4回
2022/08 訪問
季節を愉しむ一品ひと品。お客とのコミュニケーションを大切に考えているお店。
休日の昼に友人と伺いました。場所は、三田駅、田町駅と白金高輪駅との中間あたり。三田駅、田町駅からは慶應義塾三田キャンパスを目標に向かいます。そのまま桜田通りを道なりに進み、左にカーブして最初の信号を右に折れた右手。建物の地下部分に店舗があり、路面には小さなサインがあるのみです。
開店時刻は12時です。階段を下りていくと打ち水されたドライエリア。重たい鉄扉を引いて入店します。今日も、左手のL字カウンターに着きます。
接客は、修行中の厨房スタッフを中心に行われます。ある程度経験を積んだスタッフと経験の浅いスタッフ、そして大将。ホール専門スタッフはいないように見受けられます(少なくともカウンター席には)。そして、大将を中心に実に連携良く、かつお客との会話を大切にしてコースを進めて行きます。基本的に常連さん中心になりますから肩苦しさはありません。料理人と言えども、コミュニケーションが大事だと言う大将の考え方が伝わります。一方、このカウンターは、お客同士の間隔も近くなるため、その日の偶然性が満足度に影響を与える可能性も否めません。今日は、その意味で外れ。悪気はないのでしょうが、周りを意識してスタッフとの会話を楽しんでもらいたい。
冷たい布おしぼりが出され、飲み物を聞かれます。まずグラスシャンパンをいただきます。そして料理がほぼ一斉に開始されます。以降は、お客ごとの進み具合に拠り、提供の順番が異なってきます。このような心遣いが素晴らしい。
今日の内容は以下の通り(名称は料理内容をもとに記しています)。
・加賀産バイ貝と焼きナス白和え
バイ貝の旨みと焼きナスの焦げた香りが絶妙。
・お椀(鮎真丈)
真丈と言っても、鮎は形が残っています。何より、檜のお椀が素晴らしい。
・お造り(メイチダイ、剣先イカ、甘エビ)
醤油、ポン酢、塩が用意されています。花きゅうりと海苔が付いています。
・アワビとウニ、稲庭うどん肝和え
今日の白眉はこちら。
・うなぎ
皮目をパリっと強めに焼いて。大椎茸(天恵菇)が添えられて。
・佐賀牛
冬瓜だったか?汁の張った上に絶妙の火入れ。溶けていきます。
・食事(土鍋ご飯、赤出汁)
鱧、甘長唐辛子、梅干し。たっぷりの甘長唐辛子が素晴らしい役目を。
赤出汁は、粟麩揚げ。これ美味しい。
・デザート
シャインマスカットに、マスカルポーネチーズとヨーグルトのソース。旬の走りを堪能しました。
料理だけでなく、すべてに目配りができている名店です。
お勘定は2名で5万円弱。
ご馳走さまでした。
2022/08/24 更新
2021/10 訪問
若手厨房スタッフにサービス(接客)の機会を与える姿勢に好感を持ちます。旬の食材やベストな食材を、奇を衒うことなく新鮮に仕上げています。
休日の昼に伺いました。場所は、三田駅、田町駅と白金高輪駅との中間あたり。三田駅、田町駅からは慶應義塾三田キャンパスを目標に向かいます。そのまま桜田通りを道なりに進み、左にカーブして最初の信号を右に折れた右手。建物の地下部分に店舗があり、路面には小さなサインがあるのみです。
開店時刻は12時です。階段を下りていくと打ち水されたドライエリア。重たい鉄扉を引いて入店します。今日は、左手のL字カウンターに着席です。
接客は、修行中の厨房スタッフを中心に行われます。ある程度経験を積んだスタッフと経験の浅いスタッフ、そして大将。ホール専門スタッフはいないように見受けられます。そして、大将を中心に実に連携良く、かつお客との会話を大切にしてコースを進めて行きます。基本的に常連さん中心になりますから肩苦しさはありません。料理人と言えども、コミュニケーションが大事だと言う大将の考え方が伝わります。一方、このカウンターは、お客同士の間隔も近くなるため、その日の偶然性が満足度に影響を与える可能性も否めません。
席に着きおしぼりが出され、飲み物を聞かれます。まずグラスシャンパンをいただきます。そして料理がほぼ一斉に開始されます。以降は、お客ごとの進み具合に拠り、提供の順番が異なってきます。このような心遣いが素晴らしい。
先付は、カマスの炙り、春菊、イクラを素材にしています。出汁が張ってあるのと、カマスの皮目に塩が振ってあります。肉厚のカマスで旨い。ボリュームがある一品です。酒を燗酒に変えます。スタッフは、熱燗と厨房に通していました。甘みがあり旨い酒でしたね。
お椀は、毛ガニ?の真丈とマツタケ。真丈の豪快さ、マツタケの香り、そして塩みが良い塩梅です。
向付は、アオリイカと真鯛。大将がカウンターで切っていきます。素材をベストな時期に提供する考えが伝わります。アオリイカのねっとりした食感、真鯛の旨み。薬味は、生海苔とわさび。ポン酢、醤油、塩が用意されています。
ここで凌ぎです。鰻と栗おこわの朴葉蒸し。鰻がホロっとしています。タレがしつこくなく酒を邪魔しません。栗おこわは適量で。このあたりで、冷やした日本酒に変えたかと思います。磯自慢、次に田酒を。
焼物は鰆、むかごとほうれん草のゴマ和え添え。鰆は鰤のような脂の載り方。魚の味を意識させる程度の味付けになります。
強肴は天恵菇(テンケイコ)の天ぷら、炒り銀杏、白味噌ソース。天恵菇は産地の一つ長岡市のお店で1ヶ月程前に食べたばかりですが、今日の素材は圧倒的に肉厚で旨みがあり美味しかった。
蒸し物として、佐賀牛と蓮根饅頭。牛肉は脂があるがしつこさはない。蓮根饅頭は素材の旨さがある。
そして、ご飯。土鍋で炊いた稚鮎ご飯。稚鮎の苦味がご飯に滲みて何とも言えない。香の物は大根など上品に。味噌汁は大なめこを具に。
甘味は、旬のイチジクプディング。
一品にボリュームがありお腹いっぱいになります。素材の質、料理を総合的に考えると割安に感じられますね。他には、ライティングの妙を感じます。カウンターの料理をしっかりと照らしています。これ大事ですよね。
また、機会をいただき伺いたい。
2021/10/15 更新
2020/03 訪問
若い職人さんが生き生きと働く活気のある和食のお店。このようなスタイルは共感できます。
常連さんとご一緒に伺う機会を得ました。
昨年の市場の移転を機にランチは土日のみ、コースも15,000円一本にしたと聞いていました。
お店は簡素な造り。若い職人さんがホールも兼ねて、古いタイプの分業制の和食店ではありません。お弟子さんを若いうちに独立させるようなご指導のようで、その方向性を肌で感じることができます。
その分、食材や器にしっかりとコストを掛けている印象を受けました。
とても良いことです。
お料理ですが、余計な装飾を排除して、食材と技術で勝負する正攻法と感じました。
蛸とうるいの梅肉和え。
蛸が柔らかく厚みもあり、期待感が膨らみました。
ホタテのしんじょう。お椀です。お汁がたいへん美味しい。しんじょうは、中に炊いた味の付いたホタテが。
佐渡のメジマグロ。シンプルに切り身のみ。一緒にいただく生海苔がポイント。相模湾のメジマグロと違い、旨味というよりさっぱりとしていますので。これは、店主が目の前で切って盛り付けます。
筍の牛肉巻き。木の芽を添えて。
蛤と素麺とを合わせた料理。
大振りの蛤と独特の食感の素麺とのバランスが素晴らしい。くちこが添えられていたのは、この料理だったか。印象的な味でした。
たらの芽とホタルイカ天ぷら。
塩でいただきます。
ホタルイカが絶品。口の中で弾けるとワタの複雑な味が充満します。
蒸し物は、うなぎと蕪まん。
うなぎは皮目をしっかり焼いて、脂もしっかりと。
ご飯は鰆と筍。
鰆にしっかり味が付いています。
えぐみの少ない筍と良いバランス。
赤だしがとても美味しかった。
甘味はイチゴ。
アルコールは、グラスシャンパンと日本酒を少し。合わせていただいたお酒は新政のNo.6。樽香を少し感じますが料理を邪魔しません。
お支払は二人で44,280円。消費税とサービス料がそれぞれ10%です。
たいへん満足でした。
2020/03/14 更新
休日の昼に友人と伺いました。場所は、白金高輪駅2番出口を出て、国道1号を三田方面に進みます。慶應義塾正門にカーブする手前の信号のある交差点を左に折れた右手地下1階。
サインは控えめに、打ち水されたドライエリアが印象的。
12時開店で、ほぼ一斉スタートになります。
和食型押しでオリジナルの額を正面に見るカウンター席に案内され、飲み物はグラスシャンパンを。
今日の昼会席の内容は以下のとおり(料理名は正式ではない)。
・山芋豆腐と芝海老昆布締め
昆布締めで水分が抜け、旨味が凝縮された芝海老は美味い
・鮎真丈
塩焼きだけではない鮎の魅力を堪能
・マハタ(黄ニラ添え)、醤油と自家製ポン酢
大将自らが切ります。すべての部位を味わってほしいと言う心意気が良い
・アワビとウニうどん
言葉がありません
・うなぎとトロなす
皮目がパリパリパリっと。それくらい香ばしい仕上がり。これは初めての食感です。トロなすは千葉県産だとか。
・佐賀牛と鷹峯唐辛子
鷹峯は洛北エリアの地名。輪切りにしてあり爽やか。
・鱸と鳴門産海苔の土鍋ご飯
香り高い仕上がり
・桃ソースとミルクプリン(シャインマスカット添え)
これだけは好みと違った。すべてに同様の甘さを感じてしつこかったかな。
羽根屋と黒龍を片口でいただき、お勘定は2名で45,000円程。
若いお弟子さんたちがキビキビ動き、相変わらず見ていて楽しい。
旬をいただける日本料理の素晴らしさを実感できます。
ご馳走さまでした。