食感がなかなかいいと思います。
ひとつはそのまま、ひとつは山葵をつけて食べてみましたが、山葵にも非常に合います。

そして熊本の名産品で、豆腐をもろみに半年漬け込んで作ると言う豆酩(とうべい)。
これは「おかしら」がやたら褒めているだけあって、美味しいです。
これだけをツマミに酒を飲んでいられそう^^)
イカゲソは通常ありがちな茹でたもの。

刺身三点ハーフ盛りも前回に続き注文してみましたが、何だかんだ言って少しずつ5種類盛ってくれました(笑)。
中でも秀逸だったのが、鳥取産大山鶏の上ハツ刺し。
脂が付いた部位なのですが、これもあってかなり旨いです。
鹿児島の甘口醤油に付けて食べると絶品ですね。

純正カニ味噌は実は缶詰を使っているらしいのですが、これは高級寿司店でも使うようなものを使っているらしく、ここまで美味しいものはあまり見ないかもしれません。
これもチビチビやっててもずっと楽しんでいられそうです。

特に気に入ったのが、白レバのフォアグラ仕立て。
鳥取産大山鶏のレバを、おかしら曰く「水タバコの原理で茹でた」と言ってまして(笑)。
おそらく何だか低温で長時間煮たのかな?
ただでさえ旨い大山鶏の白レバがトロットロになっています。
数あるメニューの中でも個人的にはこれが一番好き。

そして極上もつ煮こみ。
ラーメンでも出てきたのか?と思うような大きな器に入ってきました。
もつが大きく切り分けられている上、過度に煮込まれておらずしっかりと脂身の部分を蓄えています。
それでいて味もよく染みこんでいるという、もつ煮こみとしてはかなりレベルの高さを感じる一品です。
鹿児島の味噌を使っているらしいですが、ややあっさりした味噌の風味は絶妙な加減です。
ただ予め柚子胡椒を入れて出てきましたが、これは好みで入れさせてもいいかもしれない。

おかしらはどうも以前九州料理のお店にいたことがあるらしく、それで九州の素材を多く取り入れているようです。
今回調理系のメニューもあることが分かり、これも結構レベルの高いものでしたので点数を若干変更しました。
味だけのレベルで見るとおそらく中央線の西側エリアでも最高レベルかもしれないと思います。
週一くらいで通いたいお店です。
ごちそうさまでした。


【初訪】2012年11月
阿佐ヶ谷の北側に延びる旧中杉通り。
ここにもつ焼きの店があるのを知ったのは、中野の久遠.ゼロに伺ったのがきっかけでした。
私が阿佐ヶ谷に住んでいることをお話すると、「阿佐ヶ谷で友達がやっているお店があるので、よければ行ってみてください」と隊長(久遠では社長のことをそう呼ぶそうです)の遠山さんより教えていただきました。

間口は狭く、厚手の透明なビニールが外と中を遮る扉代わりになっているようです。
奥に伸びるカウンターは10席程度。
まだ30代も前半かと思われる店主さんより名刺をいただくと、そこには役名に「おかしら」とあります(笑)。
どうやら久遠の遠山さんのことを尊敬しているらしく、それに倣ったようです。

メニューを拝見すると、おつまみは野菜焼きなど3点ほどありますが、あとは鶏、豚、牛の刺しと焼き鳥、焼きとんのみという潔さ。
それにしてもお店の規模の割りに刺しがかなり充実しているようです。

まず注文したのが刺身三点ハーフ盛。
おかしらがおっしゃるには、初めて来てくれたお客さんには何か一品サービスされているようで、ひとつ追加して四点にしていただけるとのこと。
そうして出てきたのがハラミ(豚)、レバ(豚)、薩摩軍鶏の砂肝、ハツ(牛)、動脈(牛)の五点(笑)。
調味料はごま油に塩を混ぜたものと鹿児島の甘い醤油の2つが出てきます。
薬味も山葵、すりおろしにんにく、すりおろししょうがと小口切りのネギなどがついてきました。

ハラミとレバは普段もつ焼き屋さんにうかがったときによくいただくものなのですが、こちらのものは色味もよく、味も全くクセのない新鮮なものです。
薩摩軍鶏の砂肝は歯応えのある新鮮なものですが、これを鹿児島の甘い醤油でいただくと最高に相性がいいです。
やっぱり同じ産地で育った素材同士の相性というのはいいものですね。

サービスいただいた牛ハツと動脈刺し。
食べ比べてみてくださいと言われますが、牛の刺しはしばらく食べていなかったこともあって比較する対象も無く、美味しいという意外に表現するボキャブラリーが無いのが悲しいところ(泣)。
でも久々に食べた牛の刺しはやっぱり素晴らしい。

ちなみにそれぞれ単品で注文すると700円の牛ハツ刺し以外は全て650円。
量こそどれほど出てくるのかは分かりませんが、ハーフとある以上、それぞれあの量の倍程度となるのでしょう。
これは芝浦から遠いエリアであるが故もあるのでしょうから、あまり責めるつもりはありません。
むしろやや金額は高めではあるものの、満足度は高いので個人的には気になりませんでした。

続いて串に入ります。
串は300円の網ハツ以外は全て210円という設定。
今まで訪問した中では最も高額ではあります。
おかしらの串盛り(5本)だと1,000円なので、5%であれそちらを選択しました。
結果的にはそれを2回注文しましたので計10本です。
写真は出てきた順番通りに掲載しました。

最も出ているという鶏レバとテッポウを最初にもってきているようです。
ただそれも納得です。
非常にもろい鶏レバは噛むと口の中で旨味を残して崩れていきます。
テッポウは久遠.ゼロに倣ってか、表面をカリッとなるまで炙ったもの。
中のフワッとした感触がきちんと残っていてなかなか見事です。
あくまで個人的な感想ですが、このテッポウは久遠.ゼロのそれを超えてますね。
相当なレベルだと思います。

焼き鳥は全て鳥取の大山地鶏を使っているらしく、どれも秀逸です。
中でもハツは非常に柔らかい焼き上がりで旨味が凝縮しています。
普段は焼き鳥があっても豚を注文してしまってほとんど注文することはありませんでしたが、これは美味しいです。

また網レバは、以前清水Aburiでいただいた網脂をぐるぐる巻いたような感じではなく、薄く1枚を纏わせたようなイメージです。
必要以上に脂が主張しないのでレバの旨味を引き立てているように思います。

こちらのおかしら、どうやらどこかでちゃんと修行をされたわけではないようで、元々は久遠.ゼロに客として通っているうちにいろいろ食べ歩くなどして研究されたそうです。
逆にそれが変な先入観を持つことなく良いものを取り入れてこられたことが良い結果につながっているのかもしれません。
ここ最近だけでもマイレビュアー様のお誘いなどもいただき、都内のお店を複数回らせていただきましたが、全く引けをとっていません。
若い割りに非常に謙虚な姿勢の方なようで、今後も更なる成長が期待できそうに思います。

若干値段は高いもののそれだけの高い満足度が得られるお店だと思います。
何より阿佐ヶ谷にこういった高いレベルの串焼きの店があったことが嬉しいです。
是非今後も利用させていただきたいと思います。ごちそうさまでした。

  • 鶏汁ぞうすい
  • レバテキ(750円)
  • もつカレー(小、500円)

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