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看板
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お店のあるビル。右隣のビルに中華「桃の木」。
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ここからお店(B1F)に入る。
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階段を下りる。
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正面は坪庭。入り口は右の扉。
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柚子蒸し。緑のソースは確か九条葱。
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お造り。鯖は松輪。
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お椀。帆立のしんじょ。
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蕪をどかしました。
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穴子飯蒸し
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焼き物は鰆の柚香焼き。揚げ物etc.
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朴葉のアップ。
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十八番。じゃがいものはりはり。
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牛大根のトマトごぼう煮込み
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〆の食事はなんだろ♪
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どっひゃー!越前カニ飯だぁww!
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至福の〆じゃぁww!
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デザートはクリームチーズの林檎ソースソース。
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【オマケ】安納いものプリン
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「晴山 -せいざん-」
今年に入って、Eric様より再三再四薦められた二軒のうちの一軒ですが、いやwww、本当に素晴らしかった!
絶対評価、相対評価共に★★★★★5.0以上です。
ご紹介いただいたことを、この場を借りて深く感謝申し上げます。
ありがとうございました!
まずは、お店の場所からさらっと説明します。
JR田町駅(都営三田線の三田駅)から慶応大学正門に出て、慶応女子高のある方へ向かってください。
この道路は桜田通り(国道一号線)です。
道すがら、ジャパニーズジャンクフードの聖地「ラーメン二郎 三田本店」がありますが、今日はとりあえず横目で通り過ぎてください。
しばらくするとゆるやかな下り坂に変わり、桜田通りは大きく左へとカーブします。
その112.5度Rを道ナリに歩くと、T字路交差点(目印は左側の郵便局と右側のヤナギヤ)に出ます。
そこを右折してください。
道路右側のマンション一階には、ミシュラン★の中華「桃の木」が見えてまいります。
「晴山」はそのマンションではなく、隣のビルの地下一階です。
地下へと続く階段は、シャンデリアやスタンド照明が実にキュートな「カワハラ・デザイン」のまん前にあります。
さて、地下へ降りると打ち水がしてありました。
出だしからいいですね。
真正面の硝子越しに掛け軸と坪が見え、小さなマンホールのような置石がポポポポーン♪とあります。
「おっ。楽しそうな入り口だなあ、これは」
ところが、置石を二つほど歩いたところで、そこが坪庭であることに気付きました。
恥ずかしい気持ちで、ゆっくりと後ずさり。
もっと手前にある右側の地味な扉が入り口だったんですね。
硝子越しの調度品と置石に目を奪われて、入り口をおもいっきり間違えました(苦笑)
しかも、扉の取っ手は右側についているし。
右から来て左手で開けることに違和感を感じましたが、扉を開けたらイキナリシースルー厨房だったため、複雑な気持ちはどこかへと吹っ飛びました。
いやあ、おもろい。
店内の構造ですが上から見ると逆L字になっており、厨房を真ん中辺りだとすると左側にカウンター席、右奥にテーブル席とお手洗いがあります。
厨房のすぐ右側に四人がけのテーブル席が一つあり、右奥にあるテーブル席も十人ぐらい座れるほどの広さがありますので、いろいろな用途に使えると思います。
カウンターに案内され、ご主人の山本晴彦さんと挨拶を交わしました。
ソフトな当たりと丁寧なしゃべりかた、笑顔を絶やさない物腰の低い接客に好感度UP。
冗談を時折交ぜながらも、饒舌ではない感じがとてもステキでした。
さて、今回のお料理は、真ん中の10000円のコースです。
ここ最近の若手割烹会席の中では、CPがもっともお得なレベルであり、「晴山」の夜コースは7000円~になっております。
これは、天晴山(あっぱれやま)です!(笑)
かつて湯島「くろぎ」は8800円、麻布十番「喜作」も8000円でやっていましたが、今では両店ともコースを値上げして12000円前後からです。
しかし何よりも今回驚かせたのは、その内容でした。
コース内容が充実しており、お酒の値段もそれほど高くありません。
8品+お食事(松葉かに飯、味噌汁、香のもの)+デザート、生ビール1、日本酒3合で、なんと合計金額が約13000円です。
正直、この値段と内容には大変驚きました。
さらに私は食べている途中であることに気がつきました。
料理の味が躍動しており、かつ清廉なのです。
寿司や天ぷらのカウンターで食べるような「出来立て」を戴いている“ライブ”感覚に似ていますが、あくまでも比喩です。
それはまさに、料理の「今」を食べていると言えます。
いい素材や高い技術力は文句なしです。
しかし、それ以上にお店の「まごころ」が随所に見られた夜でした。
出来立てのだし、麗しい器、料理の提供温度、鮮やかな色彩感覚、メニューの提案、料理の説明、さりげないサービス、そして笑顔。
なにもかもが全速力で、手間隙を惜しまず、心から動く。
スタッフの方々がひたすら全力で白球に向かう高校球児に見えてきました。
ああーー青春そのものだよ(笑)
清清しい。
「まごころだって?笑わせる。そんなの当然じゃねーか」
ご尤も。
しかし、それが出来ていない、あるいは変わってしまったお店がやたら目につきだして、最近うな垂れていることが多い私です。
他のレビューでも同様のことを繰り返し書いていますが、遺憾に堪えません。
だしや料理の作り置き。
素材の乱雑な扱いと雑な調理。
機械的でありきたりな規格とワンパターンな内容。
お客のペースを無視した提供のタイミング。
料理を作る「もてなしの心」をどこで置き忘れたのでしょう。
歌を忘れたカナリアのように、再び歌を思い出してくれるのでしょうか?
和食割烹、焼き鳥、寿司、天ぷら、フレンチ、イタリアン、ラーメン、餃子、中華、しゃぶしゃぶ・・・・・・。
最初はいい店だったのに、いつのまにか初心を忘れてしまうのは世の常とはいえ、哀しすぎます。
しかし、この「晴山」は明らかに違っていました。
お椀のだしは、出す直前に鰹節を削り、瞬時に作る。
見事な器とのバランス。
少量でも丁寧な仕事。
お客のスピードに合わせたベストな提供。
スタッフ全員が細心の注意を払って、お客と料理に向かっているのがすごく伝わってきます。
厨房の中は丸見えですし。
私はこの店の料理の根幹を成す「料理人の人間性」を知り、感涙にむせびました。
この方たちは、本当に料理や食べることが好きで、人を喜ばせることが好きなんだなあと。
野菜を切る基本的な仕込みや手間隙がかかることも、心をこめて向かっているんだなあと容易に想像することができました。
技術や才能があり、真面目で一所懸命。
そしてセンスとユーモアがあり、客のことを第一に考える。
そんなわけで、この店を応援したくなったのは言うまでもアリマセン(笑)
私にとってはなんだか「ガラスの仮面」の北島マヤみたいなんですよね。
ありゃ?
だとすると、私は「紫のバラの人」になっちゃうのか?
そりゃ、ぜんぜん違うわいなぁ。
まあ、いいや。
御許し給ふれ。
今後とも末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。
差し入れの日本酒は、暮れの仕事納めの日にみんなでどうぞ。
ごちそうさまでした。
【2011年11月中旬 夜10000円のコース】
1 柚子蒸し
彩り美しい茶碗蒸しからスタート。
抹茶のような濃い緑色のソースは、九条葱。
だしの香りがふんわりとしたとろけるような一品。
神楽坂「虎白」もスタートは茶碗蒸しでしたが、インパクトと満足感はこちらの方が上。
2 お造り 松輪の鯖、勝山の平目、剣先烏賊(産地は失念)
お造りとしては、想像の範囲内。
包丁の研ぎ味は抜群であることは、刺身の表面や飾りでわかります。
鯖の〆具合は浅く、酢も淡い。平目は少しネットリしておりました。
3 お椀 帆立しんじょ 蕪、柚子、ほうれんそうの軸
まさに鮮烈としか言いようがない美味さです。
ここまで鰹の香りを際立たせたお椀は初めてです。
麻布十番「喜作」よりスゴイと思いました。
出す直前に本枯れを削り、お吸い物を速攻で仕上げる。
いやあ、もうすごいのなんのって(笑)
しんじょはタラとハモですが、正直に言えば魚肉の練り製品の味を超えることはありません。
しかし、しんじょをほぐすと貝柱の味がすわっと飛び出てきて、鰹といい塩梅になる。
この掛け合いが実に見事でした。
お代わりしたくなる逸品です。
4 穴子飯蒸し
見た目から美味しさが伝わってきます。
伊万里焼とのコントラストがもたらす日本の美ですね。
穴子のしつこくない味わいとほっこり感、そして四季の植物が描かれた皿にうっとりです。
5 生からすみ *写真は未掲載
この時期の一品。
所謂、からすみの塩漬けです。
先週末訪れた銀座「小笹寿司」でも同様のものが出ました。
日本酒のお供ならぬ、御友です。
6 揚げ物、焼き物いろいろ
ダイナミックな朴葉に載せられた八寸は見た目、味わい共に、実に楽しい一皿。
私は何気にこういう「季節感・旬」を表現したものが昔から好きな人間です。
鰆の柚香焼き、魚沼産椎茸の一口コロッケ、黄身の味噌漬け、蓮根煎餅、食用鬼灯(ほおずき)
7 じゃがいものハリハリ
ご主人山本さんの修業先である岐阜「たか田八祥」の十八番。
すでに予習しており、特に大きな驚きはありませんでした。
しかし、味わいは予想以上に繊細で存在感が堂々としています。
千切りの男爵いもをソテーしたその淡い味と優雅さは、和の心と呼ぶにふさわしい出来です。
とび子を塗したじゃがいも炒めという安い材料で作った単純料理に、誰がここまで美味いと唸る事を予測できよう。
美味しい和食とは何かを問いかける、根源的な料理です。
岐阜「たか田八祥」の凄みを感じました。
8 牛大根 トマト・牛蒡煮込み
居酒屋っぽいネーミングになりましたが、写真を見ての通り洋食風です。
牛肉は三重牛を使用しております。
ソースは、トマトの酸味と牛蒡の風味が合わさった見事な味わいで、最初にトマト、後から牛蒡がやってきます。
もちろんトマトや牛蒡の姿は見えず、味だけが舌の上に広がります。
ソースのなめらかさとコクは、洋食屋さんもびっくりするレベルです。
大根と牛蒡の風味があるので「和のビーフシチュー」とも言えます。
9 越前かに飯・あおさの味噌汁・香のもの
蟹独特の生臭みはなく、本来の蟹の美味さが伝わるめちゃくちゃ美味しい御飯です。
あおさがまた蟹とよく合う(笑)
香の物は、大根や梅、胡麻、それに塩昆布が入ったお手製の即席漬けです。
かに飯は何杯でもお代わりできる怖いやつですが、お土産に包んでもらうこともできます。
でも「かに飯」は炊き立てを頬張るのが一番かな。
10 クリームチーズの林檎ソース 白ワインゼリーがけ
この店の特長の一つですが、デザートレベルが非常に高い。
林檎の瑞々しさは、いまここで絞ったの?と思うぐらいです。
白ワインの使い方も大変上手で、イデミ・スギノを思わせるほど、と言うのはいささかオーバーか。
デザートレベルは、神楽坂「虎白」と互角、「くろぎ」「喜作」に比べれば、もう断トツの美味しさです。
後日、機会があって「安納芋のプリン」(写真参照)もいただきましたが、洋菓子屋さんかと思いました。
このプリンも、芋焼酎の使い方が◎
※サービス品・・・・・〆鯖 胡麻・針生姜・大葉
まあ、私が「アテがないと呑めないんだよね」と申し上げたら、出てきました。
山本さんに超感謝。
※酒・・・・・・生ビール(プレミアムモルツ)、日本酒「三千盛」純米2合、「氷室」大吟醸1合
【総括】
●コストパフォーマンスが凄すぎて、お店の経営が心配になるレベルです。
「晴山」は、男性従業員5人で廻しており、しかも店内は広く、内装もかなり立派です。
寿司屋の居抜きを使ったとはいえ、接待でも使える内装です。
投資回収の点から考察すると、コースを最低10000円以上にしないと経営的に厳しいのでは?と勝手に心配しました。
そういった意味では、ものすごくがんばっている優良店だと思いますので、そこはきちんと評価したいと思います。
なお、今回のお会計ですが、酒代込みでたったの13000円でした。
立地が繁華街でないことで不動産コストを抑えているのでしょうけれども、やはりスゴイ。
いくつかある「たか田八祥」の支店長を歴任していたようなので、経営能力もあると見ました。
●料理は本当に美味しい。安定感があり、期待をまったく裏切らない。
確かな技術力があるだけでなく、料理のおもてなしに対するお店の考え方が完璧です。
山本さんが考える「できうる最高の状態」で提供するために、スタッフ全員が一丸となって働く姿が丸見えなお店です。
その姿がなんと美しいことか。
全力で働く人の姿は、いつでも美しいものです。
そしてその美しさが、「美味」となって表出されるのだと思っております。
●「若手の和食割烹」は最近の流行りかもしれませんが、この店は一つ抜きん出ています。
やはり、料理のレベルや値段を考えると、東京では一つ抜きん出ていますね。
注目を浴びているのは納得です。
●この店の特筆すべきはスタッフの団結力です。チーム力は「くろぎ」「虎白」と互角ですね。
ご主人含めて全員で5人ですが、スタッフの中には「たか田八祥」の出身者もおり、チームワーク抜群です。
年齢も20~30代で、昔の「湯島121」を彷彿しますね。
それに少しも偉ぶっていない。
岐阜で修業する前から東京で頑張りたいという夢をもっていた齢31歳の山本さん。
カワイイお嫁さんのためにも、いつまでも奢ることなく、謙虚に頑張ってほしいと思います。
【参考データ:夜のコース値段比較】 ※サービス料・消費税含まず
・三田「晴山」 7000円・10000円・15000円 *10000円の場合、8品+お食事+デザート *お酒の値段は普通
・湯島「くろぎ」 12000円~ *12000円の場合、8品+お食事+デザート *お酒の値段は高い
・麻布十番「喜作」 11550円・15750円 *11550円の場合、6品+お食事+デザート *お酒はやや高い
・神楽坂「虎白」 13000円・17000円 *13000円の場合、8品+お食事+デザート *お酒の値段は高い
・東銀座「うち山」 10500円・13650円・15750円・21000円 *13650円の場合、7品+お食事+デザート *お酒の値段は高い
追記1:食べログや雑誌(食楽、文春など)の事前予習をしたおかげでかなり楽しめましたが、大体どの雑誌の文章も似たり寄ったりで、後日、個人的にご主人の山本さんから根掘り葉掘りと取材しました。なにせ修業先の岐阜「たか田八祥」をまったく知らなかった私は焦りまくり。私の父方の実家が岐阜市の駅前であり、幼少の頃から十代後半までよく帰省しておりましたが、一度も噂を聞いたことがありませんでした。そんなわけで「たか田八祥」の創業年数が約20数年と聞いてホッとしました(笑)
追記2:すごいなあと感じたのは、所謂「主流・名門」の一派じゃないところでしょうか。「くろぎ」は「京味」「吉兆」出身ですし、「喜作」は京味にいた赤坂見附「もりかわ」出身です。しかし「晴山」の修業先は有名店とはいえ、地方です。それに岐阜の町は正直寂れています。「たか田八祥」の親方高田晴之氏は、大阪を廻って岐阜に辿り着いたと言う。かっこいいなあ。私はそういうところに敏感でして、日本全国の美食レベルがいかにものすごいかを思い知らされます。もしミシュランが日本の国全体を評価しだしたら「広辞苑」の分厚さじゃすまないですよね、きっと。いや、この国はスゴイよ。
追記3:Eric様がオススメするもう一軒は、銀座の「座屋(いざりや)」です。未訪。
追記4:ミシュラン★以上は鉄板だと思いますが、今後の飛躍は山本さんのオリジナリティにかかっていると思います。「たか田八祥」を超えて欲しいですね。あ、そうそう「ガラスの仮面」のお話ですが、ライバルの姫川亜弓もかなり好きな私です(笑)