3回
2022/01 訪問
確かな技で昇華させた季節のジビエと厳選ワインで囲炉裏を囲む至福のひととき‼︎
冬の柳家さん遠征にお誘いいただき、滅多に行けないところなので二つ返事でご一緒させていただきました。始まりの時間に合わせて瑞浪駅の送迎があるので、かなり山奥にありますが現地へは楽に行けます。今回はかなり大きなバスでびっくり‼︎ 聞けば老朽化のため新しくなったとのこと、素晴らしいです。
靴を脱いで上がり、入口付近から少し奥の部屋に案内されました。すでに囲炉裏はスタンバイ状態になっています。こちらはワインを合わせていくスタイルが多く、今回も幹事さん設定のこの方式で進めることになっていました。
シャンパンでスタート、塩大根とこちらの名物である蜂の子のお通しです。囲炉裏ではすでに鴨葱が焼き始められています。じっくりと遠赤外線で香ばしく焼かれ、ネギの焦げ目がもう美味しそう‼︎ ワインは赤に変更、鴨のモモの部分と思われる肉はなんとも言えない濃厚な味、そこにネギの甘みと焦げの香ばしさで1本めから悶絶でした。次は鹿のヒレ、鴨ロース、鹿のサーロインと続きます。ワインも合わせて赤、白と開けられていきます。鹿肉はクセがなく丁寧に下処理されているのがわかり、これならTボーンステーキなんかも美味しいと思う‼︎ 焼きもののトリは鴨の半身焼きです。もうすごいボリューム感ですでにお腹はパンパンなのですが、すんなり食べられてしまうくらい旨味がのった鴨でした。
焼き物の後は鴨鍋がセットされ、自然薯ご飯と共に〆の食事となります。鴨鍋はきのこがたっぷりで、鴨ときのこがしっかり合わさった出汁は薬味の青葱もアクセントとなり、最高のバランスでした。
お任せのワインの本数は1人1本くらい空けてしまい、これで1名22000円、ワインのレベルを考えるとかなりお得感のある内容だと思いました。季節ごとに山河の恵みを楽しめる柳家さん、また来れる日が来ることを信じて店を後にしました。
2022/05/04 更新
2019/10 訪問
まさに素材との一期一会、奥深い里で過ごした山の幸と絶妙な仕込みと焼きの技に酔いしれた至福の一夜‼︎
今回の遠征の目的地は、フランスの「ラ・リスト」で世界レストランランキングにてトップ10位ランクに格付けされ、郷土料理賞も受賞した岐阜県瑞浪の名店です。一見さんお断りとのことで、今回ご縁あってリピーターの方に連れて行っていただいきました。
お店は駅から送迎バスに乗って30分、最後はかなりの急坂を上がったところにある古民家です。もちろん周囲は真っ暗ですが、ここだけ優しい灯が灯っていて雰囲気満点、期待度Maxです!!
囲炉裏のある部屋に通されると、すでに串打ちされた丸々とした鮎が炭火を囲んで並べられ火が入れられています。見ただけで全員のテンションが数レベル上がったのがわかるくらいで、これが出てくる時が楽しみ!!
部屋には担当の職人が付き、焼きやドリンクの手配などを全て取り仕切っていただけるのです。お客さんの前で焼けるようになるまで修行の日々なのだそうです。
最初はお勧めのサンセールとし、これからの素晴らしいひと時に乾杯!!
前菜は2品、盛り合わせと蜂の子です。盛り合わせはジャンボなめこをポン酢で和えたもの、ほうれん草のナムル、甘長南蛮の煮物で、新鮮な野菜をここでアピールです。蜂の子はクロスズメバチの蜂の子と蜂を醤油と生養と一味唐辛子で佃煮のように炊いたもので岐阜の郷土料理だそうです。和テイストのスバイシーな蜂の子をチビチビいただきながらだと日本酒が危険なくらい進みそう!!
次のお造りはホウライマスという虹崎の突然変異が定着した無班のマスです。養殖ものだそうですが、きれいなサーモンピンクのねっとりした舌触りとキメの細かい身は脂が甘く上質なマスの刺身でした。
いよいよ目の前の囲炉裏でずっと炙られていた落ち鮎の登場です!! ドリンクはもちろん日本酒にチェンジ、卵をたっぶり抱えた雌の鮎は飾り塩のヒレもつまみになります。タデ酢をつけてほのかな苦味と共に滋味あふれる川の幸を堪能しました。
川の後は山の幸とばかり、次はキノコの天ぷらの盛り合わせです。キノコはヤナギ松茸、黒飽茸、たもぎ茸、紅ヒラタケ、松茸、白まいたけで、抹茶塩をつけてこの順番に食べるとだんだんキノコの味が濃くなるのです。まさに秋の恵の味です。
天ぷらを頂いている間に炙られていた小ぶりな雄の鮎の開きは、身の味が濃く雌とは異なる奥深い鮎の身の香りと味が楽しめます。雌雄の鮎の食べ比べというなかなかできない体験をさせていただきました。
ここで再び天ぷらです。今度は味女ドジョウ、イノシシの肉団子の獅子ポール、インカのめざめという凝縮した旨味のオンバレードで、ピリッとした刺激の七味塩でいただきました。この獅子ボール、肉の味の旨味と香りにぴっくり!!今まで食べてきた獅子肉とは別物です!!
そして松茸!!秘伝のタレで香ばしく焼き上げられた丸ごと1本の松茸は、縦に割くとしっとりした白い地からもうなんとも言えない香りが立ち昇り、噛めばジュワッと広がるエキスが堪りません!!
ここから怒涛の焼き物の始まりです。最初は熊本産のいのしし、串打ちされた厚くスライスされたバラ肉は見るからにねっとりした脂身と滑らかなピンク色の赤身が入り混じった美しい肉です。これを秘伝のタレに何度も浸しながらじっくりと炙っていき、カットして供されます。もう香ばしさだけでお酒が飲めてしまうくらい麗しい香りですが、特筆すべきはなんといっても肉の柔らかさととろける脂の味の良さに尽きます!! 獅子ボールと同じく、今まで食べやすいと思っていた獅子肉とは別次元でした。
次はエゾシカのサーロイン、同じように赤身肉をタレに浸しながら炙ったものはまさにステーキと言ってもよい仕上がりで、これこそ天からの恵みを最大限に引き出した一品でしょう‼︎
最後は天然鰻、かば焼きになった鰻は小ぶりなれど脂がのっていて、パリッと焼かれたものを口に含むと中はホロホロとほどけるようなふっくらした身がすばらしく、タレを少しかけた白飯といただけばそれは賛沢なウナギ井、もう言葉も出ません。
〆は秋の味覚の王道のきのこ雑炊でした。土鍋で運ばれた雑炊は出汁とキノコ類と三つ葉の香りがたち、この部屋だけ秋一色に染まりました。
秋はキノコを中心にした内容ですが、夏は鮎や鰻、秋冬はジビエと、その季節で最高の材料を高度な仕込みをもって仕上げる炭火焼は、ミニマルな調理法で素材の持つそれぞれの味を極限まで引き出す最も賛沢な食べ方を示しているのかもしれません。素晴らしいのは料理だけではありません。焼きの技を披露しながら場を仕切る部屋付きの職人を配した接客も大変楽しいものでした。食は素材との一期一会、食は芸術、食はエンタテイメント、食は生きる喜び、そんな言葉をすべて体験できた素晴らしい夜でした。
2019/10/23 更新
おっと、書いていたのにアップ忘れσ(^_^;)ということで遅ればせながらのレビューです。
春夏秋冬のうち初夏から夏にかけての鮎の季節、ご縁あってお誘いいただき参加させていただきました。瑞浪駅から送迎バスがあるので、時間厳守で集まります。今回もバスは満席になっていて、全国津々浦々から集まる人気店というのがわかります。
すでにカンカンに炭が起きた部屋に案内され、本日の鮎とのご対面、まだ仕上がっていないため、焼きあがるまで前菜から開始です。枝豆、あゆ甘露煮、ピーマンの煮物の盛り合わせ、それに名物の蜂の子の甘辛煮で、シャンパンが進みます‼︎
鮎の一品目は先程から囲炉裏に刺さっている天然鮎塩焼き、長良川郡上の鮎で、皿に2尾ずつ泳いでいるような盛り付けで供されました。この季節の鮎は友釣りなので元気が良い鮎とのこと、頭からいただきますが、歯が固くて鋭いので苦手な方は残してくださいとのインストラクションをいただきました。身はピチピチに詰まっていて、確かに武闘派の鮎ですね(^ ^) 鮎の二品目は一夜干し、鮎の身の甘味が凝縮されていて、これは美味しい‼︎
ここで鹿のハツが出ます。ハツというとサクッとした歯触りを想像しますが、いやぁ甘くて柔らかい‼︎ そして桜鱒のお刺身、鮎の天麩羅が続きます。刺身は桜鱒の濃いめのサーモンピンクが薔薇の花のようで美しい一品、野菜の天ぷらも添えられた鮎の天麩羅は香り、風味、微かな苦味とも文句なしのバランスの良さが光ります。
ここから再び肉に戻り、イノシシロース、鹿のロースです。驚いたのはイノシシ、全く臭みもなくとても柔らかい‼︎これは処理が完璧に行われているのですね。薬味のマスタードがとてもよく合っていました。
最後は長良川の天然鰻の蒲焼に鮎の炊き込みご飯と漬物が食事となります。鮎の香りが移った炊き込みご飯は山河の幸が詰まった宝箱のようです。水菓子は大粒のシャインマスカット、今回も素晴らしいコースでした。
機会をいただけたことに感謝すると共に、自然の恵みを堪能することは命をいただくことなのだとつくづく思い知らされます。天然のものが少なくなっていく将来を憂いつつ、またここに来れることを願って店を後にしました。