★たかし★さんが投稿したセララバアド(東京/代々木上原)の口コミ詳細

記憶と描写の中に

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★たかし★ (男性・東京都) 認証済

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セララバアド代々木上原、代々木八幡、代々木公園/イノベーティブ、スペイン料理、フレンチ

1

  • 夜の点数:4.5

    • ¥15,000~¥19,999 / 1人
      • 料理・味 4.6
      • |サービス 4.3
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.2
      • |酒・ドリンク 4.4
1回目

2018/02 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス4.3
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.2
    • | 酒・ドリンク4.4
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

〜 動きがあるのに静か、驚きがあるのに自然、さりげなく美しい 〜

手に入らないとずっと求め続け、次第に忘れられない存在になる。まだ見ない世界の価値はそうやって膨れあがっていく。今はなきエル・ブジは僕にとって永遠の憧れだ。その流れを汲むセララバードはずっといきたかったお店だけれども、なかなか予約がとれず、急遽キャンセル待ちで訪れることができた。

その日は少し早めに着き、お店の入口のベンチに座って待つことになった。スタッフが寒さを気にして申し訳なさそうに毛布を渡してくれたのが嬉しい。外観も、内装も、柔らかい木とガラスを上手く使っており、自然なイメージが強く、きれいで落ち着く。

例のごとく、車で訪れたため、コースのペアリングはノンアルコールをお願いした。内容は以下に。

1.樹氷
さりげなくテーブルに樹氷の景色が現れる。花瓶に広がる樹氷、木の板に置かれているのが自然だ。冬の樹々はラルドを巻いたスティック、グリッシーニかな。小枝にはナッツのキャラメルを包んだわたあめが雪のように降り積もる。美しい雪景色。

2.毛玉 ビーツ
毛玉イメージしたビーツのフライ。サワークリームと西洋わさびが入り、酸味と辛味が混じり合う。

3.林檎 マンチェゴ
林檎のトゥールで巻いたマンチェゴチーズがほのかに酸が立ち、冷たく、口溶けして美味しい。林檎は古来より絵のモチーフにもなり、シンプルで美しい。

4.馬肉 雲丹 黒米
黒米チップの上に、馬肉のタルタルと雲丹、紫蘇が添えられて、最後に雪のようにシャルドネのビネガーで香りづけがされている。ほのかにシャルドネの香りが立つ中、馬肉が柔らかく、雲丹は甘く、紫蘇の酸と混じり合い味が重なって美味しい。

5.折り鶴 フォアグラ
余白の美を使い丸太の上にちょこんと配された根セロリの折り鶴、対峙するのがインカのめざめに載ったフォアグラのパテ。これまた見事に調和した、美しさと美味しさとの自然の対峙。折り鶴はどうやって折ったのかわからないぐらいに繊細で美しく、フェアグラはまろやかさとカリンのジャムとインカの目覚めの甘さが混じり合い美味しい。

6.冬の大地
最近土がモチーフの料理を提供するお店をよく見かけるがルーツはどこだと考えてしまう。Narisawaか、Celaravirdか、他にもいろいろあるが、やっぱりNomaなのかとくだらないことを考える。
冬の大地は、木がいっぱい詰まったガラスの器に、土に見立てたオリーブパウダー、そこにマイクロ冬野菜をピンセットで立ちあげ、発酵バダーパウダーを最後にテーブルで振りかけると、雪が降り積もり始めた冬の大地の景色に変わる。ほんと自然で美しい。

7.蟹 ホワイトアスパラガス カルドッソ
濃厚な蟹のダシが効いたカルドッソ、スペイン風の雑炊であり、ふわっふわっの蟹のかぶら蒸しが中央に浸されている。これはもう匂いだけですぐ美味しいやつだ。蟹みそもダシに使っているかな。

8.百合根 トリュフ
鷄でダシをとり、エスプーマでふわふわのミルクソースをつくり、百合根を浸し、トリュフを浮かべる。ぶわっとトリュフの香りが立った後、マイルドなミルクソースの中で百合根のほのかな甘みが際立ち、美味しい。

9.鮟鱇 チョリソ スモーク
コースはこれより魚料理へ。グリルした鮟鱇を瓶に閉じ込め、ホースでスモークを注入して、瞬間燻製にした魚料理だ。容器を開けると閉じ込められていたスモークが自由になり、辺りに漂っていく。燻製の薫りとともに鮟鱇の柔らかい身を、甘みのある玉ねぎのソースで味わえば、口の中で舌鼓を打つ。口直しにきんかんが添えられているのが粋だ。

10.紀州鴨 黒にんにく 紅玉
肉料理は捻らずに直球だが、低温調理した鴨の胸肉が最高に柔らかく、美味しい。紀州鴨の素材もいいのか、脂も甘く、黒にんにくのソースとの相性もいい。好みの味だったかもしれないが、説明不要の美味しさだ。

11.白い吐息
ミントのメレンゲを液体窒素で急速に冷やしたもので、口に入れると口や鼻から白い吐息がこぼれる。橋本シェフが舌に乗せないようにと実演してみせるのだが、これが盛り上がり、店内に一体感が生まれいた。楽しい。

12.モンブラン
モンブランのエスプーマとストロベリーに、液体窒素で凍らせたホワイトチョコを振りかけて、冬景色のデザートに。動きがあるのに静かだ。

13.スノーボール みかんカシミール ラズベリーソーダー
曇りガラスから見る冬景色、というテーマで、これらのデザートがガラス扉の木箱に収められている。ガラスが曇っており、その向こう側に、みかんとカシミールのマカロン、銀箔が入ったゼリー、パチパチするオランジェットなどが覗け、この曇りを指でなぞるとバラの香りがする。スノーボールは膜が張った球状のものだが、これは分子ガストロノミーの調理法のひとつか。

とっても楽しく、わくわくし、そして美味しかった。素晴らしい。途中自然と気持ちもあがり、いつもよりも饒舌になったりもした。

食べ終えてから、周りの人たちが次の予約を次々としていくのを横目に見ながら、しばらく黙って物思いにふけっていた。セララバードで見た世界観はさりげなく、きれいで、恐らくいくつかの紆余曲折を経て完成されたものだろう。ここを真似るお店も多いし、海外から取り入れてきたものもあるだろう。分子ガストロノミーだの、イノベイティブだのと、言葉の表現だけは知っていても、僕にはまたまだ知らない世界がある。シェフでも、ソムリエでも、フードコーディネーターでもない、ただ食べ歩きが好きなだけの自分だけれども、知らない世界があると知りたくなる。

ほんとうにまたいきたいのだが、次の予定まで立たず、予約を断念したまま代々木上原の住宅街を後にして、深夜映画を観にいった。その夜、観た映画に目頭が熱くなったのはなぜだろう。

2018/03/07 更新

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