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素晴らしい魚介料理の数々でした。
全体を通じて、①素材の活かし方が上手い②特に、酸味と甘味の使い方が上手い③日本人に馴染みのある食材や調理技法を一部取り入れることで、心理的にも満足感が高い と感じました。
下記、長文となりますが、料理の感想を書かせていただきます。
前菜は9品。全て手で食べるという江戸前寿司スタイル。右側からフロマージュドテッド。ふんわりとクリーミーで、タルト生地の下の辛子がピリッと。次は海藻とシラス、アンチョビのゼリー仕立て。青い磯のような香りが口に広がりました。エビのカステラは、香ばしいエビの香りにフワッとした卵の風味がするカステラ生地。塩味が効いたパリパリの生地とのギャップが良かった。タコのベーコンは、やさしい燻製の香りと噛むほどに出てくるタコの旨み。豚のベーコンと違い、歯ごたえと弾力がある食感が面白かった。サワラの生ハム梅ソースは、酸味の使い方が上手。サワラの魚臭さを上手くマスキングしつつ、旨みが引き立っていた。鰹節に梅干しを合わせると旨みがエンハンスされるのと似た感じ。カラスミ2種は、熟成1年と2年の違い。1年のものはやわらかい食感で、甘さとカラスミ独特の魚卵の風味が口に広がり残る。2年のものはすこし歯ごたえのある食感で、より強いうま味に加え、酸味や苦味など複雑な風味。クローブやシナモン様の甘くて重たいスパイスのような香りが鼻に残る。白エビの大葉巻きは唐辛子でピリ辛の味に、大葉の爽やかな風味がおいしかった。前菜最後はイカスミのマドレーヌ。一口で食べてください、とのことでパクッとすると驚き。カカオが使われており口内で一瞬で溶けてなくなる!中にはオリーブピューレが入っていました。次はスープ。13種類のあらを使った出汁に、サフランなどのスパイスとトマト。まろやかさと程よい酸味に複雑な旨み。甘鯛キャビアは個人的に1番お気に入りでした。フランス産発酵バターのサブレに甘みと旨みの強い甘鯛とキャビアが乗っていた。サブレのバターの風味が後半に効いてきて、甘鯛の甘みと磯っぽい青い香り(おそらく海苔の風味)が持続するのが本当に美味しかった。続いて、毛蟹のコンテ。オリーブオイルヒタヒタのバケットに、毛蟹のムースとウニ。上には14ヶ月コンテチーズがたっぷり削られていた。ウニとチーズの臭みと苦味が互いの美味しさを引き出しあっていた。玉ねぎから酸味が不均一に感じられ、全体のバランスをとっていた。次は、鯵のガレットロール。今にも器から落ちそうな盛り付け方で、手で食べて欲しいと訴えかけられているような気がしました。鯵は細かく切込みが入っており舌触りが良くなめらか。生姜や大葉の香りと炙った香りで鯵の魚臭さはほとんどなかった。蕎麦粉のガレットとキヌアの風味は全体に馴染んでいた。白ごま特有の酸味が良いアクセントにもなっていた。玉手箱を開けていただくと、燻製の香り。中には加熱されたツナマヨのような風味のサーモンペーストの上に生のいくら。ヨーグルトやサワークリームを感じさせる乳酸様の酸味が特徴的。メイン料理の前に自家製パンと胡麻バター。黒ごま風味のホイップバターに白ごまがかかっていた。フォカッチャ様の、水分と気泡が多くもちっとしたパンにたっぷりつけていただいた。皮剥ブルー、というお料理。ブルーのお皿に盛り付けられたのは、カワハギをブルーチーズと肝で和えたもの。底の方には、ローストアーモンドやキヌア、旨みが凝縮されたヒラタケ系のキノコ。上には生マッシュルームと菊の花、コリアンダー(パクチー)がのっていた。複雑な風味を感じたけれど、何故か一体感がある。カワハギは肝醤油で食べるのが一般的なため、それを真似したのかと感じた。帆立黒トリュフに燻製じゃがいものエスプーマ。帆立はやや焼きが入っているが中はぷりっとしており生に近い。赤いまぐろ節、白いはも節がかかっており、黒トリュフが削ってある。上品でまろやかな風味の中で、帆立のえぐみや酸味のある旨みと黒トリュフの香りが引き立っていた。メインは真鯛。皮はパリパリになる(焦げる寸前)まで焼いてあるが、身はレアに近くやわらかくジューシー。ソースは3種類。赤ワイン、いりこだし、昆布のソース。オリーブオイルに山椒を合わせたソース。芋のようにほっくりした京人参ピュレのソース。苦味があるなばなとつぼみなには、尖りのある塩。真鯛は脂が乗っており、ソースを全てつけて食べると味が完成します。食後の飲み物は台湾茶を注文。華やかで甘いフローラルの香りのお茶。デザートは3種類。まずは、ヨーグルトスープにりんごのピュレ、お米のパフをトッピングしたもの。ヨーグルトは粘度がゆるく泡立っていたため、シュワっとキレのある爽やかな風味。オシャレだが、何か懐かしく馴染みのある風味。続いて昆布チョコレートケーキ。料理の出汁に使った昆布を乾燥させて使っているそうです。SDGsですね。昆布のシャーベット、昆布のチョコレートケーキに、乾燥昆布が刺さっている昆布づくし。クリームチーズムースのまろやかなコクと酸味で全体をまとめて、くるみのクランブルでアクセント。甘味、苦味、うま味に、柚ジャムの酸味が入ってバランスが良い。昆布により若干の塩味もあった。ほうじ茶のシュークリームは香ばしく落ち着く味。ラズベリーパウダーでさっぱりと食べられる。ラストは、日本酒の酒粕と白味噌にお米のパフが入った小菓子。酒粕と白味噌の発酵臭に、練乳に近い甘いクリームの香りと味噌の香ばしい香り。生キャラメルのような風味と舌触りで〆ました。
充実した時間を過ごしました。ありがとうございました。