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夜の点数:4.0
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¥5,000~¥5,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.0
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.0
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昼の点数:4.0
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¥2,000~¥2,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.0
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味4.0
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[ 料理・味4.0
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| 酒・ドリンク- ]
秋田美人とパエ・アラックと
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稲庭うどん
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ココナッツとバイマックルにしょっつるが香るタイカレー
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Pae Arak
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2021/04/14 更新
上海で私に通訳の家庭教師をしてくれていた上海人のY先生が東京へいらしたので、こちらにお連れした。第一線の日中同時通訳者として活躍中の彼女は、日本で5年生活したこともある相当な日本通。下手なところにはお連れできないが、日本料理店で溢れている上海にも、稲庭うどんの専門店はまだない。それに、彼女自身とても麺類が好きなので、ここなら喜んでくれるに違いない。
当日、店に到着すると、店内では5、6人が順番待ちをしていたが、予約をしていたのですぐに席に案内される。テーブルについてメニューを開くと、季節のお薦めとして「比内地鶏のつけ麺」が写真入りで大きく紹介されている。最初これを選んだが、売り切れと言われてしまい、そこで私は「タイ風グリーンカレーつけ麺」を先生にお薦めした。
実はこのつけ麺は、この店のメニューの中で私が最も気に入っている一品だ。ココナッツにバイマックルとバジルが香るグリーンタイカレーに、冷たい稲庭うどんをつけて食べる。最初は、いわゆるキワモノメニューかと思い単なる好奇心で食べたのだが、これが妙に合う。
メニューにある説明を読んで、なるほど!と思った。タイカレーの調味料に、ナムプラーの代わりに秋田のしょっつるを使っているのだ。ナムプラー、しょっつる、いずれも魚を発酵させて作る魚醤。雪深い北国の秋田と、太陽が降り注ぐ南国のタイ。遠く離れ、全く異なる気候の土地の食べ物を魚醤という共通の調味料が繋ぐことで、両者が違和感なく寄り添っている。
魚醤は、日本では秋田以外にも、石川のいしる、香川のいかなご醤油などが有名だが、タイ周辺国でも、ベトナムではニュクマム、ラオスではナムパー、ミャンマーではンガピャーイェーの名で、日々の食卓に欠かせない調味料となっている。そしてこれらメコン川流域の魚醤文化圏は、水稲文化圏とほぼ同一の地域に広がっている。
そんな話をY先生にすると、「おもしろいわ!”魚米之郷”と言うわよね。魚と米の文化圏が重なっているのは、自然な感じがするわ」とおっしゃる。魚米之郷(ユーミー・ジーシァン)とは中国語で、降水と日照に恵まれ、魚や米を豊富に産出する長江以南の一帯を指す言葉だ。
なるほど。しょっつるはハタハタ、ナムプラーはアンチョビ系の魚を原料に使い、魚醤は海に近い土地の調味料というイメージがあったため、私は今まで思い至らなかったが、確かに、米作には豊かな水が必要であり、水のあるところには魚が棲む。魚醤と稲作の文化圏が重なるのは自然なことかもしれない。
二人分のタイ風グリーンカレーつけ麺が運ばれて来た。うどんは秋田美人の白肌のように瑞々しく、艶やかに輝いている。グリーンカレーも来る。和風の陶器に盛りつけられ、ココナッツとバイマックルにしょっつるが香るこのタイカレーは、タイはタイでも和風(?)の風貌の、潮州華人のタイ人を思い出させる。中華圏でも人気を誇るタイ人の俳優、パエ・アラックのような。
運ばれて来た時に熱々だったタイカレーは、冷たい稲庭うどんと交わるうちに冷えてしまうのだが、それもまた儚げで、趣がある。
食事を終えて店を出る時、先生はお持ち帰り用の稲庭うどんの乾麺とパック入りのつゆを、上海で待つ娘さんのために購入した。
「とても美味しかったわ、ありがとう。私、日本とこんなに長い間関わっているのに、稲庭うどんって一度も食べたことがなかったのよ。今度は娘を連れてくるわ!」
そういって微笑む先生に、私も笑顔になる。日本通の外国人に日本文化を紹介して、喜んでもらえる。私にとってこれほど嬉しいことはない。
เป้ อารักษ์ - ไก่ Pae Arak "Gai"