22回
2022/06 訪問
【和食:久しぶりの岩牡蠣】
私にとって、今の旬は「かき」です。
「かっきー」の写真集が爆発的に売れてて、大好きな「賀喜(かき)」ちゃんが暫くトレンドになって幸せだなあ
と最近思っていたら、
今回の泉さんのメインは大好きな畔蛸の岩牡蠣。
「久しぶりぃ~」
「3年ぶりかな?会いたかったよ~」
「僕に会うために鳥羽の海で4年間もじっくりと旨味を育てていたんだね~」
「う~ん、"いわかっきー" じゃ~ん」
と、「~」を連発しながら、頭の中は勝手に
「大喜び "牡蠣&賀喜祭り"」
状態になっていました。
真面目なログに戻しますが、泉さんで食べる畔蛸の岩牡蠣が私の牡蠣人生の中では一番好きです。
こちらでは必ず4年ものをいただけますが、見た瞬間、にんまりしちゃう大きさと艶っぽさ。
今年は特に大きいんですよと、女将さん。
3年前の台風の影響で出荷数が少ないのでタイミングがよかったと、ご主人。
他のお店では見ない包丁の入れ方なので、ひと切れで牡蠣全体を食べてる感が味わえる満足感。
大好きなふくよかな海乳味が、
口に入れる瞬間にふわんと来て、
舌に乗せた瞬間にひやんと来て、
咬んだ瞬間にじゅわんと来て、
飲み込んだ後にもぎゅうんと残ります。
淡い合わせ酢が牡蠣そのものの美味しさをふくましするし、トマトの甘酢っぱさも調和佳きです。
「かき」ちゃん大好き!
(どっちの?どっちも!!)
ついでと言ってはなんですが、今回もうひとつ印象的だったのは、お造りとして出てきた「いさき」。旨味が半端なかったです。
焼きや煮物では食べたことが多々ありますが、お造りの印象はありませんでした。
いさきちゃん、こんなに旨い魚だったの?って、びっくりしました。皮目を炙ってあるのも、旨味のひと手間なんでしょうね。
いやぁ、まだまだ美味しいものがあります。
2022/06/26 更新
2022/03 訪問
【和食:さらに進化したいというお気持ちに幸せを感じる】
2月は完全に自粛したので、新しいお店を開拓できないままに定期的に通っている大好きなお店の予約が巡って来ます。
桃の節句を祝うかのようなとてもぽかぽかとした小春日和に泉さんの玄関先に降り注ぐ陽の光を眩しく見つめると、終わりの見えないどんよりとしたこの世界の空気感も忘れてしまいます。
京都で和食をいただくことは、長い長い伝統を守り続けたお料理から変わらない美意識や趣や文化や技術や味わいの幸福感を貰えることだと感じています。特に、泉さんからは。
だけれども、
伝統や静寂も、新しさや懐古も、挑戦や冒険も、深みも広がりも、実直も遊びも、シンプルも変化や複雑化も、あるタイミングでは右だし、
あるタイミングでは左だし、真ん中もありだし、上も下もありか、
と、とにかく幸福感を得られるのなら何でも欲しいと思う欲張りです。
今回、コースの途中で、開発中とおっしゃるメニューを試食させていただきました(もちろん写真はアップしません)。素材は全て和食でも使われるもの。でも、見た目はフレンチみたい。パターンAとパターンBの2種類をいただきました。
私ごときに有難いお話ですので、感想を言うのさえも烏滸がましいですが、
「両方一緒に食べたいです。食べ比べることで楽しさを味わえます」
と、食べた時に女将さんに、お見送り時に泉さんにおねだりしてしまいました。
パターンAはまさに伝統、静寂、シンプルな素材の味わいが真っ直ぐに深く響いてきます。
パターンBは調和でしょうか遊び心でしょうか、ひとつだけ加えたある素材によって中心素材の味は感じながらも違う味わいに劇的変化し、パターンAにも感じられた和のスパイスがより浮かび上がってきて複雑味が広がっていくのです。
こんな時期だからこそ、伝統の上に新しいメニューにも挑戦して、「もっと美味しく」の究極を目指して進化されようとしている泉さんの姿勢に
「また、幸せが増しちゃうじゃん!」
と嬉しくなってしまいました。
お料理毎の感想は写真でどうぞ。
2022/03/21 更新
2021/12 訪問
【和食:2021年最後のお献立は私の静かなヒットパレード】
2021年、全く収まらないウイルスのせいでどんよりとした気持ちの1年でしたが、泉さんで過ごす時間が精神安定剤。カウンター前でパフォーマンスもおしゃべりもない料亭スタイルなのでお店の人に気を遣うことも他のお客様に合わせることも必要なく心静かに自分に向き合い美味しいお料理に集中して、ただただ「旨いなあ」を噛み締められるので、毎回どんより感が浄化されます。
年の最後に穢れた心身のお祓いも兼ねて泉さんで過ごすことにしました。
そうしましたら、今年は大変だっただろうに前回お約束いただいた蟹はいただけるし、その他にもなんだか私の好きなお料理ばかりが出て来て「う~ん、すっきりくっきり、終わり良ければ全て良しっ」と訳のわからないことを口走りつつどんよりした1年をすっかり忘れてしまいました。
1人忘年会。
ぶぶ茶でほっこりして既にお祓われたモード。
☆先付
車海老、汲み上げ湯葉、雲丹、長芋短冊。
変わらない安定感の「酢」と湯葉に包み込まれて本来の美味しさを発揮する車海老、雲丹。
更に、私には長芋短冊が嬉しい。
☆替わり
これです。
大好き♥️❤️。
出汁だけで3日炊いた静御前という大根。繊維がなくなるほど出汁がしゅんでいます。
大根だからこそのほくっと崩れる食感と甘味。
残った出汁を飲む。その甘味とわずかな辛味が溶けこんだ極上の甘露。
毎日でも食べたい、飲みたい。
☆椀
伊勢海老真丈。前回もいただいたが、真丈からも中に忍んでいる伊勢海老のぷりぷり身肉からも溢れ出るジュが堪りません❗
徐々に海老の旨味が溶け込んでふくよかに変化していく清らかな吸い地。
自家製厚揚げの豆腐は絹のようななめらかさ。
☆お造り
・明石の鯛
・和歌山の紋甲烏賊
・大間の鮪
・舞鶴のぶり
ぶりの脂がノリノリ。
☆蒸し物
これも泉さんの定番で私も大好きな逸品。
近江牛の頬肉餡をたっぷりと含んだ蕪蒸し饅頭。
頬肉なので繊維に沿ってほろほろと崩れていきますが、流れてしまわぬように蕪蒸し饅頭が優しく包み込んで、口の中で渾然一体。
今の時季の銀杏は主張せず特出せず、蕪と牛の旨味を絶妙に引き出します。この銀杏の効きもあって、こちらの蕪蒸しの中でも今回は格別でした!
☆蟹
せこ蟹。11月と12月だけの幸せ。
整然と並べられた脚身を挟んで外子がみっしり。
うひょひょひょ。見ただけで口の中洪水状態。
脚身をひと片ふた片いただき外子をめりめりと噛み締めると、中から現れたのは、ほぐし身と内子の共演。饗宴。狂宴。
旨すぎる❗
内子ってなんでこんなに旨いんでしょう。ほぐし身と合わさると天国です。
忘年どころか昇天しました(笑)。
金額を変えることなく、これだけの蟹をご提供いただいたことに感謝します。
帰りに泉さんとお話しても、やはり2021年の蟹事情は大変だったみたいです。
☆八寸
①鶉の山椒醤油焼き
②醤油イクラ
③海鼠のみぞれ
④雲子
⑤菊菜とずいきの胡麻和え
⑥醤油牛蒡の湯葉巻き
⑦玉子カステラ
特に①が好き。醤油を纏う鶉に山椒が漂う。
⑤と⑥も好き。こういうお料理を仕事がしてあると言うのだと思います。
☆焼き物
この時季の脂ののった鰆に、しば漬おろしが一年に一度の逢瀬を楽しむのです。
そこに愛があります。女将さ~ん。
☆炊き合わせ
こちらの炊き合わせは大好きですが、合わせがこれまた私の大好きな海老芋と鴨丸ですとっ‼️
出汁との相乗効果で好きの百乗くらいです(笑)
海老芋のねっとりと出汁の絡み。
すっきりとしつつも鴨旨味はしっかりと残る鴨丸と出汁の絡み。
針柚子とほうれん草も彩りを添えて。
ううう。またも昇天。ち~~ん。
☆ご飯
黒米に自然薯。
好きよ好き好き♪
自然薯、自然薯♪
もう今回の献立はヒットパレードです!
いただきます。ぱくぱく。
毎回、ご飯のお供も最高だし。
☆水菓子
・苺:京のしずく
・蜜柑:愛媛のなんとか?
・梨:レクチェ(こみゅすも良いけどこれも好き)
毎回フルーツの美味しさには感心します。
お隣で違うコースの人への説明を聞いていると、例えば苺でもコースによって品種が違うのですが、違うコースの違う品種のものも美味しそう。
極上の甘露がジュるるです。
カラメルババロアもお忘れなく。
☆茶菓子
雪囲いの中に、お米の粒々感が満載の椿餅。
カウンターの椿一輪を愛でながらお薄と静かにいただきました。
帰りに蟹の話をきっかけにお話させていただいた泉さんも、いろんな素材が適正な値段で入りにくくなってきた現状を嘆くことなく、自らの脚で生産者さんに伺って美味しいものを探しますと力強くおっしゃってくださいました、
私もどんより感をぶっ飛ばしながら、2022年もまた心も身体も健康に食べまくるぞ、いや、美味しいものを食べることで健康に過ごすぞ!!
2022/01/10 更新
2021/11 訪問
【和食:凄い!追い松茸。】
お見送り時に泉さんとお話しすると、今年は松茸の仕入れにムラがあったそうです。
泉さんのお眼鏡に叶う松茸が入る日は入るけれど、入らない日はぱったりと止まってしまう。天気が良すぎて?丹波産は全くなかったみたい。
そんなこんなで今年はもう終わりかなと思っていたところに、和歌山で良い松茸が採れたと仕入れて下さった松茸を惜しみ無く提供していただきました。
土鍋の蓋を開いて松茸ご飯を見て「うわあぁ」
一瞬遅れて松茸の香りが嗅覚に届いて「うわあ」
別皿に盛られた松茸を追い松茸して「うわあ」
ご飯と一緒に炊かれた松茸と追い生松茸の食感と風味の二重奏。追い松茸がご飯の熱で徐々にふんわりと柔らかくなって追い香りを放ち始める。
もう、堪らない‼️
うっとり。
☆先付け
玄猪包(げんちょつつみ)。
旧暦10月の亥の日に新米の餅を食べて無病息災、子孫繁栄を祈った慣わしがあるそう。
中は餅に見立てた、からすみ大根です。
食感もねっとり。塩気もねっとり。
☆替わり
柿なます。
塩気の後の柿の甘味となますの酸甘味と。
当に「替わり」です。
☆お椀
伊勢海老真丈。その下にいつものお揚げさん。
このお揚げさん、大好き。
そして、毎回、ああ、ああ、と吐息しか出ない吸い地の旨味。清らかな真水のような味わいから、伊勢海老の旨味を吸って今日の吸い地に変化して、最後に柚子の酸甘味を醸す味わいへと。
極上の吸い地。
甘露に溺れる私。
☆お造里
明石鯛。
北海道本鮪。
淡路あこう。
和歌山紋甲いか。
あこうは塩も醤油も不要です。しっかりとしたこくがあり、素晴らしい旨味の強さと余韻。
鮪の脂も甘い。
相変わらずのいかのねっとり旨味。
鯛は味わうためには少し塩が必要でした。
☆穴子のつと蒸し
うわあ、鮮やか~。
真っ赤に染まったドウダンツツジの葉。
紅葉狩りに行かなくてもよいくらい。綺麗。
ツツジの向こうに隠れていたつとの端を両手で持って、お皿の上でひっくり返して、きゅっ、と中に押すと穴子の飯蒸しがはらりとお皿に落ちます。はい、お上手でした。
「藁つと」も稲刈りを終えたこの時期のまだ青さが残る新鮮なもの。藁の香りが飯の風味を作り出します。細角にされて散らしてあるさつまいもの甘味も効果的で、超好き‼️
☆八寸
紅葉篭の八寸。紅葉でお料理が隠れています。
・河内鴨のロース煮(鴨ロース、好き)
・鶉の山椒焼き(温かい山椒の香り。鶉、好き)
・黒豆の枝豆(当に黒豆らしく黒い)
・イクラ醤油漬け(酢橘の細工器。イクラぷちぷち)
・玉子カステラ
・ほうれんそうと利休麩の白和え(利休麩、好き)
・とんぶりのわさび和え(淡い山葵。自分史上最高のとんぶり料理の旨さでした。好き)
☆焼き物
まだ、鮎がいました。食べ納めです。
子持ちのお腹ぷっくり。
子持ちの割には身肉に油のノリが良くて、バリバリなんだけど、しっとりさも感じる身肉。
☆冷やし物
柿の器。
さっぱりと冷やし出汁の蕎麦。
☆炊き合わせ
小蕪と甚吾右ヱ門芋のお鉢物。
甚吾右ヱ門芋を久しぶりにいただきました。
室町時代から伝わる山形の佐藤家一子相伝の里芋。
しっかり煮ても煮崩れすることなく細長い形が美しい。ねっとりに泉さんの最高の出汁が纏います。
蕪はもちろんしゅみしゅみです。
☆ご飯
松茸三昧‼️
☆水菓子
洋梨こみゅす。大正柿。ピオーネ。グランメロン。
カラメルババロア。
こみゅす、好きだよ~。
ババロア、うめえぞ。
☆茶菓子
鳴門金時の芋羊羹にほうじ茶まぶし。
もちろん、ご飯の残りはおにぎりにして。
贅沢な翌朝ご飯でした。
2021/11/28 更新
2021/08 訪問
【和食:さしすせその「酢」。】
「酢」って大切だなぁ、と思いました。
こちらの「酢」は自家製。なので、毎回、微かな味わいの違いを感じていましたが、今回の「酢」の具合は口中じゅくじゅく級、脳内とろとろ級に私の味覚にどんぴしゃでした。主役素材の味を完璧に立たせつつも、「酢」の酸味、甘味が素材の強さを優しく包み込んでいて、「和わせる」というのはこういうことなんだと納得しました。
☆自家製カボスジュース
「酢」じゃないけど、この酸味が涼しくて、最初から「今日は旨いな」感を誘います。
☆先付け
大きな蓮の葉。
おかひじき、車海老、焼茄子と渡蟹の博多。
毎回、先付けは酢の酸味が食欲を増進させてもらえるのですが、非常にバランスの良い酸味。
パリっとしたおかひじき、プリっとした車海老、ふにっとした茄子と渡蟹の身肉の重なりに、各々の旨味を引き出す上品さ。
焼茄子と渡蟹の博多、最高❗
☆お椀
あぁ、あぁ、と幸せの吐息しか出ません。
鮑そのものの旨味が凄くて、これまで食べた鮑で最上級に位置するなあと感じながら溢れ出てくる旨味を噛み締めます。
更に、こちらでは毎回感じる吸い地の変化。
最初の一口は清らかな水の如く。
種をいただいた跡は種の旨味を包み込む。
鮑の下の冬瓜を崩すと旨味が濃く。
そして、今回の決定的なお仕事は鮑の上にちょこんと乗せられた生姜。吸い地に渾然一体に溶け込んでぽわっと温かくきりりと昆布鰹鮑の旨味を引き締めて、幸せ感が半端ない!
1リットルくらい飲み干したい。
☆お造り
目板鰈。しお。鮪。金目鯛。
カンパチの子供であるしおのコリコリ感、好き。
金目鯛の炙った皮、好き。
☆蒸し寿司
近江牛いちぼのローストビーフも何度も噛みたくないくらい一度で肉旨味が溢れてくるのだけれど、枝豆とコーンを混ぜた酢飯がもう口中じゅくじゅく級。こんな良い塩梅の酢飯は、あああ、書いてて口の中に唾液が溢れてくる。それくらい美味しい酢飯でした。
「めちゃくちゃ美味しい!」
と女将さんに叫んでしまいました。(注:もちろん、ワクチン完了済だけどマスク&口元に手を添えて)
☆八寸
朝顔仕立て。
*鰻の八幡巻き。鱧の子のなます。
鰻と牛蒡のカリカリ。鱧の子と野菜に滲みる酢。
*枝豆。甘薯。苦瓜味噌煮。
苦瓜の苦味強烈。夏の滋養。
*無花果の胡麻クリーム。胡瓜とクラゲの生姜酢和え。
生姜酢とな?きりりさっぱりと夏の美味也り。
*鴨のたたき
いつものローストと違う柔らかさと付け汁の出汁が素晴らしい。鴨が馴染む旨さ。
*卵カステラ。うずら卵の琥珀羮。
琥珀羮がとても面白い味。和の出汁じゃないよなあと思い、お聴きすると、なんとフレンチコンソメでした。やっぱり面白い!
☆鮎
卵を産みに清流を昇る鮎。
鮎は相変わらずのパリっ感でぼりぼりなんだけど、今回の蓼おろし酢の具合が良かったぁ。
鮎に大盛にして食べましたが、それでも余ったので、蓼おろし酢だけをぱくぱくきれいに食べてしまいました。
☆冷やしもの
もずく、雲丹、たたきオクラ。
もずくの力強いしゃきしゃき、雲丹のふにふにな甘い誘惑、叩いたオクラのねばねば増強。それらを纏めるようにかけられた海苔酢。佳き。
「私は夏の申し子だわん」と訳のわからないことを口走っていました。私じゃなくて、もずくと雲丹とオクラと海苔酢が夏の申し子だっつーの!
☆炊き合わせ
つぼ鯛を初めて食べましたが、ゼラチンの膜を張らせてあるからか旨味が凝縮されていて、鯛というよりは鱸っぽいです。好き。
ほうれん草、蓮根餅の上に鮮やかな赤万願寺。
万願寺が焦げ目がつくくらいに火を入れてあるからか、もう甘いのなんのって。こちらの炊き合わせの二番出汁ほど旨いものはないと思っていますが、その出汁がベースになった口の中に、この甘味を放り込むとほっぺの内側が蕩けそう。
☆ご飯
炊きたての艶々に米粒が立っている鱧と茗荷と小芋のご飯。旨かった~。
鱧と小芋と炊きたての米のふっくらな甘味に、茗荷のつ~んとした効きが素晴らしくて、3秒でお代わりしました。もちろん。残りはいつものおにぎり。
☆水菓子
無花果5種類。一番大きなひと切れが溢れだしそうなくらいジューシーで好き。シャインマスカット、マンゴー、幸水もいつもの逸品。
黒豆ババロア、初めてかなぁ。良いじゃん。
☆茶菓子
山芋黄身餡の水餅。お薄といただく。
偶々、和食ではないあるレストランで、調味料の「さしすせそ」の話題になって、今回こちらの「酢」の凄さに気付きがあったのでした。そういう教えをもらえると、何回も通うお店でも新鮮な気付きを得られるって楽しい!
2021/09/05 更新
2021/06 訪問
【和食:美味しいもので癒されたい】
「美味しいものが食べたい!」
もう、耐えられない。
まだまだ全く安心できないけど、緊急事態宣言は明けるので、京都訪問を個人的に解禁してしまいました。目の前の欲望に弱い人間は私です。
とにかく美味しいもので癒されたい気持ちには勝てず、真っ先に泉さんにやって来ました。
☆先付
下から「白だつ+海苔+車海老+海苔+白だつ+雲丹+白だつ」の博多。白だつは高級なずいきです。
基本的に、フレンチのミルフィーユ仕立ても好きですが、和食の博多も好きです。
横から見るととても美しい階層。
白だつのしゃきしゃきの中で、車海老はふにっと来て、雲丹は蕩ける。車海老を挟んでいる海苔の歯応えが凄く良いアクセント。
雲丹、海老の先付は定番ですが、博多仕立ては初めて。初めてながら完成度富士山級!
☆お椀
鱧のはすむし。
一口目は昆布の風味
二口目は鰹節の風味
が口の中から鼻腔に拡がります。
鱧が出てくるまで、はすむしを崩していくと、吸い地は出汁と水と鱧の旨味とが一体となった究極の風味に変化していきます。
やっぱりこちらのお椀は胃の府にも脳みその味覚野にもすとんと着地します。
☆お造り
ひらめ、しび鮪、剱崎いか、本鮪。
同じマグロでも脂も味も違います。
いつもの剱崎いかの包丁の入り具合とねっとり食感にほっとします。
☆鴨ロースト
「この時期に鴨メインのお料理は珍しいですね。でも、寒い時期の脂ののりではなくて、若々しくてさっぱりとしてとても美味しかったです。」とお伝えすると「ジロさんが来るのでこのメニューにしたんですよ。和食の鴨も良いでしょ。」と。
んんん?私が最近某所で鴨で失敗したのをご存知だったのかしらん??
赤身を残したスイカの皮の漬物が抜群に合う!
☆八寸
6月ですから、茅の輪くぐり(「ちのわくぐり」。昔「めのわくぐり」と読んでました。げっ)。
実際に神社に行けてないので、こちらの茅の輪を視線でくぐりました。よしっ!かな?(笑)。
*鰻の八幡巻き
*鱧寿司
*甘薯
*きぬかつぎ
*枝豆
*鱧の南蛮漬けのようなもの(料理名が解らずお聴きしたら南蛮漬けのようなものとのこと。確かにそうでした。)
*もずく
*玉子カステラ
*鬼灯の中にやまもも
☆焼き物
あの数百万の古丹波の中で優雅に泳ぐ鮎。まいどおおきに1時間近くじんわりと焼かれています。
内臓もしっかりと焼き切ってあるし、骨もポロポロだし。蓼おろし酢をつけてもつけなくても、そのまんま美味しいです。
☆冷やし物
鱧の落とし。いわゆる湯引きです。
もう岩牡蠣がいただけるかと思っていたのですが、タイミング会わなかったみたい。。旬を大切にする和食の面白さだし、来年のシーズンを狙う楽しみができたと思えば一興です。鱧を楽しみましょう。
アスパラソバージュと蓴菜の中に浮かぶ堀田トマトのとんでもない甘さ。でも、トマトの酸味もちゃんと感じられます。
☆炊き合わせ
蓋を取ると鮮やかに実山椒の香りが立ちます。
白味噌と加茂なすの組み合わせは大好き。至福。
味わいも食感もこれ以上の組み合わせがあろうか。いやありません!
白味噌が二番出汁でまろやかになって加茂なすに纏わりつくんです。お椀の一番出汁も炊き合わせの二番出汁も本当に良いわぁ。
さらに今回は鮑が。柔らかい。ふにふに、くちゅくちゅ。白味噌が加わる。うまうま。
☆ご飯
とうもろこしご飯。とうもろこしもお米も艶々しくて、目に映えます。
ぱくぱく、ぱくぱく。
スイカの漬物、パリパリ、パリパリ。
☆水菓子
宮崎マンゴーとマンゴープリン。
山梨桃と熊本スイカ。
毎回、果物の選択も素晴らしい。
可愛らしい銀の器の中は梅酒アイスクリーム。これも新製品かな。新たな挑戦は、佳き、好き。
☆茶菓子とお薄
お出迎えの玄関のお花が紫陽花でしたが、おしまいのお菓子も紫陽花。中は山芋のきんとんです。
先日「プロフェッショナル」で取り上げられていたそういう意味で旬の辻村さんの器。金額を語るなどゲスの極みですが、数十万円かな。
さあ、次回はワクチン接種後だあ!
2021/06/27 更新
2021/03 訪問
【和食:春爛漫、桜満開。】
すべてが春。
食材も桜の器も春。
外もぽかぽかで、高台寺から知恩院辺りまで散策しましたが、桜満開。
春爛漫、桜満開の泉さんのお料理で心までぽかぽかになりました。
印象的だった春は:
・蛤の旨味と花山椒の残り。
・のどぐろの脂。
・もろこと蓼おろしの調和。
・二番出汁に沁みる筍と厚揚げ。
☆桜茶
ほんのりのさくら塩味で落ち着きます。
☆先付
始まりはいつもの汲み上げ湯葉と雲丹に季節の食材を合わせたもの。今回は独活の酒合えと水前寺菜(この粘りは金時草ですね)と水前寺海苔が合わせてあります。いつもの自家製の優しい酢ジュレの纏わり具合が胃を目覚めさせてくれます。
☆お椀
蓬真丈と桑名の蛤。
蛤のお椀、大好きです。しっかりと蛤の旨味が吸い地に溶け込むように、しっかりと吸い地の出汁が蛤に染み染みするように包丁が入っています。
さらに素晴らしかったのは花山椒の残り。吸い地を吸ってピリリと旨味が渾然一体となって口の中に暫く残る存在感。昆布、鰹、蛤、真丈の魚、塩が溶け込んだ吸い地が素晴らしいので花山椒だけの単純な後味や残り香ではないんです。
☆お造り
のどぐろ(対馬産紅瞳)の脂の甘味が凄いなあと思っていたら、それをさらに超えてくる鮪の脂の旨味でもううひゃひゃひゃと笑うしかない!
明石の鯛、和歌山の紋甲いかも相変わらずのクオリティと包丁の入り。
こちらのお造りはいつも本当に美味しいと思う。
☆田楽
昨年もこの時期にいただいた春らしい食材のお味噌を使った味噌田楽。蕗の薹と木の芽の味噌です。甘味と春の植物的な苦味が濃い味噌が抜群なのですが、豆腐の大豆の味がとてもしっかりとしているので味噌の濃さに負けずに田楽がそもそもお豆腐料理なんだよなあと感じさせてくれます。
☆八寸
春爛漫の八寸。
人間国宝萩焼きのお重で八寸をいただく季節になりました。再会できたことに感謝です。
*ホタル烏賊と赤貝のてっぱい(蛤の器にのせて)
*つぶ貝の出汁煮
*玉蒟蒻、甘海老、花丸胡瓜
*鴨ロース
*水菜の胡麻和え
*イカナゴのくぎ煮
*散らし寿司(錦糸玉子の下にもたくさん春爛漫具材が入っていて贅沢な楽しい散らし寿司でした)
*玉子カステラ
桜の枝が2つあしらわれていたので、取り皿でも春の装いしてみました。
☆焼き物
もろこの塩焼き。
この時期まだ子持ちのもろこがいるんですね。体格も卵もとても大きい。鮎とは違い鱗を上手に残したぱりぱり感が堪らない!それだけでぱりぱりと食べても美味しいのですが、蓼酢を合わせた緑色の大根おろしと春野菜を自分で合えてぱりぱりもろこと一緒に食べると美味しさ3倍増でした。
☆冷やし物
利休麩の上に蟹、菜種、ホワイトアスパラガス。
黄身酢であっさりといただきます。ロワール産のホワイトアスパラガスはもう少し時期過ぎると味が濃くなると思いますが、和食にはこのくらいさっぱりとした味の時期が良いのでしょう。
二番出汁が凍みた利休麩はこの上ないです。
☆炊き合わせ
塚原の初物の筍、厚揚げ、蕗、こごみの春山菜の炊き合わせ。少し時期は早い?と思うけれど、とても立派な「くるくる巻き」のこごみでした。
こちらの炊き合わせの至福はもはや何も言うことがありません。
☆ご飯
白魚と百合根のご飯。微かな白魚の塩味とさくっという百合根の食感が白いごはんにとても相性よろしでしょう!細かく刻んで散らしてある木の芽の風味が絶妙に効いています。
お握りにしてもらって翌朝食べても木の芽の風味が楽しい♪
留椀はもち麩のおすましでした。
☆水菓子
いつもその時の最高級の旬が出てくる水菓子。
春のセレクションは、香川讃岐姫、静岡クラウンメロン、土佐文旦、愛媛せとかでした。
そして紅茶のババロア。
試作中という「さくらのブランマンジェ」も試食させていただきました。
☆茶菓子
桜餅とお薄
さて、次回は岩牡蠣の頃かな。
2021/04/11 更新
2021/01 訪問
【和食:味わいから愛着へ】
お正月に白味噌のお雑煮をいただくのが楽しみになってきました。
清ましの具だくさん雑煮で育ってきた田舎者なので上品な白味噌のお雑煮をいただくと雅な人になった気分。お正月ですもの、良いじゃないですか。殺伐としたご時世なれど、泡沫にこそ雅な夢に漂うのも一興かはたまた風狂か。世俗を忘れて、ほんのひととき、雅と幸福感に静かに浸りましょう。
お正月の野菜の味付けが胃袋と心にとても温かく沁みました。
甘鯛の赤蕪。お雑煮の里芋。菜種のからし和え。堀川牛蒡。黒豆の炊きあげ地。日野菜の桜漬け。炊き合わせの聖護院蕪。餡に溶ける生姜。
現実に戻ると、暖かくなるまでは新規開拓も外食そのものもゆっくりと進めて行きます。
いただいたお料理。詳細は写真に記載しました。
☆梅昆布茶
☆数の子 糸鰹
☆赤蕪で挟んだ甘鯛 車海老
☆白味噌のお雑煮
☆お造り
☆八寸
*還柳(ちょろぎ、金時人参の丸、ちしゃとう味噌漬け、ばらこの丸、蒸し鮑)
*菜種のからし和え*堀川牛蒡*イクラ金柑
*津居山の蟹
*鴨ロース*なまこ*黒豆 炊きあげの地
*玉子カステラ
☆愛菜鰹の西京焼き 日野菜
☆汲み上げ湯葉羮と蟹の博多
☆聖護院蕪と蛤の炊き合わせ
☆茶粥
☆水菓子
☆甘味 お薄
2021/01/23 更新
2020/12 訪問
【和食:大根で始まり大根で終る。】
2020年は大変な年になってしまったけれど、私の2020年は、1月初に泉さんの大根で始まり、12月末に泉さんの大根で終わることができました。
あの、お出汁だけで3日間炊いた身体だけではなく心にも沁み入る大根。
そして、今回の訪問で泉さんの12ヶ月全ての月のお料理を楽しませていただくことができました。2018年4月からの3年越しです。
和食はやはり、季節、旬、祭事に応じて楽しむものと思います。四季折々の季節感、旬の食材そして京都の祭事をお料理で愛で、味わい、知ることができたことを幸せに思います。
関西に行くときに泉さんを紹介して下さったオマージュさんに感謝です。(それにしても2020年はオマージュさんに行けなかった。今年こそは。)
もちろん、全ての月のお料理をいただいたからと言って終わりではなく、これからも通いたいと思っています。
お正月先取り的なお料理もありつつ、いつにも増して食材の素晴らしさを感じられるともに、味付けをほとんどしてないんじゃないの?的に微かな淡さなのにじわじわと沁みてくる旨みが素晴らしいお料理でした。
先ずは、ぶぶ茶でほっこり。
☆先付
丹後の砂丘で採れた静御前を3日間お出汁だけで炊いたもの。
1月の大根は黒光りするくらい、かなり濃い出汁、濃い大根でしたが、今回は出汁の色合い、風味がちょうど佳き感じで、ああ、沁みる。
☆先付の替え
ちしゃとう、花穂紫蘇、長芋、汲み上げ湯葉、雲丹の煮凝り酢がけ。
ちしゃとうはそもそも茎レタスですが、それのさらに茎の白い部分だけを使っていて長芋と重ねて食べると、シャキンとちしゃとう、サクンと長芋、で面白いです。
いつもの柔らかな湯葉、雲丹の酢がけに、花穂紫蘇の酸味も加わり、ちょっと味わいに豪華感。
☆お椀
年代物の唐草模様の器。
一口目はほとんど清らかな真水かとも思える淡い吸い口が、河豚の真丈をいただき、河豚の身から出る旨みと混じり合うことで、口の中で極上の吸い地に止揚します。美味し過ぎる。昇天しそう。
☆お造り
*大間の鮪。
*和歌山の紋甲いか。
*氷見のぶり。
*淡路の鯛。
ぶりの脂がめちゃくちゃ甘い!蕩けるう。
鮪が舌の上で溶ける!
烏賊がいつもどうしてこんなに美味いの!
☆蒸し物
亀岡牛ローストビーフの飯蒸し。
蒸して熱を持った牛の脂がほんとに甘い。
肉の甘味が飯と抜群な相性。一粒の山椒がふんわりとした甘さにシャキーンっと。
☆八寸
冬の里山。
今回の八寸は主役級がずらりと揃いつつも、合間合間にいただいたいくらやらなまこやらとんぶりやら胡麻合えやらの整え度合いが素敵です。
焼きたての鶉の照り具合が超ジューシーでいきなり、口の中が洪水状態。
牛蒡で落ち着けて、からの、鴨の松風が、ふへへへへと笑いが出ちゃう香ばしさ。
いくらやなまこやとんぶりでお口の中を収めてからの、こっぺ蟹が美味さ大爆発!!蟹身も外子も内子も大満足でした。
*焼き鵜
*山牛蒡の醤油漬け
*鴨の松風湯葉巻き
*いくら
*なまこ
*とんぶり
*こっぺ蟹(禁漁直前)
*お家の中には乾燥ずいきの胡麻合え
*玉子カステラ(写真忘れ)
☆焼き物
鰆は好きで自分でもそれなりのモノを買って食べてるつもりだけれど、なんかモノが全然違うって感じ。以前お聞きした和歌山の漁師さんの鰆なんだろうなあ。
もちろん焼きの技術も雲泥の差なんだろうけど。
スグキおろしの微かな辛味も鰆の上品な塩旨味と調和しているし。
☆蕎麦
口休めのお蕎麦。泉さんの御友人のお蕎麦屋さんで打った蕎麦だそうです。
するんと啜って、ゴクンとお汁を飲み干す。
☆炊き合わせ
大好きだよ~♪このかぶら蒸し。
1月は木耳のアクセントがあったけれど、今回は近江牛頬肉、百合根、銀杏とよりシンプルに。
かぶらのふわふわの中にほろほろの牛頬肉。
温度が良いのね。美味しいと感じる温度。
くっきりとした二番出汁の溶け込み具合。
☆ご飯
黒米に自然薯の炊き込みご飯。
大きな自然薯がごろごろ。土鍋じゃなくてお釜でした。初めて。いいね!
お米がもっちり、自然薯がさっくりからねっとりに、私、うっとり。
昆布と浅利の佃煮、白菜の浅漬けも旨し。
全部食べたかったけど、明朝のためにおにぎりにしてもらいました。さんかく4個で、いと嬉し。
☆水菓子
いつも、こんなに瑞々しくて糖度の高い果物を季節毎に見つけてくるなあと思うほど、聞いたことのない名前の品種なんです。
私が物を知らないだけか(笑)
*ベリーツという苺
*紅マドンナという蜜柑
*ルレクチェという洋梨
*いつものブランマンジェ
☆甘味
椿餅、ぱくり。ラストのお薄で2020年の〆。
歳末ご挨拶で北野天満宮の「おおふく梅」をいただきました。お正月一番にお茶に浮かべて、ちゅうちゅうしました。
ご健康に!
2021/01/05 更新
2020/09 訪問
【和食:炊き合わせの淡さの理由】
もちろん、毎回、美味しいのだけれど、今回の炊き合わせは特に淡く儚く上品さが感じられて素敵でした。茄子と小芋と茗荷だけなのに。
淡い味わいの炊き合わせだからこそ、素材そのものが持っている美味しさが際立つ。
和食の真髄に触れさせていただいた思いです。
ご飯の新米の美味しさと言い、炊き合わせの美味しさと言い、淡くて儚いくらいなのに凛として存在する美味しさを感じられる泉さんのお料理を季節毎にいただける日本人で良かったなあと思います。
☆梅酒
ふうぅ~。
☆先付
まだ、熟す前の青い柿の器に柿の葉のあしらい。秋へと誘う雲丹と白木耳ときのこたちの煮凝り酢かけ。雲丹が最初に戻って来ました。
最初のひとさらには必ず、柔らかい自家製酢が使われていて、いつも、その柔らかい甘酸っぱさに舌を慣らして、落ち着きを取り戻して、お料理に向き合える気持ちと身体が整うのです。
☆お椀
鱧真丈と松茸(岩手産)。
言うことなしです。
本当に、味わい深い。
特に京都では八坂さんのお祭りを鱧祭りというほど、鱧は夏のイメージですが、産卵を終えてもりもりと脂ののった秋の鱧のほうが美味しいかも。
☆お造り
甘カレイ(淡路)
剱崎いか(和歌山)
マグロ(大間)
金目鯛(御前崎)
いつも思うけど、こちらのイカは特別なのかなと。本当に適度にねっとりとした食感といい、甘味といい、好きです。包丁の入れ方なのかな。
☆蒸し物
近江牛いちぼのスダチ蒸し。
暫くぶりのいちぼのお料理。以前の博多も美味しかったけれど、今回のスダチの香りに抱かれた霜降り脂の旨さも格別。
お出汁の中に隠れているお出汁がしゅみしゅみの玉葱の甘さと相乗した美味しさが沁みます。
☆八寸
秋の草花で彩られた9月の趣向の八寸。
*むかごと銀杏の飯蒸し
赤い菊花がとても良い香りがします。
*鯵のき寿司
きずし大好きですが、鯵のきずしは初めてかも。
*紫頭巾(丹波笹山の枝豆)
*いくらと栗の甘煮
*鴨のロース煮
八寸に復活しました。
*イチジクの胡麻クリームがけ
*卵カステラ
☆焼き物
出た!お腹。
私のお腹ではありません。
丸々としたお腹の子持鮎。
いつもより少し早いでしょうか。このところ、ぐんと気温が下がったからかな。
子を持つと苦味も消えて味も優しくなります。
これで、鮎も終わりかなあ。
とんでもない1年でしたが、食を通して時間の流れや季節を感じられるのは幸せなのかもしれません。もう、終わりモードに入ってしまいましたが、まだ、今年は終わってないっちゅうの?!
☆冷やし物
汲み上げ湯葉羮と渡り蟹。
羮が流行りかな。見た目や味は豆腐みたいだけど、豆腐とは違って湯葉の食感も残っていて、大渡の山芋羮とか、"なんとか羮" って、好きかも。
蟹身と合うし♪
☆炊き合せ
焼き茄子と小芋。油揚げした茗荷がしゃきしゃきとしてとても良いアクセントです。
焼き茄子の香りがつ~んと鼻に抜けていき、2番出汁をしっかりと、でも、淡く吸った茄子の甘味が素晴らしい。そして、浜詰という日本海側の砂場で育った小芋。山の小芋とは違い上品で淡い旨味を感じます。炊き合わせだからこその淡さと旨味なんでしょう。
こちらのお椀と炊き合わせ、大好きです。
☆ご飯
今年も新米のシーズン。
新米はシンプルにお米を味わいましょう。
お米の味がわかる日本人で良かった。
お漬け物や佃煮やご飯のお供で杯が進みます。
相撲の優勝力士への賞品にもなる福井の梅干しも、がぶりといただきました。
もちろん、塩むすびのお土産もいただきました。
☆水菓子
今年もイチジク食べ比べのシーズンがやって来ました!これも好きだよ~。
フランス原産2種類、スペイン原産3種類、アメリカ原産1種類の6種類。スペイン原産のレディグレイという品種が私好みでした。
甘くないのに甘い。
葡萄は岡山のピオーネ。
ブランデージュレと柘榴をのせた梨は新甘泉。
豆乳ババロア。
水菓子も毎回、季節の最高級品で楽しくて美味しいのです。
☆茶菓子とお薄
山芋きんとん。中は裏漉しした栗と白小豆の餡。
見た目ふわふわ、山芋と餡はしっとり。
帰りに玄関口にPatousさんのショップカードが置いてあるのに気がつきました。
コロナの影響で遅れましたが、8月中旬に麻布台でオープンされました。早く行きたいなぁ。
フォローさせていただいている方々のレビューを呼んで、東京にも行きたいお店がいっぱい。
その前の京都、大阪、神戸制覇すら遥かに遠いけれど、まっ、いろいろ楽しみましょう。
2020/10/17 更新
2020/07 訪問
【和食:色・形・味、鮮やかな川海老】
「最近はなかなか手に入らないとても佳い川海老が、偶々、今朝入ったので食べてもらいたくて」と、帰りに泉さんからお話があった川海老。
目にも鮮やかな素焼きの川海老を鮎と一緒に出していただきました。
映えるという言葉はこういう時のためにあるのでしょう!目にも口にも映えました。
一瞬、飾り物かと思うくらいの色と形。
形が良くて、色鮮やかで、大きくて、でも、味は散漫になることなく、身が引き締まっていて。
これだけの川海老をいただいたのは初めてかも。
美味しくて貴重な食材を、有り難く感謝して嬉しくも慎みながらいただき、幸せ噛みしめ~。
☆食前酒は自家製の冷たい梅酒。ふうぅ~。
☆先付
大きな蓮の葉に、涼しい冷やし酢。
車海老、蓮根、料亭でしか見ない白だつ(=海老芋のずいき)、トマト、蓴菜。
蓮根が酢のなかで甘さを放っているのと、白だつの歯触りが少し山芋にも似て、さくりさくり。
冷たい梅酒から続けて、酢の酸で身体の火照りを落ち着かせ、胃腸を活性化してくれます。
☆お椀
夏の定番です。鱧の蓮蒸し。
蓮蒸しということで、吸い地も淡くとろみをつけられています。とろとろの中に蓮根のとろとろも溶けだしてくるし、梅肉と柚子を溶かしてさっぱりともいただけるし。
改めて写真だけ見ると器が銀色だからか、冷製みたいに見えるけれど、とろみがあるので、しっかりとした温度が保たれています。蓮蒸し、好き。
蓮根って、ほんと甘いし。粘りも夏向きだし。
☆お造り
*ビワマス(琵琶湖にのみ棲息。1日の漁獲量の規制があるそうです。)
*剱崎イカ(繊細に包丁が入れられて、甘い粘りが拡がります。)
*甘カレイ
*鮪(大間です。)
ビワマスと鮪の脂のノリが素晴らしく、舌の温度で溶けると海甘味がふわふわと口中に漂います。
可愛らしく添えてあるパプリカが口直し。
☆トリ貝
名残のトリ貝。ほんとの最後みたいです。
今年は、食材の期間が長いのかなと感じます。
相変わらず、醤油も塩もすだちも要りません。
微かに炙るだけで、しっかり甘味が立ちます。
☆お寿司
鱧寿司と粽の鯛寿司。
たれを含んで硬めに焼かれた鱧は酢飯も食感も味も硬め。一方、粽の鯛は笹の中で熟成されて酢飯と共に柔らかい口当たり。
巻いてある "い草" が細くて巻き方も美しい。
☆八寸
朝顔の支柱のような格子の上、両端に青い朝顔の器。爽やかな夏の朝。
ふっ、と山椒の香りが八幡巻から鼻を擽る。
秋にはまだまだ早いのに、今日の衣かつぎは凄く旨~い。温度も良い。
*鱧の子の玉〆(手前左の朝顔の器)
*白瓜のみぞれ合え(奥右の朝顔の器)
*八幡巻
*衣かつぎ
*枝豆
*やまもも
*甘薯の甘煮
*玉子カステラ
☆焼き物
鮮やか~。映える海老色の川海老が、お馴染みの鮎と一緒に滝登り。
頭、鋏、尾、全部一気にぼりぼり食べると、シンプルに塩を振られた素焼きの川海老は見た目も映えるけれど、舌にも映えました。美味しい。
鮎もいつもどおり、頭からばりぼりばり。
☆冷やし物
いつも最初に出てくる雲丹が今日はなかったなぁと思っていたら、ここで登場。
まさに、素麺つゆと言う感じのおつゆに浮かぶしゃきしゃきの冬瓜そうめんに、甘い雲丹を絡めつつ、ズルッズルッズルル。
☆炊き合わせ
いつも八寸に入る鴨がなかったなあと思っていたら、まさかの鴨と賀茂茄子のWカモ!?
万願寺の手前の草色のものは「ケッパー」。これが、素晴らしい。暖かいみぞれ餡に混ぜ込むと、清涼感のある風味と酸味によって、夏の炊き合わせとして成立させてくれる。
この季節、鴨は八寸で単体物としていただくより、こういう形でいただくほうが良いカモ?
賀茂茄子も炊き合わせで温かくいただくのが良いカモ?
☆ご飯
和の文字が刻まれたNew土鍋で炊きあがった、とうもろこしご飯。
白粒、黄色粒、それぞれの食感と甘味。
もちろん残りはおにぎりにしてもらいました。
☆水菓子
鳥取のスイカ、岡山のピオーネ、山梨の日川白鳳、山形の紅秀峰。
全部、瑞々しくて、果実の甘味たっぷり。
マンゴープリンもマンゴー味たっぷり。
☆菓子
やまもものくず饅頭。
これ、好きだよ~。やまももの果実らしい酸甘味で、逆に餡子はさっぱり塩味を感じます。
☆お薄
お見送りの時に、祇園祭の粽の厄除けをいただきました。
今年の祇園祭は戦後初めて中止になりました。京都人ではないけれど、去年、稚児の乗った大きな鉾の巡行を「祭りだ、祭りだ」と興奮して見た私も少し寂しい気分です。
「蘇民将来子孫也」
2020/08/02 更新
2020/05 訪問
【和食:いつもの場所でいつもの味をいただけることの幸せ。】
自粛明け最初。
狙った訳ではないけれど、予約のタイミングで自粛前最後と自粛明け最初が泉さんになりました。
私が大好きで、なくなって欲しくないと思うお店。私一人がふた月やみ月に一度伺ったくらいでどうこうなるものではないという現実はあるけれど、気持ちだけでも、できるだけ通いたいお役に立ちたいと思ってしまいました。
GW明けから時短営業を開始されたそうですが、カウンターはソーシャルディスタンスのため、8人のところに2人でした。奥の個室は入られてましたが、まだまだ暫くは大変そうです。
ワクチンとかできて早く日常に戻りたいですよね、と女将さんとお話しつつ、好きな場所で好きなお料理をいただけるということが、自分にとって日常を作る断片だったんだなあとしみじみと思いながら、いつものとおり、静謐で落ち着いた、でも、泉さんの思い入れが具現化したお料理にしっかりと向き合える幸せのひとときを噛み締めました。
良いなあ。こういうひとときがあること。
☆先付
兜の器にお馴染みの汲み上げ湯葉と雲丹。
「あいこ」という名の山菜。初めていただきましたが、山菜特有の苦味が微かに。
結構、好きなんです、山菜の苦味。もちろん、渋みが残っているとダメですが。
湯葉と雲丹の甘味と海味にアクセント。
☆お椀
先ず、ふわりと出汁の香りが立ち上り、よもぎを練り込んだ鱧真丈の優しい緑が、爽やかに目に飛び込んで来ます。
真丈だけでなく、中にふわふわの鱧がしっかりと形を残してあります。
ふわふわの鱧の身から、エキスが閉じ込められた真丈から、鱧の旨味出汁がゆらゆらと吸い地に溶け出していくのが、目に見えるよう。
いつもの止揚するお椀。
蓴菜の食感も楽しい。
☆お造り
兜鉢に盛り付けられた常連魚さんたち。
剱崎イカ
目板かれい
金目鯛
鮪
毎度の海藻ゼリーもあります。
塩とわさびが何度でも美味しい。
☆とり貝
旨い~♪
1,2秒、炙るだけでも、ちょっとしっかり目に焼いても、とにかく美味い~♪
な~んにも要りません。
塩も醤油もスダチも、な~んにも要りません。
ミネラルたっぷりの海水を十二分に吸い込んだ貝そのもの旨味が少し熱を加えることで、くっきりと浮かび上がる。
素材をしっかりと味わう和食の粋。
☆八寸
私のために「食器蔵に入れるのを止めていた」なんて嬉しいことを言っていただいた菖蒲のお重。
桜と同じ萩焼。人間国宝作。桜田さんから継承。
お昼なのに、なんか、すげぇ、色っぽい。
中は、八っ橋(お菓子じゃないよ。お菓子の名前の起源である橋の作りだよ。)と葉菖蒲仕立てで、時季を表現。
*鰻の八幡巻(焼き立てで香ばしい)
*鯖寿司。〆具合最高!大きな、がりも旨っ。
*蛸の柔らか煮
*鯛の子
*一寸豆
*鴨ロース(いつもと違う薄い味付けで鴨の味を感じ易くしています。花山椒を脂身に詰めてあるのでこれまた鴨の味が際立ってきます)
*守口大根といんげん豆の和え物(やっぱり、泉さんの和え物、好きだな)
*甘鯛の粽寿司(この透明感!)
*玉子カステラ。
☆焼き物
これから初秋まで続く、鮎。
あゆはMだけど(?)、鮎は綺麗にS字カーブを描いて尾っぽがぴょん。
いつもの通り、時間をかけて丁寧に焼き上がったクリスピー。
☆冷やし物
これまた、夏のお決まり、畔蛸の岩牡蠣。
この岩牡蠣、好きだよ~。
「包丁は縦に」も私的お気に入り。
ちゅるり、といける。あと3個くらい食べたい!
アスパラガスと高知の堀田トマトが、これまた甘く涼しく。
☆炊き合わせ
賀茂茄子と泡麩をさっと揚げて、白味噌餡かけ。
上の緑は万願寺唐辛子。
白味噌がたぶん二番だしを含むからか、滑らかで優しくなって、まるでクリームシチューを食べているような味と食感。
はふっはふっと熱々の茄子を口の中で転がしながら、クリームシチューを流し込む至福。
☆ご飯
出汁を存分に吸って艶っ艶っに一粒一粒が立っているご飯に、つ~んと鼻に抜けていく新生姜の風味。好きだわぁ、谷中飯。
二杯目は桑名の海苔を散らすと、なんじゃこりゃ的旨さ変化。
もともとこの季節のものだけど、コロナ退治にも良さそうです。生姜。
あおさの八丁味噌汁もキテるね♪
☆水菓子
佐藤錦、甘美です。
宮崎マンゴー、長崎琵琶、熟度完璧。
黒胡麻ババロアもいつものシャンパンジュレで。
☆白玉とわらび餅
お薄といただく甘味。
自粛期間中に、泉さんから、わざわざお電話をいただいて「じゃこ山椒と鰻山椒煮を作ったので」と贈っていただきました。ご自身が休業されて大変な時に私ごときにまでお心遣いをいただいて、本当に嬉しかった。
どこにも行けない中で、おうちで泉さんの味を堪能できたことはふさぎそうな気持ちが解けて、美味しいものを食べるということはこういうことなんだなぁ、と改めて感じました。
2020/06/07 更新
2020/03 訪問
【和食:お料理と器でお花見。】
3月末。
私的食べログ自粛(実際のお店訪問もログアップも自粛しました)にはいる最後の日でした。
既に、大阪兵庫間の往来自粛要請が出ていた頃で、大阪を通らずに日本海側経由で行くかとか真面目に考えたりして本当に迷ったのですが、人生最後になるかも知れないと思って、マスク2枚重ねてオーバーグラスもかけて帽子もかぶっての完全?防備のほぼ変な人状態でいつものルートで京都まで行ってしまいました。
とか言いながら、帰りに洋菓子屋さんにも寄ってしまったりして、気をつけてんのか気をつけてないのか。。。いい加減っす、私。
幸いなことにそれから休日は一歩も出ず、平日も百歩くらいは外へ出てしまいましたが、平日はテレワークで自宅の机に真面目に座る日々を過ごしたおかげで、たぶん感染することも感染させることもなく、食べログ再開の日を迎えることが出来ました。感謝。
さて、自粛前最後のこの日は自粛でお花見に行けないので、泉さんのカウンターで器とお料理での桜観賞の日となりました。
☆桜茶
落ち着きます。
白湯のようですが、桜の香りとほんのり塩味。
☆先付
長芋そうめん。サクッ感は残しながらの上品な細さ。好き好き!
白い長芋そうめんの前に車海老、雲丹、岩茸。
長芋そうめんの上には紅菜苔という中国野菜。菜の花の代わりかな。
岩茸と雲丹の相性良いなあ。
桜の花びらがほんわりと。
☆お椀
先ほどは本物の桜の花びらが「ほんわりと」でしたが、お椀は朱塗りに桜模様が「くっきりと」。
桑名の蛤のお椀。
しっかりと蛤からの旨味が染み出すと共に蛤に吸い地の旨味も入り込むように包丁を入れられています。蛤の旨味が染み出してくると、いつもより微かにくっきり感のある吸い地に変化していきます。
沁みるう~。
蛤も本来の旨味と吸い地が一体となって、ああ、ううっ。
厚揚げの上に緑の葛豆腐。厚揚げが凄っく旨い。
☆お造り
和歌山の金目鯛。
仙崎の鮪。
明石の鯛。
和歌山の紋甲イカ。
海藻ゼリーとゲランド塩が魚の甘味と旨味を引き出します。
☆田楽
黄金色が蕗の薹、緑色が木の芽。
春になると蕗の薹を使ったお料理が和食に限らず増えますが、この蕗の薹のお味噌はこれまで食べた蕗の薹の中で最高の味わいでした。苦味すらも爽やかで、口の中が、完全に春ぅ~。
そして、こちらのためだけに作って下さっているという豆腐は、滑らかなのに大豆しっかりの味。はふっはふっと温かく、美味しかったあ。
☆八寸
うわあ~、と声が出ました。お隣からも。
萩焼の桜のお重。人間国宝の作とな。
まさに、晴れやかに、お花見です!
桜田さんから引き継いだものだそう。
器で桜を観賞しながらいただく八寸も春。
さよりも甘鯛も、2本の串も、飯蛸も蛍イカも、春の趣き深し。
*鴨のロース
*桜の葉で巻いたさよりのお鮨
*甘鯛の手鞠寿司
*玉蒟蒻、熨し梅、車海老、花丸胡瓜
*鯛の子、利休麩、塚原の筍、鶉卵の黄身味噌漬
*明石の飯蛸、玉子カステラ、わけぎと蛍イカの酢味噌
☆焼き物
山形産の海から川へ登り始めたところの桜鱒。
ぱりっと焼かれた皮が上にのせられています。これがぱりぱりで楽しい。
サラダ仕立てなので、野菜と一緒にいただくのですが、黄金色に焼き上がった桜鱒のふんわりとした食感と甘味が野菜と微かに昆布出汁が感じられる爽やかな酸味の効いたドレッシングと絡んで美味しい。
お魚のサラダ仕立て、好きだよ~♪
☆冷やし物
焼き物からの流れが素晴らしかった。
桜鱒の後の鮑、堪らない!
温と冷のコントラストに魚介と野菜のバランスを旨味と塩味の酸で繋ぐ。うっひょ~♪
鮑。ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスの共演。そこに、梅の煮凝りでさっぱりと。
やっぱり、ロワール産のホワイトアスパラガスは味が濃くて美味しいなぁ。グリーンアスパラガスのサクサク食感とのコントラストも楽しい。
☆炊き合わせ
塚原の筍。
サクッ、パキン、シャキシャキ。
相変わらず、炊き合わせの二番出汁は最高!
今年は塚原の筍も佳き筍がにょきにょき哉。
☆ご飯
お子ちゃまの頃から、この季節の大好きな豆ご飯。
愛しの豆ご飯。
I♥️豆ご飯。
もうぉ~、ぱくぱくぱくぱくぱくぱく。
ひたすら、ぱくぱくぱくぱくぱくぱく。
止め椀は春だからかな、お澄ましでした。
もち麩が桜の花びらみたい。
☆水菓子
ゆめのかにも白い苺があるんだ。白くても甘い!
文旦。メロン。
豆乳のババロア。これ、好き!
☆さくら餅
最後まで桜。葉っぱの花びら切りもお馴染み。
お薄をいただいて、ご馳走様。
さあ、ずっと気をつけながら、徐々にのんびりと、美味しいものを食べに行きましょう。
2020/05/30 更新
2020/01 訪問
【和食:美味なる哉、冬の大根。】
今年のお食い初めを泉さんで始められて幸せだなぁと感じながら暖簾をくぐり、
いつもの席に座り、
女将さんと
「今年も美味しいものを食べさせて下さい」
「はい、今年も頑張ります」と会話し、
梅昆布茶を「梅ぇ~」とか言いながら飲み干し、
食前酒はいつもの「和ごころ泉」より甘いなぁ(後でお伺いしたら、お正月仕様で〆張鶴の生搾りでした)とほんわかしていたら、
出ましたァァーーーーーーーーーーーー!
"出汁だけで3日間煮込んだ大根"
これが、これが、これが、食べたかったのです。
前回のレビューで食べたいと書いたのが通じたんだあァァ。ふえ~ん、うれぴぃ~。神様、仏様、泉様ぁぁ~~。
感動的に美味しかった。
大根の繊維の一筋一筋に満遍なく染み渡る至高の出汁。出汁を思っいきり吸い込んだ甘味たっぷりの冬の大根。大根の繊維に愛してる。
帰りに泉さんにお聴きしたら、何度も追い出汁したり、とんでもなく手間がかかってます。敬服。
これで終わりではなく、さらに、美味しい大根が続くのです!
愛菜鰹の幽庵焼きに添えられた大根の味噌漬け。
ちょっとちょっとちょっとぉ、う~~ん、味といい、温度といい、食感といい、愛菜鰹とのバランスがとても素晴らしい。
目にも美しい。
美味なる哉、冬の大根。
☆先付
感動のひとさら。すげぇかった。大根。
ネズミの器に盛られた数の子と赤蕪の博多に煮凝り酢をかけたものをそっち除けにしてしまうほど美味しかった。もっともっと、でした。
もちろん、数の子と赤蕪もぷちぷち&しゃきしゃきと美味しゅうございました。
☆お椀
京都のお雑煮。
白味噌仕立てのとてもシンプルなお雑煮ですが、味わい深い。出汁を纏った白味噌の優しく深い深い味わいに「あああっ」しか出てこない。
焼き餅に染み込む白味噌の甘味。あああっ。
女将さんとお故郷のお雑煮談義などなど。
☆お造り
大間の鮪、明石の鯛。
和歌山の金目鯛と紋甲いか。
巣籠もり鶴のお皿にに抱かれた毎度の上物です。
☆お凌ぎ
可愛らしい器が出て来ました。
近江牛いちぼのローストビーフの飯蒸し。
薄くスライスしてフライドされて2つ折り(2つ折りにされていることで味の深みを感じます)にされたクワイが、ローストビーフと飯の間を仲良く繋いでくれています。
☆八寸
お正月の八寸
家の柳の小枝を手折り還(わ)にして、旅立つ家族に持たせて無事に還る(かえる)ことを願ったという中国の故事に由来する還柳。表千家の初釜では一年の無事を祈って床間に飾られるそうです。
・還柳
縁起ですね。柳の枝で縁起の良いお料理が結んであります。
+ばらこと数の子を粕漬けの丸(がん)
+蒸し鮑
+ちしゃとう(翡翠色が中国では縁起の良い野菜とされている)の味噌漬け
+金時人参の梅煮の丸(がん)
+草石蚕(ちょろぎ)の甘酢漬け(蚕みたいなので漢字もそう書くみたいです)
・河内鴨ロース
・金柑いくら
・菜の花のごま和え
・なまこのとも合え 上にこのこ
・黒豆
・デカい堀川牛蒡
・いつもの玉子カステラ
☆焼き物
愛菜鰹の幽庵焼きと大根の味噌漬け。
はふはふの幽庵地の香味豊かな熱気と柔らかさの愛菜鰹と仄かな「 温」を含んで微かに味噌の風味漂うかりっとした大根。
絶妙の味と温度と食感のバランス!
白いお皿に鮮やかな緑色の葉の絵がフレンチのソースみたいなバランス!
☆冷やし物
津居山の蟹。脚の身肉いっぽん!
やっぱり冬は蟹ですね。
土佐酢もいいけどそのままもいいですね。
ぽろんといっぽんですね。
お隣は、ほぐした身肉を黄身酢で合えて飛騨湯葉で巻いたもの。湯葉のすりながしソースでまったり。これも蟹の旨味あげあげ。
☆炊き合わせ
かぶら蒸し。
中に近江牛のとろとろ頬肉が入っています。
ユリ根、銀杏、木耳の食感をアクセントにふわふわかぶら蒸しととろとろ頬肉をほろほろと楽しむ。
☆ご飯
茶粥。
お正月でご馳走続きの胃を労りましょうということで、ほうじ茶の粥。小豆も入ってます。
初めていただきました。色は、瞬間、おっと思いますが、とても優しいお味。
一杯目はそのままで、二杯目からは揚げ湯葉をお好みでかけて。
胃を労わなきゃいけないのに、何杯もお代わりしてたら、白いご飯もありますよと言われました(笑)。
☆水菓子
秋姫、紅マドンナ(蜜柑)、ルレプチェ(洋梨)、ブラマンジェ。
こちらの季節感が溢れる一等の果物が大好きです。
玄関に大きな "ばんぺいゆ" が飾られていて、美味しそうでした。じゅるっ。
☆甘味とお薄
雪囲いの中に椿餅。可愛い。
食事の後、八坂神社に行って「今年も美味しいものを元気に食べますからね。かしこみかしこみ奉り候う。」と祝詞献上して参りました!
ぱんぱん!!
2020/01/12 更新
2019/10 訪問
【和食:出汁にこだわるお椀】
北海道で生まれて、福井で熟成され、京都で出汁となった昆布。
利尻島周辺の昆布は肉質が固く、出汁に最適だそう。江戸の北前船時代から福井県敦賀市に運ばれ、室温25℃湿度50%で藁の筵の中に1,2年寝かせて、臭みを抜きグルタミン酸の旨味が増してから、京都に入って来ます。
「昆布出汁があることで鰹が引き立つ。そのバランスをちょうど良いところまで引き出す。物凄く、上品で繊細なもの。」
「昆布出汁を引くときは細心の注意を払う。」
「利尻の中でも違う産地のものを数種類用意して、毎日、昆布の状態、個体差も見ながら、使う部分を決める」と、美の壺でおっしゃっていた泉さん。
水の中で8時間、じっくりと旨味を引き出し、火にかけると、その日の昆布の状態で取り出すタイミングを見計らう。香りが変わらないように温度を一気に下げる。そこへ枕崎の本枯節を迷いなく足す。
昆布出汁文化は日本にしかない「今に息ずく、先人の知恵」。京懐石の基本は昆布出汁をベースにした合わせ出汁。
帰りにお見送りにでて下さる泉さんに、「こちらのお椀が好きで通わせていただいています。美の壺で拝見した引き方のお出汁なんだなあ~と思いながらいつにもまして美味しくいただきました」とお礼を言うと、御自身の考えや経験も踏まえて、他の料理人さんからは「そんなことまでやってんの!?」と言われるくらいに出汁の取り方を工夫しているとのプロフェッショナルなお答え。
ああぁ、美の壺で紹介されていた、出汁だけで3日間煮込んだ大根を是非食べてみたい!
☆先付
安寧と安心の汲み上げ湯葉と雲丹。
安定した手作り酢ときのこの濁りで、ほっと安堵。
秋らしく秋田産の天然きのこ。
しゃきしゃき食感。
ブナかのか?とナラタケ?と舞茸。
☆お椀
鱧と松茸。
ああ、松茸の香りがふわりと立ち上がる。
一口噛むと、出汁の昆布と鰹節と塩気を吸った松茸の弾力。名残の鱧はこれまた出汁を十二分に吸っていて、はほっはほっと崩れていく。
「美の壺」で見た取り方の出汁。いつにも増して旨味を感じる吸い口と椀種の絡みを沁々と慈しむ。
☆お造り
大間の鮪。北海道の鰤。和歌山加太の金目鯛。淡路の甘鰈。
金目の皮の炙り具合がいとよろし。
☆蒸し物
蓋を開けると爽やかな柑橘の香り。
カマスのすだち蒸し。柔らかい。カマスがこんなに美味しいと思ったのは初めて。
椎茸、銀杏、玉葱、木耳。個々の味は残しつつ、全体に柔らかい柑橘の温香。
☆八寸
私が声を上げる前に、お隣の女性が「うわあ」と歓声を上げられた。
私の歓声を取られた(泣)。
まさに、視覚も味覚も秋の装い。
なんと!竹花瓶のお花は泉さんが活けられたそう。
料理人は芸術家ですね。
*河内鴨のロース煮
*枝豆(丹波篠山の紫頭巾)
*ごりの焼き物
*イクラちゃん
*柿のなます(かけられているソースが柿の酸味と甘味にベストマッチで、旨っ!)
*栗(甘い!!)
*黄檗豆腐の味噌漬け()
*秋刀魚のお寿司
*玉子カステラ
☆焼き物
言わずと知れた子持ち鮎の焼き物。今年はこれでおしまいですね。パリパリさくさくの鮎。
☆冷やし物
軽く湯引いた近江牛のいちぼと藁で燻した小蕪の博多。いちぼの赤と蕪の白だけではなくて、いちぼは赤身と白い脂身、蕪は実の詰まった濃い白と水分を湛えた透明な白で重層的な博多織り。
視覚だけではなくて、まだ甘味が熟していない瑞々しい蕪、微かに纏われた燻の風味、いちぼの甘味が目眩くのです。
燻の纏わり具合が素晴らしかったことを、帰りに泉さんにお伝えすると、「強すぎると食材の風味を駄目にしてしまうし、弱すぎると意味がないし。」と、絶妙のタイミングがあるとお話されていました。
☆炊き合わせ
ぐじと甚五右衛門芋。去年は餡出汁でしたが、今年はあっさりとした二番出汁。
山形の一子相伝の佐藤さんの里芋が去年より粘りが強く感じられたので、出汁でバランスを取っているように感じました。
ぐじはほっこりと。茗荷と菊菜がアクセント。
☆ご飯
泉さんでは初めてですね。白ご飯。
この時期、新米取れたてだからだそう。
福井梅、鰹節、お漬け物で、もりもり食べてたら、土鍋全部なくなってしまいました。
お土産のお握りが、、、ない。。。
ご飯の間、ずっと飲んでいたほうじ茶が優しくて、これまでのものと変わったのかと、お皿を引きに来た若い料理人にお聞きしたら、京都の○○園とのことだったので、変わってなかったのか。。。
と思っていたら、しばらくして、つい最近変わりましたと、言い直しに来てくれました。だよね~。
☆水菓子
羽曳野の無花果、食べ比べ3種類。
ピオーネとシャインマスカット、そして南水梨。
ブランマンジェ。
この季節の無花果食べ比べは楽しみです!
☆甘味とお薄
ほうじ茶パウダーでくるりんした鳴門金時。
さて、いよいよ、次はお正月です。
2019/10/28 更新
2019/07 訪問
【和食:鱧。鮎。岩牡蠣。】
こちらの岩牡蠣が好きです。
鳥羽畔蛸(あだこ)のぷっくりと太った岩牡蠣。
的矢湾畔蛸の岩牡蠣は天然採苗なので、自然の海の状態をより味わうことができます。
本当に海の味、海味、がします。少しだけ海の塩味を帯びた濃厚なミルク。
「何故、好きか」。
選ばれた素材。濃厚な海味ミルク。
もちろん、それも、あります。
以前にも書いたことがありますが、包丁の入れ方が素敵で、ひと切れに、その素材の良さ、濃厚な海味ミルク、頭とお尻のかむかむ感とお腹のぷるぷるふにふに感の全てを残していて、それを一口で味わえるからなんです。
横ではなく、縦なんです。
例年なら7月末くらいまであるそうですが、今年の岩牡蠣は今日で終わりだそう。
山の食材も海の食材も毎年の天候に左右される。でも、そうであるからこそ、泉さんの目利きで選ばれた、その時々にいただける恵みの美味しさと「旬」を味わえる偶然の妙を感じます。
鱧、鮎、岩牡蠣。夏の旬を存分に楽しみました。
7月から料金改定です。
夜のコースは1.5万円と2万円の2つになりました。今回は3ヶ月前の予約で1.8万円です。
☆先付
大きな蓮の葉の上に、冬瓜、車海老、雲丹、ミニオクラ、蓴菜。煮凝り酢で爽やかに。
蓴菜の食感が、ぷにっとぷちっと。好きです。
身体の火照りが、落ち着きます。
☆お椀
鱧のはす蒸しのお椀。
こちらのお椀では珍しく、とろりとして、最初から、少し濁りのある吸い地。
鱧だからこそ、でしょうね。
はすむしの欠片がはらりはらりと吸い地に溶け出していて、鱧の甘味をしっかりと支える出汁。
こちらのお椀、やっぱり好きです。
☆お造り
*祇園祭の山車が登場。職人さんにわざわざ作っていただいたそう。屋形の屋根を外すとお造りが現れました。別のコースでは、長刀坂鉾の器でした。
青森のまぐろ。
和歌山の剱崎イカ。
甘カレイ。
*鯨の尾の身
とんでもなく、甘い!
久しぶりに鯨を食べましたが、こんなに甘かったかな。独特な獣味は全くありません。
☆お寿司
鱧の箱寿司と鯛寿司の粽。
粽の繊細な巻き方!
鱧の上品なタレ。
昆布〆された鯛の旨味。
そして、新生姜の分厚い "がり" 。
これは、何個でも食べたい!
粽のお札は、祇園祭の時に八坂神社で授与される護符に書かれている「蘇民将来子孫也」。
スサノオノミコトが厄災を払った伝説からきているらしい。芽の輪くぐりにも関係があるらしい。
☆八寸
きゅうりの弦の誂え。
*八幡巻き
*甘薯
*枝豆
*腐乳を挟んだ花丸胡瓜
*鱧の子の玉〆
*山桃のシロップ煮(ほおずきの中)
*玉子カステラ
八幡巻きと鱧の子玉〆が、出色の美味しさ。
甘薯、枝豆、玉子カステラは、安定の美味しさ。
花丸胡瓜と山桃も、季節の美味しさ。
☆焼き物
今日の鮎は、これまでで一番美味しく感じました。
頭、お腹、しっぽ、各々の焼き加減がしっくりきていて、苦味も旨味な味わいでした。
器は250年前の古丹波だそう。
女将の持つ手がぷるぷる震えていました。
重いからではなく(笑)
☆岩牡蠣
言うことなし❗
今回は土佐酢ジュレを最初から岩牡蠣にかけず、別のお皿に。土佐酢有り無しで、食べ比べ。
トマトとアスパラと黄身酢❤️(「言うことなし❗」って書いた後に、言うことあるんかい!?と、関西人は突っ込まないようにね)
☆炊き合わせ
賀茂なすの白味噌餡掛け。万願寺唐辛子と実山椒をのせて。
やっぱり、白味噌と二番出汁の合わせ加減が、絶妙です。何の引っ掛かりもなく、するりと口から胃に収まってくる。
☆ご飯
京都亀岡のとうもろこし。
いつものごとく、艶々に出汁がしみこんだ一粒一粒のご飯の美味しさ。とうもろこしの甘味と香りが口から鼻に抜けていく。
もちろん、残りはお握りにしてもらい、お家でしみじみと思い出し食い(?)、しました。
☆水菓子
毎回、楽しみな水菓子。
今回は、山形のさくらんぼ。美味し甘い!
佐藤錦から更に改良された紅秀峰。大粒で歯応えがあり、更に、糖度高し。
静岡のメロン、鳥取のスイカも、蹴飛ばすほどの美味しい甘さ。うっとり。
☆甘味
黒豆の水ようかん。お口で溶ける~♪
泉さんお薦めの京都のフレンチレストランをゲットしました。場所も確かめたよ。
2019/07/07 更新
2019/04 訪問
京都塚原の美味しい筍。
見送りに出てきて下さった泉さんに、「筍、美味しいですね~♪」とお伝えすると、「いやあ~、今年は本当に探すのが大変。いつもの薮が全滅。筍はぼこぼこといくらでも出てくるけれど、いい筍が少なくて。美味しいと言って貰えると探し回った甲斐がありました」と笑顔。
こちらのお店は料亭方式で食事中に泉さんが出てこられることはありませんので、お見送りいただく時にほんの短い時間お話しするだけですが、毎回、お話しの中で、料理や素材に対する妥協を許さない厳しさと美味しいものを食べてもらいたいという純粋な思いを感じます。
私は、子供みたいに「美味しい、美味しい」とお料理を食べるだけですけど、その幸せの時間をいただけることに毎回感謝です。更に、「美味しい」に至るまでのヒストリーも楽しめることで、お料理やお店に対する味わいが深くなれることも感謝です。
書いてて思いましたが、筍って、「竹の旬」って書くんですね。う~ん。
いつもの15,000円のコースです。
☆先付
いつもの、汲み上げ湯葉と雲丹は、菜の花で、目にも舌にも春の装い。根室の雲丹の甘さがとてもふくよか。ジュレ酢とのコントラストがふふふ的に楽しい!
☆お椀
桜の花びら模様の器が可愛らしいお椀。それと、はっきりと撮れてなくてごめんなさいですが、人参は桜の花びらの形です!
椀種は、蓬のくず豆腐と穴子のくずたたき。
今回の吸い地も、豆腐と穴子の味を最大限に引き出していて、吸い口はしっかり立ちながら、味わいはお白湯のような透明感。
蓬豆腐の春らしさ。くずたたきにしてあるのでつるんとした食感と淡い下味の効いた穴子。
椀種をいただいた後に残る吸い地を含むと、最初のお白湯のような透明感から、"ぎゅんッ"、と昆布と鰹節が沁みてくる味わい深いお出汁に変化します。もう、好きだあ~。
☆お造り
淡路の鯛。千葉勝浦の鮪。和歌山の金目鯛と紋甲烏賊。白身だけでなくゲランド塩でいただくのが、素材そのものの味をダイレクトに感じられて好き。
☆八寸
いつも、楽しくて、手をかけられているが派手ではなく、美味しくて、季節のものを歳時記のようにいただくことができる大好きな八寸。
*串=京都塚原の筍、のし梅(梅をすりつぶして寒天に練り込んだ山形?の食べ物)、鯛の子
*串=永源寺こんにゃく、車海老、きゅうり
*長芋を巻いたサーモン
*イチボのローストビーフのお鮨
*さよりのお鮨
*ホタルイカとわけぎの酢味噌和え
*一寸豆
*鴨ロース
*いかなごのくぎ煮
*玉子カステラ
お隣のカップルの器が桜の陶器のお重で、周りがとても華やぎました。
☆焼き物
鰆の塩焼き サラダ仕立て。
薄塩を纏わせたほっこり熱々な鰆としゃきしゃき野菜のマリアージュ。温と涼。甘味と塩味と少しの酸味。
☆冷やしもの
三重のとり貝。
大分の赤貝とグリーンアスパラガス。
フランスのホワイトアスパラガス。
噛めば噛むほど貝の旨味が出てきます。
ヨーロッパのホワイトアスパラガスは野菜という感じがする。甘味、えぐみのバランスがいいな。
こちらの黄身酢はいつも邪魔をしない優しさ。
☆炊き合わせ
京都塚原の筍。鳴門のわかめ。ふき。
Simple is best!の極みです。
筍、美味しかったあ~。
凄く旨いです。全く、えぐみ、ありません。
二番出汁も筍を包み込み、わかめに纏わり、ふきに沁みいる、優しさ。
☆ご飯
うすい豆のご飯。
子供のころから、豆ご飯の時は、おかずを食べずにご飯ばかり食べるほど、大好き。
いつものとおり、出汁と豆の旨味がこ飯粒の中まで染み染み。
☆水菓子
人参のババロア。人参の甘味だけがほんのりと残っています。
秋姫。土佐の文旦。でこおもい。日向夏。
☆甘味
自家製桜餅。葉も塩漬けにしてあるので、食べられます。桜餅の甘さが塩で引き立ちます。
桜の花びらが黒文字の上に落ちて。葉を広げると花びらが。いいね!日本の春。隠れた美意識。
☆抹茶
少し葉桜化しつつありますが、お店の近くの小学校の桜で~す。鴨川沿いの三条から二条辺りまでは、まだ少し桜も残っていて、静心なく花の散るらぬ、お散歩でした。
2019/04/14 更新
2019/02 訪問
♪梅は~、咲い~たか♪
今回の泉さん。まず、目で感じる季節は "梅"。
カウンターに置かれたお盆が梅の形だったので、女将さんに振ると、一年でこの時期だけにしか使わないのだそう。
お椀、八寸の取皿、炊き合わせも梅の器で楽しく、八寸そのものも梅の枝で「侘び」すらも感じられるあしらい。
一年を通じて、どのお皿からも日本の季節と歳時を五感で感じる食をいただくことができる。幸せですね。
全てのお料理が素晴らしいけれど、やはり、お椀と八寸と炊合わせとご飯の素晴らしさを、何度でも何度でも感じました。
ぶぶ茶で暖まりながら心待ち。
いつものように「和ごころ泉」という自家銘柄の日本酒を女将さんからいただいて始まり。
☆先付
絵馬の形をした金色のお皿に「立春大吉」の和紙に包まれたお料理。
和紙を解くと、金色絵馬に負けない鮮やかなお料理とお皿。お馴染みの汲み上げ湯葉と雲丹に花山葵と車海老。さらにシャンパン色の煮凝りを加えられてとても華やか。
車海老の食感と甘味に沁みる煮凝りが、お馴染みの湯葉と雲丹に新鮮さを与えています。
今回の雲丹、今までで最高かも。
☆お椀
もろこの真丈。雲子が中に。
儚いです。もろこの味がとても儚いです。
一口目では真丈の味がわかりませんでしたが、雲子やお出汁に喰われないように噛みしめると、じわりじわりときます。
☆お造り
・紋ごういか(和歌山)
ねっとりというより、むっちりと旨い。
・金目鯛(和歌山)
皮目を炙って、程よく脂を残して。
・かわはぎ(淡路島)
さっきまで泳いでいたそう。口の中で弾けますね。
かわはぎは本当に好きです。肝も甘い!
・鮪(銚子)
うっひゃひゃひゃひゃ(笑)。
☆八寸
ここまで、とても華やかな色目だったのですが、八寸で落ち着きます。梅って桜と違って、侘び感を強く感じます。取り皿の梅も少し落ち着いて。
・恵方巻=可愛らしい恵方巻。手で摘まんでいただくと、イクラが掌に溢れました。
・稲荷寿司=初午稲荷。ちょうど今年の初午の日でしたので、just-timing! 関西らしく、おの実=麻の実が入って、ぷちぷちとした食感も楽しい。
・玉子カステラ=定番の6時間かけて焼いた甘い玉子焼き。
・虎豆、紫花豆、白花豆=虎豆は初めてかな。表面が虎柄なので、そう呼ばれているそう。甘く柔らかい煮豆。豆は大好きなので、もっと食べたい。
・金時人参と長芋の甘煮=紅白の梅の花です。
・赤貝のてっぱい=お多福の器。「てっぱい」は「鉄砲和え」がなまったらしい。何故、鉄砲かはわからないけれど、酢味噌和えです。関西ではお雛様の時には、赤貝を使うそうです。上品な酢味噌です。
・河内鴨のロース=定番です。毎回、じゅわり。
・水菜=しゃきしゃき。
☆焼き物
さわらの塩焼き。肉が厚くて、弾けるまでの弾力と弾けた後のジューシーさ。
おろしの中にいぶりがっこが混ぜられていて、さわらの焼き物特有の焦げ香感がいぶりがっこによって口の中で増幅されて鼻に抜けます。
☆蟹
津居山の蟹。脚一本とほぐして黄身酢で和えた蟹身と味噌。
脚は何もつけず、するりっと口の中へ。
「旨っ。」思わず吐露。
仲居さんに笑われる。
☆炊き合わせ
聖護院蕪の玉〆。甘鯛と菜の花。
蕪に染み入る出汁と出汁をふくよかに吸い込んだ蕪。最近、冬だからか、蕪の美味しさを和食だけでなく感じています。そのままでもよし、何かが滲みてもよし。堪らないです。
甘鯛と菜の花の春を感じる甘味と苦味。
☆ご飯
白魚とユリ根のご飯。
本当に、こちらの炊き込みご飯、大好きです。
ご飯粒が艶々で、ひと粒ひと粒に白魚とユリ根の旨味を抱きしめていて、口福。
もちろん、残りはおにぎりさんで持ち帰りました。大きな白魚がどうなるかな、とも思いましたが、おにぎりで正解。事故で1時間以上止まった帰りの電車で、パクパク食べました。白魚さんもお姿健在でした。
☆水菓子
章姫(滋賀)。
クラウンメロン(静岡)。
かんぺい(愛媛)。
ばんぺいゆ(熊本)。
柑橘はブランデーのジュレかけ。
豆乳のババロア
☆うぐいす餅とお薄
実は、密かに、泉さんの水菓子と和菓子も毎回の楽しみなんです。
前回のコミス=梨、前々回のざくろ5種食べ比べ。
うれし、たのし、大好き!
2019/02/03 更新
2018/11 訪問
熱々を一口含む。
お箸で口に入れる際に一緒に入ってくる空気が熱々の風味を纏って、鼻腔を通り脳を直撃する。喉の始まりで戯れる。一口噛んだ瞬間に無限の風味と旨味が口中に爆発する。
〆のご飯が黒米と五分付き米に胡桃を合わせたものでしたが、忘れられない美味しさでした。
前回予約した時に、もう終わっているかも知れませんと言われた子持ち鮎。なんとか間に合いました。というより、泉さんがなんとかこの日まで引っ張ってくれたそうです。この日で終わりだそう。無理していただきました。感謝です。
暖簾の色も緑から渋い赤色へ、店内の額も淡い絵画から書へ変わりました。秋らしい素材と飾り付けのお料理を楽しみました。
☆先付
玄猪包(げんちょづつみ)の中に、見た瞬間はやはり餅かなと思ったけど、カラスミ大根。カラスミのきりりとした塩味がさっぱり大根と合わさって、餅ではないけど無病息災です。
小さな器には、汲み上げ湯葉、雲丹、シメジ、舞茸、名残のはすいもに煮凝り酢かけ。こちらの汲み上げ湯葉と雲丹の組み合わせは黄金コンビ。ここにきのこで秋を感じさせて、はす芋の食感。
☆お椀
泉さんで毎回楽しみなのは、お椀、八寸、焚き物ですが、名残の鱧と松茸。底に蕪。鱧と松茸はもちろんですが、出汁を吸った蕪が堪りません。
☆お造り
大間の鮪=蕩ける~。
和歌山のシオ(30㎝以下のカンパチ)=しこしこ~。
香川の鯛=しっとり~。
和歌山のハリイカ(関東だとスミイカ)=ねっとり~。
☆八寸
淡い葉っぱの形をしたお皿の上に、目に鮮やかな紅葉の里山をいただきました。
・穴子と栗の「つと蒸し」=藁で包んで蒸したもの
・丹波黒豆の枝豆
・ほうれん草のお浸し
・河内鴨のロースト
・いくら
・とんぶりと渡蟹のわさび和え
・カステラ玉子
全て美味しいけれど、特に、穴子のつと蒸しととんぶりと渡蟹の和え物は、思わず「美味し~い」と、唸ってしまいました。
☆焼き物
お腹パンパンの子持ち鮎の塩焼。お皿の上は水草と岩を模した琵琶湖の中でしょうか。
なんと!2時間焼いたそうです。
30秒で食べちゃいました(笑)。
☆冷やし物
焼きナスと近江牛のイチボ。
イチボは本当に軽く火を通してあるだけでとても柔らかい。茄子と牛の甘味に清涼感を感じられます。
☆焚き合わせ
ぐじと甚五右衛門芋。
山形県の佐藤さんという方が室町時代(!)から、一子相伝で作り続けていらっしゃっる里芋だそうです。里芋特有の粘りはありながら、箸を入れるとさくっと崩れる。
出汁にキラキラと浮かぶぐじと里芋の甘さに、生姜がぴりりと効いて、ああ、やっぱり、こちらの炊き合わせは大好きです。
☆ご飯
冒頭に書いた通り、とても美味しかった。噛みしめた米の旨さ。胡桃の芳ばしさとの相性。お代わりもいただき、残りはおにぎり。帰って、温め直して、また、しみじみと食べました。
☆デザート
群馬の西洋梨コミス。柘榴の粒が乗ってます。
長野のシャインマスカットとピオーネ。
静岡のクラウンメロンにブランデージュレかけ。
きな粉のババロア。
コミスを初めていただきましたが、普通の梨のような瑞々しい甘さではなくて、上品なクリーミーな甘さで美味しい。かなりの希少種みたい。
きな粉のババロア、「きな粉だ♪きな粉だ♪」と楽しくいただきました!
☆菓子
徳島の鳴門金時を裏漉しして作られた和菓子。餅かと見えたが、中はとてもクリーミー!
☆お薄
毎回、素材の素晴らしさとそれを活かす料理の技を感じて幸せな時間を過ごせます。
いつもご夫婦でお見送りいただける泉さんに、秋らしい素敵なお料理の数々をいただけたことのお礼をお伝えしました。
次回は真冬に伺います。
2018/11/04 更新
再開後すぐの9月訪問時のレビューです。
あこう鯛の蒸し物が素晴らしかった。
食べた瞬間「すんげえ~‼️」って、思わず声が出ちゃいました。
ぷりぷり感、本来の魚の旨味、身肉の細部まで染みわたる出汁との絡み。
帰りにご主人に「あこう鯛が素晴らしかった」ことをお伝えしたら、鯛という名前に惑わされたのか?この魚のぷりぷり感を理解出来ずにとんちんかんな感想を言われたことがあったらしく「あらら~、それはぁ~、、、ねぇ~、、、」と自分事のように嘆き共感してしまいました。
いつにもまして、お椀が素敵。
今年の松茸は順調なタイミングで出始めているみたいです。長野産でしたが香りだけではなく味わいも非常に深みがありました。吸い地と松茸、鱧、自家製厚揚げの第一段階調和から、食べ進めていく中で第二段階、第三段階へと調和具合が高みへと止揚していく楽しさは何物にも代えるものがありません。
メニュー
☆先付 = 茸、白木耳、車海老の煮凝り酢かけ
☆椀 = 松茸、はも、自家製厚揚げ
☆お造り = しお、鮪、鯛、剱崎烏賊
☆蒸し物 = あこう鯛
☆八寸 = 内容は写真
☆焼き物 = 鮎
☆南瓜そうめん
☆炊き合わせ = 鴨の真丈、冬瓜、甚五郎芋
☆ご飯 = 大豆(北海道の鶴のこ大豆) 初めてです。
☆水菓子 = 無花果。梨、パッションフルーツ。焼き茄子アイスクリーム生姜ジャムのせ、が良い!好き!
☆茶菓子 = 初雁
☆お薄
お椀に関する後日談
実は2週間後に別の和食店に行ったのですが、そこのお椀と比べて歴然たる差を感じました。
泉さんのお椀は素晴らしい!
まあ、いつも感じてはいるのだけど、今回、椀種が松茸で共通だったこともあり、ことさらにそう感じてしまいました。。
ミシュランとかあまり信用してないし、食べログの「点数」だけは全く気にしてないけど、このお椀の仕上がり具合の差が星の数の差ということは分かるなと思ってしまいました。でも、差を感じた別の和食店の私的評価が下がる訳でも何でもないです、そのお店にはそのお店の好きなところがあることになんら変わりはないので。