3回
2024/02 訪問
素材と調理の最高峰
昨年11月以来のまつ山さんへ。黒崎に来るのが小旅行気分になり、更に特別感があります。
食べログでは2024のsilverを受賞されていました。
今回のコースは以下の内容でした。
○合馬の筍、藍島のワカメ
筍の香りがとても良く、素材が良いためアク抜きをされていないとのことでした。
丁寧にとられた雑味の無い出汁で素材をまとめあげていました。
○そら豆の粥、熟成カラスミ
そら豆の塩加減が一番美味しい塩梅で、そら豆はぎりぎり焦げ目がつくぐらいの焼き加減でそら豆の風味が活かされていました。熟成カラスミの芳醇な風味も食をそそり、粥として完成された一品でした。
○荒節、本枯節
まつ山さん定番の荒節、本枯節の食べ比べです。
これでもかと言わんばかりに薄くしているので口の中でサッと溶けます。この薄さが出汁の旨みの決め手になっているそうです。
○下関南風泊のトラフグの白子のお椀、下に昆布出汁で炊いた大根
絶品中の絶品。マグロの出汁から一口頂きますが、旨みが抜群でした。そこに焼いた白子のクリーミーなコクと焼き目の香ばしさが出汁に深みと更に美味しさを加えます。
白子はきめ細やかさと味の濃さを兼ね備えており、白子史上でもトップクラスに美味しく頂けました。
昆布出汁大根も素材の良さが活かされていて、食べながら更にそれぞれが美味しくなる構成でした。
○能登のブリのお造り
このレベルのブリは九州では難しいとされる一級品でした。
今までブリの特徴だと思っていた風味が、こちらの能登のものでは感じられず、ブリの概念が変わったお造りです。
手前の2切れが3日間、奥の1切れが1週間寝かせたもので、全部ハラミの部位でした。1週間のものはより内蔵に近い部分のハラミです。
手前の1枚はわさびと醤油でシンプルに頂きます。口に入れた瞬間に旨いと分かるクオリティ。
2枚目から地元の葱を炒めた醤油漬けにした薬味と一緒に頂きますが、これがまた大変合うんです。
○八寸
節分をテーマにした八寸。季節を感じられる八寸を提供されるのがまつ山さんのまた良いところです。
・つぼみ菜の揚げ物
・五色豆
・天然トラフグの皮のゼラチン質だけで作った煮凝り
・イワシのオイル漬け
・筍の根本の部分、出来立ての木の芽の味噌と共に。
最初はつぼみ菜の揚げ物から。苦さを取り入れるをテーマとしたもので、春を感じられる食材で、サクッとした食感がたまらないです。
筍の根本も食感が良く、この木の芽の味噌も苦みがありながら、香り豊かです。
煮凝りは強い弾力を感じますが、トラフグの皮のゼラチンのみで作られているのが衝撃でした。
○焼きガニ
焦げ目をつけない焼き方に松山さんの技を感じます。
カニの汁を逃さず焼いているため、蒸したような形で頂けます。
カニ身がスッと取れるのもノンストレスで、食べやすくかつカニの旨みを逃さず頂ける、焼きガニ史上最高クラスのものでした。
○10-14日ほど寝かせた飛来幸地鶏のもも肉
焼いている最中の脂が炭に落ちてジュワっと立つ音から食をそそります。
薬味は生の黒こしょうの塩漬け、唐辛子と米麹をつけこんだもの、国産のハラペーニョをピクルスにしたものの3つ。
とにかく鶏の味の濃さに驚きました。火入れの具合も素晴らしく、これ以上ない弾力に仕上がっていました。
薬味はそれぞれパンチの強いものでしたが、鶏自体の味が濃いのでバランスも良かったです。
○蟹真丈の茶碗蒸し
飛来幸地鶏の卵を使った茶碗蒸しで、中にカニ味噌が入っています。
上にはほぼ蟹身で構成された蟹真丈。ほろほろと蟹身が解け、蟹の甘みと卵の甘みがマッチします。
中にカニ味噌も濃厚で茶碗蒸しと味噌と蟹の一体化して頂くと、絶対的に美味しい組み合わせです。
○粕汁
酒粕に黒龍の火いら寿の酒粕を使っていて、出汁は敢えて魚の骨等を使わず鰹出汁でとっていました。中には焼きブリが入っており、これがまた美味しいんですよね。
野菜の甘さを際立たせる粕汁の風味に虜になります。トロッとした粕汁は、鰹出汁の出汁が効いており、それだけでご飯が進むような美味しさでした。
○ご飯
卵黄、明太子、辛子高菜、漬物と一緒に頂くご飯で〆。お米だけでも甘みがあり美味しく、おかわりが進みます。
○いちご大福
カシスのリキュールと一緒に頂く最高峰のいちご大福。まずは大きなイチゴから一口頂きます。
その後、カシスのリキュールを垂らして大人な味に。
求肥のモチモチ感がまた病みつきになりますね。
今回も最高のコース内容で、黒崎に食旅行として今後も通い続けたいですね。
お土産のバターサンドも勿論ハイクオリティで、一品一品にこだわりを感じます。
2024/03/04 更新
2023/11 訪問
軽快なトークと和を重んじる独創的な日本料理
福岡県北九州市黒崎エリアにある超名店「御料理 まつ山」さん。食べログ2023Bronzeやミシュランガイド福岡佐賀特別版でも1つ星を獲得されている、言わずもがなの名店です。
この黒崎エリアはお世辞でも観光地と言えるような場所ではありませんが、全国、ないしは海外からも人が訪れるのがこちらのお店。黒崎の一番の観光地と言っても過言ではないでしょう。
おしゃれな雰囲気を纏う料亭、割烹のような佇まいで、周りと明らかに雰囲気が違うので見つけやすいです。
駐車場もありますが、店の前の道は細めなのでそこが注意点ですね。
オーナーである松山氏の経歴が非常に面白く、元々大手自動車のエンジニアをされていましたが、接客業への思いから、たこ焼き屋のフランチャイズを始めたそうです。その後、25歳の時に日本料理の世界に入り、当初はバイトをしながら働かれたりと色々な経験を経て、30歳でこちらを開業されたそうです。5年で独立し、お店を開業してから3年でミシュランガイド福岡・佐賀特別版で1つ星を獲得されたのは才と努力を感じます。
実際、食材、料理の一つ一つへのこだわりと熱意を感じるコース内容で、この黒崎の地でも通いたくなる魅力がそこにはありました。
店内はカウンター6席で、客同士も何となく一体感を感じる作りでした。松山氏の軽快なトークもこの食体験を楽しめる大きな要素だと思います。
○八女茶
まずは八女茶から頂きます。温まりますね。
○落花生豆腐
北九州の落花生を用いた落花生豆腐。上には落花生も載せてあり、白味噌と合わせて頂きます。
優しい甘い味付けの落花生豆腐に白味噌の甘さが調和しますね。
○からすみ餅
熱々のモチっとした食感の餅の中からねっとりした濃厚な味わいのカラスミが顔を出します。
カラスミの味に日本酒が進み、餅とカラスミの食感がまた美味ですね。
○本枯節と荒節
ここでマグロの本枯節と荒節を味わいます。この薄い一枚なのですが、不思議と風味の強さを感じ、アテとしてお酒が飲めますよね。
○蓮根饅頭
椀物として蓮根饅頭を頂きます。柚子の香りを効かせ、小松菜の茎も添えてありました。
体に染みる温度感と味で、日本料理の良さを感じます。
○石垣鯛
シンプルに大変美味しい石垣鯛の刺身。ブリブリとした食感とこの旨味は、刺身がベストな食べ方と言えます。1枚1枚を名残惜しさを感じながら食べていきました。
○八寸
紅葉狩りをテーマとした八寸。視覚的にも楽しく、工夫が散りばめられています。
・稲穂
・北九州の大葉春菊
・添田町の椎茸とえのきのお浸し
・梨とピオーネとシャインマスカットの白和え
・銀杏と揚げごぼう
・ワタリガニ
の内容でした。趣を感じつつ、美味しく頂けました。
○香箱蟹
絶品中の絶品!
今まで食べた香箱蟹の中でもトップクラスに美味しく、内子、外子、蟹身どれをとっても一級品でした。
色々と言うより旨い、美味しいの一言が正しい表現でしょう。
○ノドグロ
山口県のノドグロ。脂の乗り方がたまらないです。大根おろしとの相性も抜群ですね。
○安納芋の味噌汁
種子島の安納芋の味噌汁。芋の甘みを感じながら落ち着く味でした。
○椎茸と地鶏の茶碗蒸し
添田町の椎茸の質の高さ、宮崎地鶏の身の弾力感共に印象的な茶碗蒸しでした。それぞれの素材の良さがありながら、茶碗蒸し全体としてまとまった美味しさもありました。
○ご飯物
写真にはありませんが、ご飯は明太子や辛子高菜、漬物、卵黄といった色々なお供と頂くスタイルでした。
おかわりが進みますね。
○最中
甘味は最中。中には栗のアイスと牛皮。
さすがアイスクリーム屋さんであるKOMARUさんのオーナーもされており、栗のアイスクリームが大変美味しいです。牛皮のもちっとした食感も相まって最高のデザートでした。
終わり良ければ全て良しと言いますが、終わりまで全て良かったですね。
最後に抹茶を頂いて、コース終了です。
お土産としてバターサンドを頂けますが、これまた美味しく、ネット販売されている際に購入しました。
次回が既に楽しみなお店の一つです。
2023/12/02 更新
2月連続のまつ山さん。黒崎に小旅行の感覚で伺うのが楽しみになっていますね。
◯築上町の菊芋ポタージュ
黒龍の酒粕も用いられており、菊芋の甘さを大変強く感じられるスープでした。
菊芋のチップスもお酒に合いますね。
◯ハマグリのお粥
ハマグリの旨味が効いた優しい味のお粥。お米の柔らかさも優しく感じます。
◯自家製のごま豆腐とアイナメのお椀
アイナメは出汁に浸り柔らかく仕上がっていますが、その中にもしっかりとした身質を感じます。
ごま豆腐は甘く、こちらも優しい味わいでした。
◯石垣鯛のお造り
上質な甘みが絶品の石垣鯛のお造り。わさびやもみじおろしにも大変合いますね。
一口一口が幸せになります。
◯八寸
・蕾菜のあられ揚げ
・だし巻き卵
・菜の花の焼きびたし、カラスミ。
・筍と木の芽の味噌
・切り干し大根
・コウイカと地元のネギのぬた和え
味は勿論美味ですが、季節を感じる構成と器の遊び心がまた良いです。
◯錦江湾のタチウオと煎り酒
大ぶりのタチウオは肉厚で脂が乗っています。脂の旨味やタチウオの身の美味しさを感じられる焼き加減が良いですね。
煎り酒をかけて、酸味を感じながら食べるも良いですが、このままでも素直に美味でした。
○10-14日ほど寝かせた飛来幸地鶏のもも肉
前回に引き続きの飛来幸地鶏のもも肉。弾力、味の濃さ、ジューシーさどれをとっても一級品です。
薬味は生の黒胡椒の塩漬け、柚子胡椒、自家製粒マスタードの3つでした。
◯玉ねぎの茶碗蒸し
玉ねぎがメインとなる茶碗蒸し。玉ねぎの甘さのインパクトが強く、キャビアの塩味もマッチします。
卵は先程の飛来幸地鶏の卵を用いており、こちらも濃厚です。
◯ご飯
ご飯はいつもの色々な副菜と頂けます。何杯でもおかわりが出来そうになりますね笑
◯日向夏のゼリー寄せ
日向夏の果汁、果肉だけで作ったゼリー寄せ。蓋代わりの部分は絞って、果汁をかけて完成します。日向夏の果汁やゼリーは爽やかさに溢れており、夏っぽさを感じます。いちごのリキュールを使用したエスプーマはまろやかな口当たりで美味しい甘さを感じられ、凍らせたいちごのアクセントも良いですね。
今回も満足のコース内容、松山さんの軽快なトークでした。