ゆうじ88さんの行った(口コミ)お店一覧

ゆうじ88が訪問したレストラン、と名付けて頂きました

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これらの口コミは、訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。詳しくはこちら

120 件を表示 56

バー オスカー

バー 百名店 2022 選出店

食べログ バー 百名店 2022 選出店

バー オスカー

赤坂、西鉄福岡(天神)、天神/バー、ワインバー

3.89

321

¥3,000~¥3,999

-

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

昼の点数:5.0

入籍記念日の旅行、2日目。 呼子でイカの活け作りを頂いた後、この日の宿泊地である 福岡に戻り、レンタカーを返却した後に真っ先に向かったのがバー「オスカー」さん。 オーナーバーテンダーの長友氏とは実は随分と古い間柄で まだお互いが若かりし頃、バーテンダーとしてのカクテルコンペティション(創作カクテルを競う大会)に、それぞれの地区予選を勝ち抜いて出場を果たした全国大会で知り合い、何度か一緒に出場しているので、自然と「またお会いできましたね」というような言葉を交わすようになったのだ。 (勿論結果は長友氏のファンの皆様なら承知していらっしゃると思われるが)(苦笑) そのようなご縁を頂き、私はなにかと福岡に訪れる際は 必ず長友氏のカクテルを頂きに向かうのだ。 氏の素晴らしさはカクテルの調合技術だけではなく、その 人柄にある。 いつも紳士であり、ダンディズムをたたえた雰囲気、立ち居振舞い……。私とはほぼ同年代でありながら常に見習いたいと思っている。 この日は食事に行く前のアペリティフとしてのカクテルを 楽しみにしていた。 氏のお店も例外無くコロナ渦に悩まされ、現在は営業時間をなんと14時よりオープンして、ラストオーダー19時、閉店は20時と、以前なら考えられない営業をしていた。 私も妻と食事をするので当然のように来店時間を早めざるを得なかったのだが、やはりこんな明るい時間帯に氏の お店に行くのはなんだか……。 それでもやはり氏はいつものように笑顔で迎えてくださった。 まずはジンフィズをオーダーする。 うん、美味しい!! やはり氏のカクテルはいつも優しい味がするのだ。 シェイクは銀座の修行時代、バー ロオジェの上田和男氏 直伝の三段振りのハードシェイクなのに、その技法故に 大量に発生する細やかな気泡がアルコールのカドを包み込み、カクテルを円やかな味にするのだ。 ここでバー好きな諸兄に問いたいが、皆さんは「ヨコハマ」というカクテルをご存知だろうか? 横浜ニューグランドホテルで生まれたこのカクテルは、今や古典と言っても差し支えないスタンダードなカクテルなのだが、今の若いバーマンにこのカクテルを注文すると、 「少しお待ちください」と言って店の奥にあるカクテルの レシピ本を覗きに行く人が多くいる。 それを長友氏はいとも容易く材料を準備し、調合を始める。 やはり良いバーマンとは、スタンダードカクテルを大切に する。どんなスタンダードカクテルも最初は誰かのオリジナルのレシピだったはずだ。 それが多くの人に支持され、世界中へと広がり、やがて誰もが知るスタンダードになっていく。 その偉大な先達のカクテルをバカにして、見た目華やかなオリジナルばかりに熱心になっても、そんなバーマンは基礎が出来ていないので、出来上がりも薄っぺらな物になる。 氏の「ヨコハマ」は、写真で見ると原処方よりも赤みが薄いのが解ると思うのだが、これは「最近は良いグレナデンシロップが無くなってしまいました。なので自分で○○と△△をブレンドした物を使っています」と教えてくれた。 このカクテルが誕生した時代背景と、童謡「赤い靴」に出てくる女の子がカクテルグラスを通してイメージできる…。 氏はそこまで読みきってこのレシピで調合したのだろう。 本当に優れたバーマンとはこのような人である、としみじみと感じる一杯であった。 ご馳走様でした。次はいつもの時間にお邪魔したいものですね。それまでお元気で。

2021/02訪問

2回

白馬リゾートホテル ラ ネージュ東館

白馬、信濃森上/フレンチ、オーベルジュ、バー

3.36

34

¥20,000~¥29,999

-

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:5.0

料理そのものが素晴らしいのに加えて 支配人以下、スタッフ全員のホスピタリティが 賞賛すべき点だと思う。

2017/08訪問

1回

タワーズバー ベロビスト

渋谷、神泉、代官山/バー

3.58

320

¥5,000~¥5,999

¥3,000~¥3,999

定休日
-

夜の点数:4.6

素晴らしいディナーを頂いた続きは、すぐ隣にあるバー&ラウンジの「ベロビスト」へ。 こちらで〆のナイトキャップを頂こう。 妻はかなり酔いが廻りご機嫌な様子。普段あまり飲まない人だから余程ディナーがご満悦だったようだ。 妻にはもう軽めのカクテルを、と思い、モスコミュールをヴォッカ少な目で。このバーのモスコミュールのレシピは源処方を尊重する為ジンジャーエールではなくジンジャービアーを使用するらしく、余分な甘味が無いのでスッキリと飲めるだろう。 私はジンベースのカクテルで、シャルトリューズのジョーヌをヴェールに変更した、いわゆる「グリーンアラスカ」をオーダーした。 最近はこれが気に入っており、以前はフレンチのアフターはマールやグラッパ、シャルトリューズはリキュールグラスでストレートで飲んでいたが、この「グリーンアラスカをハードシェイクで。」とお願いすると、ハードなアルコール同士の組み合わせでも柔らかくなって飲みやすくなり、細かな氷片がグラスの表面に浮かび冷たさを維持する役割も兼ね添える効果があるからだ。 先程のレストランとは微妙に窓越しの風景が異なるのだが、渋谷のスクランブルスクエアの隣に見えるのが東京スカイツリー、ギリギリ視界に入るのが東京タワー。 間には新国立競技場が望める。 鴨長明の方丈記「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず……」が頭の中を過り、諸行無常を感ぜずにはいられなかった夜景を眺めていた。

2020/10訪問

1回

The ANCESTOR nagoya

名古屋、名鉄名古屋、近鉄名古屋/バー

3.03

2

¥4,000~¥4,999

-

定休日
日曜日、祝日サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:4.5

長らく名古屋マリオットアソシアホテルのメインバー 「エストマーレ」をチーフバーテンダーとして勤めあげられた福手氏が独立し、開店したバーがコチラだ。 さっそく……  と言いたいが既に開店してしばらく経過していたようだ。 まだ陽も落ちきらない夕方の16時。 妻を連れだって初訪問した。 この日はこの後バンテリンドームでの野球観戦を予定しており、18時のプレイボールにあわせての訪問となったので、ゆっくりする…という訳にはいかなかったが、16時のオープンならその前に伺えば……となったのだ。 目の前にあるコインパーキングに車を停めたのが開店5分前。 ちょうど時間になったので車から降り立ちお店へと進む。 ビルの二階にあるお店にたどり着き、扉を開き中に入れば 人懐っこい笑顔の氏がカウンターの中で出迎えてくれた。 開店直後ということで勿論他にゲストはいなかったが、良いバーとはこうした口開けに利用するのが一番良いと思う。 まだ凛とした空気に包まれた店内、その微かなバーマンの緊張感を感じながら、私も背筋を伸ばして…… オーセンティックなバーは、こうした「駆け引き」がお店の雰囲気を作り上げていくのだと思う。 とはいえ 氏とは公にも私的にもわずかだが関わりがあり、最初から砕けた挨拶から始まった。 先ずはファーストドリンクだ。 私はジントニック、しかしトニックウォーターだけではなくソーダも加えて、とリクエスト。 妻はハンドルを握ってもらっているので、何かノンアルコールのカクテルを、とお願いした。 良いバーマンは たとえジントニックにでさえ拘りを持って製作するものだ。 その手法の一挙手一投足を見つめていると、氏がいかに優れたバーマンかが解る。 何も言わなくても完璧に私が「こうやってくれたら…」と考え求めている手法通りに製作してくれたジントニック。 ただのジントニックとはひと味もふた味も違う出来映えに言葉に出来ない満足感に包まれる。 妻のお任せには私に歩調を合わせるかのようにノンアルコールのジンをベースにしたカクテルを調合してもらった。 昨今のアルコール離れは顕著なようだ。 ついにノンアルコールのジンまで…… と思ったが、参考までに妻のカクテルを少しテイスティングしたところ、しっかりとジンの味、風味がするではないか。 ちょっとした驚きと、こうした飲料を同時にトレンドとして取り入れないといけないのか…… やれやれ、バーマンも受難な時代なのかもしれない。 その後は私だけがビターをソーダ割りにした物を頂いたが、その間にも男性1人、女性1人のニューゲストが来店し、まだ早い時間帯なのにも関わらず氏の人気ぶりが伺えた。 野球観戦の時間が迫っていたこともあり、頃合いが良いと思い会計を済ませたが、氏は扉まで見送ってくれた。 やはり経験が人を成長させる。 以前より人望の厚い氏ではあったが、最近はめっきり貫禄も備わってきたように思う。 このままこの地方を代表するバーマンになっていって欲しいものだ。

2023/05訪問

1回

タワーズレストラン クーカーニョ

渋谷、神泉、代官山/フレンチ、洋食、バー

3.62

337

¥15,000~¥19,999

¥8,000~¥9,999

定休日
火曜日

夜の点数:4.5

さぁこの旅行のメインイベント! 楽しみにしていた宿泊したセルリアンタワー東急ホテルのメインダイニング「タワーズレストラン クーカーニョ」でのディナーに向かった。 今までランチで二度三度利用したことはあったが、ディナーでは初めて。期待が高まる。 ドレスアップした妻をエスコートして最上階のレストランのエントランスへ。窓際のテーブルに案内されてさんざん部屋でウェルカムのシャンパンのボトルのほとんどを飲んで来たのにも関わらず先ずはシャンパンをグラスで頂きながら改めて今夜のメニューに目を通す。 魚料理は妻がオマール海老を、私はレストランが誇る伝統的なスペシャリティの「ブイヤベース」をチョイス。 メインはシャラン産の鴨胸肉(二人様より)を選んだ。 アミューズを楽しんでいると、そのブイヤベースで使用する魚介類のプレゼンテーションがあり、ホウボウやイシモチ、ハタなどが今夜の食材として提供されるようだ。 ソムリエールに赤ワイン好きな妻の為にあらかじめ選んだ今夜のワイン「シャトーコスデストゥルネルの1997年」のサーブをお願いする。 相談した結果、デキャンタージュしてもらうことに。 想像した以上に良い状態で楽しめそうだ。 次々に供される料理は季節感を演出しており、前菜の国産の松茸、スープのトリュフを共にふんだんに。メインにはセップ茸をガロニチュールに添えて各国のキノコを楽しませていた。 特にブイヤベースは秀逸で、演出、味共に申し分なく、オマールや鴨も火加減が絶妙であった。これ以上でも駄目、これ以下でも駄目というギリギリを見極めているから素材の良さを引き出せるのだと思う。 フロマージュのアシェットを楽しんで、妻が心待ちしていたデザートを。 これまた日本の秋を演出する内容で、最後まで楽しむことができた。

1回

BAR KouRyu

千種、車道、今池/バー

3.18

22

¥2,000~¥2,999

-

定休日
火曜日

夜の点数:4.4

入籍記念日の夜、素晴らしいレストランで食事を頂いた。 その余韻を楽しむ為、まだ家には戻りたくない。 もう少し どこか良い雰囲気のバーはないかな… と、探したところ、コチラを見つけた。 初めて伺うバーだ。 今夜の私達の気分に寄り添ってくれるなら良いが…。 レストランから徒歩で数分の場所に、僅かな光が見える。 そこがお店だった。 入り口から窓もガラス仕様になっており、そこから見える限りゲストは誰もいない。 「大丈夫かなぁ…」と思いながらも、今更他を探すのも いかがなものか。 半ば「えいっ!」という気分で扉を開けた。 店主にご挨拶をし、カウンターの一番奥の席に腰をおろす。 バックバーはシンプルだ。 が、気になったのは、カウンターの中央にサイフォンが置いてある。 もしや…と思いながら店主に 「アイリッシュコーヒーが飲みたいのですが…」と伺ったところ、ニコリと「大丈夫です」と。 カウンターの端には小さな黒板があり、各種フルーツの記載がある。 どうやらフルーツを使用したカクテルがお勧めのようだ。 妻は その中から「有田みかん」を使用したカクテルを飲みたい、とお願いすることに。 まずは妻のカクテルから。 フレッシュな絞りたての有田みかんの風味を活かした、優しい酸味と甘味の爽やかなカクテルだ。 あまり他の副材料を使わず、あえてシンプルなレシピに仕上げた、有田みかんの良さを引き出している。 「とっても美味しい!」と妻も満足そうだ。 私のアイリッシュコーヒーに取りかかって頂く番だ。 一旦 裏に下がり、コーヒー豆を曳く音が聞こえてくる。 それを持ち寄り、カウンター中央に置かれたサイフォンで丁寧にコーヒーを淹れる。 その間、スニフターグラスに注がれたアイリッシュウィスキーを、サイフォンに使っていた炎で温めている。 こんなに丁寧に作られるアイリッシュコーヒーは初めてだ。 やがて温められたウィスキーは炎を纏う。 アルコールが燃えて出来る美しい青い炎が、高い位置からカップめがけて注がれる。 アイリッシュコーヒーのサーヴとしては見事と言う他ない。 しばし見とれていると、今度はそのカップに淹れたての香り高いコーヒーが注がれ、更に目の前でホイップされた生クリームとシュガーが仕上げに加えられた。 こうして提供されたアイリッシュコーヒー。 パッと見ただけではウィンナーコーヒーのようだ。 飲み方も上澄みのクリームを抑え気味に その下にあるコーヒーを啜るのだろう。 そこまでは普通のアイリッシュコーヒーと同じだ。 しかし曳きたての豆を使い、サイフォンで丁寧に淹れたコーヒーと、加熱し、温められ、アルコールの成分が飛んだアイリッシュウィスキーの香りと味わい、そこに加えられるクリームの円やかさ、シュガーの甘味…… これ等が渾然一体となって舌を、鼻腔を、喉越しを、胃袋を、心を…… まさに五感の全てに訴えかけてくるのだ! 先程のレストランでとても満足する食事をしたが、まさかの続編が待っていたとは……。 なんと素敵な夜だろう!! 夫婦共に満たされた記念日になった。 ありがとうございました。

2024/02訪問

1回

BAR 土岐

栄(名古屋)、栄町、久屋大通/バー

3.03

1

¥4,000~¥4,999

-

定休日
日曜日、祝日サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:4.4

久しぶりに先輩社員だった方のお店に妻と一緒に伺った。 この日は名古屋マリオットアソシアホテルのメインダイニング「ミクニ ナゴヤ」て三國清三シェフの美食会があり、夫婦二人で出席した帰りだった。 ディナーの後は自宅には戻らずに、栄にある東急ホテルに宿泊することにしていたので その後はコチラにも訪問して 先輩に妻を紹介しておきたかったこともあった。 普段ならフレンチの食後にバーを利用する際は、マールやグラッパ、それにシャルトリューズのようなリキュールを飲むのだが、この日は軽くパスティスを。 先輩は「ぺルノーしかないけど いい?」と 気をつかってくれるので「もちろんです。」と。 「水割りで?」 「はい。」 正直、オンザロックの気分だったが、先輩に遠慮している自分がいる。 妻にはモスコミュールを作って頂いた。 しばらく昔話に花を咲かせたが、他のお客さんが入って来た。 ご繁盛のようだ。我が事のように嬉しくなる。 もう1杯だけ頂いたら帰ろう。 軽くジンをソーダとトニックウォーターで割って頂こう。 忙しいなか、その後もタイミングをみては構いに来てくれた先輩にお礼を申し上げ、会計を済ませて店を出た。 先輩、ごちそうさまでした。ますますのご活躍をお祈りしていますね。 しばらくご無沙汰していた、私の先輩バーテンダーにあたる 土岐昌一さんが、昨年ホテルを退職して始められたお店だ。 氏は長きに渡りH.B.A.(ホテルバーメンズ協会)という組織の東海支部において支部長を歴任された方で、バーテンダーとしての知識、技量は勿論のこと、その温厚かつ冷静さが魅力の優秀な人物として尊敬している。 開店してから随分と時間をやり過ごしてしまったが、私なりに 土岐さんはファンの多い方なので、私のような者が伺ってもかえって邪魔になる、と思っていたからだ。 ようやくこの日、初の訪問が出来て嬉しかった。 相変わらず飄々とした所作、語り口は変わらないままだ。 世話をかかせては… と、この日はジントニックとモヒートだけにしておいたが、次回はもう少し腰を据えて飲みにこよう。 それまでお元気で。ご繁盛をお祈りしております……。

2022/12訪問

2回

バー スプーン

野町/バー

3.57

82

¥4,000~¥4,999

-

定休日
月曜日

夜の点数:4.3

金沢のバーでは「三本の指」に入っていると思える名店。 それがコチラ「スプーン」さんだ。 私にはお店が入っているビルの入り口からわずか数メートル先の扉を開くまでの距離が、時間が、非日常の異空間へと繋がるように思える。 先程まで職場の仲間達と大はしゃぎながら飲み、語らい、気持ちを躍らせた時間から わずか数分後の今、私は再び背筋を伸ばし、その扉を開けた。 そこには先客の楽しげな会話も響くなか、やはり凛とした空気が満ちていた。 マスターの笑顔でのお迎えが、そんな微かな緊張感を取り除いてくれる。 まだ先程までの高揚感が修まらない。 そんな気持ちを先ずは押し静めたいと注文したのは、マスターに相談して決めた「モエ・シャンドンのマール」だ。 同社のシャンパーニュを作る際に絞るピノ・ノワールを再利用して蒸留する、いわば「カスとり」ブランデーだ。 イタリアのグラッパもこれと同じようなものだが、いずれもディジェスティフとして私が愛飲するものだ。 ゆっくり…  そう、ゆっくりでいい。 先ずは心を静めよう。 そしてこの名店の醸し出す雰囲気に酔いしれよう。 そんなことを思いながら改めてバックバーを見渡すと、そこに珍しいボトルを見つけた。 オランダのBOLS 社の「ゴールドリキュール バレリーナボトル」だ。 あまりの懐かしさにマスターにボトルを見せて欲しいとお願いする。 このボトルの中には大量の金箔が入っており、ボトルを振ってみると中の金箔が紙吹雪の如く舞い上がり、そこをネジを巻いたバレリーナが周り踊る仕掛けになっているのだ。 昔はこんな個性的なボトルがいろいろあったなぁ……。 哺乳瓶の型をしたアルマニャックもあった。 最近の酒のボトルには「遊び心」がなくなってしまったように思える。 それだけメーカーが、世の中が、余裕がなくなってしまったのかもしれない……。 「ネジが壊れてしまい、バレリーナは踊れないんですよ」 マスターの言葉が そう教えてくれているようだ。 さぁ、先の宴でも沢山のお酒を頂いたのだ。 最後の一杯で楽しかった今夜を締めくくろう。 最後に私が選び、お願いしたカクテル「Between the seat (寝床に入って)」で。 いつも感心させられるのだが、優れたバーマンは こんな個性的で、しかも他客がめったに注文しないようなスタンダードカクテルでも いとも容易く仕上げてしまう。 慣れないバーマンや、基本を大切にせず、オリジナルカクテルばかりを熱心に創作し、スタンダードを疎かにしているバーマンでは こうはいかない。 この懐の深さ。 バーマンとしての知識、技量以外にも これまでの人生経験、お店を通じての様々な人達との繋がり、出来事…。 そういった全てが この名店の持つ雰囲気を醸し出しているのだろう。 マスター。 私が金沢の地を再び訪れる時まで どうかお元気で。 金沢でお気に入りのバーを開拓した。 が、そちら一択ではまだまだ金沢の夜の懐の深さを知るには至らない。 まだまだ素敵なバーはあるはずだ。 そこで食べログの諸兄のレビュー写真を参考に、コチラに伺うことにしてみた。 夕食を頂いたお店から歩くこと15~20分程度でお店に到着したように思えたが、この日は結構な冷え込みで、最初のお店の酔いはすぐに吹き飛んでしまった。 そんな寒さに身を縮めながら扉を開ける。 オーセンティックな、老舗のバー独特の雰囲気を湛えたお店だ。 初老と言っては失礼か。しかし背筋の真っ直ぐ伸びた、穏やかな笑顔のマスターが「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる。 生意気だが、そのファーストコンタクトだけで 私にはコチラのお店は一流だと解った。 それほどまでに年季の入ったバーマンには一朝一夕にはなれるものではない。 醸し出す雰囲気、自然な表情……。  どれひとつ完璧だ。 長くお店を、バーマンを続けてきた人だけが幾度かの経験を重ねて初めて得ることのできるものだ。 最初の飲み物には何か温かくなる物がいいな……。 マスターに「ホットバタードラムを。」所望した。 バックバーからキューバンラムを取り出し、慣れた所作で提供されたカクテル。 とりわけ難しい技術は必要ないように思われるが、使用するラムの銘柄、グラス、バターの量とその銘柄、シュガーの量、お湯の温度…… 僅かな事ではあるが、優れたバーマンにはそんな些細な事にもこだわりがあるものだ。 真冬のような時期ではないが、そうした外気温の違いにも配慮した1杯が届けられた。   ……美味しい。  冷えた身体を優しく包み込んでくれるようなカクテルだ。 すっかり鋭気を取り戻した私。 次なる1杯は何にしようか……。 そうだ。テキーラにしようか。 金沢でお気に入りになったバーのマスターが、ちょっと珍しいテキーラを飲ませてくれたっけ…。 コチラではどんな銘柄を勧めてくれるのだろう…。 さっそくマスターにテキーラを所望する。 「どのように召し上がられますか?」と問われ、クラッシュアイスを詰めたグラスに注いでください、と。 マスター、しばらく間を置いた後 1本のボトルを取り出し、「メスカルですがコチラでいかがですか?」 優れたバーマンの勧めだ。逆らうはずもない。 では、と頂いたメスカルは、なるほどテキーラほどの洗練された感は無いが、僅かながらアガベの粗野な、武骨な風合いを漂わせている。 「よかったらコチラもご一緒に。」と差し出されたグラスは、マスターが「ストレートで飲むとよりわかりやすいですよ」と勧めてくれた物だ。 こうした配慮もさすがと思わせる。 楽しい。が、しかし どこか凛とした雰囲気がお店の風格を感じさせる。 散々酔った後に利用することなどあってはならない。 そんな素晴らしいバーだ。

2023/11訪問

2回

バー ラビット・ホール

高山/バー

3.07

4

-

-

定休日
月曜日サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:4.3

高山への旅、2日目。 高山のフレンチの名店「Le Midi」さんで食事をした後は コチラに赴くことがお約束の流れになった。 私が高山ではNo.1のバーだと思っている「ラビットホール」さんだ。 このお店のご主人(それと奥様)はとてもアブサンに造詣が深い方で、そのコレクションには驚愕に値する。 一度、ご自宅にお招き頂いた時には 「世界にはこんなにもいろんなアブサン(パスティス)があるのか……」 と、自分の無知を恥ずかしく思った程だ。 勿論カクテルも美味しいし、料理も美味しい。 しかし私の目的は1にも2にもアブサンカクテルだ。 アブサンファウンテンという器材を使用するのだが、このアブサンファウンテン自体を諸兄はご存知だろうか? ファウンテン(泉)のごとく数ヶ所の蛇口があり、その蛇口の下にアブサンを染み込ませたキューブシュガーに火をつけたグラスを用意する。 アルコールの青い炎がついたキューブシュガーめがけて雫を落とす。 好みの分量になったら雫を止め、グラスに氷を入れてアブサンカクテルの完成だ。 アブサンの多くはアルコール度数が50度を越える故に中毒性があり、フランスでは過去に販売中止になった事も。 そんなキックの効いたカクテルだから、食前に飲む人もいるだろうが、私にはアフターディナーのお気に入りの1杯として頂いている。 しかしこの日もアブサンの話に花が咲き、いつしか3杯も頂いてしまった……。 私を虜にする。 そんなお店であり、アブサン(パスティス)達なのだ。 前回の初めての訪問の際、とてもお世話になったご主人が営む素晴らしいバー。 今回も「高山に来たら夜の最後の締めくくりはコチラで」、と決めてしまう程素敵なお店だ。 この日の高山はG.W.明けということもあってか、乱暴な言葉で表現するとまるでゴーストタウンのような、お店も臨時休業、人通りもない状態。 そんな中にあってコチラのバーだけが満席で、今回も1人だけだったのでなんとかカウンターの端に入れてもらった次第。 アミューズは前回同様手作りの物やフルーツ等が3種類。 どれも美味しい。 ドリンクは勿論アブサンだ。 今回もアブサンファウンテンを用いて水割りにしてもらった。 ぺルノーやリカールといった代表的なパスティスぐらいしか飲んだことのない私にとって、コチラのコレクションはまさに「目から鱗が落ちる」思いだ。 この日は前回の訪問時以上にお店にお客さんが来店してきたので、ご主人とゆっくりお話を楽しめるような状況ではないと判断して、「また今度ゆっくりさせて頂きます」と言ってお店を離れた。 外に出ると街は相変わらず人通りもなく寂しい。 まるでこのバーだけが別世界のように思えてしまった…。 妻と春の高山を訪れる旅⑪ この高山の旅、最大の喜びと驚き、感激に出逢える事になったお店をご紹介したい。 私がこのお店を知るきっかけになったこと。それは食べログでの紹介の書き込みがまだ少ないコチラで、投稿者の写真を見たのだ。 「これは?……  アブサンファウンテンか?……」 投稿者の写真と、アブサンファウンテンの記載はあったが飲んではいらっしゃらないようなので…。 私も知ってはいたが、実物は見たことがなく、勿論飲んだこともない。 ひたすらアブサンファウンテンだけに興味を引かれたのが訪問のきっかけだった。 日中、街を散策途中にお店の場所を確認したら、開店前の店内に美しい女性と小さなお子さんが。 お店の感じからコチラで間違いないのだが……。 「コチラはバーですよね? 今夜は営業されますか?」と声をかけたら、奥に居るのであろうご主人とおぼしき人に聞いてくれている。  すぐにご主人が現れてくれ、営業していることと、 「よかったらお席もお取りしておきましょうか?」と。 訪問するなら21時ぐらいになりそうで、予約までは申し訳ないと思ったのだが、「ではお待ちしております」とのご好意をむげに断ることもない。 さて、夜も深まり私も妻も先の二軒でご機嫌だ。 ではお待ちかねの「ラビットホール」さんに向かいましょう! お店に着いて扉を開ける。 やはりお昼間と違い、バーの雰囲気に期待値も高まる。 お店は満席に近い。そんな中わざわざ席を空けて待っていてくださったことに感謝を申し上げる。 アルコールがあまり強くない妻はご主人のお任せで何かカクテルを。 私はアブサンファウンテンを使用したカクテルをそれぞれお願いした。 先ずは妻のカクテルから。 ベルガモットのリキュールを使用したカクテルだ。 グラスもセンスの良い物を使用している。 私の番だ。 初めて実物を見て、それを使用したアブサンカクテル。 お店の先客方も見るのが初めての方ばかりのようで、ご主人の手元に皆の注目が集まる。 アブサンスプーンにシュガーを置き、アブサンを浸す。 火が灯される。美しい青い炎が立ち上がる。 そこへアブサンファウンテンからゆっくり… ゆっくりと 落とされる雫…… 皆、儀式を見守るかのような雰囲気だ。 やがてシュガーは溶け去り、白濁したカクテルがグラスを満たす。 香りを聞いてみる。アブサンらしい香りは柔らかく感じる。アルコールの強い刺激はほどよく残っていた。 口に含む。いつものパスティスとは全然違う。 官能的な香りが口内に立ち込める。 旨い……  久しぶりにアブサンを飲んで旨いと思った。 その後はご主人との話が盛り上がり、なんと翌日ならもう1つの、普段は美人の奥様(やはりお昼にお会いした方は奥様であった)がお店を見ているカフェ&バーに来て下さい、もっといろんなアブサンをご覧頂けます。私も明日、そちらに伺うので、とまでおっしゃって頂いた。 いやはや、今回の高山は充実した旅になりそうだ。 ご主人とは翌日、再びの再会を約束してこの日は宿泊先のホテルに向かった。

2023/01訪問

3回

エストマーレ

バー 百名店 2022 選出店

食べログ バー 百名店 2022 選出店

エストマーレ

名鉄名古屋、名古屋、近鉄名古屋/バー

3.70

178

¥3,000~¥3,999

-

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:4.3

名古屋駅の駅ビルに名古屋マリオットアソシアホテルがあり、 そのホテルのメインバーがコチラの「エストマーレ」さん。 娘と夕食前の待ち合わせをして、アペリティフを頂こう。 重厚さを感じる設えは、一流ホテルのメインバーに相応しい。 バーテンダーの方々も知識、技術、接客もしっかりしており、とても素敵なバーである。 この日は私が「ネグローニ」をヴェルモットをドライな物に変えてもらい作って頂いた物を。 娘は「モヒート」を注文した。 知人でもあるコチラのマネージャーに、ホテルの開業の周年記念にブレンドしてもらいました、という「イチローモルト」を勧めて頂き、大変美味しくいただきました。 ありがとうございました。

2021/03訪問

1回

メインバー リーダーズ

岡山駅前、岡山、西川緑道公園/バー

3.37

28

¥4,000~¥4,999

-

定休日
-サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:4.2

妻と待ち合わせをしての岡山での旅。 そぼふる雨の中、名勝「後楽園」を散策して一旦ホテルに戻る。 夕食の予約時間を19時にしていたので、ホテルの部屋で小休止の後、どこかのバーでアペリティフでも…と思い、コチラに伺うことにした。 JR岡山駅の駅舎の隣に位置するホテルの最上階にあるコチラのバー。 開店時間を少し過ぎていたが、どうやら私達が口開けの客のようだ。 バーマンがにこやかな笑顔で迎えてくれた。 いつもなら 私はバーを利用するならカウンター席を希望する。 大概バーを利用する時は1人で… ということが多いからだ。 こうして稀に妻を誘うこともあるが、私と違い、妻はお酒にあまり欲が無い。 カクテルなども 専らロングドリンクで、ハードリカーなどは試しに口をつけても「うわぁ!…」と言って その後しかめっ面をする程だ。 そんな妻だが、酒好きな私に無理に付き合ってくれている 。 やっぱり優しい人だ。 その妻には バーのお勧めのカクテルを。 苺を使用した3種類の中から一番美味しそうなロングドリンクを選んだ。 私はと言えば…… バックバーに見たことの無いボトルを見つけた。 なんだろう… 「岡山」とラベルに書いてある。 先程の笑顔が素敵なバーマンに尋ねたところ 「この辺りで作っているクラフトのスピリッツです」 との答えが返ってきた。 なんでもこの辺りの日本酒の酒蔵が製造しているスピリッツだそうで、ジンからヴォッカ、ウィスキーまで作っているそうだ。 最初、想う…… 日本人が洋酒の類い(ワイン、ウィスキー、スピリッツやビールまで)を、それぞれの思い、テロワールを活かした特徴ある酒造りを頑張っている。 それはいい。 それは素晴らしいのだ。 ただ、いただけないのは価格だ。 例えばクラフトビール。 「たまには美味しいビールを…」「たまには贅沢な…」の思いで飲むなら解る。 しかし それは毎日毎日続けて飲める物なのか? 私は自身の興味もあり、また仕事柄 世界の様々なビールを飲む機会に恵まれた。 が。私自身の結論は「一番美味しいビールは日本の大手メーカーが作っているビール」だ。 それは毎日飲める、飲みたくなるビールだ。 しかし他社が頑張って作っているクラフトビールは 果たして毎日飲みたい物なのか?… 価格は毎日支払うことに抵抗なく支払える金額か?… 話はいつものように脱線したが、私はそんな理由で国内でクラフトのスピリッツやビールは旅先でのみ、楽しむことにしている。 その岡山で出逢ったクラフトのスピリッツの中から選んだのはジンだ。 ヴォッカは基本的に「無味・無臭」な物で、なかには「ズブロッカ」のようなヴォッカもあるし、近年ではフレーバードヴォッカも各メーカーから販売されているが、特徴が掴み辛い。 ましてやウィスキーは…… またまた話が脱線するので、それはまた次の機会に。 故に 今回は最もテロワールを感じる事ができる、ジンを選んでみた。 (ちなみにこのジンもお店のスピリッツの中では高価格帯に属する物だった。) 先ずは妻のカクテルが届けられた。 苺の魅力を引き出した色、味わい。 妻曰く「今まで飲んだカクテルの中で一番美味しい!」とまで言わしめた物だった。 地物の苺か、と思ったが、「最初は岡山産の苺を使用していたが、もうシーズンが…」と、今では栃木県産の苺を使用している、との事。 それもいい。 無理してピークアウトした苺を使用するよりも、より美味しい苺を使用するのは、バーとしては正解だ。 私のジンは… と言えば、 かなりのボタニカルを意識させる仕上がりのジンだ。 ジンの特徴であるジェニパーベリーも香るのだが、それ以上に他のハーブが主張してくる。 最初はオンザロックで「そのまま」を。 別皿でライムを頂いたので、それを絞ってみたが、あまり合わなかった。 やはり様々なハーブが柑橘類を「選ぶ」のだろう。 「ジンのオンザロック=withライム」という方程式は、このジンには当てはまらないようだ。 テーブルチャージとしてなのか、オリーヴや生チョコが供された。 柑橘類を絞って入れるよりも、小豆島産のオリーヴをグラスに添えて、マティーニ風に頂いてみたのも一興だろう。 窓際のテーブル席からは岡山駅を離着する列車が。 街並みも、岡山城も一望できる。 ロケーションも素晴らしい。 ゆっくりと銘酒と共に寛ぐには岡山界隈では最上だ。

2024/03訪問

1回

Grand Bleu Gamin

フレンチ WEST 百名店 2023 選出店

食べログ フレンチ WEST 百名店 2023 選出店

Grand Bleu Gamin

宮古島市/フレンチ、オーベルジュ、バー

3.77

169

¥15,000~¥19,999

¥3,000~¥3,999

定休日
-

昼の点数:4.2

宮古島での勤務の休日。 島まで来てくれている妻と一緒にドライブに出かけた。 勤務先からカーシェアの車を走らせること約40分。 コチラのお店に到着した。 コチラは本来はリゾートホテルの中にあるダイニングで、基本的には宿泊者の為に営業しているようだが、席が空いていればビジターでも受け入れてくださるようだ。 予約をした時間よりも10分程早く到着した私達。 入り口辺りで写真を撮るなりしていたら、お店(ホテル?)のスタッフが出てきてくれて  「食事のご予約のお客様ですか?暑いのでよろしければ中でお待ちください」 と声をかけてくれた。 それでは、と中に進むと洒落たインテリアのウェイティングスペースが。 ホテルオリジナルのグッズの販売もしているこの場所で、 「ランチのお席の準備が出来ますまでコチラでお待ち下さい」と。 メニューもお持ちします、と言われたので妻と拝見することに。 最初は二人共に同じコースを…と思っていたが、メニューを見て気が変わった。 追加メニューにお店のスペシャリティが紹介されていて、それが食べたくなったのだ。 結局私はパスタとメイン、妻はメインに追加のスペシャリティ、という組み合わせにした。 それを仲良くシェアすることに。 ドリンクはこの日のハンドルキーパーは私だったので、サンペレグリノのボトルを これも二人でシェアだ。 前菜が。 私にはお店のもう1つのスペシャリティ「とうもろこしのムース」と「島野菜のシーザーサラダ」が。 このムースの上には非常に良質なムラサキウニが添えてあり、これ等を併せて口に運べば なるほど、もう1つのスペシャリティと自慢するだけのことはある。 雲丹が大好きな妻は大絶賛で 「私、コチラの方がいい。交換して。」と。 妻の方にサーブされた料理も美味しく、私はむしろコチラの方が良いくらい。 これまた良質な帆立貝を使用したセビーチェだ。 セビーチェ、シェフはペルー料理にも精通しているのか…。 とても美味しい、昔 南青山のペルー料理店で食べた感動が甦ってきた。 私達がメニューを決めてからの後、けたたましくボウルを打つ音が響きわたっていたが、それが次の料理に。 先記した追加のスペシャリティだ。 メレンゲを沢山泡立てる際、白トリュフのオイルを一緒に馴染ませ香りを載せる。 それを鉄板で丁寧に焼き上げる。 ふわふわの、かなり大きなサイズに見えるが、シェフが 「かなり大きいと思われるでしょうが、口当たりが軽いので以外とペロッと食べてしまえるんですよ。」と。 焼き上がったメレンゲには更にサマートリュフと蜂蜜を。 最初から2つに分けてお皿に盛りつけて頂いた。 なるほど、ナイフはいらないかもしれないと思うほどの軽い食感。 2つのトリュフの香りが官能的だ。 甘やかな蜂蜜が「さぁ、もっと……」と誘惑の手を差し伸べてくる……。 気が付くと、お皿には何も残っていない。 まるでデジャブのように……。 その目を覚まさせる一品が。 焼き茄子と島ゴーヤのアラビアータだ。 手打ちのパスタは歯触り、舌触りが素晴らしく、トマトのソースはアラビアータなのだが、島唐辛子のナイフのような鋭い辛味は押さえられ、限りなく優しい味わいだ。 メイン料理がサーブされる。 本日の魚料理、として紹介されたのはブイヤベース。 近海で上がった真鯛とセーイカがメインだが、それ以外の魚介類の出汁が豊かな味と香りをもたらしている。 別に添えられたルイユも良いアクセントだ。 パンも美味しく食べられる。 もう1つのメインは厚切り牛タンのカツレツだ。 先に煮炊きされて柔らかく、味も含まれた牛タンをカツレツにして、自家製マヨネーズをソースに ピクルスアッシェがアクセントだ。 ブイヨンで柔らかく仕上げられた牛タン。 カツレツにすることで新しい魅力を引き出してくれた。 デザートには妻の方だけエキストラチャージの支払いでグレードアップした「マンゴーパフェ」を。 私は抹茶のガトーに波照間産の黒糖のグラスが添えられた物を。 お茶はエスプレッソをダブルで所望した。 料理の美味しさは勿論、シェフとの楽しいお話が更に美味しさを引き立てる。 フロアのサービススタッフの皆さんもとても笑顔の良い、ホスピタリティー溢れる人達だ。 とても気持ちの良い休日となった。 皆さん、ありがとうございました。ご馳走さまです。 次回はディナーで利用したいなぁ……。

2023/08訪問

1回

バー・ムーンシェル

宮古島市/バー、カフェ、沖縄料理

3.46

58

¥2,000~¥2,999

¥1,000~¥1,999

定休日
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昼の点数:4.2

宮古島東急ホテル&リゾーツではランチは2度程頂いた。 館内で唯一ランチ営業をしているのがコチラ「ムーン シェル」さんだ。 リゾートホテルらしく屋外のテラス席では水着のまま飲食が出来ることもあり、シーズンにはかなりの賑わいがある。 地元の人気料理である「宮古そば」「タコライス」などの他にアメリカンクラブハウスサンドイッチやパスタ、ハンバーガーは「ワークスバーガー」というビッグサイズのオリジナルまで幅広いメニューがある。 宮古島産マンゴーをふんだんに使用したパフェや、F.F.L.(フレッシュフリーズレモネード)というトロピカル感溢れるドリンクも。 今回の滞在中で上記のメニューを頂いたが、どれもがとても美味しいものだった。 トップシーズンは宿泊者だけの利用となるのだが、それ以外はビジターの利用も可能になる。 東洋一と言われる与那覇前浜ビーチを訪れる際には利用したいお店だ。

2023/08訪問

1回

コントワール

野町/バー

3.24

15

¥3,000~¥3,999

-

定休日
日曜日サイトの性質上、店舗情報の正確性は保証されません

夜の点数:4.2

金沢での2日目、最後の夜。 美味しく、楽しい食事を頂いた後はコチラで〆とさせてもらおう。 バー「コントワール」さん。 金沢の地で名店としての確固たる地位を確立したバーである。 この日、たまたま私が訪問した時は ちょうど前クチのお客がお帰りのタイミングのようで、入れ替わりで入った私1人で いわゆる「貸し切り」状態になった。 コチラは人気のお店で、お客がいる状況が常なので ちょっと面食らったが、まぁたまにはこんな日もあるのだろう。 カウンターの一番奥に腰を下ろし、バックバーを眺める。 久しぶりにスコッチが飲みたくなった。 マスターに「シングルモルトでアイラ程ではないが、それに近いイメージのスコッチは…」と相談して決めたウィスキーが この「タリスカー」だ。 なるほど、これは良い選択だ。 さほどではないが、それでも十分ピート香を感じるタリスカーは まさに今 求めていたウィスキーだ。 しかも 一目でわかったが、オンザロックでお願いし、提供してもらったウィスキーの氷。 なんと!「面とり」がしてあるではないか! きちんとした日本料理のお店で炊き合わせなどを頂く際に野菜の角を「面とり」し、煮崩れしないよう、味がより染み渡るようにする為の、あの技法だ。 一枚の大きな板氷から 自分のお店のグラスのサイズに合わせて切り出すだけでも大変な作業なのに、更に仕上げに面とりまで施してある……。 よく、まん丸な型の氷でオンザロックを提供するお店には幾度も出逢ったが、氷の角を面とりまでするお店には今まで出逢ったことがない。 むしろまん丸にする方が慣れてしまえば簡単だ。 しかし諸兄は大きな板氷には、いわゆる「氷の目」というものがあるのをご存知だろうか。 氷を切り出す際、この「氷の目」に逆らっては上手く切り出すことができない。 なので、ある程度の大きさにカットしてからアイスピックで丸く成型する方が簡単なのだ。 たった1杯でこの氷を捨ててしまう事になるのが嫌だった。 「この上に注いで頂ければ……」と、同じウィスキーのおかわりを同じグラスで所望した。 約半年振りの訪問で、その間に赴任していた沖縄・宮古島での話、泡盛の話、台風の話……。 様々な話に花を咲かせ、2杯目のオンザロックがなくなったと同じタイミングで別のお客が来店してきた。 「頃合い良し」と思い、会計を済ませ、マスターやセカンドさんにお礼申し上げ、店を出た。 コチラは本当にいい。 カクテルを調合する技術、お酒に向かい取り組む姿勢、マナー、客あしらい……。 全て素晴らしく満足できる名店だと思う。 金沢に来たら外せないお店だ。 ディナーに利用したお店が少々物足りなかった夜。 モヤモヤした気分をリセットしたいと思い、以前伺ったコチラで飲み直したかった。 マスターもセカンドさんも 二人とも会話による客のあしらいも カクテルの処方も素晴らしいお店だ。 コチラでなら気分の良いお酒が飲ませてもらえるだろう。 扉を開けるとカウンター席は私達が腰掛けて満席になった。 マスターは私の事を覚えてくれていて、気持ち良い挨拶を頂き、それと共に「今夜は何を飲まれますか?」と。 すでに夕食を済ませていたので、ディジェスティフとしてマールかグラッパを所望した。 するとマスターは少し考えてからカウンターの端に移動して、そこから1本のグラッパを持ってきた。 せっかくどんなグラッパなのかを丁寧に教えてくれながらも、記憶力低下が著しい私は失念してしまったが、とても大切にしていた貴重なグラッパのようだったと頭の片隅に残っている。 それをストレートで頂いた。 マールやグラッパは、いわゆる「カスとり」だ。 ワインを作るために絞った葡萄。その「残りカス」を再度原料として使用し、蒸留したものだ。 今風に言えばSDGsなお酒とでも言おうか。 その独特な製法によって個性的な、力強い風味を携えた蒸留酒となるのだ。   フルコースを頂き、少し膨満感を覚えた時などにこれ等やシャルトリューズのようなリキュールを好んで飲むのが私の定番だ。 あまりお酒が強くない妻にはお任せで。 そこでグレープフルーツが好きな妻の為にソルクヴァーノ(グレープフルーツのジュースを使用したラムベースのカクテル)を作ってもらった。 客の好みと状態をすぐさま理解して、的確なカクテルを調合するのは良いバーテンダーの基本だ。 そういう意味でもコチラは一流だと思えた。 グラッパのあまりの美味しさと楽しい語らいに あっという間にグラスを空にしてしまった私。 〆の1杯をお任せで…と所望したところ、これまた珍しいアガヴェ100%のテキーラを出してきてくれた。 これもまたストレートで。 コチラのバーはマスターの温和な人柄に本当に癒される。 そもそもバーは こうした「止まり木」のような場所であって欲しいと思っているが、コチラはお酒の美味しさは勿論、マスターの持つ「徳」のようなものが ひとときの安らぎを求めてくる客を癒してくれるのだろう。 夕食時のつまらない出来事など とうに忘れてしまっていた。 ありがとうございました。 また この「止まり木」に羽を休めに来ます。 ふとしたきっかけで某ビールメーカーの北陸支社長とグラスを交わすことがあり、その際に金沢でお勧めのバーは? と尋ねたところ、コチラをご紹介頂いた。 「蛤坂 まえかわ」さんで極上の焼き鳥を頂いた後、まだ その余韻に浸っていたいと思いながら橋を渡り、その時にふと思い出したのだ。 お店の扉を開けると先客が1人いたが、ちょうどお帰りになるタイミングだったようで、実質私ひとりのようなものだ。 オーセンティックな、長く続けていらっしゃるお店独特の 雰囲気を湛えている。 先程の某ビールメーカーの支社長さんの紹介で参りました と ご挨拶させていただくと「そうでしたか!」と喜んで頂いた。 「生憎マスターは外出しておりますが、暫くしたら戻りますので…」との事だが、受け答えのしっかりしたセカンドさんなら安心だ。 さっそく何か頂こう。 先ずはスタンダードでお手並み拝見だ。 ギムレットを注文した。 材料としてのフレッシュのライムの扱い、氷の扱い…。 さすが金沢でのお勧めのお店、と紹介してもらっただけのことはある。 差し出されたギムレット、美味しく仕上がっている。 酒に関する話題、バーの最近のトレンドなど、セカンドさんとの会話を楽しみながら2杯目に。 「パスティスは何かありますか?」との私の問いかけには 「生憎ペルノ-くらいしか……」との返事が帰ってきた。 「構いませんよ。水割りでください」。 そうしているうちに他のゲストが来店してきた。 そのゲストが1組、2組と増えてきたタイミングで店主のマスターが戻ってきた。 ご常連さん達との挨拶を経て、セカンドさんから事情を聞いたマスターは私のところにもご挨拶に来てくれた。 名刺を交換し、しばらく会話をしていた私のグラスが空いたので、マスターの「よろしければ何かを…」との勧めに 「それではYOKOHAMA を。」と私。 ほんの一瞬だが「珍しいカクテルを…」という戸惑いとも思われる感じがしたものの、すぐさま製作に取りかかれるのは熟練の成せる技と知識だろう。 そして出来たカクテルはスタンダードでありながら、少しだけお店の、マスターのエッセンスが加わった仕上がりだった。 いや、楽しくも美味しいお酒を頂くことができた。 金沢に出張中の間には是非もう一度訪問したいお店だ。

2023/11訪問

3回

Kreis

バー 百名店 2022 選出店

食べログ バー 百名店 2022 選出店

Kreis

伏見、丸の内、国際センター/バー

3.94

162

¥3,000~¥3,999

-

定休日
-

夜の点数:4.2

私自身が驚いている。 コチラのお店には もう何度も来ているのに、食べログには一度もレビューをしていなかったことに。 オーナーバーテンダーの田原氏とは随分前からのお付き合いだ。 まだ私が若い頃、氏と共に出場した創作カクテルのコンペティションの全国大会が縁となって現在に至っている。 私もバーテンダーという仕事が好きだったのだが、勤め先の都合でバーばかりではなく レストランやラウンジ、バンケットと総合的なスキルを求められたので……。 こうして 長くお店を続けていらっしゃる田原氏が、様々な苦労もあったとは思っているが それを羨ましく思うこともある。 マイレビュアーの女性に「名古屋で女性1人で利用できるカジュアルなお店を…」と聞かれ、決してカジュアルとは言えないかもしれないが、真っ先に思い浮かべたのはコチラだった。 この日は電話することもなく、ふらりと訪問した為、田原氏とはニアミスになってしまったが、せっかく訪問したのだ。 若いお弟子さん達にカクテルを作って頂こう。 氏のお弟子さん達もなかなかの腕達者のようで、カクテルのコンペティションでも優秀な成績を修めていらっしゃるらしい。 そんなことで、ディナーでしっかりとした料理を頂いてきた後なので、私の好きな「アラスカ」を調合してもらった。 間違いなく美味しいカクテルを提供して頂き、このお店のバーテンダーの皆さんのスキルの高さを感じることができた。 氏のご尊顔を拝することができなかったことは残念だったが、これが最後ではない。 「宜しくお伝えください」と名刺を預け、お店を後にした。

2022/09訪問

1回

ハーバーライト

伊豆急下田/バー

3.09

7

¥3,000~¥3,999

-

定休日
月曜日

夜の点数:4.2

コチラに訪れる前に、最近出逢えたスペイン料理の美味しいお店で楽しい時間を過ごしてきたが、それもメインの料理まで。 やはり〆はコチラ「ハーバーライト」さんで。 下田で過ごしている間の 私の至福のルーティングだ。 時間が早かったこともあったので、今回はタクシーを使わず徒歩で。 海が近いこの街は 潮の香りが微かに載った風が心地よい。 10分程は歩いただろうか。お店に到着した。 マスターとマダムしかいない。 そうか!まだオープンしたばかりなんだ! バーの口開けの客というのは実に気分が良い。お店の中は まだ凛とした空気が、他に汚されることなく漂っているものだ。 それでいて いつものように笑顔で迎えてくれるマスターとマダムがいると、この安らぎを得る為に「帰ってくる」のだろう。 少し歩いたので喉が乾いた。最初は柑橘を使ったロングドリンクのカクテルを作ってもらおう。 地元産の柑橘をグラスの中に絞り込み、ジンを注いだところにソーダを加えたカクテルだ。 良いお店には良い客も集まる。 少し席を隔てた紳士が取り出したシガーから、品の良い香りが漂ってきた。 「素敵なご趣味ですね。ハバナ産ですか?」と話しかけたのがきっかけとなり、その紳士とは楽しい語らいが出来たのだが、 驚いたことに、その紳士は私の下田での勤め先に宿泊して頂いている、とのこと! それはそれはありがとうございました。失礼がなかったか心配したが、翌朝の朝食のレストランで再会した時にも にこやかにご挨拶をして頂いた。 バーという場所は このような素敵な出逢いが出来る場所だ。 下田での思い出が またひとつ増えた、そんな夜だった……。 もう私はこのお店の虜になってしまったのだろう。 下田では一番のバーだと思っているし、故に他にバーを探す つもりも無い。 マスターにもすっかり顔を覚えて頂けたようだ。 先日の私の休日にスーパーで買い物中にも「お見かけしましたので…」と声を掛けてもらい、恐縮してしまった。 そんな訳で、最近の休日にコチラを訪問することはもはや必然的な行動になっている。 この日の最初のカクテルは、地元産のシャインマスカットがハシリの物が入荷した、との事で それを使用したカクテルをお願いした。 「やはりまだまだ早いんですけど……」と謙遜しながらも出来上がったカクテルは、材料としてはシャインマスカットの他にはホワイトラムとクラッシュした氷だけ。 味を整えるリキュールやシロップは一切使用しない、かといって しっかりとシャインマスカットの味や風味の楽しめる フローズンダイキリに仕上げてくれた。 変にひねらない、シャインマスカットの美味しさを最大限に引き出しているカクテルは さすがという他はない。 しばらくはノーゲストだったのでマスターとマダムを交えての歓談を楽しんでいると、ご常連らしきお客さんが三人で来店された。 その方々に提供するカクテルを作る所作を拝見していたが、鮮やかな手捌きで仕上げているのを見ていたら、私も もう一杯、となってしまうのは当然のことだ。 材料となるフルーツの状態を掴んでいるマスターだ。 次もお任せにして作って頂だこう。 そうして提供して頂いたカクテルは、今度はパイナップルを使用した物だった。 味を整えるリキュールには、私が好きなシャルトリューズ(ハーブ系のリキュール)が隠し味のようだ。 よく熟したパイナップルの甘味、酸味が引き出された 非常に美味しい、この季節ならではのカクテルになっている。 お店ではいつも2杯まで、と決めている。 私の場合、大抵 外食する時には醸造酒を飲んでいるので、二軒目で過度に蒸留酒を飲んだり、それをベースにしたカクテルを飲んだら 翌日が辛くなることを ようやく理解することができるようになったからだ。 この日もその信念に従い、後ろ髪を引かれながら会計を済ませ、お店を後にした。 いつも美味しいカクテルをご馳走様です。 また ごく近いうちにお邪魔させて頂きます。 下田にも素晴らしいバーがある。 出張で着任してから二度目の訪問だが、今回は妻を連れてきたかった。 コチラに伺う前には海沿いにポツリと佇む「磯料理 辻」さんで食事を済ませたので、そこから酔いざましの海風に当たりながら二人でゆっくりゆっくりと歩いて来たのだ。 タクシーで移動しても良いのだが、なにも急ぐことはない。 程好く酔って火照る頬に 夏の夜の海風が心地よい。 妻の手を繋ぎながら……。 やがてお店に到着した。 趣のある階段を昇ると、今夜は地元の人と思える先客がテーブル席にいらっしゃった。 私達はカウンター席に腰を下ろす。 するとマスターもママさんもまだ一度しか来たことのない私のことを覚えて下さっていた。 素敵なバーなので、今夜は妻を連れて来たかったんです、と言うと妻にも丁寧にご挨拶をして頂いた。 さて、今夜は何を頂くことにしようかな……。 カウンターの小さなイーゼルのお勧めメニューには 相変わらず魅力的なカクテルが列記されている。 こりゃあ迷うなぁ…… どれも美味しそうで……。 そんな私達にマスターが 「どんなものをお探しですか」と声をかけてくれたので、 自分達の気分や好みを伝えると、 「ではお任せでも良かったら……」と。 私達は「もちろん、それでお願いします!」 さて、どんなカクテルを飲ませてくれるのかなぁ。 普段の私はバーで何を飲むかで迷ったことなと滅多に無い。 それほど優柔不断な性格ではないと思っているし、ましてやお酒のことだ。 それが コチラのお店では前回1人で来た時も最初の一杯目はモヒートを注文したが、二杯目はお任せだった……。 おそらくコチラのカクテルに使用する材料の多彩さに、どんなカクテルを作ってもらえるのかの興味の方が強かったのだろう。 この日の妻のカクテルはフローズンカクテル。 下田産のブルーベリーをたっぷり使用して、それゆえ色はブルーベリーそのものをしている。 素材の良さ、美味しさを活かす為には一番の方法だろう。 私のカクテルにはボストンシェーカーの中にパッションフルーツを入れている。 鮮やかなシェークによって作り出されたカクテルは、その パッションフルーツの爽やかさがいかにも今の季節にふさわしい。 お互いのカクテルに興味津々ゆえに「ちょっと飲ませてよ」と大人げないことも許してもらえる雰囲気のお店だ。 忘れていたが、コチラではチャージとしてアイスクリームが提供される。 それがまた良いのだ。 乾き物のような物を出されるよりもよっぽど気が利いている。 妻もこれには嬉しそうだ。 美味しい磯料理を食べ、潮風を感じながら港町の雰囲気を感じるバーで夜を締めくくる……。 幸せな場所が ここ下田にはある。 下田の居酒屋さんで美味しい料理と日本酒を堪能した。 しかしそれだけでホテルに帰るにはまだまだ下田の夜を満喫したとは言えない。 その居酒屋さんから徒歩1~2分の場所にコチラのお店がある。 店舗は二階らしく、一階の扉を開けると階段が。 その階段を見ただけでコチラの歴史と風格を感じ取ることができる。 ゆっくりと登り、店内を見渡すと お客は誰もいなかった。 カウンターに腰をおろし、マスターと軽いご挨拶。 さて、何を頂こうかな……。 と、考えていたら、テーブルチャージとして提供されたアイスクリームが。 ちょっと驚いたが、マスター曰く「変な物よりその方がいいでしょう」と。 なるほど確かに暑い中 扉を開けて来店してくる客としてはちょっと嬉しいかな。 最近の私は食後に立ち寄るバーではリキュールやマール、グラッパ等や、カクテルではジンベースのアルコールのボリュームが高めの物を所望することが多いのだが、この日はカウンターの隅にある小さなイーゼルに乗せた黒板の中からモヒートを注文してみた。 イエルバブエナミントは最近「モヒートミント」とも言われている人気のハーブで、コレに拘ることからどんなモヒートを飲ませてくれるのか興味が湧いたのだ。 下田産とのことでマスターに「下田の農家さんが栽培しているのですか?」と尋ねてみたら「いえ、私が自宅で栽培しているので…」との答え。 なるほど。下田という街でイエルバブエナミントが入手できないなら御自身で栽培をした物を使用するという拘りが素敵だ。 独特の強い香りで満たされたモヒートは色も鮮やか。 二本の細いストローは余分な物を吸い込まない為だ。 しばらくは本場カリブ海のモヒートのスタイルの話を聞かせて頂き、またひとつ勉強にもなったが、その語り口、聞く耳が心地よい。 けっして押し付けでもなく、自慢話でもない、こちらからの問いかけに的確に答えてくれる博識さもあるマスターからは どことなく海のイメージが漂うナイスガイだ。 一杯だけで終わるつもりだったが、あまりの居心地の良さにもう一杯頂くことに。 何かお勧めのカクテルを作ってください、とお願いしてみたら「最近入ってきた白桃でも…」と。 では、とお願いするとフレッシュの白桃を鮮やかなナイフ使いで皮を剥いていく。 このナイフ使いが長くこの仕事を続けて来られたことが解る。 白桃の果肉の一部はガーニッシュにして、残りをボストンシェーカーの中に入れる。 ベースとなるアルコールと、ほんの僅かなシロップを加えて色や香りの調整をする。それはけっしてフレッシュの白桃の邪魔をしないように、美味しさをより引き立たせるかのような使い方だ。 仕上がったカクテルはアルコールの角の取れた優しい味わい。女性に喜ばれるだろう。 いや、良いお店だ。 下田もなかなか懐が深い街だということを認識した夜だった。

2022/09訪問

4回

オルビット

京都、九条、七条/バー

3.51

51

¥5,000~¥5,999

-

定休日
-

夜の点数:4.2

前回、初めて訪問した際、女性バーテンダーの美しくも凛とした所作が素晴らしく、次回京都に来たら是非利用したいと思っていたバー「オルビット」さん。 バーは大人が集う場所だ。 私はホテルバーのようなオーセンティックなバーが好きなのだが、そこでは客にもバーテンダーにもお互いに求めるものがあると思っている。 決して泥酔してはいけない、泥酔してからの利用は尚更だ。 周りに気を使い、大きな声での会話は控える。 当たり前で最低限のルールだ。 男性にはある程度のドレスコードも必要と思う。 ビーチサンダルにハーフパンツはN .G. だ。 故に客もバーテンダーに求めるものがある。 礼儀正しさ。卓越した技量、知識。調合する際の流れるような所作。 そして一番は「自身が主役にならない」こと。 主役はあくまでお客であり、バーテンダーは黒子でよいのだ。 常に控え目ながらも客に気を配り、話かけてほしい、そっとしておいてほしい…… カクテルの調合技術以外にも そんな様々な気配を読み取ることが出来るのが良いバーテンダーだと思っている。 コチラのバー「オルビット」さんのバーテンダーは、その全てを備えた人がカウンターにいる。 今回は 前回訪問した時とは違う女性のバーテンダーがカクテルを調合してくれたが、私のリクエストするものを僅かな会話で感じ取り、提案してくれた。 そのカクテルは好きなのだが、私好みのレシピに少し手を加えてもらい提供してもらった。 ネグローニ。 ジンをベースに、カンパリとスイートヴェルモットを使用するのだが、私はヴェルモットをスイートではなくドライヴェルモットで調合してもらうことにしている。 客の嗜好に合わせて調合を変え、提供することは難しいが、コチラのバーテンダーは見事に私の好む意図を察してくれた。 良いバーとは このような空間を提供してくれるバーのことだ。 今夜も良い眠りにつけそうだ。 毎年恒例の京都の桜を愛でる旅⑤ 大好きな「神馬」で晩酌した後、祇園に移動して円山公園の枝垂れ桜、白川疎水の夜桜を堪能した。 すっかり疲れ果てた妻はホテルに着いたとたんに 「すぐにシャワーを浴びてもう寝たい!」 普段あまり歩かない妻には合計15,000歩は少々可哀想な事をしてしまった。 まだ余力が残っていた私。 とりあえず〆のラーメンでも…とホテルの近くの第一旭ならこんな時間でも営業しているだろうと向かったが、さすが第一旭、こんな時間(22時)でも凄まじい行列だ。 基本的に行列嫌いな私。早々にあきらめることにした。 さて、どうしたものか… 「毒を食らわば皿まで」という言葉がある。 もう一度強めのアルコールで〆るとしよう。 そこで訪れたのが宿泊したホテルのバーだ。 いつも京都に行く際に定宿にしていたホテルが満室でリザーブ出来なかったので今回お世話になったホテルだ。 京都の夜はそのいつものホテルのバーで過ごすことが多いので、この日こちらを利用したのは初めてになる。 こういったホテルのメインバーは大抵ご常連の方々がいらっしゃり、カウンターはそういった面々が占めていることが多い。 今宵はいかがだろうか……。 店内に入るとやはりラストオーダーが近いのか、混みあっている感じはしない。 カウンターにもお一人様が二組だけだ。 バーテンダーを女性が1人。身だしなみが整った、いかにもホテルのメインバーのバーテンダーという印象だ。 ひと通りのオーダーをこなした後、バーテンダーと目があった私はギムレットを頼んだ。 「プリマスは有りますか?」 と尋ねたが 「生憎ございません」と。 「では47度のジンは?」 「今はほとんどが40度の物で…」 「でしたらタンカレーでお願いします」 「かしこまりました」 と こんな会話を経て調合を始めて頂いた。 鮮やかな所作。流れるような手捌きだ。無駄な動きが全く無い。 この人は出来る人だ。間違いない。 女性バーテンダー特有の、スナップの効いたシェイクによって作られたギムレット。 「フレッシュのライムをスクイーズせず丁寧に絞っていましたね。今はライムの端境期なのですか?」 「はい。この時期ライムは状態が良くないんです」 解っている。その状態のライムを使用せざるを得ないから ほんの少量のシロップでえぐみを調整したのだろう。 1杯だけでやめておくつもりだったが、このバーテンダーのカクテルならもう1杯飲んでみたくなった。 飲み干したグラスを差し出す。 「いかがいたしましょうか」 「ライムは状態が良くないんですよね…… うーん、 オレンジなら大丈夫ですか?」 「はい」 「ではYOKOHAMAをお願いします」 「かしこまりました」 基本がしっかり出来ているバーテンダーはスタンダード カクテルを大事にする。 彼女の引き出しにはあまり注文されないようなカクテルのレシピもしっかりと入っているのだろう。 すぐさま調合を始め、先程と変わらぬ鮮やかさでYOKOHAMAを作ってくれた。 良かった。1日の最後の締めくくりにふさわしいバーだ。 めったにやらない事だが、このバーテンダーの女性の名前は覚えておきたかったので名刺を頂戴した。 定宿のホテルのバーはもちろん良いが、コチラのバーもとても良かった。 京都の夜の楽しみがまた1つ増えた。

2022/10訪問

2回

アバンティ1999

資生館小学校前、すすきの(市電)、すすきの(市営)/バー

3.27

38

¥2,000~¥2,999

-

定休日
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夜の点数:4.2

1回

バー アストロ

高松築港、高松、片原町(高松)/バー、ダイニングバー

3.40

35

¥1,000~¥1,999

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定休日
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夜の点数:4.0

結婚記念日旅行で四国・高松に来た。 ここを起点に小豆島や金刀比羅宮等を巡る旅だ。 その2日目。結婚記念日当日のディナーはコチラのホテル「JRクレメントホテル高松」さんでお世話になることにしていた。 そのレストランに伺う前に 1つ上のフロアにあるバーでアペリティフを楽しもう。 バー「アストロ」さんは17時の開店。その30分後に伺った。 素敵な夜景は広がるカウンター席に案内してもらい、リストを渡される。 眼下に広がる夜景はフェリー埠頭から高松城趾を望み、街の燈に至るロケーションだ。 そして嬉しいことに、こんな素敵なバーでも この時間帯にはハッピーアワーを実施してくれている。 これを利用しない手はないだろう。 先ずはビールから。 生ビールはアサヒのエクストラコールドだ。 私は理屈抜きでオールシーズン キンキンに冷えたビールが大好きで、どんな食事を頂く前でも先ずはビールを頂くことにしている。 基本的にキリン派の私だが、このエクストラコールドには異論は無い。 妻にはバーのマンスリーのリコメンドカクテルの、苺を使ったシャンパンカクテルをお願いした。 私達夫婦の結婚記念日に乾杯だ。 私は生ビールを嬉しさと美味しさのあまり 一気に飲み干してしまった。 ハッピーアワーのリストは驚く程多種多様な飲み物が。 その中で 一番下に控えめな紹介の、コチラのバーのオリジナルカクテルが2種類。 そのオリジナルカクテルのうち、ロングドリンクの物を 次の飲み物として所望した。 ベースとするシュナップスは、ジンやヴォッカのような舶来の物ではなく、「和ピリッツ」と称する物。 ドメスティックなローカルシュナップスだが、昨今の流れから様々なクラフトシュナップスが作られている。そのうちの1つのようで、それをベースにしたロングドリンクのオリジナルカクテルだ。 提供されたカクテルは、まさに食前酒としてふさわしい物。 爽やかな柑橘は瀬戸内レモンだ。 食前だけでなく、オールディドリンクとしても良いだろう。 落ち着きのある空間に静かな時間が流れていく。 ずっとここに居たいが そろそろレストランに移動しないと…。 最後の1杯には、私の大好きなスタンダード「ヨコハマ」を。 使用するグラスのユニークさに目が向いた。 このような形状のグラスで「ヨコハマ」を提供されたのは初めてだ。 バーテンダーの確かな技術と知識によって調合されるショートカクテル。 その厳かな、まさに儀式のような雰囲気から提供されるカクテルは、大人だけが許される楽しみだ。 会計を済ませ、直下階のレストランには店内の螺旋階段をつたい歩く。 さぁ! 私達夫婦の記念日の第2幕の開演だ!

2023/12訪問

1回

ザ ステーションバー ミクソロジー

金沢、北鉄金沢、七ツ屋/バー

3.29

35

¥4,000~¥4,999

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定休日
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夜の点数:4.0

諸兄は「ミクソロジーカクテル」をご存知だろうか? 「ミクソロジーカクテル」とは、フュージョン料理の流行を取り入れつつ、フルーツや野菜などのフレッシュな素材をスピリッツなどのお酒と組み合わせたカクテルのことだ。 つまり「ミクソロジーカクテル」とは、従来のカクテルを作る際に使うリキュールやフレーバーシロップを一切使わずに、新鮮なフルーツや野菜、ハーブやスパイスをスピリッツと呼ばれる蒸留酒と組み合わせて作るカクテルのことで、素材そのもののうまみを極限まで引き出せるカクテルとも言われているようだ。 そのミクソロジーカクテルを作る人は単にバーテンダーとは区別した「ミクソロジスト」とも呼ばれる。 そのミクソロジストの、金沢では草分け的な存在がコチラのオーナーだ。 私は数年前にも東京でこのミクソロジーカクテルを頂いたことがあるが、コチラではどんなカクテルを飲ませてくれるのか興味が湧いたのだ。 インバウンドや日本人観光客で賑わう鼓門がある金沢駅東口の反対側、西口からすぐのビルの二階にお店はあった。 1階は回転寿司のお店だが、2階より上はオフィスのようで、コチラのお店も2階にありながら 入り口はまるでオフィスの入り口の扉のように殺風景だ。 しかしこの殺風景な扉を押し開くと視界は一変する。 立派な鹿の角をあしらった印象的なシャンデリアが出迎えてくれる。 その真下にあるボトル棚を 鍵穴の型に似せたユニークな造りのカウンターが取り囲む。 落とした照明の加減、ハイセンスな内装、窓越しには夕闇に包まれた街の明かりが…。 全てが調和した素晴らしい雰囲気のバーだ。 そんなバーでミクソロジーカクテルを調合してくれるミクソロジストがオーナーのお店だ。 少し汗ばむような陽気の1日の締めくくりに、先ずはジンを使った何かさっぱりするカクテルを……と。 オーナーと相談したところ「ちょっと珍しいクラフトジンを使用したジントニックはいかがでしょうか?」との提案が。 我が意を得たり! そうしましょう! だけどトニックだけではなく、ソーダも加えたプレススタイルで、とリクエストした。 シンプルな1杯だ。 だからこそ その1杯には作り手の「顔」が解る。 材料としてのこだわり。どんなジンを使うのか。 トニックウォーターのメーカーは? ライムは? 氷の形状は? ビルドは?…… そんな所作を見つめながら「どうぞ」と提供されたカクテルに手を伸ばす。 クラフトジンの特徴的な香りにライムのピールに由来する香りが重なる。 口に含むと その香りは口中で広がり鼻腔をくすぐる。 うん。素晴らしい! この先を期待させるに十分なカクテルだ。 オーナーのバーテンダーとしての技量が理解できたら、次はミクソロジストとしてのお手並みを拝見したくなった。 次なるミクソロジーカクテルは全くのお任せで。 私という人物にどんなカクテルを飲ませてくれるだろう。 「蕎麦とパイナップルを使用し、泡の上に浮かべてあるのは味噌を……」 という、私のような凡人には思いもつかないレシピのミクソロジーカクテルが提供された。 最初は解りやすいパイナップルの香りが。 しかしその中には浮かべた味噌のフレークの香りを探すことができる。そこへ蕎麦が……。 複雑な、初めて遭遇するレシピに驚き、戸惑いながらも その完成されたレシピによる味わいに、このミクソロジーカクテルの世界の奥深い一面に触れることができた。 私が好きなオーセンティックな雰囲気のバーとは異なる、新しいバーとしての魅力に溢れたコチラのお店、まさにこれからの時代をリードしていくバーになる予感がした夜だった。

2023/05訪問

1回

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