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この口コミは、ピュイフォルカさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
昼の点数:5.0
2015/08 訪問
昼の点数:5.0
待ち時間も御馳走のうち。丁寧な仕事が光るクラシックフレンチの王道。デザートも絶品。
2015/08/06 更新
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母の日ということで家族でランチ。ディナーはちょくちょくお邪魔していたのだがランチは久し振り。
家族全員メインディッシュはお魚をチョイス。普段アラカルトを頼む私はオードブルのサクラマスの燻製サラダ添えを追加する。と言ってもこのお店、一つ一つのポーションが大きいのでオードブルと言ってもメインディッシュほどにちゃんとしたボリュームがある。
アミューズ:豚肉のリエット
リエット自体は想像のつく味、というかこうしかならないよねという味。添えられているパンがきちんと温められているのが二重丸。一人分2切れ。これから出てくるものの味を邪魔せず、食欲を掻き立ててくれる逸品。
前菜:島根産梅貝のポワレ 肝ソース アスパラのグリル添え
軽く火を通され、どーんと惜しみなく盛られた梅貝は貝の甘さがしっかり引き出されるとともに、しゃきしゃきした歯ごたえが心地よい。ソースは梅貝の肝を裏ごししたもの。肝独特のふわっとした苦味が貝の甘さにジャストフィット。梅貝の味を余すところなく引き出した一皿。付け合せのグリーンアスパラも、大人の親指ほどもありそうな太いもので、肝ソースに負けない存在感と、野菜の持つ元気な香り、火を通されて滲み出るジュースが付け合せとは思えないしっかりした味。
スープ:かぼちゃのスープ
さらっとしたスープ。濃度が薄いというのではなくさらっとしている。かぼちゃの甘さはしっかり残っていて、優しい味。
追加の一品:サクラマスの燻製 サラダ添え
アラカルトの前菜から追加。珠洲沖で上がったサクラマスにしっかりスモークをかけ、いんげんとスナックえんどうのサラダを添えた一皿。サクラマスは厚みたっぷりの3切れ。サクラマスの燻製は臭みも何もなく、下味の塩加減もちょうど良い加減。スモークサーモンのようなオイリーさもなく、魚の味をしっかり噛んで味わうことができる。添えられたサラダのしゃきしゃきした歯応えがお皿の中で変化をつけてくれる。ドレッシングのヴィネガーが食べるうちにサクラマスのスモークにもついてきて、また違った味になる。んー追加してよかった。
主菜:カサゴのポワレ ふぐの白子のポワレ添え
皮目をパリパリに焼いたカサゴに、ふぐの白子。白子はクリーミィさそのままに外側を焼き固められ、頬張ると口の中でとろりととろける。外側のパリパリと中からあふれるとろとろの白子のコンビネーションは、これが付け合せでいいのかと思ってしまう味。カサゴも身のしっかりした歯ごたえと炙った皮目の感触、二つの食感が絡み合う。
デザート:イチゴのタルト
ココア風味のサクサクのタルト、中に詰めたリュパーブのジャム、上に溢れんばかりに乗った酸味の残るイチゴ。皿の上でザクザクと崩して一緒にして食べる。これがうまい。レストランでこのレベルのデザートが出てくるところはめったにない。ここのデザートは以前から定評があるが、このタルトは他のところではなかなか味わえない。
このレストラン、伝統的なフレンチをしっかりしたポーションで提供してくれるのだが、お店をシェフとマダムだけで切り盛りしているので、オートマティックに次から次とお皿が出てくるわけではない。ランチでもディナーでも、最後にお茶を飲み終わるまで3時間はかかることを覚悟しておく必要がある。だが、おいしいものが出来上がってくるまでの時間を楽しむことも、レストランを味わう大事な要素なのではないだろうか。お店の雰囲気も落ち着いていて、待つのが苦になるような空間でもない。
記念日や大事な日、接待やデート、用途を問わずに選べるお店。特にディナーのデザートに選べるスフレは、一度食べると本当に病み付きになる。
久しぶりのお邪魔でしたが、満足致しました。ご馳走様でした!
(2015年8月6日訪問)
久しくお邪魔していなかったが、夏の定番メニューが頂きたくなり家族でお邪魔。開業から15年になるそうだが、頑なにクラシックなフレンチをどっしりとしたポーションで出すスタイルを変えていない。家庭的な雰囲気で、ゆったりとした時間を味わうにはもってこい。サーブが遅いという批判もあるお店だが、御夫婦で切り盛りしていることを考えれば仕方がないだろう。むしろ、きちんと手を掛けたお料理を味わいたいなら、それなりの時間がかかることを了解しておくべきかとも思う。
さてメニュー。
アミューズ:赤ピーマンのムース トマトのソース
シェフが5年かけて形にしたというひと品。ほんの一口のサイズだが、赤ピーマンの野菜の味と、トマトの果汁だけを抽出して作ったというソースのマッチングが夏らしくさわやか。白いお皿に、オレンジ色のムースと真っ赤なソースが映える。
前菜:サザエの温製 肝ソース グリーンアスパラのポワレ添え
こちらの前菜、貝類があればぜひ頼みたい。火の通し方が巧みで、肝のソースも見た目のような苦さは全くなく、ただ純粋にうまみを引き出している。サザエのこりこりとした歯ごたえに熱が通ったことで活性化された旨みに、肝のソースをたっぷりまぶすと、貝の美味しさを逃すことなく味わえる。付け合わせのグリーンアスパラも十分に太く、たっぷり水分を含んでジューシーでしかも繊維質が舌に触ることが全くない。
スープ:トウモロコシのスープ たまねぎのプリン添え
完熟の玉蜀黍の味を素直に引き出したスープ。想像通りの、甘い優しい味。そこに、たまねぎで作ったプリンがアクセントを加える。たまねぎで、と言っても葱臭さは全くなく、言われなければ多分たまねぎで作ったとは分からない。
魚料理:鮃のポワレ ジロール茸添え
しっかり身の厚みがあり良いものと一目でわかるヒラメのポワレに、ジロール茸のソテーを添えて、バターの効いたソース。非常にシンプルな組み合わせ。だけどこのシンプルさがそれぞれの食材の旨みをギリギリまで引き出している。パリパリに焼かれたヒラメの表面と、ほろっとほぐれる身の味わいの対比、ひれに近い縁側部分のしこりとした歯ごたえ、ジロール茸の土の滋味。単純に見えて、それぞれの味がくっきりとわかる。
肉料理:子羊鞍下肉のロースト ブラックオリーブのソース
浅目に火を通した子羊のロースト。塩味も薄めで、テーブルに出された岩塩を自分で掛けて味を調節する。子羊の肉は噛みしめると草の味がする。もちろん本当に草が入っていたりするわけではなく、牧草をしっかり食べて育った羊の味。まだ乳を飲んで育ったミルキーな仔羊も美味しいが、こういう子羊も美味しい。ブラックオリーブのソースも肉の味を邪魔しない控えめな量で、子羊の味を堪能できる。
デザート:桃のスープ ヨーグルトのアイス添え
白ワインで延ばした白桃のピューレに、惜しげもなく桃を添え、更にさっぱりとヨーグルトのアイス。こちらのお店はデザートのレベルの高さには定評があるが、この桃のスープは夏の時期限定の、ここを逃すと1年食べられなくなる一品。レモンのアイスケーキもスフレも、ブルーベリーのタルトも捨てがたく、ああデザートだけたくさん食べられないものか。
クラシックな調理法で、素材の旨みを邪魔することなくシンプルに引き出したお皿の数々。調理法はフレンチのそれだが、お皿の味に関する考え方はむしろ和食に近い。見た目のような敷居の高さもなく、コストパフォーマンスも素晴らしい。お食事が終わるまで3時間を見込んで、ゆっくりと楽しみたい。ご馳走様でした!