3回
2021/12 訪問
【フレンチ:牡蠣スープがベースに】
「和食みたい」と思ってしまいました。
何が?
最初の牡蠣スープが次のお皿の味のベースとして口の中に残っていて、そのベースと次のお料理そのものの味が合わさって重奏的な味わいを創りあげているのです。あたかも、お椀の出汁の味わいが次のお料理の味のベースになっている和食のような感覚になっていました。
次の仔牛のタルタル、さらには、その次のクラムチャウダーまでを私はそう感じて、牡蠣の旨味がベースになって各々の旨味と協調して素敵でした。
どこまで意図的な構成なんでしょうか。
和食好きの私の1人勝手な感覚かな。
でもまあ、ただの錯覚でも楽しく美味しければそれで良いです(笑)。
☆Amuse 牡蠣
坂越の牡蠣。塩も加えず牡蠣のみコンソメ。
先ず海の風味がく~んと来て、大好きな牡蠣の旨みが口の中いっぱいに広がります。余韻も凄い。
この旨味余韻が次の次のお皿まで残って、とても素敵な味わいを創り出します。
☆Tartar 仔牛 コンテ
ヒレ肉のタルタル。贅沢。
ハーブを加えて旨味だけを押し出しています。
ここに牡蠣ベースが加わって典型的フレンチの海と山とのマリアージュ。さらに、コンテチーズのジュレがとても食べやすい丸みのある甘さと微かなチーズ臭で官能的にタルタルに絡んで来ます。
うぐうぐ、じゅるじゅる的な美味しさ。
時折、カリっと齧るクルトンも楽しい。
☆Clam Chowder パプリカ バジル
クラム(北寄貝、帆立貝、蛤)チャウダーです。
真ん中の蛤が肉厚で大きいこと!
貝出汁のクリームにまだ余韻が残っている牡蠣旨味が加わって、重くないけど旨味たっぷりのクリームになっています。クリームを縁取るのが、パプリカ、バジル、ラカンロさんが好きなカレーのオイル。目に麗しく、三種類のオイルで味の変化も楽しめて、最高のクラムチャウダーでした。
☆Fritto 赤座海老 サフラン
ピカソの絵か、太極鍋か、太陽の塔の顔か、はたまた、ウルトラマンの顔か!?
見た瞬間、楽しくなりました。
ほうれん草生地の緑色のフリットは黄色のサフランソースの上に。
烏賊墨生地の真っ黒フリットは海老色のビスクソースの上に。
赤座海老は今年は少ないと聞いていましたが、表面はねっとり、噛み締めるとプッチン。
☆Risotto 根セロリ ズワイガニ
泡が泡が消えていく~。
「早く早く」の儚い蟹の泡。あわわ。。。
味はじゅわんとくる蟹蟹しさと白子のクリーミーさが旨め~っす。
固めの米とぽりぽり麦としゃきしゃきセロリとふにゅんな白子とじゅわりな蟹肉の食感の楽しさ満載のリゾット。
☆Poisson ヘーゼルナッツ 黒オリーブ
黒オリーブでヒラメの皮が表現されています。ナチュラルに皮かと思う見た目と質感。
ヒラメの火入れは少し入れ過ぎだと感しました。私的にはもう少ししっとりくらいが好みです。
周りの野菜たちが可愛いらしい。野菜たちの合間に白く配置されたフレッシュのヒラメのエンガワがニンニク旨味のヘーゼルナッツソースで食べると堪らないです。
☆Sandwich 和牛フィル フォワグラ
なんと、メインがサンドイッチ‼️
焼肉屋か!?楽しいな~。
赤ビーツパンに分厚いヒレカツ。
トマト?サワークリーム?がパン?生地?に塗ってあるのか酸味があってボルシチのイメージだそう。
焼肉屋ではないです。
浅はかな私、ごめんなさい(笑)。
烏賊墨パンにフォワグラ、トリュフ入りのメローなメンチカツ。
そして牛ヒレの端肉を自家製コンビーフにしてハーブと一緒にいただく春巻。そのままでも美味しいけれど、アンチョビソースをつけても塩味が効いて美味しい。これ、千本くらい食べたい。
春の「花の春巻」へのプレリュードでしょうか。
☆Fraise ミント
緑色の上に真っ赤なイチゴのグラニテが鮮やかに目を惹きます。
ミントクリームの中にもフレッシュのイチゴが隠れているのですが、この時期のイチゴなので甘味よりも酸味勝ちでミントの爽快感とマッチ。
☆Fran 栗 珈琲
温かい栗のフランに珈琲の泡。
ほろ苦い。
珈琲と一緒の小菓子は、フィナンシェ、ガナッシュ、ゼリーチョコトリュフ。
春の「花の春巻」を食べたくて4月に予約していたのですが、緊急事態宣言発令でキャンセルしたまま12月になってしまい久しぶりでした。
やっぱりラカンロさんのお料理は楽しいなぁ。
2022/01/03 更新
2020/10 訪問
【フレンチ:もう一杯ください、フォアグラのフラン。】
美味しかった。
食べていて本当に楽しいレストランのひとつ。
初回の訪問でその予感はありましたが、今回2回目で、完全に通いたいレストランになりました。
9月からの新店舗に初訪問。場所は大阪天満宮の近くに変わりないのですが、入口からダイニングカウンターまでのアプローチが立体的で食べる前からワクワク感満載になってしまいます。現れたダイニングも以前の大人のバー感覚は残したままですが、前店舗よりも空間が贅沢。6人席のカウンター。入口に近い席からだとキッチンもよく見えそうです。
設えのセンスの良さと雰囲気だけで、既に、いいねボタン連発状態。
BGMの選曲とボリュームがちょっと若いけど、気にはならない程度。時々、好きな曲も流れて、ノリノリ。
セッティングされているメニューを見ると、またもや米粉。おっ、酸辣湯、お前もか!?
料金は少しアップして18,000円。
☆Amuse~蟹
毛蟹を温と冷で。ショーフロワの分解?!
カカオバターで包んだ冷製とスパイスを効かせた生地のフリットの温製。
温度差による蟹の旨味の違い。冷製は蟹そのものの旨味が直撃。温製はスパイスと温度に包まれているので蟹の旨味もほんわかと伝わってきます。
このフィンガーアミューズで、ラカンロの世界へ突入しました!
☆Pistou~鮑 米粉
やっとわかりました。
こちらのビーフンはパスタなんですね。
Pistouってなんだとググると、ジェノベーゼ?なるほど、緑色の肝ソースがバジルみたい。パスタよりもシナっている分、ソースがよく絡みます。
鮑は柔らかく噛むほどに旨味に溢れる。
なんと言っても、散らしてある花穂紫蘇の酸味が素晴らしくて、肝ソースや鮑の旨味に絶妙のアクセントを加えています。
食べ終わってからも、酸味の混じる旨味が口の中に甦えってきて口の中が唾液で溢れてしまう。
☆Cappucinno~茸 銀杏
最近食べた茸料理では最高でした。
とこぶし?貝系の出汁のカプチーノが和食っぽくて私にはとても美味しく感じました。
クロカワ?ヌメリイグチ?聞いたこともない茸も、微かな大人の苦味だったり、名前のとおりぬめりがあったりで、あっさりと出汁に合います。
銀杏、和栗、鶏のポンジリと砂ズリのコンフィまで入っていて、食感の楽しさもあります。
☆Pomme de terre~キャビア イクラ
甘鯛の蒸し焼きは生の切り身かと思うようなしっとり感です。見た目も食感も。じゃがいもにクリームを加えたソースも、濃すぎず軽く柔らかい。
付け合わせはセップ茸にトリュフ。
小さな器に仲良く並んでいるじゃがいも3兄弟は
ピューレにイクラ、千切りにキャビア、ポムフリット。ひとつひとつ単独でいただいてもよし、甘鯛のソースとして全部混ぜてもよし。楽しいぞ♪
甘鯛がメインなのか?
じゃがいもがメインなのか?
メニュー名から見ると、じゃがいもかな?
じゃがいもだな!
☆Flan~フォアグラ 酸辣湯
恥ずかしいくらいに美味しい!
なにが恥ずかしいって、最初のお皿からお料理が来る度に「これ、美味しいです」「あ、これも美味しい」「もとい。これが、さらに、美味しい」と言い続けてしまっていたのですが、この酸辣湯フランを一口いただいたとたんに「旨んまっ!」とお隣に聞こえるくらいに声が溢れてしまったのでした。
「あと2,3杯食べたいです」とその場でソムリエの方に、帰りにシェフに力強くお伝えしました。
フォアグラフランが軽くて、でもフォアグラの味がきちんと感じられて絶妙。
酸辣湯にはフカヒレも浮かんで、酸っぱ辣味と赤いパプリカオイルが食欲を駆り立てるのです。
食べたい!食べたい!何杯でも食べたい!
こんなフォアグラだったら、10個くらい食べても大丈夫な胃です。私。
☆Fondue~貝 蕪
この季節のスペシャリテだそうで、さすがに、またこの季節に来たいなあと思わせる逸品。
グツグツ、グツグツ言ってます。もうそれだけで美味しそう。
チーズ風味の貝出汁フォンデュ。チーズの薄さがポイント。出汁に溶けたチーズの上澄みだけだそうなので薄い。けれど風味の残ったチーズがちゃんと存在してるし、貝出汁をぎゅんと引き立てている。
つぶ貝、ホタテ貝、白子、つるむらさき、蕪がフォンデュの中で、グツグツ、グツグツ。
たっぷりの雲丹がチーズ風味貝出汁と合います。
☆Pigeon~チョリソー
ブレス産の鳩の胸肉。
生肉を食べているような艶かしさと唇の感覚。
何故かこちらのお料理にはまたもや官能的な匂いを感じてしまいます。自分がスケベなだけか!?
鳩の股肉とチョリソーに山芋とリンゴの細角を合わせたソースが、担々麺の坦々みたいな辛味旨味。
酸辣といい、坦々といい、辛味が旨いお料理は私的には久しぶり。
☆Blancmange~珈琲 ココナッツ
珈琲ブランマンジェにココナッツアイス。
☆Mont Blanc~栗
パリパリメレンゲの上に栗。
☆珈琲 小菓子
中世の燭台みたいな金属製の小菓子台。
あっ、忘れてました。自家製パン、熱々で火傷しそうでしたが、とても美味しいです。
全て好きだったので、新装開店お祝いも込めて、連発男の名に恥じないように5点にします。
2020/10/25 更新
毎回思います。
スパイスの使い方が
和のようでもあり、
中華のようでもあり、
南アジアンのようでもあり、
それにもかかわらず、フレンチとしてしっかり出来上がっているお料理たち。
特に、毎回コースの中のどれか一皿に必ず感じられる「クミン」の使い方が好きです。クミンって、ついつい「カレー」になってしまいがちなスパイスですが、こちらのクミンはカレーではなく紛れもなく「クミン」という素敵なスパイスなんです。
シェフが好きなんでしょうね。
私も好きです。
☆Amuse 白アスパラガス
グラスに三層。
ホワイトアスパラガスのムース。
海老のコンソメジュレ。
少し熱を入れたあかざ海老。
海老のコンソメが全体を支配しつつ、アスパラで抑えつつ、あかざ海老のぷりぷりがガツンと旨味。
☆Tar tar 柚子 キャビア
春のエディブルフラワーシリーズでしょうか!
キャビアの土地に赤紫の可愛らしい花が咲いています。横から見ると大根から鮮やかな赤、黄色、紺色の花びら。ホタテなど貝のタルタルがぎっしり詰まっています。ラカンロさんお得意のクミンの風味も。お皿に敷いた柚子のソースは貝にとても相性がよいでしょう!
☆Gin Tonic 貝 木の芽
貝からのお皿にお花畑。
ほっき貝、ミル貝、赤貝、たいらぎ、蛤にうるい、とこごみ。貝出汁にジン、ライムを合わせたジュレがかけてあります。
名前のとおりジントニックイメージの大人ドライなお酒の味でした。お子ちゃまな私にはドライ過ぎて貝旨味を上手く感じられませんでした。
☆Legumes 薫香 ホタルイカ
写真で見ると手前から黒、オレンジ、緑、赤紫な4色のプレートにお料理がのっているみたいです。
実は4種類のソース。
黒=じゃがいもとイカ墨
オレンジ=人参とオレンジとクミン
緑=小松菜とバジル
赤紫=薫製ビーツ
ソースプレートの上には、数種類の野菜、牛ハム、ホタルイカなどがたくさん!!
一つ一つのソースでもよし、ぐちゃぐちゃにソースを混ぜ合わせてもよし。
ソースの掛け合わせを変えて、もう一皿食べたいくらい。好きです。
☆Flan 酸辣湯 フォワグラ
好きな奴(笑)。
フォワグラフランの上に酸辣湯風の餡をかけたもの。以前にもこちらでいただいて、何杯でも食べたいと書いた記憶あり。以前よりも辣の辛味がマイルドに感じられるのは、フカヒレが酸辣湯を軽やかに纏っているのとアオリイカの甘味とベーコンの塩旨味が効いているからかなあと思いました。
ふとした瞬間にフォワグラの風味もふわっと感じられて、ふふふ、です。
いやもう本当に今回も何杯でも食べたい‼️
☆Poisson スパイス
美味しかったあ~。
火入れ具合が素晴らしくて、水分を残してしっとりとふんわりとした真鯛の身肉を口に入れると幸せがほわあ~んと広がります。
さらに、桜海老とナッツとスパイスのパウダーが皮目部分に散りばめてあるのですが、山椒のツンとしたアクセントが鯛の旨味を抜群に引き立てます。
グリーンアスパラガスも添えて。
☆Boeuf 蕗の薹
炭焼サーロインが蕗の薹の苦味で春~ぅ!!
全然、肉の旨味を邪魔してません。
ロングマカロニをベシャメルでグラタン風にした付け合わせが、単独でも美味しいけれど、蕗の薹の苦味を和らげてくれるお役目。
☆Granite オレンジ
甘い甘い。
☆Millefeuille 苺
これはこれは壊すのがもったいないくらいの造形です。儚い。でも儚くてもよいのです。食べるものはそもそも一瞬の儚さです。思い切り、ガシャッとフォークを入れました。
☆珈琲と小菓子
いつもの器にいつもの小菓子。
珈琲でゆるりといただきます。
レンガ造りの建物を背景にして中の島に少しだけ残っていた桜を対岸から眺めます。いいね。