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夜の点数:4.5
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料理・味 4.7
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|サービス 3.5
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|雰囲気 3.5
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|CP 2.0
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|酒・ドリンク 4.0
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[ 料理・味4.7
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| サービス3.5
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| 雰囲気3.5
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| CP2.0
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| 酒・ドリンク4.0 ]
シンプルこそ至高
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ランプ肉のステーキ(三田牛)
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スモークサーモン(半身)
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コンソメスープ(デミタスカップ)
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グリーンサラダ
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2015/11/02 更新
まずはスモークサーモン。
スモークサーモンといえば、サーモンの薄切りが並べてあるもので、しばしばケッパーとタマネギと共に供され、レモンビネガーがかけられたり時には漬けられているといったものがイメージされるところである。しかしながら、この店のスモークサーモンは、「切り身」である。しかも厚みも結構ある。一切れを二人分でシェアしたので、背側と腹側で分けられているものの皿に鎮座するのは、「切り身」である。しかも、皮付き。香りも相当強く、燻製の香りが強烈に漂ってくる。添え物としてはレモンとキュウリのピクルスと紫芽(? 刺身にしばしば添えられるつまとしてみかけるもの)。
皮付きのスモークサーモンは初めてである。「是非皮の部分も召し上がってください」とのこと。普段より焼鮭の皮を好んで食す小生は喜んでしまう。レモンについては「まずはレモンを搾らずに、その後でお好みで」とのこと。ということで、まずは、身をナイフで切る。身は半レア状態。口に運ぶ過程で、フォークに刺さった身からスモークの香りが鼻腔を刺激し味覚の興奮がが最高潮に達し、これを口の中に。身のほぐれ方が絶妙である。口中で旨味が豊かに広がる。塩加減も絶妙、濃すぎず薄すぎず、腹側なので身の脂は相当あるがこれに負けることがない。次に皮を付けて食す。皮周りの旨味も余すことなくというメリットのみならず、皮が纏っているスモークの香りが存分に口中で活躍する。白ワインがついつい進んでしまう。皮は丹念に鱗が取り除かれており皮自体も美味い。スモークサーモンという料理の概念が書き換えられた気分である。後半の脂のより多い部分で、レモンをかけたが、もちろんこれも美味であったが、またの機会があれば脂の多い部分でもそのまま食べてみたいと思えた。なお、添え物のキュウリのピクルスも酢のキツいものではなく塩加減のちょうど良いサラダ感覚のもので主役を決して阻碍しないことも特筆して良いであろう。
スモークサーモンと白ワインに舌鼓を打った後は、コンソメスープである。デミカップとティーカップの2サイズあるようだが、スープで腹がたぷたぷになってはもったいないのでデミカップとした。浮き実は、なんと、蓴菜。こういった意外性は料理における良質な演出であり、非常に楽しい。香りも良い。口に含んだスープの芳醇な旨味の拡がりはこれまた実に美味い。しっかりとした味ながら下卑てなく、上品かつ芳醇な絶品である。結果論だが、非常に重厚なスープのため、デミカップで分量的にちょうど良かった。
スープを飲み終えたところで、赤ワインを注文しデキャンタしてもらっている間に、グリーンサラダが運ばれる。シンプルなドレッシングにトマトとレタスとオニオンスライスというこれまたシンプルな取り合わせ。奇を衒わないこのシンプル加減がすばらしい。トマトも非常に美味しいものを使っている。また個人的には、一般的にサラダ類は、常に葉物の大きさが一口大でないものが多いことを不満に思っているのだが、ここではきちんと一口大だ。
そしていよいよメインのステーキ。各所にて絶賛されるこのステーキ、否が応でも期待が高まる。肉も三田牛。なにやら凄い能書きの説明を受けたが、ちっとも頭に入らない。肉は美味いか美味くないかであり、きっと美味いに違いない。それに疑いを抱くわけがない。この日は、サーロインとランプ肉から選択可能であったのでランプ肉を選択。噛み応えのある赤身肉贔屓となっている小生としてランプ肉はじつに嬉しい。これを350g、塊で焼いたものをシェア。正直に言えば、数字だけみれば一人で食べてもいい分量かなとも思い、さらに肉を追加しようかとも思ったがこれまでのボリューム感で思いとどまる(値段のこともあるが。。。)。
焼き加減が、ここは、「この肉のポテンシャルを最大限に引き出す焼き方でお願いします」と。レアもミディアムもウェルダンもそれぞれの良さ旨さを理解しているつもりであるので、提供者に下駄を預けるのが正解だと思う。結果として、ミディアムレアのレア寄りにて提供を受ける。
赤ワインを飲み尽くさないようにしつつ舌鼓を打ちながら焼き上がりを待つ。題名ブツの炭焼きステーキ。塊ごとじっくり焼き上げられ、塊のまま(もちろんシェア分は切り分けられるが)提供される。見事だ。実に見事だ。こんがりとした表面は褐色に焼き上げられつつ、断面の鮮やかな薄桃色と濃い赤の二層構造が視覚的にもすばらしい。余分な油やソースはかけられていない。添え物はインゲンとニンジンのグラッセとベイクドポテト。これまた実にシンプルである。調味料はマスタードのみ。ただそのマスタードも、「できればそのままお召し上がりください。後でお好みでおつけください」というもの。要するに、素材そのもののポテンシャルをなるべく活かしてシンプルに提供。全くもって同感である。小生は元々、ステーキは、塩胡椒のみで食するのが好みである。理由は、「ソースが邪魔だから」である。塩胡椒だけで十分だ。美味い肉であればあるほどそれはそうなる筈。口にする前からマックスハイテンションである。
そして、記念すべき一口。カリッ、サクッ、ジワーッである。ジュワーではない。「ジューシー」みたいな脂がジュワジュワなものを注文してはいない。ジワーッでいいのである。表面の香ばしさが食感により強調され、引き続く薄桃色に色付いた部分がさっくり感でほど良い肉汁のほとばしり、そして濃い赤の部分のしっとり感となめらかさが官能的である。じっくりと味わい堪能する。そして時折ワインを口に含む。至高の至上の取り合わせである。もちろん、肉の形状により焼けムラがある。それは食べる側に採ってみれば三層構造の配分の問題に過ぎない。それらのそれぞれを楽しみ尽くす。赤身肉ゆえの、噛む毎にほとばしる旨味の拡がり。サシの多いA5の霜降りのようなものも、あれはあれで良いが、ステーキはこういった赤身肉でこそ活きる。口に含むワインの量がますます増える。
350gのシェアなので175g。注文時にはちょっと足りないかなあとも思いつつも、十二分な満足度である。掛け値無しに十分な量である。もうこれ以上は要らないと思えるほどの充足感に満たされた。